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【後編】先輩に言われた「それ、前教えたじゃん!」。それでもあなたは悪くない。

Last updated at Posted at 2026-01-27

忘れることを前提に、現場はどう教えるべきか
― 育成を「根性論」から「設計」に戻す ―


はじめまして。
株式会社PRUMでエンジニアをしている人見です。
日々、プログラミング学習や実務の中で
つまずきやすいポイントを整理して発信しています。

PRUMについて気になった方は、
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はじめに

前編では、

  • 人は忘れる生き物であること
  • 初めての現場では、学びが「点」になりやすいこと
  • それが「努力不足」と誤解されてしまう構造

について整理しました。

後編では、
「では、現場はどう教えればよいのか?」
という問いに向き合います。

最初にお伝えしておきたいのは、
この記事は「優しくしよう」という話ではありません。

人の認知特性を前提に、どう設計すれば育つのかという、構造の話です。


1. なぜ「一回教えた」は成立しないのか

現場で、よく聞く言葉があります。

「一回見せたからできるでしょ」
「さっき説明したよね」

しかし、学習は一度で完了するものではありません。

人は、一度理解したことでも、
時間が経てば忘れます。

そして実は、
一度できたように見えることと、身についたことは別です。

補足:分散学習・反復学習という考え方

認知科学では、
同じ内容を一度まとめて学ぶよりも、
時間を空けて何度も触れた方が定着することが分かっています。

これを「分散学習(Spacing Effect)」と呼びます。

「一回で覚える」前提そのものが、
学術的には成立しません。


2. 「できた」と「身についた」は違う

その場でできたからといって、
学習が完了したとは限りません。

教育心理学では、

  • その場での成功
  • 時間が経ってからの再現

を明確に区別します。

前者はパフォーマンス、
後者が学習です。

現場では、
パフォーマンスを見て
「もうできる」と判断してしまうことがよくあります。

しかし、それは
評価のタイミングが早すぎる
だけかもしれません。

補足:パフォーマンスと学習の違い

その場でスムーズにできることは、
学習が進んでいる「ように見える」だけの場合があります。

時間が経っても再現できるかどうか。
それが、学習が定着したかどうかの基準です。


3. 覚えるべきことと、覚えなくていいことを分ける

育てる視点に立つと、
教える内容は二つに分ける必要があります。

覚えるべきこと

  • 判断基準
  • 失敗すると致命的なポイント
  • 何度も使う考え方や型

覚えなくていいこと

  • 手順の細部
  • コマンドや操作方法
  • 見れば分かる情報

すべてを覚えさせる必要はありません。

重要なのは、
どこに思考を使ってほしいのか
を明確にすることです。

補足:認知負荷という視点

人のワーキングメモリには限界があります。
情報が多すぎると、理解そのものが止まります。

覚えなくていいことを減らすのは、
甘やかしではなく、
思考を守るための設計です。

4. レールを引き、ゴールを見せるということ

育てる現場では、
いきなり「自分で考えてみて」とは言いません。

  • ゴールはどこか
  • 今はどの段階か
  • 何ができれば次に進めるのか

これを先に示します。

これは、
何度も通るためのレールを引く
という行為です。

補足:スキャフォールディング

スキャフォールディングとは、
一時的な支えを使って学習を助け、
徐々にその支えを外していく考え方です。

重要なのは、
一度で終わらないこと。

支えは、
何度も使われる前提で置かれます。


5. 「一回見せたからできるでしょ」の正体

教える側には、すでにバックボーンがあります。

点の説明を受け取れば、
自然と線につながる状態です。

しかし、学ぶ側には
その土台がありません。

一回見せることは、
一回体験したことにはなりません。

この前提のズレが、
「努力不足」という評価を生みます。

これは横暴というより、
前提の置き間違いです。


おわりに|「育てる」とは、教えることではない

人は忘れます。
それは欠点ではなく、前提です。

だから本当に問うべきなのは、
「なぜ覚えないのか」ではありません。

忘れることを前提に、
それでも前に進める構造があるか。
そこです。

一度で覚えさせることでも、
一回でできるようにさせることでもない。

何度も戻れて、
何度も確認できて、
そのうち自分で進めるようになる。

育てるとは、
そういう道を用意することです。

前編・後編を通して伝えたかったのは、
誰かを責めることではありません。

構造を変えれば、
人の見え方も、評価も、育ち方も変わる。

それだけは、
はっきり言えると思っています。


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