忘れることを前提に、現場はどう教えるべきか
― 育成を「根性論」から「設計」に戻す ―
はじめまして。
株式会社PRUMでエンジニアをしている人見です。
日々、プログラミング学習や実務の中で
つまずきやすいポイントを整理して発信しています。
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はじめに
前編では、
- 人は忘れる生き物であること
- 初めての現場では、学びが「点」になりやすいこと
- それが「努力不足」と誤解されてしまう構造
について整理しました。
後編では、
「では、現場はどう教えればよいのか?」
という問いに向き合います。
最初にお伝えしておきたいのは、
この記事は「優しくしよう」という話ではありません。
人の認知特性を前提に、どう設計すれば育つのかという、構造の話です。
1. なぜ「一回教えた」は成立しないのか
現場で、よく聞く言葉があります。
「一回見せたからできるでしょ」
「さっき説明したよね」
しかし、学習は一度で完了するものではありません。
人は、一度理解したことでも、
時間が経てば忘れます。
そして実は、
一度できたように見えることと、身についたことは別です。
2. 「できた」と「身についた」は違う
その場でできたからといって、
学習が完了したとは限りません。
教育心理学では、
- その場での成功
- 時間が経ってからの再現
を明確に区別します。
前者はパフォーマンス、
後者が学習です。
現場では、
パフォーマンスを見て
「もうできる」と判断してしまうことがよくあります。
しかし、それは
評価のタイミングが早すぎる
だけかもしれません。
3. 覚えるべきことと、覚えなくていいことを分ける
育てる視点に立つと、
教える内容は二つに分ける必要があります。
覚えるべきこと
- 判断基準
- 失敗すると致命的なポイント
- 何度も使う考え方や型
覚えなくていいこと
- 手順の細部
- コマンドや操作方法
- 見れば分かる情報
すべてを覚えさせる必要はありません。
重要なのは、
どこに思考を使ってほしいのか
を明確にすることです。
4. レールを引き、ゴールを見せるということ
育てる現場では、
いきなり「自分で考えてみて」とは言いません。
- ゴールはどこか
- 今はどの段階か
- 何ができれば次に進めるのか
これを先に示します。
これは、
何度も通るためのレールを引く
という行為です。
5. 「一回見せたからできるでしょ」の正体
教える側には、すでにバックボーンがあります。
点の説明を受け取れば、
自然と線につながる状態です。
しかし、学ぶ側には
その土台がありません。
一回見せることは、
一回体験したことにはなりません。
この前提のズレが、
「努力不足」という評価を生みます。
これは横暴というより、
前提の置き間違いです。
おわりに|「育てる」とは、教えることではない
人は忘れます。
それは欠点ではなく、前提です。
だから本当に問うべきなのは、
「なぜ覚えないのか」ではありません。
忘れることを前提に、
それでも前に進める構造があるか。
そこです。
一度で覚えさせることでも、
一回でできるようにさせることでもない。
何度も戻れて、
何度も確認できて、
そのうち自分で進めるようになる。
育てるとは、
そういう道を用意することです。
前編・後編を通して伝えたかったのは、
誰かを責めることではありません。
構造を変えれば、
人の見え方も、評価も、育ち方も変わる。
それだけは、
はっきり言えると思っています。
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