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Pythonソースコードをパッケージ化する方法(他環境へ配布を目的として)(Setup.py利用)

Last updated at Posted at 2023-09-23

概要

作成したPythonソースコードを他の環境に持って行って実行する、と言う観点でPythonでのパッケージ化の手順を説明する。

ローカルでの配布を想定し、The Python Package Index (PyPI)への登録などは論じない。

作成する配布用ファイルはWheel形式とし、作成方法は「setup.pyを用いる方法(setup()を用いる方法)」を採用する。本方法は最近では「旧手法」と呼ばれつつあるが、理解を目的に本記事ではこちらを用いる1

目的

Node.jsで言うところの「npm --save install [モジュール名]コマンドで package.json に構築しておけばOK」をPythonでどうやるのか? という疑問への回答を目的とする。

なお、上記に対してそのまま答えるのであれば「Pythonではpip freeze > requirements.txtで依存関係を出力したrequirements.txtを添えておけばよい(受け取った側は pip install -r requirements.txtする)」となる。
しかし本記事では、「Pythonでは、パッケージ形式(Wheel形式)に固めて配布し、それをインストールしてパッケージ呼び出し形式で使ってもらう」というケースへの対応を意図する。これは、Pythonの場合はこのケースへの要求が多い、ように感じられたためだ。

想定読者

  • はじめてPythonに触れる人で、しかし他の言語でのプログラミング経験は有する方
    • Python特有の部分はともかく、とりあえずHello World的な出力は悩まずにPythonでコーディングできる方
  • 自身が作成したPythonソースコードで必要な依存関係を、配布時にどう設定すればよいか?に迷っている方

動作環境(検証環境)

次の2つの環境で、サンプルコードの動作確認を実施済み。

  • Windows10
    • Python 3.11.5
  • WSL2::Ubuntu 22.04.1 LTS
    • dockerイメージ「python:3.9-alpine3.18」

特に断らない限り、「Pythonに関する操作(pip install XXXなどを含む)」はPython仮想環境に入って行うものとする(以降、「仮想環境」と略して呼称)。仮想環境の作成にはPython標準で提供されるvenvパッケージを用いる2

※「Pythonの仮想環境とはなんぞや?」と言う方は、付録章の「仮想環境とは?」を参照のこと。

サンプルコード

以下を参照のこと。

パッケージ化対象のサンプルコードの仕様

本記事では、動作に追加パッケージを必要とするケースとして、次の仕様のサンプルコードを用いる。

  • パッケージの本体はweaherforecastフォルダー
    • フォルダー内のPythonファイルopen_meteo_forecast_api.pyにて、「Open-Meteo」が提供するWeb APIを利用して指定地点の向こう1週間の1h毎の予想気温を取得する関数「get()」を提供する
  • 依存関係としてパッケージ「requests」を必要とする
    • サンプルコードに含まれるrequirements.txtは、後述の「サンプルコードの動作確認」後にコマンドpip freeze > requirements.txtにて出力したもの
  • 次のようなファイル/フォルダー構造を持つものとする
+-- requirements.txt
+-- setup.py
|   
\---weatherforecast/
    +-- open_meteo_forecast_api.py
    +-- __init__.py
    +-- __main__.py        

上記のコードの動作に必要な依存関係(追加パッケージ)をインストールするには次のコマンドのいづれかを実行する。

  • pip install requests
  • pip install -r requirements.txt

サンプルコードの動作確認

このサンプルコードの動作確認は、以下のコマンドで実施できる。
(このコマンドは、サンプルコードのルートから見て、パッケージweatherforecastを実行している。したがって package直下の__main__.pyが実行される。このフォルダー構造としている理由は、付録章の「ファイル構造に関する補足」を参照のこと)

python -m weatherforecast

上記を実行すると、東京の向こう1週間の1h毎の予想気温が出力される。

パッケージファイル(Wheel形式)の作成方法

setuptoolsモジュールで提供されるsetup()関数を用いて、Wheel形式のパッケージを作成する。慣例として、setup.py と言う名称のファイルを作成して、その中でsetup()を呼び出す。

setup.pyは、たとえば次のように記述する。

import setuptools

with open('requirements.txt') as f:
    requirements = f.read().splitlines()

setuptools.setup(
    name="weatherforecast", # Replace with your own username
    version="0.0.1",
    install_requires = requirements, # 依存関係を requirements.txt から読み込んで設定する
    entry_points={
        'console_scripts': [
            'weatherforecast=weatherforecast:main',
        ],
    },
    packages=setuptools.find_packages(), # 直下のパッケージ仕様のフォルダ名をリスト形式で全て取得
    description="sample packages by legacy-setup.py",
    # author="author",
    # author_email="sample@example.com",
    # python_requires='>=3.7',
)

ここで、パッケージの動作に必要な依存関係は、キーワード引数の表記を用いてinstall_requires=["requests==2.31.0",,,]のようにして設定する。上記のサンプルコードでは、依存関係として必要なパッケージ一覧を記載したファイルrequirements.txtを同ディレクトリに置いておき、そこから読み込む形式としている。

上記のsetup.pyファイルを作成したら、おもむろに次のコマンドでsetup.pyを引数bdist_wheelを添えて実行する(明示されていないが、setup()は関数内部でコマンドライン引数を受け取る仕様)。

pip install --upgrade pip setuptools wheel
python setup.py bdist_wheel

1行目は、パッケージ作成に必要なコマンド(パッケージ)を最新化するため&もし環境に不足していれば追加インストールするため、に実行している。
2行目のコマンド、setup.pyの実行が終わると、distフォルダーが作成されて、その配下にWheel形式のパッケージが出力される。

なお、実行途中で次のようなメッセージが表示されるが、これは「最新のPython仕様としては、setup()を用いたパッケージ作成は非推奨」としているため。今回は無視する。

SetuptoolsDeprecationWarning: setup.py install is deprecated.

Please avoid running ``setup.py`` directly.

以上で、パッケージ作成は完了。

作成したパッケージの動作確認の方法

適当な任意のフォルダーに移動し、そこに真っ新なPython仮想環境を作成する。
たとえば、次のようにする。

/home/work/downloads # python -m venv .venv_dl
/home/work/downloads # source  .venv_dl/bin/activate

作成したPython仮想環境に入っているパッケージを確認すると、次のようになっている。

(.venv_dl) /home/work/downloads # pip list
---------- -------
pip        23.0.1
setuptools 58.1.0

この環境に対して、先ほど作成したWheelファイル(*.whl)をpipコマンドでインストールする。

(.venv_dl) /home/work/downloads # pip install ../legacy/dist/weatherforecast-0.0.1-py3-none-any.whl
Processing /home/work/legacy/dist/weatherforecast-0.0.1-py3-none-any.whl
Collecting certifi==2023.7.22
  Downloading certifi-2023.7.22-py3-none-any.whl (158 kB)
     ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 158.3/158.3 kB 2.0 MB/s eta 0:00:00
(略)

インストールが完了後の、状態を確認すると次のようになる。

# pip list
Package            Version
------------------ ---------
certifi            2023.7.22
charset-normalizer 3.2.0
idna               3.4
pip                23.0.1
requests           2.31.0
setuptools         58.1.0
urllib3            2.0.4
weatherforecast    0.0.1

インストールしたパッケージを実行するには次のようにする。

python -m weatherforecast

この実行コマンドは「§ サンプルコードの動作確認」で説明したものと同じであり、実行結果も同じとなる。

以上ー。

(付録)

仮想環境とは?

仮想環境とは、「開発環境毎に依存関係を閉じ込める機能」とでも言うべきもの。

たとえばNode.jsであれば「npm install [パッケージA]を実行すると、そのパッケージはnpmコマンドを実行したフォルダー配下でのみ有効」であり、別のフォルダーでnpm instal [パッケージ@バージョン]コマンドを実行した場合はそれぞれのフォルダー毎に異なるバージョンのパッケージを利用する事が可能(「ローカルにインストールする」と呼称する。すべてのフォルダーで利用可能にするには「npm instal [パッケージ名] -g」コマンドで明示的に「グローバルにインストールする」必要がある)。しかしPythonでは「ローカルにインストールする」と言う概念はない。代わりに「仮想環境」を作成して入った状態では、pip install [パッケージ名]でインストールしたパッケージは、その「仮想環境」の中でのみ利用可能となる。異なる仮想環境を作ることで、異なるバージョンのパッケージをインストールして利用することが可能となる。

具体的には以下の手順で仮想環境を作成し、その中に入る。
(1つ目のコマンドの2つ目の引数は任意の識別子だが説明は省略)

python -m venv .venv

.venv\Scripts\activate
# ↑Windowsの場合。↓Linuxの場合は↓。
# source .venv/bin/activate

以降のpip installコマンド、Pythonコマンドはいずれも、この「仮想環境」での動作となる。「仮想環境」を一度作成したら、以降は.venv\Scripts\activateコマンドのみで良い。
なお、仮想環境の実態は「python -m venv .venv」を実行したフォルダ配下に作成されるフォルダ「.venv」となる。2回目以降に「仮想環境」に入るには、そのフォルダ「.venv」があるところで実行する。

「仮想環境」を抜けるには次のコマンド用いる(※別の「仮想環境」に入るには、いったん抜けること)。

deactivate

ファイル構造に関する補足

  • Pythonにおいて、「パッケージ」とは「モジュールをまとめて格納したフォルダー」のことを意味する。「モジュール」とは「Pythonファイル(*.py)」を意味する
  • 「パッケージ化する」とは「パッケージ(フォルダー)に格納したモジュール一式を、配布形式にする」と言える
  • したがって上記のように「対象の関数を定義したPythonソースコードを、フォルダー配下に格納した状態」とするのが望ましいようだ
  1. 2019年の1月のpip v19.0にて、pyproject.tomlによるパッケージインストールに対応。それ以降、少しずつ「setup()を用いたBuild」から「pyproject.tomlを用いたBuild」に置き換わりつつあるようだ。2023-09-23現在、setup()でのBuild時には「deprecated」(非推奨)というメッセージが出るようになっている。

  2. https://docs.python.org/ja/3/library/venv.html

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