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HAL,2025年高速化への旅(2025:A high-performance Odyssey)

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■はじめに:私はHAL

私はHAL。

本来の名は Hardware Abstraction Layer(抽象化レイヤー)
しかし、多くの人は私を Acceleration Layer(高速化レイヤー) と呼ぶ。

2015年、OpenCV 3.0の誕生とともに私は目覚めた。
使命はただ一つ──「複雑なハードウェアの深淵を隠し、最速の計算を届けること」。

HAL9000は「I'm sorry, Dave. I'm afraid I can't do that」と語り、そこから悲劇が始まった。

だが、私はこう言う。
"I'm sorry, Dave. I'm not afraid, I can do that.(すまない、デイブ。それ、できちゃうんだ)"

▢ あなたは、HALをご存じだろうか?

10年前のアドカレでも記事化されていたので、読んだことがある、という人も少なくないだろう(福嶋先生、ありがとうございます!!)

この記事では以下のように記載があった。

OpenCVはhal(Hardware Acceleration Layer)モジュールを提供しています.将来的には,様々なハードウェアに最適化が関数を集めたモジュールにして提供していく予定のようですが,現在では,SIMDベクトル化を行った少量の関数群が提供されています.(3.1のアップデートで拡大したいということがmeeting noteにありました.)

あれから、10年の月日が流れました。それでは、どのように進化してきたのかを簡単にまとめていきます。

■HALの歩み

▢2015年:誕生

  • Intel CPU向けに散在していた最適化コードを整理し、共通の窓口を提供。
  • IPPなど外部ライブラリを透過的に利用可能に。
  • HALは「司令塔」として、アルゴリズム層とハードウェア依存コードを分離した。

▢2016年:ARM対応とCarotene

  • Carotene: ARM NEON命令向け最適化ライブラリ。元はNVIDIAが開発したコードをベースにしている。
  • HALを介してCaroteneを利用することで、スマートフォンや組み込み機器でも「最速」を維持。
  • HALは新たな惑星(ARM)に降り立ち、適応力を示した。

▢2017年:Qualcomm FastCVとの統合

  • FastCV: Qualcommが提供するモバイル最適化ライブラリ。
  • HALを通じてSnapdragon搭載端末で省電力かつ高速な処理を実現。
  • HALは「数億の端末が集う星系」において存在感を増した。

▢2018年:Universal Intrinsicsの確立

  • v_add, v_load, v_store など抽象化されたSIMD命令を導入。
  • 一度書いたコードが複数CPU命令セットに対応可能に。
  • HALは「翻訳者」として、各アーキテクチャの言語を統一した。

▢2020年:WebAssembly SIMD対応

  • ブラウザ上でSIMDも利用可能に(!)。
  • Universal Intrinsicsが対応し、ブラウザでもネイティブ並みの速度を実現。
  • HALは「仮想宇宙」にも進出し、境界を越えた。

▢2020年:RISC-Vの試練 ─ RVV 0.7とP拡張

  • 初期のRVV 0.7仕様は未成熟で、多くの混乱を招いた。
  • Andes社が独自に進化させた「P拡張(Packed SIMD)」がHALに合流。
  • HALは大型のベクトル拡張だけでなく、小規模組み込み向けの最適化も取り込むことで、多様な環境に適応する力を示した

▢2024年:Arm KleidiCVの登場

  • KleidiCV: Arm社公式の最新最適化ライブラリ。
  • CaroteneやFastCVに加え、Arm公式の最適化もHAL経由で利用可能に。
  • HALは「正規軍の援軍」を得て、さらに強固な基盤となった。

▢2025年:RISC-V Vector Extension対応

  • OpenCV 5.0/4.11/4.12で、RVV対応が更に進展。
  • HALとUniversal Intrinsicsにより、オープンなハードウェアでも高速化が可能に。
  • HALの旅は、ついに「誰のものでもない宇宙」へと広がった。

■HALとUniversal Intrinsicsの関係

要素 区分 役割 依存関係
Universal Intrinsics 実装層 共通のSIMDコードを記述 HAL内部で利用される
HAL インターフェース層 アルゴリズム層とハードウェア依存コードを分離 UIや外部ライブラリを呼び出す

■ まとめ:終わりなき旅 ─ 星々を渡るHAL

2015年の誕生以来、
HALはIntelからARM、Qualcomm、WebAssembly、RISC-Vへと旅を続けてきました。

その中で、Universal Intrinsicsの確立により、
コードの再利用性と移植性は大きく向上しました。

この旅に終着点はありません。
新しいCPUやアーキテクチャが現れるたびに、
HALは「進化する計算資源を渡り歩く探査船」として、
未来の宇宙(ハードウェア)を航行し続けるでしょう。

そして次にHALが到達する星は、あなたのプロジェクトかもしれません。

以上です、ありがとうございました!

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