この記事は クラウドワークス Advent Calendar 2023シリーズ1の14日目の記事です。
crowdworks.jpでEM(エンジニアリングマネージャー)兼スクラムマスターをしている久村です。
一昨年からEMをしており、今年の5月より1つのチームのスクラムマスターをすることになりました。
スクラムマスターをしていると、スクラムイベントやミーティングのファシリテーションをする機会も多いと思います。
今回はスクラムマスターとしてファシリテーションをするときに意識していることを記事にしたいと思います。
ファシリテーションをしている時に意識していること
大きく分けると2つのことを意識しています。
- ミーティングの目的達成の質向上
- チーム力向上
それぞれに対して、説明をしていきます。
ミーティングの目的達成の質向上
ミーティングには目的があります。
その目的を高い基準で満たすことを意識しています。
例えば、チームで「振り返りの見直し」ミーティングがあったとします。
ミーティングの成果としては、振り返りの改善案を出すことを想定する場合、より納得感が高かったり、改善効果が高い案が出せることが、目的達成の質が高い状態だと考えております。
そのために具体的に意識していることが「深掘り」と「広がり」です。
さらに、それぞれに対して意識しているのが以下です。
- 深掘り
- 素人になる
- 理想を問う
- 広がり
- 仮定する
- 例える
これらについて説明していきます。
深掘り
深掘りとは、アイデアや意見の背景を確認することです。
暗黙の前提になっているものや、曖昧な理解になっているものの解像度を高めることを目的としています。
以下の図のような、見えていない部分を確認していくイメージです。
深掘りする時に意識するのが「 素人になる」と「理想を問う」です。
素人になる
当たり前過ぎて聞きづらいことを問いかけることです。
振り返りの例だと、「そもそも振り返りって何のためにやっているんですか?」のような、素朴な疑問を質問するイメージです。
わかっているようで説明しようとするとできないことはあると思います。
そうした思っていたよりも理解できていないことを明らかにすることで、考えをより深めていくことを期待しています。
ただ言い方は気をつけた方は意識した方が良いです。こういう質問を度々すると感じ悪く受け取られる可能性はあるので、「初歩的な質問になるのですが〜」や「すでに説明されていたら、自分の理解不足になるのですが〜」などの前置きは考えた方が良いと思います。
理想を問う
理想とする姿を問いかけることです。
「理想の振り返りは?」と、あるべき姿を質問するイメージです。
課題の改善に意識が行きがちで、あるべき姿を描けていないケースがあります。なぜその改善をしたいのか、その先にどういう状態を目指したいのかを確認することで、考えを深めたいという狙いです。
逆に「最悪の振り返りは?」という、理想の反対を問うのも有効です。
自分の考えの背景に、どう言う価値基準を持っているかを探ることで、より良い意見に繋がることを期待しています。
広がり
広がりとは、別の角度から考えることです。
先入観を持ってしまったり、今までの経験から固執したモノの見方をしているシーンはあるので、別視点から考えるきっかけを作ることを目的にしています。
以下の図のような、一つの側面でなく他の視点から見てみるイメージです。
広がりでは、「仮定する」と「例える」を意識します。
仮定する
もし〇〇だったらと問うことです。
「もし振り返りを無くしたらどうなりますか?」や、「もし振り返りを毎日やるとしたらどう思います?」と様々なシチュエーションを問いかけ、考えの幅を持たせるイメージです。
無くすことの仮定や、頻度、時間軸、立場など様々な視点で仮定し、考えを発散させることを期待しています。
また、課題になっている制約条件をなくした場合を考えることも重要です。
振り返りの課題が時間が短いであるなら、「もし振り返りに何時間でも使って良いなら〜」のように制約条件をなくした質問をすることで、目の前の課題に囚われずに考えることができます。
例える
今やっていることを別のものに例えることです。
「プロダクト開発を街を作る時に例えた場合、振り返りは何に当たると思いますか?」と質問するイメージです。答える難易度は上がることも多いですが、遊び心が生まれたりして、発想豊かに考えることを期待しています。
クラウドワークス全社でも、自分のチームを街に例えて発表する機会があり、普段とは違う観点でチームを考えることでチーム理解が深まる問いかけになっていると感じます。
チーム力向上
上記を意識して、ミーティングの目的が達成できたとしても、特定のメンバーだけで会話がなされていたり、ファシリテーター(自分)が多くを発言している状況では、望ましいチームの状態ではないと思います。
そのために、チームの力向上の視点でも意識が必要です。
より良いチームにしていくために、以下の点を意識しています。
- 自分の考えを押し付けない
- スクラム理解の促進
- 発言しやすい環境
それぞれ説明していきます。
自分の考えを押し付けない
ファシリテーターとしてミーティングを準備する立場だったりすると、こう言う結論にしたいという仮説を持つこともあると思います。
その仮説を持つことは重要ですが、あたかもその考えが正しいと思い、押し付けるような進め方は良くないです。
メンバーの意見を尊重し、チームとして納得感を得られるような意識を持つことが大切です。
もちろん自分の考えを述べても良いのですが、冒頭で自分の意見を述べてしまうと、他のメンバーが意見しづらくなってしまう可能性があるので、他のメンバーの意見を聞いてから意見する方が望ましいと思います。
スクラム理解の促進
ミーティング中にスクラム理論を体現した行動が見られることがあります。
そうした時には積極的にその点を共有し、チームとしてスクラム理解を深めていくことも重要です。
完璧を求めることも重要ではあると理解しつつ、現実の制約の中で最善を尽くそうとする時には、「スクラムガイドにもあるように経験主義の考えにマッチしていると思います」のように、スクラムの考え方を基に共有しています。
また会社のバリューの一つにBe Agileが存在します。変化に適応することを推奨するものであり、この観点から意見することも意識しています。
発言しやすい環境
チーム力を上げるには、一部のメンバーに意見が偏るのではなく、参加するメンバー全員が不安なく発言できる環境が望ましいです。
そのために意識していることは以下です
- 自分の失敗を先に伝える
- 教えを求める
- リアクションをする
- 相手に集中する
- 明るく挨拶する
- フィードバックを受け入れる
この辺りは過去に書いた記事で説明していますので、詳細はそちらを確認していただければです。
https://qiita.com/hisamura333/items/befacfe24a43a059b038
まとめ
スクラムマスターとしてファシリテーションをする時に意識していることを整理しました。
ミーティングによって注力するポイントは変わりますので、柔軟にその場に求められるものを意識することが大切です。
引き続きミーティングの目的の質と、チーム力の視点を持ち、どちらも最大化できることを意識してやっていきたいと思います。
こちらの記事が何かの参考になれば嬉しいです!
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