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謎のアドベントカレンダー、第 1 話です。

筆者は 1990 年代中盤に新卒でとある中小企業に就職しましたが、その頃の話です。

時代背景

当時は、中小企業はもちろん、大企業でも、オフィスに社内 LAN が張り巡らされ、パソコンが 1 人 1 台配布・貸与されることが珍しかった時代でした。

数年後には社内 LAN もパソコン 1 人 1 台も珍しくない時代が到来するのですが、それはもう少し後の話です。

どういう時代だったかというと、

  • Windows 95 が発売された直後
    • Windows 95 では TCP/IP が標準サポート
    • DOS の頃には TCP/IP スタックは OS に標準装備されていなかった
  • 10Mbps Ethernet が使われていた
    • モジュラージャックで接続可能な 10BASE-T が普及してきたあたり
  • IPv4 アドレス空間について、プライベートアドレスの範囲を定めた RFC が出てまだ間もない頃
    • RFC1597 が出たのが 1994/3、それを引き継ぐ形で RFC1918 が出たのが 1995/2

でした。

その頃の筆者の職場環境は

筆者の入社と同時に Windows 95 パソコンの配布が始まるのですが、その数年前の DOS の時代に

  • 正社員(ほぼ)1 人 1 台のパソコン貸与
  • 社内 LAN あり
  • 顧客データベースや業務報告書、社内掲示板などが社内 LAN を通じて利用できる環境

という状況でした。

ただ、業容拡大中の中小企業であり、事業の多角化と社員の増加に合わせる形で、狭い地域内に複数の小さな自社ビルを所有し、それぞれに数十人程度が勤務する形になっていました。

そこで困るのが ビル間をどう接続するのか です。

当時はまだ

  • IEEE 802.11a/g のような、(ある程度)高速な無線 LAN 規格は存在しなかった
    • IEEE 802.11b(公称 11Mbps)どころか IEEE 802.11(同 2Mbps)すら無し
  • 有線接続しようにも、周囲に光ファイバー網が張り巡らされているわけではなく、仮に利用できたとしても高価
  • メタル線での通信は 128kbps 程度
    • xDSL 技術は(民生用としては)実用化されていなかった

という状況で、10Mbps の通信をしようとすると選択肢は限られていました。

ビル間を赤外線通信で接続していた

幸い、お互いに直線で見通せる位置にそれぞれのビルがあり、高層ビルが立ち並ぶ地域でもなかったので、ビル間は 10Mbps Ethernet(半二重)対応の赤外線レーザー装置で接続していました。

当時このような装置を製造・販売している会社は何社か存在し、みんな大好き(?)愛三電機のサイトにも取り扱い商品のページがありました。

例えば、スーパーカミオカンデの光電子増倍管で有名な、浜松ホトニクスもビル間接続用の赤外線通信装置を製造・販売していたと記憶しています(違っていたらごめんなさい)。

(なお、筆者の職場で使っていたのは別の海外メーカーの製品でした)

新卒 1 年目の冬、問題が発生

職場の社内 LAN についてはいろいろな問題が発生しつつも(それについては別記事で触れます)元気(?)に稼働していたのですが…冬を迎えた頃から、サーバー室のあるビルから 4 階建ての低層ビルへの通信がおかしくなりました。

朝方、始業前〜始業後の時間帯(大体 8:00 〜 9:30 頃)だけ通信が不安定になったり途絶えたりするのです。

当初は理由がよく分からず社内からのクレーム対応に追われていたのですが、実際に装置がある場所に何度か出掛けてみて気づいたことがありました。

「これ、通信が途絶える時間帯は太陽光を真正面から受けてるぞ」

機器を納入・設置した業者さん(担当者)にその旨伝えたところ、当初は「そんなバカなことはない」と鼻で笑われましたが、実地調査で

  • (赤外線を出す)ダイオードが劣化していた
  • それと太陽光の問題が重なって通信断が発生していた

ことがわかりました。

結果、応急的にダイオードの交換、および(冬季に太陽光が重ならないように)設置位置の調整が行われましたが、今度は別のビルへの通信で問題が。

その頃使っていた赤外線通信装置は、レーザー光をピンポイントで受けて通信を行う仕様だったので、少しでも照射位置がずれると通信できなくなりました。

ビルの建材や機器のマウントの素材によっては気温の影響で微妙に膨張したり収縮したりすることがあり、それが低層ビル向けの通信ではあまり大きな問題にはならなかったのですが、より高層な別のビルでは影響が出てしまったようで、度々照射位置を変えないといけないことに。

結果的に、耐用年数を迎える前に、照射位置が多少ずれても良いタイプの赤外線通信装置に更新することになりました。

ちなみに、現在その手の機器を検索しても、これ↓ぐらいしか見つかりませんでした(もちろん、もっと古い 10Mbps の機器を使っていました)。

余談ですが

この「冬の日の出(数時間後)の時間帯だけ通信が途切れる障害」ですが、全然別のところで再び出くわしました。

自宅のインターネット回線を ADSL から光ファイバーに変えた後、しばらく経ってからの話です。

(集合住宅住まいでしたが、いつになったら入るかわからない集合住宅向けサービスを待てなかったので、頑張って交渉して戸建て向けサービスを契約してエアコン配管用の穴を通して引き込んでもらいました)

ADSL 時代に悩まされていた「全く通信できない時間帯」が同じように発生したため、自宅のパソコンを起動したままPINGを流し続けて確認したところ、日の出から 1 〜 2 時間後あたりと、稀に日の入り前のあたりだけ通信できなくなっているのがわかりました。

「日の出後の時間帯だけ通信が切れるんですけど」ということで修理の手配をお願いして、「そんなことはありえない」という、どこかで聞いたのと似たセリフを言われながらも、引き込みをやり直してもらいました。

その後は再発しなかったので、やはり最初の引き込み工事のミスだったのでしょうかね?(ONU は交換せず)

(当時、某通信事業者では「自社のユーザーには実質 1 分岐貸し」みたいなことをやってて後々批判されていたような気がしますので、時間帯が偏るといっても回線を共用する他ユーザーの影響ではなさそうな気がしますが、さて?)

謎。


2 日目の記事に続きます。

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