はじめに
私たちのチームが行っている「ふりかえり」の手法を共有します。
プロジェクトではなく、チーム活動やチーム体制にフォーカスしたふりかえりの例となります。
チームふりかえりをやってみたい方のヒントとなれば幸いです!
なぜふりかえりをするのか
記事を書くにあたって、改めてふりかえりの意義を考えてみました。
私が特に重要だと思うのは以下の3点です。
- チーム活動を改善し、生産性を向上させる
- 業務における懸念点を解消し、心理的安全性を向上させる
- 自己組織化されたアジャイルなチームを目指す
このような目標があるのにまだふりかえりをしていないチーム、ぜひこの記事をきっかけにふりかえりを取り入れてみてください!
どんなふうにやっている?
ここからは、私たちのチームが行っているふりかえりの詳細をご紹介します。
書籍「アジャイルレトロスペクティブズ」を参考にした方法となりますので、気になる方はぜひご一読を!
頻度・所要時間・場所
- 月に1回
- 1.5~2時間
- リモートワークのためオンラインで開催(miroを使用)
ふりかえり運営チーム
効果的なふりかえりにするには進行役が必要です。
私たちのチームでは補佐として書記も決めています。
- ファシリテーター(1人)
- 書記(1人)
また、これらの役割は固定ではなく、チーム内持ち回り制です。
新人もベテランも関係なく、平等に担当するようにしています。
ふりかえりの準備
ふりかえり運営チームは、当日までにふりかえりの進め方を決め、必要な準備を済ませておきます。
- (例) ふりかえりで使うmiroのボードを用意する
- (例) 必要なアンケートを事前に取る
ふりかえりの進め方は、この後に述べる「ふりかえりの構成」に従って決めていきます。
ふりかえりの構成
基本は以下の5つのフェーズを元にした構成です。
- 場を設定するアクティビティ
- データを収集するアクティビティ
- アイデアを出すアクティビティ
- 何をすべきか決定するアクティビティ
- レトロスペクティブを終了するアクティビティ
5つのフェーズそれぞれに色々なアクティビティが存在します。
ここには書き切れないほどのアクティビティが存在するため、詳しくは書籍「アジャイルレトロスペクティブズ」を読むのがオススメです!(2回目)
そのときのチームの状況や、どんなふりかえりにしたいかということを考え、運営チームが主体となってアクティビティを選択します。
ふりかえりのアクティビティ構成例
参考までに、私たちのチームが最近気に入って使っている組み合わせをご紹介します。
日常で気になっていることを改善したり、チーム活動のやり方を見直したりするのに役立っています。
- 場を設定するアクティビティ → チェックイン
- データを収集するアクティビティ → 学習マトリクス
- アイデアを出すアクティビティ → 学習マトリクス
- 何をすべきか決定するアクティビティ → SMARTな目標
- レトロスペクティブを終了するアクティビティ → プラス/デルタ
ただし、書籍に載っている方法をそのまま実践しているわけではなく、試行錯誤してやり方を変えている部分もあります。
例えば、
- データを収集するアクティビティでは、紹介されたアクティビティを使わず、次のフェーズである学習マトリクスの項目に合わせてデータを出してもらう
- 理由:紹介されたアクティビティではうまくデータを収集できず、目指したいふりかえりができなかったため
- ふりかえりの場で付箋を書くのではなく、準備段階で付箋を貼っておいてもらうようにする
- 理由:ふりかえりの場で1ヶ月分の出来事を思い出すのが難しく、時間もかかってしまうため
- 投票して話す内容を決めるのではなく、一番話したいものをまずは1つ自分で選んでもらうようにする
- 理由:多数決で決めてしまうと、少数だけが気づいている本当に重要な話題に触れられないケースがあるため
などです。
この記事を読んでふりかえりをやってみようという方がいたら、最初から独自のやり方をするのではなく、まずは良いとされる「型」を守って実践してみてください。
その上で、目的ややりたいことに合わせてアレンジを加えていってください。
基本となるのはふりかえりの構成で述べた5つのフェーズです。
参考:miroのボード
先月のふりかえりボードをお見せします。
miroは、無料版の範囲でもかなり自由に使うことができるので、ふりかえりボードとしてオススメです!
おすすめ本
-
書籍「アジャイルレトロスペクティブズ」
- (3回目)
- 私たちのチームのふりかえりの元となった本です
-
アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック
- マンガパートもあり、かなり読みやすいです
- アクティビティのおすすめ組み合わせも載っており、こちらの方がハードルは低いかも
さいごに
いろいろ細かく書いてしまいましたが...
私たちのチームもふりかえり(もどき)を始めてから今の方法に到達するまでに2~3年はかかっていると思います。
最初から完璧に運営する必要はありません!
というより、アジャイルなチームを目指す我々にとって、完璧な状態など存在しないのです。
改善したいという思いを胸に、まずは小さく始めてみましょう!
補足
紹介したアクティビティの詳細です。
引用:書籍「アジャイルレトロスペクティブズ」
チェックイン
参加者を歓迎し、目標とアジェンダのレビューを行ったあとで、レトロスペクティブのリーダーが簡単な質問を 1 つする。メンバーは順番に質問に答える。
学習マトリクス
フリップチャートを 4 分割してアイコンを描く。
「笑顔」は良かったこと・続けたいこと、
「しかめ面」は変えたいこと、
「電球」は新しいアイデア、
「ブーケ」は感謝したい人、をそれぞれ表している。
SMARTな目標
チームが、Specific(明確な)、Measurable(計測可能な)、Attainable(達成可能な)、Relevant(適切な)、Timely(タイムリーな)目標を作れるように集中してもらう。こうした性質を持った目標であれば、達成できる可能性が高い。
プラス/デルタ
チームは(今以上にやるべき)強みや、次のレトロスペクティブで変更することを見つける。