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LLM が安すぎて怖い: 月¥65万円分のリソースを月¥3.2万で使っている話

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ご注意

本記事は Claude Code で LLM の価格について調査しているときに、「そういや、LLM のクラウド API ってサブスク価格と比較してかなり高くない? サブスクってものすごくお得なんじゃないか?」と思って、Claude Code と一緒に調査して作成したものです。本記事の文章は主に Claude Code によって書かれています。

はじめに

Claude Code を毎日使っている開発者のみなさん、こんにちは。

ChatGPT Plus、Claude Pro、GitHub Copilot、Cursor などのサブスクリプションを契約して、バイブコーディング(vibe coding)やエージェントコーディングで開発をしている方も多いと思います。私もその一人で、Anthropic の Claude Max 20x プラン(月 $200、約¥3.2万円)を契約して、Claude Code を本格的に使い倒し始めました。

ある日ふと「これ、API 直接課金だといくらかかってるんだろう?」と気になって、直近1週間(最もヘビーに使った週)の実データを月換算 して計算してみました。

結果、月¥65万円分のリソースを、月¥3.2万円で使っていることがわかりました。

差額は 約21倍。Anthropic が私に毎月¥65万円分を補助してくれている計算になります。

「便利だなあ」で済ませていいんだっけ?という疑問が湧いたので、エコシステム全体の構造を整理してみました。

TL;DR

  • LLM の API 単価は、サブスク実質単価より 20倍前後 高い(ヘビーユーザーの場合)
  • 差額は 投資マネー(業界累計約¥500兆円規模、2027 年単年で $1兆ドル超予測) で埋められている
  • 過去の補助モデル(Uber、Netflix 等)と構造は似ているが 規模が桁違い
  • いずれ補助の縮小・終了がいつきても不思議ではなく怖い!
  • 「LLM が安いから何でも投げる」設計は将来破綻するリスクがある
  • 補助の恩恵は最大限活用しつつ、依存しすぎない設計 を心がけるべき

私が受けている補助の規模

計算の前提

Claude Max 20x にアップグレードしたのが約2週間前。それ以前は控えめな利用だったため、全期間の平均を取ると過小評価になります。

そこで 直近1週間(最もヘビーに使った週)の実利用ログを月換算 することで、本格利用時の実態を見積もります。

直近1週間の実利用データ

モデル 1週間合計 tokens(推定) 占有率
Opus 4.7 約 20.3M 67.8%
Opus 4.6 約 5.1M 16.9%
Sonnet 4.6 約 4.1M 13.6%
Haiku 4.5 約 0.5M 1.7%
合計 約 30M tokens 100%

Claude API の単価(2026年5月時点、Anthropic 公式

モデル input $/1M output $/1M
Opus 4.7 $5 $25
Opus 4.6 $5 $25
Sonnet 4.6 $3 $15
Haiku 4.5 $1 $5

※ Opus 4.1 までは $15/$75 だったが、Opus 4.5 で 1/3 に値下げ された。これ自体が戦略的低価格競争に Anthropic も巻き込まれていることを示している。

1週間の API 直接課金(output 主体で試算)

Opus 4.7    20.3M × $25/M ≈ $508
Opus 4.6     5.1M × $25/M ≈ $127
Sonnet 4.6   4.1M × $15/M ≈ $61
Haiku 4.5    0.5M × $5/M  ≈ $2
input/output 直接分 合計:    約 $700

キャッシュリード分(推定):    +$300

1週間合計:                    約 $1,000

月換算(×30/7)

$1,000 × 30/7 ≈ $4,286/月 ≈ ¥686,000/月

実際に払っている金額

Claude Max 20x: $200/月 = ¥32,000

補助倍率

¥686,000 / ¥32,000 ≈ 21倍

つまり、毎月 Anthropic から 約 ¥65万円分の補助 を受けていることになります。

利用パターン別の補助倍率(参考)

算出方法 月換算コスト 補助倍率
全期間平均(控えめ利用期含む) ¥130K 4倍
直近ピーク週 × 30/7(本格利用時) ¥686K 21倍
旧 Opus 単価($15/$75)での理論値 ¥1,500K 47倍

補助倍率は利用パターンによって 4〜47倍 のレンジで変動しますが、いずれにせよ Anthropic がサブスク価格を大幅に上回るリソースを提供している 構造に変わりはありません。

これは私個人の話ですが、世界中のヘビーユーザーが同じ補助を受けています。

なぜこんなことが可能なのか

AI 業界の財務状況

会社 状況 出典
OpenAI 2024 年 $5B 赤字、2026 年は $14B 赤字予測、2030 年まで累計 $44B 赤字見込み LessWrong / Fortune
Anthropic 急成長中だがキャッシュバーン継続、2028 年に break-even 予定 ギズモード
Google 検索広告利益で AI 部門を補助 -
Microsoft OpenAI に $13B 投資、Azure 経由で補助 CNBC
Amazon Anthropic に $13B 投資(最大 $25B コミット) CNBC

主要 AI ラボはどこも 単独では未だ黒字化していない。投資マネーで延命している状態です。

業界全体の累計投資(年々加速中)

Big Tech 4 社(Microsoft, Amazon, Google, Meta)の AI Capex は加速しており、2027年には単年で $1兆ドル超とアナリストが予測しています。

Big Tech 4 社 Capex 合計 円換算 出典
2025 年 $380B 超 約 ¥60 兆円 CNBC: Tech's $380 billion splurge
2026 年予測 $800-900B 約 ¥130-145 兆円 Statista
2027 年予測 $1兆超 約 ¥160 兆円超 CNBC: Big Tech capex topping $1 trillion in 2027(Evercore / BofA)

Big Tech の Capex に加え、別ルートでも巨額の投資が動いています:

カテゴリ 規模 出典
Big Tech Capex 2025-2027 累計(推計) 約 ¥350 兆円 上表合算
AI ラボ累計調達(OpenAI, Anthropic 等) 約 ¥17 兆円 Forbes JAPAN
Stargate プロジェクト(OpenAI + Oracle + SoftBank、4年で $500B) 約 ¥80 兆円 OpenAI 公式
OpenAI による追加インフラ契約(NVIDIA / Oracle / Broadcom、約 $1兆相当) 約 ¥160 兆円 CNBC
NVIDIA エコシステム消費(AI用 GPU 累計) 約 ¥48 兆円 (業界推計)
累計(重複除いて推計) 約 ¥500 兆円規模

この規模感は:

  • 日本の国家予算(一般会計、2025 年度約 ¥115 兆円、財務省)の 約 4 倍
  • 日本の名目 GDP(2024 年約 ¥609 兆円、内閣府)に 匹敵

個別企業の意思決定の規模を超えて、米中の国家戦略レベルの投資が現在の AI のコスト構造を支えています。

アナリストはすでに警鐘を鳴らしている

終わりが見えない(no end in sight)」――Microsoft の Capex $140B(2026年度、リース含む)に対する評価(CNBC

「AI Capex と収益の乖離、非合理的な熱狂(irrational exuberance)」――HSBC・General Atlantic の CEO による警告(CNBC

Meta 株は 2025 Q3 決算後、11% 急落(3年ぶりの大幅下落)。
Oppenheimer は「未知の収益機会」「積極的な収益成長が高額な支出によって相殺される」を理由に Meta を格下げ(CNBC

業界内部からも、この支出ペースの持続可能性に疑問が出始めています

過去の補助構造との比較

新興技術が補助で普及するのは初めてではありません。

事例 補助内容 期間 結末
Uber 初期 配車1回数百円補助 約 3-4 年 値上げで黒字化
Amazon Prime 初期 送料負担 約 10 年 段階的値上げ
Netflix 初期 制作費先行投資 約 7-8 年 値上げ + 広告プラン導入
WeWork 原価割れの賃料 数年 撤退・大規模価格改定

これらは「ユーザー獲得 → 値上げで正常化」のパターン。最終的にはほぼすべて値上げで終わっています。

詳しくはGenAI Competition Pricing Wars - Monetizelyなどで AI 業界との比較分析が議論されています。

AI 補助との違い

規模の桁が違う

  • 過去の補助: 数百円〜数千円規模/ユーザー
  • 現在の AI 補助: 数十万〜数百万円規模/ユーザー

過去最大級の補助金経済です。

いつ、どう崩れる可能性があるか

崩れ方は複数あり得ます。どれか1つで十分です。

  1. 投資家の忍耐切れ・IPO 期待値低下
  2. 寡占(2-3社)への収斂による競争圧力低下
  3. 規制強化(EU AI Act 等)
  4. 米中対立による GPU 供給制約
  5. エネルギーコスト急騰による推論原価上昇
  6. FRB の金融引き締め維持で投資マネー流入鈍化
  7. モデル性能の頭打ち、次のブレイクスルー期待の剥落

すでに見えている兆候

  • Cursor: 2025年6月にリクエスト上限制から従量課金クレジット制へ移行(実質値上げ)(Finout
  • Claude Max: 利用制限の段階的強化が観測されている
  • GitHub Copilot: 一部のヘビーユーザーで月 $20-80 の赤字との報道(Neowin
  • Microsoft 365 Copilot: 普及率がわずか 3.3% にとどまり、収益性に課題(Windows Central

崩れ始めの段階にすでに入っているように見えて不安です。

開発者として何をすべきか

1. 補助は最大限活用する

月¥65万円相当のリソースが月¥3.2万円で使えるのは歴史的に異常な好機です。生産性を最大化し、スキルを蓄積し、成果物を増やすには絶好のタイミング。

2. ベンダーを分散する

  • OpenAI / Anthropic / Google / OSS
  • どれか1つに過度に依存しない
  • ただし戦略的低価格の恩恵は受ける

3. 「単価が3倍になっても回る設計」を目指す

3年後、5年後の AI コストはどうなっているか分かりません。今のうちに、コスト耐性のあるアーキテクチャ を意識します。
なんでもかんでも安易に LLM に投げない。

まとめ

私たちは今、経済の歪みによって生まれた一時的な楽園 の中にいるようです。

数兆円規模のモデルが、月数千円で使える。これは技術の進歩ではなく、累計約 ¥500 兆円規模の業界投資で支えられた借り物の楽園です。

楽しみつつ、活用しつつ、しかしそれが永続しないことを忘れない。

その楽園がいつか終わったとき――段階的に終わるのか、突然終わるのかは分からないが――そのときに自分が破綻しないように、今のうちに準備しておく。

これが、現時点の AI ユーザー・開発者が取るべき、唯一の合理的な態度だと考えています。

おわりに

API ベースで開発している方、サブスクで AI を使っている方、SaaS を提供している方、それぞれの立場で「補助の上に立っている」事実を一度は意識してみるといいかもしれません。

特に これから AI を中核に据えたサービスを作る方 は、戦略的低価格が永続する前提でビジネスモデルを組む前に、それがこうした危うい世界の上で成り立っていることを意識するといいかもしれません。

参考文献

価格・モデル仕様

AI 業界の財務状況

業界投資・Capex・アナリスト懸念

製品・価格動向

業界分析・市況

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