ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)アドベントカレンダー2024 の16日目です!他の記事もぜひご参照ください!
はじめに
先日、戦略策定について学ぶ機会がありました。
プロダクトマネージャーとして、製品の立ち位置を整理しどのような戦略を立てるべきか考えるために、一通りのプロセスの理解が重要と強く感じています。
そのため、復習と理解向上もかねて記事にします。
具体例を通して説明してみます。参照いただく方の理解が進めば幸いです。
本記事の内容こそが唯一のものではありません。状況、業種、役割などにより検討する内容や範囲は異なります。
対象読者
記事の対象読者として以下を想定しています。
- プロダクトマネージャーの卵
- 事業戦略・企画のプロセスを知りたい人
注意事項
PPM分析やPEST分析などのフレームワークを記載しています。ただ、これらのフレームワークの説明までは本記事では行いません。使い方に不明点がある方はぜひ調べてみてください。
いきなりまとめ
経営理念・経営ビジョンという長期的に不変な価値観をベースに、経営戦略→事業戦略→製品戦略の流れで戦略が策定されます。
それぞれの関係性は以下の図のとおりです。
- プロセスに従い検討を進めていくことで、徐々に情報が整理されて戦略立案が進みます。
- それぞれがストーリーとしてつながり、矛盾なく説明できる必要があります。
- 自身の担当範囲だけでなく上流にまで目を向けた方が良いです。会社から求められていることや他事業との関係性を理解できます。
なお、ボリュームを考え記事を分割しています。本記事では経営戦略までを対象範囲とします。
ここからは例を通して各プロセスを見ていきましょう
主人公であるAさんと、Aさんが所属するQ計算株式会社を例にプロセスを見ていきます。
以下記載の内容はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
ビジネス上の穴、分析品質の低さ、納得いかない点など多くあるかと思われますがツッコミ無用です。
また、本記事には数字が特にありませんが、実務では定量情報に基づいた戦略立案が重要です。
AさんとQ計算株式会社について
AさんはQ計算株式会社の「電卓事業」に所属しています。
今回、事業の拡張を目指し、新製品(サービス)の企画および統括を担当することとなりました。
Q計算株式会社は、卓上電卓の製造から始まった会社です。会社のビジョン(長期的なゴール)として「世界から計算ミスをなくす」を掲げています。
事業として「電卓事業」「学習コンテンツ事業」「データ入力代行事業」を持ちます。
電卓事業はハードウェアの製造・販売を事業としてきましたが、時代の変遷とともにスマホ領域の可能性を探る動きが出てきました。
Aさんは関数電卓に関して、関数電卓そのものをスマホアプリに移行しつつ、新たな価値を出せないか検討することとしました。
既存事業を考え、デバイスをメインにスマホアプリを付加価値とするやり方も考えました。が、良い体験を提供するにはスマホへの一本化が必要、という思いがあるようです。
経営戦略
事業ドメインの定義
企業/事業のコアを明確にし、戦う領域を決めます。
属性を付与することで領域を具体化できます(例:電卓->関数電卓->グラフ関数電卓)。ただし、具体化すればするほど事業の拡張性がなくなるため、バランスが重要です。
Q計算株式会社は、計算機器の研究・開発・販売を長年続けており知見を培っています。計算の精度と市場認知度に強みがあり、特に電卓は教育・科学研究用途で高く評価されています。
資源配分
経営者はPPM(プロダクションポートフォリオマネジメント)や製品ライフサイクルなどを参考に、事業/製品への資源投資の配分(増やす、維持する、減らす、撤退する)を決定します。
1プロダクトマネージャーの視点からしても、自分の製品が市場でどのような立ち位置か確認する際にPPMを利用できます。
シェアや成長率の調査方法としては以下があげられます。
- 市場調査レポートの活用
- 独自の市場調査の実施
- WEB上の発信量の分析(SNSやGoogle Trendsなど)
- フェルミ推定
- etc.
Aさんは会社から過去に共有されたPPMを確認しました。
PPMは市場成長率とシェアに対して事業(製品)売上をマッピングしたものです。位置によって投資方針(の目安)が決まります。
PPMから、電卓事業は花形ポジションにいることがわかります。電卓の領域でトップシェアを目指すべく投資量を増やす判断となったようです(市場が伸びているという点は直感的には疑問があるかもしれませんが、そういう設定です)。
まとめ
経営戦略では以下を行う。
- 事業ドメインの定義
- 企業/事業のコアを明確にし、戦う領域を決める。
- 資源配分
- 事業/製品への資源投資の配分を決める。
- その判断基準として、業界内の事業の立ち位置や、ライフサイクルを確認する。
事業戦略以降については以下の記事を参照ください。
①概要・経営戦略 ←本記事
②事業戦略
③製品戦略 ←後日公開