159
67

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

【後編】「で、"結局"今どんな状況なの?」と言われたとき、あなたの報告はまだ“報告”になっていない

159
Posted at

はじめまして。
株式会社PRUMでエンジニアをしている人見です。
日々、プログラミング学習や実務の中で
つまずきやすいポイントを整理して発信しています。

PRUMについて気になった方は、
コーポレートサイトもご覧ください。
コーポレートサイト


「で、"結局"今どんな状況なの?」と言われたとき、あなたの報告はまだ“報告”になっていない【後編】

――「判断できる報告」とは何か

ヘッダー画像:意思決定のイメージ

報告とは「事実の共有」ではなく、「判断材料の提示」である


はじめに

前編では、こんな会話を扱いました。

新人「ログイン機能の実装が終わりました」

リーダー「で、結局いまどんな状況なの?」

新人は「作業の完了」を伝えたつもりなのに、伝わらない。
この噛み合わなさの原因は、報告の上手い下手ではなく、

  • 新人とリーダーが「報告」という言葉に期待している役割が違う
  • Closed Task(閉じた課題)と Open Task(開いた課題)で、必要な報告が変わる
  • 認知構造(スキーマ)・目的(意思決定)・視点(局所/全体)の“3層”でズレが起きる

という「構造の違い」でした。

後編では、その続きとして、

では、リーダーが“判断できる”報告は、どんな情報でできているのか

を分解し、明日から使える形に落とします。


1. 上司は「何のために」報告を聞いているのか

判断のイメージ図

上司は「事実」を集めているのではなく、「判断材料」を集めている

まず前提として、
上司が報告を聞く目的は「事実確認」ではありません。

上司が本当に知りたいのは、次の3つです。

  1. いま介入すべきか?
  2. リスクはあるか?
  3. このまま任せてよいか?

つまり、報告とは

判断材料になる情報を上司に伝えること

なのです。


2. 伝わらない報告は何が足りないのか

情報不足による思考負荷のイメージ

不足した情報を補完しようとすると、思考コストが増える

例:

「ログイン機能の実装が終わりました」

この報告には“事実”しかありません。

しかし上司の頭の中では、同時に次の処理が走っています。

  • 動作確認は済んでいるのか?
  • 例外ケースは?
  • 不具合は?
  • 次は何をする?
  • 予定通りか?

つまり上司は、いきなり判断に入れず、まず

不足情報を集めるための思考・質問

が必要になります。

この“追加処理”が、後述する 認知負荷 の正体です。


3. 認知負荷とは何か

「認知負荷(Cognitive Load Theory)」は、教育心理学者
John Sweller(ジョン・スウェラー)によって提唱された理論です。

人のワーキングメモリには処理できる情報量に限界があり、

  • 不足した情報を推測する負荷
  • 不要な情報を選別する負荷

が増えると、理解や判断の質が低下するとされています。

人のワーキングメモリは同時に多くの情報を処理できません。

情報が整理されていないと、

  • 推測
  • 補完
  • 再質問

といった追加処理が発生します。

これが認知負荷を増やします。

整理された報告は、

  • 推測を不要にし
  • 補完を不要にし
  • 再質問を不要にする

ことで、判断までの距離を短くします。


4. では、どう構造化すればよいのか

構造化・整理のイメージ図

構造化された情報は、判断までの距離を短縮する

判断に必要な材料は次の4つです。

① 現在位置(どこまで進んでいるか)
② 確認済みの範囲(どこまで検証したか)
③ 問題・リスクの有無
④ 次の一手(どう進めるつもりか)

この4つが揃うと、上司は

  • 介入するか
  • 任せるか
  • 方針を修正するか

を即座に判断できます。


5. 悪い共有の例(上司が判断できない)

ログイン機能は一応できました。
でもまだちょっと怪しいところがあって、
さっきエラーも出たんですが直るかもしれません。
仕様もたぶん合っていると思います。

この報告は、一見「情報量」は増えています。

しかし上司が欲しいのは、情報量ではなく判断材料です。

上司の頭の中ではこうなります。

  • 何が確定情報?(「一応」「たぶん」が多い)
  • どこまで確認できてる?
  • いま一番のリスクはどれ?
  • 次にどうする?いつまで?

上司の返答例(=不足情報の回収)

「“一応”っていうのは、どこまで確認できた?」
「エラーは再現する?再現条件は?」
「次に何をどこまでやる予定?」

つまり、判断に入る前に情報収集フェーズが発生しています。


6. 改善例(上司がすぐ判断できる)

ログイン機能の実装は完了しました。
正常ログインは確認済みです。
パスワード誤入力時のエラー表示に不具合があり、現在修正中です。
本日中に修正予定ですが、仕様認識に不安があるため方向性だけ確認させてください。

この報告では、

  • 現在位置
  • 確認済み範囲
  • 問題・リスク
  • 次の一手

が揃っていて、上司はすぐ判断に入れます。

上司の頭の中:

  • OK、正常系は確認済み
  • リスクはエラー表示(対象が明確)
  • 今日中に対応予定
  • いま必要なのは「方向性の確認」だけ

上司の返答例:

「方向性はそれでOK。今日中に進めてください。」

ここでは追加の情報収集がほぼ不要なので、思考負荷(認知負荷)が下がります


7. 情報は多ければよいわけではない

ここで重要なのは、

情報を増やせば伝わるわけではない

という点です。

報告が伝わらないからといって、

  • 作業ログをすべて説明する
  • 思考過程を最初から最後まで話す

など“情報の過剰投入”をすると、今度は

重要な判断材料が埋もれる

という問題が起きます。

人のワーキングメモリには限界があるため、

  • 何が重要かを選別する負荷
  • どこがリスクかを探す負荷

が増大します。

つまり、少なすぎても多すぎてもダメ。

重要なのは、

相手の判断に必要な情報だけを、構造化して渡すこと

です。


8. 結論

報告とは、完了通知ではありません。

判断可能な状態をつくる行為

です。

評価される報告とは、

  • 正確な状況共有に加え
  • 次の一手を提示し
  • 相手の思考を前に進める

報告です。

前編で扱った構造のズレは、
能力ではなく“何を出せばよいか知らない”ことから生まれます。

その答えはシンプルです。

相手が判断するために必要な材料を、先回りして出すこと。

これが、伝わる報告の構造です。


PRUMのエンジニアの95%以上は、未経験からの採用です。
よければ、コーポレートサイトもご覧ください。

コーポレートサイト

159
67
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
159
67

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?