はじめに ― 「AI に聞く」から「AI を設計する」へ
なぜ今、AI Agent の開発を自分で体験すべきなのか?
2026年現在、AIは「使うもの」から 「一緒に働くもの」 に変わりつつあります。
ChatGPT に質問して答えをもらう ―― それは2023年の使い方です。今や AI は 自分で判断し、複数のツールを組み合わせて、タスクを自律的に遂行する「エージェント」 へと進化しています。GitHub Copilot は開発者の横でコードを書き、企業の業務システムには AI エージェントが組み込まれ始めています。
ここで、工学系の大学2年生であるあなたに問いかけます。
「AI エージェントが当たり前になる社会で、あなたはエージェントを "使う側" になりますか? それとも "作る側" になりますか?」
「使えればいいじゃん」は危険な発想
「AI は道具なんだから、使い方を知っていればいい」 ―― 一見もっともですが、これは エンジニアの発想ではありません。
車を運転できる人は何億人もいます。しかし、車を設計できるエンジニアは世界で数十万人です。給料が高いのはどちらでしょうか? 社会に対する影響力が大きいのはどちらでしょうか?
AI Agent も同じです。
| ポジション | やること | 将来の市場価値 |
|---|---|---|
| AI を 使う 人 | プロンプトを入力して結果を受け取る | 低下傾向(誰でもできるようになる) |
| AI を 選ぶ 人 | 目的に合ったAIツールを選定する | 中程度(判断力は必要だが自動化される) |
| AI を 作る 人 | AIエージェントの思考プロセスを設計する | 高い(思考の設計は人間にしかできない) |
| AI を 教育する 人 | AIに専門知識やワークフローを教え込む | 最も高い(ドメイン知識 × AI設計力) |
今日のハンズオンでは、あなたに 「作る人」かつ「教育する人」 の体験をしてもらいます。
エンジニアにとっての「AI Agent 開発」の意味
「でも、自分は AI 研究者になるわけじゃないし...」と思った人へ。
AI Agent を開発するために必要なのは、ディープラーニングの数学でも、大規模言語モデルの論文読解でもありません。必要なのは、 「自分の思考プロセスを言語化する力」 です。
考えてみてください。あなたが先輩エンジニアになったとき、後輩に仕事を教える場面を想像してください。
- 「まず要件を確認して」
- 「次にこのフレームワークで分析して」
- 「この品質基準を満たしているか確認して」
- 「最後にレポートにまとめて」
これ、まさに AI Agent への指示書 と同じ構造です。
つまり、 AI Agent を設計する力 = 人に仕事を教える力 = チームを率いる力 なのです。
この授業で得られるもの
今日の90分で、あなたは以下を体験します。
- 思考の言語化: 「コンサルタントはどう考えるか」を分析し、手順書として書き出す
- AI への教え込み: その手順書を Agent Skills(AI への指示書)として実装する
- 差別化の設計: 同じ「経営課題を解決する」でも、アプローチの違いで出力が変わることを実験する
- オリジナル Agent の創造: 自分の得意分野で、世界に一つだけの AI エージェントを作る
これらは全て、 将来エンジニアとして働く際に直接役立つスキル です。プロジェクトマネジメント、要件定義、チーム開発 ―― どれも「思考の言語化」が土台になります。
⚠️ 重要: 今日のハンズオンでは、AIの仕組み(機械学習、ニューラルネットワーク等)は扱いません。 「AIに何をどう教えるか」 というインターフェース設計に集中します。プログラミング経験が浅くても大丈夫。必要なのは Markdown(テキスト)が書けること だけです。
なぜ「コンサルティング」を題材にするのか?
AIエージェントを「作る側」になる価値は分かった。では、 何を題材にしてエージェントを設計するか ―― 今日の答えは「コンサルティング」です。
「なぜ Coding Agent じゃないの?」という疑問に答える
工学系の授業なのに、なぜコーディングではなくコンサルティングなのか? ―― 当然の疑問です。
答えはシンプルです。 Coding Agent はすでに存在していて、あなたは今まさにそれを使っているから です。
GitHub Copilot がコードを補完し、エラーを修正し、テストを書いてくれる。それ自体がCoding Agentです。つまり、Coding Agent を「作る」練習をしても、 既製品の劣化版 を再発明することにしかなりません。
一方、コンサルティング Agent を作ることには、以下の決定的な違いがあります。
| 比較項目 | Coding Agent を作る | コンサルティング Agent を作る |
|---|---|---|
| 既製品との比較 | GitHub Copilot に勝てない | まだ完成品が存在しない |
| 学べるスキル | コーディングの自動化 | 思考プロセスの設計 |
| 差別化のしやすさ | 言語・フレームワークの違い程度 | ファームごとの哲学の違い が明確 |
| 社会での応用範囲 | ソフトウェア開発のみ | 経営判断、戦略立案、DX推進、 あらゆる業界 |
| 2年生の今学ぶ価値 | コードは今後AI が書く | 「何を作るか」を考える力 は人間に残る |
もう一つ重要な理由があります。コーディングは 「正解がある」 世界です。コンパイルが通るか、テストが通るか、動くか動かないか。一方、コンサルティングは 「正解がない」 世界です。BCGとMcKinseyで答えが違う。それでも、どちらも価値がある。
この 「正解がない問題に対して、自分なりのアプローチを設計する」 という体験こそ、AI 時代に最も必要なスキルです。AI は正解がある問題を高速に解きます。しかし、 「何が正しいかを定義する」 のは、今もこれからも人間の仕事です。
💡 たとえ話: Coding Agent を作るのは「電卓の作り方を学ぶ」こと。コンサルティング Agent を作るのは「問題の解き方を設計する」こと。 電卓はスマホに入っていますが、どの問題を解くべきかを決めるのはあなたです。
コンサルティングを題材に選んだ具体的な理由は3つあります。
| 理由 | 説明 |
|---|---|
| 思考プロセスが明確 | コンサルタントは「どう考えるか」をフレームワークとして体系化している |
| 差別化の実例になる | 同じ「経営課題を解決する」でも、BCG・McKinsey・PwC・Accentureで アプローチが違う |
| IT業界との接点が大きい | IT企業の戦略立案、DX推進、システム導入判断のすべてにコンサルの手法が使われている |
つまり、コンサルティングの思考法を学ぶことは、 将来ITエンジニアとして働く際にも直接役立つ のです。
この記事で体験すること
Step 0: 環境準備(GitHub Education / Copilot Student の申請)
Step 1: コンサルタントの仕事を分析する(思考の言語化)
Step 2: Agent Skills の仕組みを理解する
Step 3: 汎用コンサルティングエージェントを設計する
Step 4: BCGスタイルに特化させる
Step 5: McKinsey / PwC / Accenture版に展開する
Step 6: 自分のオリジナルエージェントを作る
ゴール: 思考のプロセスを言語化し、Agent Skills としてAIエージェントに教え込む体験をすること。
Step 0: 環境準備 ― GitHub Education に申し込もう
ハンズオンを始める前に、必要なツールを準備しましょう。
0-1. GitHub アカウントの作成
すでにアカウントがある人はスキップしてください。
- https://github.com にアクセス
- 「Sign up」をクリック
- メールアドレス、パスワード、ユーザー名を入力
- メール認証を完了
💡 ユーザー名のコツ: 就活のポートフォリオにもなるので、本名に近いユーザー名(例: taro-yamada)がおすすめです。
0-2. GitHub Education(学生認証)の申請
GitHub Education に認証されると、 GitHub Copilot を無料で使えるようになります。
申請手順
- https://github.com/education/students にアクセス
- 「Join GitHub Education」をクリック
- 学校のメールアドレス(
@oit.ac.jp)で認証 - 学生証の写真をアップロード
- 承認を待つ(通常数日〜1週間)
認証後にできること
| 特典 | 内容 |
|---|---|
| GitHub Pro | プライベートリポジトリ無制限 |
| GitHub Copilot Student | AIコーディング補助ツールが無料 |
| Codespaces | 月180時間のクラウド開発環境 |
| Actions | 月3,000分のCI/CD |
| Student Developer Pack | 数十のパートナーサービスの無料・割引アクセス |
0-3. GitHub Student Developer Pack
https://education.github.com/pack から申し込めます。
Student Developer Pack には、以下のような特典が含まれています。
- クラウドサービス: Azure、AWS、DigitalOcean のクレジット
-
ドメイン:
.meドメインが無料 - 開発ツール: JetBrains IDE、GitKraken など
- 学習リソース: Educative、DataCamp、Frontend Masters など
⚠️ 重要: GitHub Copilot Student の有効化は、認証後に Settings → Copilot から行います。申請が承認されたら、忘れずに有効化してください。
0-4. VS Code のセットアップ
- https://code.visualstudio.com/ から VS Code をダウンロード・インストール
- 拡張機能「GitHub Copilot」をインストール
- GitHub アカウントでサインイン
- Copilot Chat が使えることを確認
# 確認方法: VS Code のターミナルで
# Copilot Chat パネルを開き(Ctrl+Shift+I)、
# 「Hello, can you help me?」と入力して応答があればOK
0-5. Node.js / npm のインストール
GitHub Copilot CLI や Agent Skills の開発ツールを使うには、 Node.js と npm(Node.js に付属するパッケージ管理ツール)が必要です。まずはこれらをインストールしましょう。
💡 Node.js とは? サーバーサイドで JavaScript を実行するためのランタイムです。今回は JavaScript を書くためではなく、Copilot CLI や開発ツールの 実行基盤 として使います。npm は Node.js 用のパッケージ(ライブラリ・ツール)を管理する仕組みです。
必要バージョン
| ツール | 必要バージョン | 確認コマンド |
|---|---|---|
| Node.js | v22 以上(LTS 推奨) | node -v |
| npm | v10 以上(Node.js に付属) | npm -v |
インストール方法(OS別)
macOS の場合
方法 A: 公式インストーラー(初心者向け)
- https://nodejs.org/ にアクセス
- LTS(Long Term Support)版の「ダウンロード」ボタンをクリック
- ダウンロードされた
.pkgファイルを開いてインストール - ターミナルを開いて確認:
node -v # v22.x.x 以上が表示されればOK
npm -v # v10.x.x 以上が表示されればOK
方法 B: Homebrew を使う(Homebrew を既に使っている人向け)
brew install node@22
node -v
npm -v
Windows の場合
🪟 WSL(Windows Subsystem for Linux)の利用を強く推奨します。WSL を使うと Linux 環境のコマンドがそのまま使えるため、本ワークショップの手順をスムーズに進められます。以下では WSL を前提とした手順を説明します。
Step 1: WSL をインストールする
PowerShell を 管理者として実行 し、以下のコマンドを入力:
wsl --install
再起動を求められたら再起動してください。再起動後、Ubuntu が自動的に起動します。ユーザー名とパスワードを設定してください(パスワードは入力しても表示されませんが、正常です)。
Step 2: WSL 内で Node.js をインストールする
Ubuntu ターミナルで以下を実行:
# パッケージリストを更新
sudo apt update
# Node.js 22.x のリポジトリを追加(NodeSource 公式)
curl -fsSL https://deb.nodesource.com/setup_22.x | sudo -E bash -
# Node.js をインストール(npm も一緒に入ります)
sudo apt install -y nodejs
# バージョンを確認
node -v # v22.x.x
npm -v # v10.x.x
⚠️ Windows の PowerShell に直接 Node.js をインストールする方法もありますが、本ワークショップでは WSL 内での利用を前提 としています。PowerShell 版だとパスの違いやコマンドの差異でトラブルが起きやすいためです。
Linux(Ubuntu / Debian)の場合
# パッケージリストを更新
sudo apt update
# Node.js 22.x のリポジトリを追加
curl -fsSL https://deb.nodesource.com/setup_22.x | sudo -E bash -
# Node.js をインストール
sudo apt install -y nodejs
# バージョン確認
node -v # v22.x.x
npm -v # v10.x.x
インストールできたか確認しよう
以下の 両方 が表示されれば準備完了です:
$ node -v
v22.16.0 # 数字は多少違ってもv22以上ならOK
$ npm -v
10.9.2 # v10以上ならOK
⚠️ command not found と表示される場合は、ターミナルを一度閉じて開き直してください。それでもダメな場合は、インストール手順をもう一度確認するか、TA に相談してください。
0-6. GitHub Copilot CLI のインストール
Node.js の準備ができたら、次は ターミナルから直接 Copilot を使う ための CLI ツールをインストールします。GitHub Copilot CLI を使えば、ターミナル上で自然言語の質問を投げかけたり、コマンドの提案を受けたりできます。
前提条件
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| Node.js | v22 以上(Step 0-5 でインストール済み) |
| npm | v10 以上(Node.js に付属) |
| GitHub Copilot | 有効なサブスクリプション(Student でOK) |
インストール手順
1. Node.js のバージョンを再確認する
node -v # v22.x.x 以上であることを確認
npm -v # v10.x.x 以上であることを確認
2. Copilot CLI をグローバルインストールする
npm install -g @github/copilot
🪟 Windows ユーザーへ: Step 0-5 で WSL をインストール済みの場合は、 必ず WSL(Ubuntu)のターミナル内 で上記コマンドを実行してください。
3. 初回起動と認証
copilot
初回起動時にブラウザが開き、GitHub アカウントでの認証を求められます。Student Developer Pack で Copilot が有効になっているアカウントでログインしてください。
4. 動作確認
# Copilot CLI シェルが起動したら、自然言語で質問してみよう
> このディレクトリにあるファイルを一覧表示するコマンドは?
# Copilot が ls や dir などのコマンドを提案してくれます
Copilot CLI でできること
| 機能 | 例 |
|---|---|
| コマンドの提案 | 「CSVファイルの最初の10行を表示するには?」 |
| コードの質問 | 「このエラーメッセージの意味は?」 |
| ファイル操作 | 「src/ 以下の .py ファイルを全部見つけて」 |
| Git 操作 | 「昨日からの変更をまとめてコミットして」 |
| Agent Skills の開発 | 「SKILL.md のテンプレートを作って」 |
💡 VS Code と CLI の使い分け: VS Code の Copilot Chat は GUI でコードを書くときに便利です。一方、Copilot CLI はターミナルでの作業(Git 操作、ファイル管理、ビルド・テストなど)に向いています。 両方使えるようになると、開発効率が大幅にアップします。
アップデート方法
Copilot CLI は定期的にアップデートされます。最新版に更新するには:
npm update -g @github/copilot
📝 ワーク 0: 環境チェックリスト
以下がすべて完了しているか確認してください。
- GitHub アカウントを持っている
- GitHub Education の申請を出した(または承認済み)
- VS Code がインストールされている
- GitHub Copilot 拡張機能がインストールされている
- Copilot Chat で応答が返ってくる
- Node.js(v22以上)がインストールされている
-
npm install -g @github/copilotでCopilot CLI がインストールされている -
ターミナルで
copilotコマンドが起動する
💡 認証待ちの場合: GitHub Education の承認を待っている間でも、Copilot の無料枠(月間制限あり)でハンズオンは進められます。
📚 宿題 0: 開発環境の完成と探索
提出期限: 次回授業まで
- 環境チェックリストを100%にする: 上記のチェックリストがすべて完了した状態のスクリーンショットを提出してください。
- GitHub プロフィールを整える: プロフィール画像、自己紹介文(Bio)、所属(大阪工業大学)を設定してください。就活でも使える「開発者の名刺」になります。
-
Copilot CLI で遊ぶ: ターミナルで
copilotを起動し、以下の3つの質問を試してみてください。入力と出力のスクリーンショットを提出。- 「カレントディレクトリのファイル一覧を見たい」
- 「README.md を新規作成するコマンドは?」
- 自分で考えた自由な質問を1つ
- GitHub Student Developer Pack を探索する: https://education.github.com/pack にアクセスし、自分が使ってみたいサービスを 3つ選んで理由を書いてください(各2行程度)。
⚠️ GitHub Education の認証には数日かかることがあります。早めに申請を出してください。
Step 1: コンサルタントの仕事を分析する ― 思考の言語化
AIエージェントを作る前に、まず 「コンサルタントは何をしているのか」 を分析します。これが 思考の言語化 の第一歩です。
1-1. コンサルタントの仕事とは?
コンサルタントとは、 企業の経営課題を解決する専門家 です。
「え、それってAIにやらせればいいんじゃないの?」
いい質問です。実は、コンサルタントの仕事は AIに教えやすい部分と教えにくい部分 があります。
| 仕事の種類 | 例 | AI化しやすさ |
|---|---|---|
| 情報収集 | 市場データ、競合情報を集める | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| フレームワーク適用 | SWOT分析、3C分析を実行する | ⭐⭐⭐⭐ |
| 構造化 | 情報をMECEに整理する | ⭐⭐⭐⭐ |
| 仮説構築 | 「こうではないか?」と仮説を立てる | ⭐⭐⭐ |
| クライアントとの対話 | 本当の課題を引き出す | ⭐⭐ |
| 最終判断・提言 | 「こうすべきだ」と結論を出す | ⭐ |
今日のハンズオンでは、AI化しやすい部分(⭐⭐⭐以上)を Agent Skills として実装します。
1-2. コンサルティングの「型」 ― フレームワーク
コンサルタントが使う「型」のことを フレームワーク と呼びます。
代表的なフレームワーク
| フレームワーク | 何を分析するか | 使う場面 |
|---|---|---|
| SWOT分析 | 強み・弱み・機会・脅威 | 自社の現状把握 |
| 3C分析 | 自社・競合・顧客 | 市場環境の理解 |
| PEST分析 | 政治・経済・社会・技術 | マクロ環境の把握 |
| 5Forces | 業界の競争構造 | 業界の魅力度評価 |
| MECE | 漏れなくダブりなく | すべての分析の基本 |
フレームワークは「考え方のテンプレート」
プログラミングでいうと、フレームワークは デザインパターン に近いです。
プログラミング:
問題 → 「これはObserverパターンで解決できるな」 → 実装
コンサルティング:
経営課題 → 「これはSWOT分析で整理できるな」 → 分析
つまり、フレームワークとは 「問題を見たとき、どう考えるかの手順書」 です。
💡 ここが重要: フレームワーク = 思考の手順書。これが AIエージェントに教え込むもの になります。
1-3. 同じ問題でも「流派」がある
ここが面白いところです。同じ経営課題でも、 コンサルティングファームごとにアプローチが異なります。
例: 「新規事業に参入すべきか?」という質問
| ファーム | アプローチ | 特徴的なフレームワーク |
|---|---|---|
| BCG | Growth-Share Matrixで既存事業とのポートフォリオバランスを分析 | Growth-Share Matrix, Experience Curve |
| McKinsey | Issue Treeで問題を分解し、仮説を立てて検証 | 7S, Issue Tree, Pyramid Principle |
| PwC | ビジネス×テクノロジー×体験(BXT)の統合視点で評価 | BXT, Strategy&, TIMM |
| Accenture | DX成熟度を評価し、テクノロジー起点で戦略を組み立てる | Digital Maturity, Intelligent Operations |
同じ問題に対して、異なる「レンズ」で見る―― これがコンサルティングファームの差別化です。
そして今日、あなたたちは それぞれの「レンズ」をAIエージェントとして実装します。
1-4. コンサルティングのワークフロー
すべてのファームに共通する、基本的なワークフローがあります。
Phase 1: 目的の明確化(Purpose Discovery)
↓ 「何を解決したいのか?」を深掘り
Phase 2: 情報収集(Research)
↓ 市場データ、競合情報、内部データを収集
Phase 3: フレームワーク分析(Framework Analysis)
↓ 集めた情報を構造化・分析
Phase 4: 提言(Recommendation)
↓ 分析結果から「こうすべき」を導出
Phase 5: レポート作成(Report Writing)
最終成果物を作成
このワークフローが、Agent Skills の Workflow セクション にそのまま対応します。
📝 ワーク 1: コンサルタントの思考を体験する(15分)
以下の架空の経営課題に対して、 SWOT分析 を手書きで(AIなしで!)やってみてください。
課題: 大阪のたこ焼き屋「たこ丸」が、東京進出を検討しています。進出すべきかどうかを分析してください。
| プラス要因 | マイナス要因 | |
|---|---|---|
| 内部環境 | 強み(S): _______ | 弱み(W): _______ |
| 外部環境 | 機会(O): _______ | 脅威(T): _______ |
チャレンジ: 各セルに3つ以上の要素を書いてみてください。
振り返りの問い:
- あなたは「どの順番で」考えましたか?
- その順番を「手順書」として書き出せますか?
- → 書き出せたなら、それが Agent Skills の原型です!
📚 宿題 1: 思考プロセスの言語化
提出期限: 次回授業まで
-
別の課題でフレームワーク分析: 以下のいずれかの課題を選び、 SWOT分析 と 3C分析 の両方を実施してください(手書きまたはテキスト)。
- 「大阪工業大学が、社会人向けオンライン講座を開設するべきか」
- 「学食が、UberEatsでのデリバリーサービスを始めるべきか」
- 「あなた自身が、来年インターンシップに参加すべきか」(← 自分ごとで考えてみよう)
-
思考の手順書を書く: 上の分析をしたとき、あなたが どんな順番で何を考えたか を、5〜10ステップの手順書として言語化してください。
- 例: 「① まずテーマの意味を確認した → ② 自分が知っている情報を書き出した → ③ 足りない情報をググった → ...」
-
コンサルファームの調査: BCG・McKinsey・PwC・Accenture のうち 1社 を選び、以下を調べてレポートしてください(A4で1枚程度)。
- その会社の代表的なフレームワーク or 手法は何か?
- IT業界でどのような仕事をしているか?
- 日本にオフィスはあるか?どんな人材を求めているか?
💡 ポイント: 宿題2の「思考の手順書」が次回の Agent Skills 設計に直結します。丁寧に言語化してみてください。
Step 2: Agent Skills の仕組みを理解する
コンサルタントの「思考の型」が見えてきたところで、次はそれを AIエージェントに教え込む仕組み を学びましょう。
2-1. Agent Skills とは?
Agent Skills は、AIエージェントに 専門知識やワークフローを教えるための仕組み です。
GitHub の公式ドキュメントでは、以下のように定義されています1:
スキルとは、エージェントが特定のタスクをより正確・効率的に実行するために発見・利用できる、指示・スクリプト・リソースのフォルダです。
Agent Skills は Anthropic が主導するオープン仕様であり、GitHub Copilot だけでなく Claude Code や他のAIエージェントでも利用可能です2。
一言でいうと
Agent Skills = フォルダ + SKILL.md(メタデータ+指示書)
これだけです。特別なプログラミング言語やフレームワークは不要。 Markdownが書ければ、Agent Skills は作れます。
2-2. 最小構成
Agent Skills の最小構成は、たった1つのフォルダと1つのファイルです。
my-skill/
└── SKILL.md ← これだけでスキルとして機能する!
より充実した構成にする場合:
my-skill/
├── SKILL.md # 必須: メタデータ + 指示内容
├── scripts/ # 任意: 実行可能なスクリプト
├── references/ # 任意: 参照ドキュメント
└── assets/ # 任意: テンプレート、リソース
2-3. SKILL.md の書き方
SKILL.md は YAML フロントマター(メタデータ)+ Markdown 本文(指示書)の2パートで構成されます。
---
name: my-awesome-skill
description: |
このスキルが何をするかの説明。
エージェントはこの description を読んで、
このスキルを使うべきかどうかを判断します。
---
# My Awesome Skill
## Use This Skill When
- どんな場面でこのスキルを使うべきか
## Workflow
1. 最初にやること
2. 次にやること
3. 最後にやること
## Deliverables
- 最終的に何を出力するか
## Quality Gates
- 品質チェックの基準
各セクションの役割
| セクション | 役割 | プログラミングの例え |
|---|---|---|
name |
スキルの識別子 | 関数名 |
description |
いつ使うかの判断材料 | 関数のドキュメント(docstring) |
Use This Skill When |
発動条件 | if文の条件 |
Workflow |
実行手順 | 関数の本体 |
Deliverables |
出力 | return値 |
Quality Gates |
品質基準 | テストケース |
2-4. Progressive Disclosure ― なぜこの設計なのか
Agent Skills は 段階的開示(Progressive Disclosure) という仕組みで動作します3:
| フェーズ | 読み込まれるもの | トークン目安 |
|---|---|---|
| Discovery |
name と description のみ |
〜100トークン/スキル |
| Activation | SKILL.md 本文全体 | 〜5,000トークン推奨 |
| Execution | scripts/, references/, assets/ | 必要時のみ |
エージェント起動
↓
全スキルの name + description を走査(Discovery)
↓
ユーザーの質問にマッチしたスキルだけ本文ロード(Activation)
↓
必要に応じて scripts/ 等を読み込み(Execution)
なぜこの設計が重要か?
AIエージェントには コンテキストウィンドウ (一度に処理できるテキスト量)に限りがあります。50個のスキルの全文を一度に読み込むと、エージェントの性能が低下します。
Progressive Disclosure により、 数十のスキルを登録しても、必要なものだけが読み込まれる ため、パフォーマンスに影響しません。
これは、Webページの 遅延読み込み(Lazy Loading) と同じ発想です。
2-5. スキルの配置場所
| 種類 | パス | 用途 |
|---|---|---|
| プロジェクトスキル | .github/skills/my-skill/ |
このリポジトリ専用 |
| プロジェクトスキル | .claude/skills/my-skill/ |
同上(Claude向け) |
| プロジェクトスキル | .agents/skills/my-skill/ |
同上(汎用) |
| 個人スキル | ~/.copilot/skills/my-skill/ |
全プロジェクト共通 |
今日のハンズオンでは、 .github/skills/ に配置します。
📝 ワーク 2: 最小の Agent Skill を作ってみよう(10分)
以下の手順で、あなたの最初の Agent Skill を作ってみましょう。
# 1. プロジェクトフォルダを作成
mkdir -p my-consulting-agent/.github/skills/hello-consultant
# 2. SKILL.md を作成
cat > my-consulting-agent/.github/skills/hello-consultant/SKILL.md << 'EOF'
---
name: hello-consultant
description: |
挨拶をするだけの練習用コンサルティングスキル。
「コンサルごっこ」と言われたら起動する。
---
# Hello Consultant
## Use This Skill When
- ユーザーが「コンサルごっこ」「コンサルタントとして」と言った時
## Workflow
1. ユーザーの課題を1文で確認する
2. 「それは面白い課題ですね」と応答する
3. SWOT分析の4象限を空のテンプレートとして提示する
## Deliverables
- SWOT分析の空テンプレート(Markdownテーブル形式)
EOF
echo "✅ 最初の Agent Skill が完成しました!"
確認: VS Code でフォルダを開き、Copilot Chat で「コンサルごっこしよう」と話しかけてみてください。スキルが発動するかどうか試してみましょう。
📚 宿題 2: Agent Skills の構造理解と改良
提出期限: 次回授業まで
-
hello-consultant を改良する: 授業で作った最小スキルに、以下の要素を追加してください。
-
Quality Gatesセクション(出力の品質基準を2つ以上) -
Workflowを5ステップ以上に拡張 - 動作確認のスクリーンショットを添付
-
-
他の人のスキルを読む: Agent Skills トピック から、面白そうなスキルを 2つ 見つけて、以下を分析してください。
- スキル名とリポジトリURL
-
descriptionには何が書かれているか(日本語に翻訳) -
Workflowは何ステップあるか - 自分だったらどう改善するか(1行)
-
Progressive Disclosure の理解確認: 以下の3つの質問に答えてください(各2〜3行)。
- Discovery フェーズでエージェントが読むのは SKILL.md のどの部分か?
- なぜ SKILL.md の全文を最初から読み込まないのか?
-
descriptionの書き方が悪いと何が起きるか?
Step 3: 汎用コンサルティングエージェントを設計する
設計図は揃いました。ここからは実際に手を動かして、 汎用のコンサルティングエージェント を作っていきます。
3-1. 設計の考え方 ― 「何を教えるか」を決める
コンサルタントの仕事を Agent Skills に落とし込むには、以下の問いに答える必要があります。
1. このエージェントは「いつ」呼ばれるべきか?(description)
2. 入力として何が必要か?(Required Inputs)
3. どんな手順で処理するか?(Workflow)
4. 何を出力するか?(Deliverables)
5. 品質はどう担保するか?(Quality Gates)
この5つの問いは、プログラミングで 関数を設計するとき と全く同じです。
# プログラミングの関数設計
def analyze_business(
objective: str, # 1. いつ呼ぶか → 関数名と引数
evidence: list, # 2. 入力は何か → 引数
) -> Report: # 4. 出力は何か → 返り値
""" # 1. description → docstring
経営課題を分析してレポートを生成する。
"""
validate(objective) # 5. 品質チェック → バリデーション
data = research() # 3. 手順 → 関数本体
analysis = apply_framework(data)
return Report(analysis)
Agent Skills の設計は、関数設計の延長線上にあります。
3-2. 汎用コンサルタントスキルの実装
以下が、汎用コンサルティングエージェントの SKILL.md です。これは実際に動作するスキルです4。
---
name: consultant
description: |
汎用コンサルティングスキル。経営課題の分析、戦略立案、
意思決定支援を行う。53のフレームワークを活用し、
MECE検証・ピラミッド構造化・仮説駆動分析を提供する。
4フェーズワークフロー: 目的明確化 → 情報収集 →
フレームワーク分析 → レポート作成。
---
# Consultant Assistant
## Use This Skill When
- 経営課題や戦略的な意思決定の支援が必要な時
- フレームワークを使った構造化分析が求められる時
- 調査結果を元にした提言レポートの作成が必要な時
## Required Inputs
- ビジネス上の目的(何を解決/判断したいか)
- 利用可能な証拠・データ
- 制約条件(時間、予算、スコープ)
- 期待する成果物の形式
## Workflow
1.**目的の明確化**: クライアントの目的を確認し、成果物を定義する
2.**情報収集**: 市場データ、競合情報、内部データを収集・整理する
3.**フレームワーク分析**: 適切なフレームワークを選択し、分析を実行する
4.**提言作成**: 分析結果から具体的なアクションを導出する
5.**レポート作成**: 成果物をファイルに保存する(チャットに残さない)
## Framework Selection Guide
| 課題の種類 | 推奨フレームワーク |
|:---|:---|
| 現状把握 | SWOT, 3C, PEST |
| 競争分析 | 5Forces, ポジショニングマップ |
| 成長戦略 | Ansoff Matrix, BCG Matrix |
| 問題解決 | Issue Tree, 5 Whys, MECE |
| 意思決定 | Decision Matrix, Pros/Cons |
## Deliverables
- `report.md`: 分析レポート(目的、手法、分析結果、提言)
- `results/`: フレームワーク分析の中間成果物
## Quality Gates
- 選択したフレームワークが課題に適合している
- 分析がMECE(漏れなくダブりなく)である
- 提言に具体的な次のアクションが含まれている
- すべてのデータに出典が明記されている
3-3. SKILL.md を読み解く ― 設計判断の言語化
上の SKILL.md で、 なぜそう書いたか を解説します。
description が重要な理由
description: |
汎用コンサルティングスキル。経営課題の分析、戦略立案、
意思決定支援を行う。53のフレームワークを活用し...
description は、エージェントが 「このスキルを使うかどうか」を判断する唯一の材料 です。Progressive Disclosure の Discovery フェーズで、この description だけが読まれます。
良い description の条件:
- 何ができるか が明確(「経営課題の分析」「戦略立案」「意思決定支援」)
- キーワードが豊富(エージェントがマッチングしやすい)
- 具体的な手法名 を含む(「53のフレームワーク」「MECE検証」)
Workflow が「関数の本体」
## Workflow
1.**目的の明確化**: クライアントの目的を確認し、成果物を定義する
2.**情報収集**: 市場データ、競合情報、内部データを収集・整理する
...
ここが あなたの思考プロセスを言語化した部分 です。Step 1 で分析したコンサルティングのワークフローが、そのままここに反映されています。
Quality Gates が「テストケース」
## Quality Gates
- 選択したフレームワークが課題に適合している
- 分析がMECE(漏れなくダブりなく)である
品質基準を明記することで、エージェントは 自分の出力を自己検証 できます。プログラミングのユニットテストと同じ発想です。
📝 ワーク 3: 汎用コンサルタントスキルを動かしてみよう(15分)
- 上記の SKILL.md を
.github/skills/consultant/SKILL.mdとして保存 - VS Code で開き、Copilot Chat で以下を入力:
大阪のたこ焼き屋「たこ丸」が東京進出を検討しています。
コンサルタントとして分析してください。
-
観察ポイント:
- エージェントはWorkflowの手順通りに動いているか?
- フレームワーク選択は適切か?
- 出力の品質はQuality Gatesを満たしているか?
-
改善点を3つ書き出してください:
- スキルの description を改善するなら?
- Workflow に追加すべきステップは?
- Quality Gates に追加すべき基準は?
📚 宿題 3: スキル設計の深掘り
提出期限: 次回授業まで
-
別の業界で汎用スキルを試す: 以下のいずれかの課題を Copilot Chat に入力し、出力結果を保存してください。
- 「コンビニチェーンが、無人店舗を導入すべきか分析してください」
- 「大学がオンライン学位プログラムを始めるべきか分析してください」
- 自分で考えた経営課題(1つ)
-
SKILL.md を書き換えて実験する: 汎用コンサルタントスキルの
Workflowを 自分なりに改良 して、同じ課題を再実行してください。- 改良前と改良後の出力を比較し、 どこが変わったか を3行以上で説明
- 改良のポイント例: ステップの追加/削除、Quality Gates の変更、フレームワーク指定の変更
-
関数設計との対応表を作る: 以下の表を埋めてください。
| SKILL.md の要素 | プログラミングの対応概念 | あなたの説明(1行) |
|---|---|---|
name |
関数名 | ______ |
description |
ドキュメントコメント | ______ |
Workflow |
______ | ______ |
Quality Gates |
______ | ______ |
Deliverables |
______ | ______ |
Step 4: BCGスタイルに特化させる ― 差別化の設計
汎用スキルができたので、次は BCG(ボストン コンサルティング グループ)スタイルに特化 させます。
4-1. BCGの特徴を分析する
BCGは、戦略コンサルティングの老舗です。以下のフレームワークが有名です。
| フレームワーク | 概要 | 使う場面 |
|---|---|---|
| Growth-Share Matrix | 市場成長率×相対的市場シェアで事業を4象限に分類 | 事業ポートフォリオの評価 |
| Experience Curve | 累積生産量が増えるとコストが低下する法則 | コスト戦略の分析 |
| Strategy Palette | 環境の予測可能性×変化の可能性で戦略アプローチを選択 | 戦略の型の選定 |
| Advantage Matrix | 差別化の可能性×優位性構築の手段数で競争戦略を分類 | 業界構造の分析 |
BCGの思考スタイル
BCGのアプローチには、以下の特徴があります。
- ポートフォリオ思考: 個別事業ではなく、事業群全体のバランスを重視
- 仮説駆動: 最初に仮説を立て、データで検証する
- 定量分析重視: 市場シェア、成長率、TSR(株主総利回り)など数値で語る
4-2. 汎用スキルからBCGスキルへの変換
汎用スキルをBCGスタイルに変換するには、以下を変更します。
| 変更箇所 | 汎用版 | BCG版 |
|---|---|---|
name |
consultant |
consultant-bcg |
description |
「53のフレームワーク」 | 「Growth-Share Matrix, Experience Curve, Strategy Palette」 |
Use This Skill When |
汎用的な条件 | 「ポートフォリオ戦略」「競争優位性」「TSR分析」 |
Framework Selection |
全フレームワーク | BCG固有フレームワーク6つ |
Workflow |
4フェーズ | BCGの仮説駆動型4フェーズ |
4-3. BCGコンサルタントスキルの実装
---
name: consultant-bcg
description: |
BCG(ボストン コンサルティング グループ)スタイルの
コンサルティングスキル。Growth-Share Matrix, Experience Curve,
Strategy Palette, 仮説駆動型アプローチ, TSR分析,
Advantage Matrix, Bionic Companyフレームワークを提供。
ポートフォリオ戦略、競争優位性分析、企業変革の支援に特化。
---
# Consultant BCG (BCG-Style Consulting)
## Use This Skill When
- 事業ポートフォリオの評価・再構成が必要な時
- 競争優位性の構築・維持戦略を策定する時
- 成長戦略やTSR(株主総利回り)の分析が求められる時
## Required Inputs
- クライアントの目的と対象事業のスコープ
- 市場データ(成長率、シェア、競合情報)
- 財務データ(売上、利益率、TSR)
- 制約条件と期限
## Workflow
1.**スコープ確認**: 対象事業群を定義し、分析の粒度を決定する
2.**仮説構築**: 「こうではないか?」という初期仮説を立てる
3.**データ収集**: 仮説検証に必要なデータを収集する
4.**フレームワーク分析**: BCG固有フレームワークを適用する
5.**仮説検証**: データとフレームワーク分析で仮説を検証・修正する
6.**戦略提言**: 検証結果から具体的な戦略を提言する
7.**レポート作成**: 成果物をファイルに保存する
## BCG Framework Library
| フレームワーク | 適用場面 |
|:---|:---|
|**Growth-Share Matrix**| 事業ポートフォリオの分類と資源配分 |
|**Experience Curve**| コスト優位性の分析と予測 |
|**Strategy Palette**| 環境に適した戦略アプローチの選択 |
|**Advantage Matrix**| 業界構造と競争戦略の分類 |
|**TSR Analysis**| 株主価値創造の定量評価 |
|**Bionic Company**| デジタル変革の成熟度評価 |
## Deliverables
- `report.md`: 戦略レポート(仮説、分析、提言、ファイル一覧)
- `results/`: マトリクス、スコアカード、ポートフォリオ分類
## Quality Gates
- 選択したBCGフレームワークが課題に適合している
- 仮説が明示され、データで検証されている
- ポートフォリオ全体のバランスが考慮されている
- 提言に具体的な次のアクションとKPIが含まれている
4-4. Growth-Share Matrix を理解する
BCG Matrix(Growth-Share Matrix)は、事業を4象限に分類するフレームワークです。
市場成長率(高い)
↑
| ⭐ Star ❓ Question Mark
| (花形) (問題児)
| 高成長×高シェア 高成長×低シェア
| → 投資を継続 → 投資 or 撤退を判断
|
| 🐄 Cash Cow 🐕 Dog
| (金のなる木) (負け犬)
| 低成長×高シェア 低成長×低シェア
| → 利益を回収 → 撤退を検討
↓
市場成長率(低い)
低い ←── 相対的市場シェア ──→ 高い
このフレームワークを使うと、「この事業に投資すべきか?」という判断を構造化できます。
📝 ワーク 4: BCGスタイルで分析してみよう(20分)
Part A: BCGスキルを .github/skills/consultant-bcg/SKILL.md として保存し、Copilot Chat で以下を入力:
あなたはBCGスタイルのコンサルタントです。
ある食品メーカーが以下の3事業を持っています。
- カップ麺事業: 市場成長率2%, 市場シェア35%
- 冷凍食品事業: 市場成長率8%, 市場シェア15%
- プラントベース食品事業: 市場成長率25%, 市場シェア3%
Growth-Share Matrixで分析し、各事業への投資方針を提言してください。
Part B: 汎用版(consultant)で同じ質問をしてみてください。
比較の問い:
- BCG版と汎用版で、出力にどんな違いがありましたか?
- どちらの方が「意思決定に使える」分析でしたか?
- →特化させる(= 専門知識を教える)ことの価値 を体感できましたか?
📚 宿題 4: 特化スキルの設計と比較分析
提出期限: 次回授業まで
-
BCGスキルを改良する: 授業で作った BCG スキルに、以下の改良を加えてください。
-
Experience Curve(経験曲線)の説明と適用ルールを追加 -
Quality Gatesに「Growth-Share Matrix の4象限すべてに事業が分類されていること」を追加 - 改良後の SKILL.md を提出
-
-
もう1社の特化スキルを自力で作る: McKinsey・PwC・Accenture のうち1社を選び、 授業の解説を見ずに 自分でWeb検索して情報を集め、SKILL.md を作成してください。
- 参考にしたWebページのURLを3つ以上記載すること
- 「なぜその
descriptionにしたか」を3行で説明
-
汎用 vs 特化の比較レポート: 以下の課題を汎用版とBCG版の両方で実行し、 出力の違いを表にまとめて ください。
「あるゲーム会社が、モバイルゲーム・PCゲーム・VRゲームの3事業を持っている。今後の投資配分をどうすべきか」
比較項目 汎用版の出力 BCG版の出力 使用したフレームワーク ______ ______ 分析の深さ(主観1-5) ______ ______ 意思決定に使えるか(主観1-5) ______ ______ 気づいたこと ______ ______
Step 5: McKinsey / PwC / Accenture版に展開する
BCGスキルの作り方がわかったので、他のファームスタイルに展開しましょう。
5-1. 差別化のポイント
各ファームのスキルを作る際に変更するポイントは以下の通りです。
| 要素 | 何を変えるか |
|---|---|
| name |
consultant-mck, consultant-pwc, consultant-acn
|
| description | ファーム固有のフレームワーク名とキーワード |
| Framework Library | ファーム固有のフレームワーク一覧 |
| Workflow | ファーム固有の分析アプローチ |
| Quality Gates | ファーム固有の品質基準 |
5-2. McKinsey スタイル
McKinseyの特徴は 「仮説駆動」と「Issue Tree による問題分解」 です。
---
name: consultant-mck
description: |
McKinseyスタイルのコンサルティングスキル。
7S Framework, 仮説駆動型アプローチ, Issue Tree,
Pyramid Principle, Three Horizons, Granularity of Growth,
OVA, Profit Pool分析, SCP分析を提供。
5フェーズ: 問題定義 → 仮説構築 → Issue分解 →
データ収集・分析 → 統合・提言。
---
# Consultant MCK (McKinsey-Style Consulting)
## Use This Skill When
- 問題を仮説駆動で分解・検証するアプローチが必要な時
- 組織・戦略・成長に関する構造化分析が求められる時
- ピラミッド構造の明確な最終報告が必要な時
## McKinsey Framework Library
| フレームワーク | 適用場面 |
|:---|:---|
|**7S Framework**| 組織の整合性分析 |
|**Issue Tree**| 問題の構造的分解 |
|**Pyramid Principle**| 結論先行の論理構成 |
|**Three Horizons**| 短中長期の成長戦略 |
|**Granularity of Growth**| 成長源泉の特定 |
|**Profit Pool Analysis**| 業界の利益構造分析 |
## Workflow
1.**問題定義**: 解くべき問題を1文で明確化する
2.**仮説構築**: 「答えはこうではないか?」を初期仮説として設定
3.**Issue分解**: 仮説を検証するためのサブ課題にMECEに分解
4.**データ収集・分析**: 各サブ課題について根拠を収集・分析
5.**統合・提言**: 分析結果を統合し、Pyramid Principleで提言
McKinseyの思考法: Pyramid Principle
McKinseyで特に重要なのが Pyramid Principle(ピラミッド原則) です。
結論(So What?)
/ | \
根拠1 根拠2 根拠3
/\ /\ /\
事実 事実 事実 事実 事実 事実
最初に結論を述べ、その後に根拠を示す―― これがMcKinseyスタイルのレポートの基本構造です。
5-3. PwC スタイル
PwCの特徴は 「ビジネス×テクノロジー×エクスペリエンス(BXT)」の統合視点 です。
---
name: consultant-pwc
description: |
PwCスタイルのコンサルティングスキル。
Fit for Growth, Strategy&, BXT (Business Experience Technology),
TIMM (Total Impact Measurement & Management),
Deal Value Creation, Risk & Regulationフレームワークを提供。
戦略・テクノロジー・ビジネス変革の統合アプローチ。
---
# Consultant PWC (PwC-Style Consulting)
## PwC Framework Library
| フレームワーク | 適用場面 |
|:---|:---|
|**BXT**| ビジネス×テクノロジー×体験の統合評価 |
|**Fit for Growth**| コスト最適化と成長投資のバランス |
|**Strategy&**| 戦略策定の統合フレームワーク |
|**TIMM**| 社会的インパクトの総合測定 |
|**Deal Value Creation**| M&A・投資の価値創造分析 |
|**Risk & Regulation**| リスク管理と規制対応 |
5-4. Accenture スタイル
Accentureの特徴は 「テクノロジー起点の変革(DX)」 です。
---
name: consultant-acn
description: |
Accentureスタイルのコンサルティングスキル。
DX Strategy Framework, Digital Maturity Assessment,
Zero-Based Budgeting (ZBB), Cost Excellence,
Intelligent Operations, Value Creation Frameworkを提供。
テクノロジー起点の変革と運用最適化に特化。
---
# Consultant ACN (Accenture-Style Consulting)
## Accenture Framework Library
| フレームワーク | 適用場面 |
|:---|:---|
|**DX Strategy**| デジタル変革戦略の策定 |
|**Digital Maturity**| デジタル成熟度の評価 |
|**Zero-Based Budgeting**| ゼロベース予算編成 |
|**Cost Excellence**| コスト構造の最適化 |
|**Intelligent Operations**| AI活用の業務最適化 |
|**Value Creation**| 変革による価値創造の定量化 |
5-5. 4ファームの比較 ― 同じ問題、異なるレンズ
| 観点 | BCG | McKinsey | PwC | Accenture |
|---|---|---|---|---|
| 得意領域 | ポートフォリオ戦略 | 仮説駆動の問題解決 | 統合的変革 | DX・テクノロジー |
| 中心フレームワーク | Growth-Share Matrix | Issue Tree | BXT | Digital Maturity |
| 分析の起点 | 市場×シェア | 仮説→検証 | 3レイヤー統合 | テクノロジー成熟度 |
| 成果物の特徴 | ポートフォリオ分類 | ピラミッド構造 | インパクト測定 | ロードマップ |
| 一言でいうと | 「どこに投資する?」 | 「本当の問題は何?」 | 「全体をどう変える?」 | 「テクノロジーで何ができる?」 |
📝 ワーク 5: 4ファーム比較実験(25分)
全員共通の課題:
ある地方銀行が、フィンテック企業との競争激化に直面しています。
今後の戦略をどうすべきか分析してください。
グループ分け: 4人1組で、各自が1つのファームを担当
- Aさん: BCGスタイル(
consultant-bcg) - Bさん: McKinseyスタイル(
consultant-mck) - Cさん: PwCスタイル(
consultant-pwc) - Dさん: Accentureスタイル(
consultant-acn)
手順:
- 各自が担当ファームの SKILL.md を
.github/skills/に配置(5分) - 同じ課題をCopilot Chatに入力し、分析結果を取得(10分)
- 4人の分析結果を 比較表 にまとめる(10分)
議論の問い:
- 同じ課題なのに、なぜ異なる分析結果になったのか?
- どのファームの分析が、この課題に最も適していると思うか? なぜそう思うか?
- → これが「description(= 思考の方向づけ)の設計が出力を決める」ことの証明です
📚 宿題 5: 4ファーム分析の深掘りとレポート作成
提出期限: 次回授業まで
-
個人で4ファーム比較を完成させる: 授業ではグループで1社ずつ担当しましたが、宿題では 4社すべてのスキルを自分で動かして ください。以下の課題で実行:
「あなたの好きな企業(実在する会社)が直面している経営課題を1つ設定し、4つのファームスタイルで分析する」
提出物:
- 4つの SKILL.md ファイル(consultant-bcg, consultant-mck, consultant-pwc, consultant-acn)
- 4つの分析結果のスクリーンショット
- 比較レポート(A4で1〜2枚): どのファームの分析が最も適切だったか、理由とともに
-
description の A/Bテスト: BCGスキルの
descriptionを 2パターン 書き、同じ質問を投げて出力の違いを観察してください。- パターンA: 短い description(2行以内)
- パターンB: 詳しい description(5行以上)
- どちらが良い出力を生んだか、なぜそうなったかを3行で考察
-
リフレクション: 以下の問いに各3行以上で答えてください。
- 「同じAIに異なる指示を与えると異なる出力が出る」ことから、何が言えるか?
- これは人間の仕事(例: 部下への指示出し)にどう応用できるか?
- 「思考の言語化」が上手い人と下手な人の差は、今後どうなると思うか?
Step 6: 自分のオリジナルエージェントを作る
ここまで、コンサルティングという領域で Agent Skills の作り方を学んできました。最後のステップでは、 あなた自身のオリジナルエージェント を設計します。
6-1. 「思考の言語化」テンプレート
オリジナルのAgent Skillを作るための思考テンプレートを用意しました。
Step A: ドメインの選定
「私が詳しい分野は何か?」
→ 例: ゲーム開発、Webデザイン、料理、音楽制作、スポーツ分析...
Step B: 思考プロセスの分解
「その分野で問題を解くとき、どんな手順で考えるか?」
→ 例: 1. 要件を確認 → 2. 参考事例を調べ → 3. 設計 → 4. 実装 → 5. テスト
Step C: フレームワークの抽出
「その分野に『型(パターン)』はあるか?」
→ 例: デザインなら「配色理論」「グリッドレイアウト」「タイポグラフィ」
Step D: 品質基準の定義
「良い成果物と悪い成果物の違いは何か?」
→ 例: 「ユーザーが3秒で目的の情報を見つけられるか」
Step E: SKILL.md に落とし込む
A〜Dの回答を SKILL.md の各セクションにマッピング
6-2. ドメイン例と Agent Skill のアイデア
| ドメイン | スキル名 | description の例 |
|---|---|---|
| ゲーム開発 | game-designer |
ゲームバランス分析、レベルデザイン、UXフロー設計 |
| Webデザイン | ux-analyst |
ヒューリスティック評価、アクセシビリティ監査、UI改善提案 |
| データ分析 | data-detective |
データクレンジング、EDA、統計的仮説検定、可視化 |
| レポート執筆 | report-reviewer |
論理構成チェック、引用検証、MECE検証、文章推敲 |
| 就活対策 | interview-coach |
面接質問生成、回答の論理構造分析、フィードバック |
| 料理 | recipe-optimizer |
栄養バランス分析、コスト最適化、調理時間短縮 |
6-3. 開発支援ツール: copilot-agent-builder
Agent Skills の開発を支援するツールキットも公開されています14:
# インストール
mkdir my-skills-project && cd my-skills-project
npm init -y
npm install copilot-agent-builder
# インストール確認
npx agent-builder status
インストールすると、以下の開発支援スキルが自動的に配置されます。
| スキル | 用途 |
|---|---|
| purpose-discovery | 対話的に要件を整理する |
| skill-scaffolder | スキルの雛形を自動生成する |
| harness-auditor | スキルの品質を7軸で評価する |
| description-optimizer | description の最適化 |
| gotchas-curator | 失敗パターンの記録 |
| orchestrator-designer | 複数スキルの連携設計 |
VS Code で開いて Copilot Chat に「スキルを作りたい」と伝えるだけで、対話的にスキルの設計を進められます。
📝 ワーク 6: オリジナル Agent Skill を設計・実装する(30分)
課題: あなたの得意分野や興味のある分野で、オリジナルの Agent Skill を1つ作ってください。
要件:
- SKILL.md を完成させること(最小構成でOK)
- 以下のセクションをすべて含むこと:
-
nameとdescription(YAML フロントマター) Use This Skill When-
Workflow(最低3ステップ) Deliverables-
Quality Gates(最低2つ)
-
- 実際に Copilot Chat で動作確認すること
提出物:
- SKILL.md ファイル
- 動作確認のスクリーンショット(Copilot Chatでの入出力)
- 設計判断メモ: なぜその description にしたか、なぜその Workflow にしたかを3行以上で説明
💡 設計判断メモが最も重要です。SKILL.md 自体はAIに書かせることもできます。しかし、「なぜそう設計したか」を言語化できるのは あなただけ です。これが前回の講義で話した「意思決定の言語化」の実践です。
📚 宿題 6(最終課題): オリジナルエージェントの完成とプレゼン
提出期限: 最終授業日
これまでの全ステップの集大成として、オリジナルの Agent Skill を完成させ、発表してください。
Part 1: Agent Skill の完成(個人課題)
-
SKILL.md の完成版: 以下の要素をすべて含むこと
- YAML フロントマター(
name,description) -
Use This Skill When(3つ以上のトリガー条件) -
Workflow(5ステップ以上) -
Quality Gates(3つ以上の品質基準) -
Deliverables(成果物の定義) -
Constraints(制約や注意事項)
- YAML フロントマター(
-
動作テスト結果: 3つの異なる質問をCopilot Chatに投げ、出力結果をスクリーンショットで保存
-
設計判断レポート(A4で1〜2枚):
- なぜそのドメインを選んだか
-
descriptionをどう設計したか(3案以上試した痕跡) -
Workflowの各ステップをなぜその順番にしたか - 今後改善するとしたら何を変えるか
Part 2: GitHub リポジトリへの公開(個人課題)
- 作成した Agent Skill を GitHub リポジトリに push してください
-
README.mdを作成し、以下を記載:- スキルの概要(何ができるか)
- 使い方(インストール方法、サンプル入力)
- スクリーンショット(実行例)
- リポジトリのURLを提出
Part 3: 3分間プレゼン(最終授業で実施)
以下の構成で3分間のプレゼンを行ってください:
- 30秒: 自分のスキルの紹介(何ができるか)
- 60秒: デモ(実際にCopilot Chatで動かす)
- 60秒: 設計判断の説明(なぜそう作ったか)
- 30秒: 振り返り(思考の言語化を通じて学んだこと)
💡 評価のポイント: SKILL.md の技術的な完成度よりも、 「なぜそう設計したか」を論理的に説明できるか を重視します。AIに書かせた SKILL.md と、自分で考え抜いた SKILL.md の違いは、設計判断の説明に表れます。
まとめ ― 今日学んだこと
技術的に学んだこと
| Step | 学んだこと |
|---|---|
| Step 0 | GitHub Education / Student Developer Pack の活用 |
| Step 1 | コンサルタントの思考プロセスの分析(思考の言語化) |
| Step 2 | Agent Skills の仕組み(SKILL.md, Progressive Disclosure) |
| Step 3 | 汎用コンサルティングエージェントの設計・実装 |
| Step 4 | BCGスタイルへの特化(差別化の設計) |
| Step 5 | 4ファームの比較(同じ問題、異なるレンズ) |
| Step 6 | オリジナルエージェントの設計・実装 |
もっと大事なこと
今日のハンズオンで本当に体験してほしかったのは、 「思考を言語化する」プロセス です。
あなたの頭の中の「なんとなくの知識」
↓ 言語化
手順書(Workflow)として書き出す
↓ 構造化
SKILL.md として体系化する
↓ 共有
AIエージェント(または他の人間)が使える形にする
このプロセスは、Agent Skills の開発に限った話ではありません。
- ドキュメント作成: 自分の知識を他人に伝える
- チーム開発: 暗黙知を形式知にする
- 就活面接: 「なぜそう判断したか」を説明する
- 技術リーダーシップ: チームの意思決定プロセスを設計する
すべてに共通するのは「思考の言語化」です。
前回の講義で、「AIに使われる側」ではなく「AIを使う側」になるためには 意思決定力 が重要だと話しました。
今日の体験で、その意思決定力の具体的な表れが 「思考の言語化 → Agent Skills 化」 であることが分かったと思います。
次のステップ
| やること | 方法 |
|---|---|
| Agent Skills をもっと学ぶ | Agent Skills 仕様を読む |
| 他の人のスキルを見る | awesome-copilot、anthropics/skills |
| 実際のコンサルティングスキル例 | coreclaw-marketplace |
| Harness最適化を学ぶ | Agent Skills の書き方 ― Harness最適化 |
| copilot-agent-builder を使う | copilot-agent-builderではじめるAgent Skills開発 |
| 研究者向けの活用 | プログラミング初心者の研究者のためのAgent Skills開発 |
付録A: SKILL.md テンプレート集
最小テンプレート
---
name: my-skill
description: |
このスキルの説明。何ができるかを具体的に。
---
# My Skill
## Use This Skill When
- このスキルを使うべき条件
## Workflow
1. 最初のステップ
2. 次のステップ
3. 最後のステップ
## Deliverables
- 出力物の説明
## Quality Gates
- 品質基準1
- 品質基準2
充実版テンプレート
---
name: my-advanced-skill
description: |
詳細な説明。キーワードを豊富に含め、
エージェントがマッチングしやすくする。
具体的な手法名やフレームワーク名を含める。
---
# My Advanced Skill
詳細な概要説明。
## Use This Skill When
- 条件1: ○○の分析が必要な時
- 条件2: ○○のレポート作成が求められる時
- 条件3: ○○の意思決定支援が必要な時
## Required Inputs
- 入力1の説明
- 入力2の説明
- 制約条件
## Workflow
1.**フェーズ1名**: 具体的な作業内容
2.**フェーズ2名**: 具体的な作業内容
3.**フェーズ3名**: 具体的な作業内容
4.**フェーズ4名**: 具体的な作業内容
5.**フェーズ5名**: 具体的な作業内容
## Framework / Method Library
| 手法名 | 適用場面 |
|:---|:---|
| 手法A | ○○の時 |
| 手法B | ○○の時 |
## Deliverables
- `report.md`: メインの成果物
- `results/`: 中間成果物
## Quality Gates
- 品質基準1: 具体的な検証方法
- 品質基準2: 具体的な検証方法
- 品質基準3: 具体的な検証方法
付録B: よくある質問
Q1: Agent Skills はプログラミングスキルが必要?
A: 基本的には不要です。SKILL.md は Markdown(テキスト)で書くだけです。ただし、scripts/ ディレクトリにスクリプトを追加する場合は、Python や Bash の知識が必要です。今日のハンズオンの範囲では、Markdown が書ければOKです。
Q2: スキルが発動しない場合は?
A: 以下を確認してください:
- SKILL.md の配置場所が正しいか(
.github/skills/スキル名/SKILL.md) - YAML フロントマターの
nameとdescriptionが正しく書かれているか - description にユーザーの質問にマッチするキーワードが含まれているか
- VS Code を再起動してみる
Q3: description はどれくらい詳しく書くべき?
A: 2〜5行が目安です。短すぎるとマッチしにくく、長すぎると Discovery フェーズでトークンを消費します。具体的な手法名やキーワードを含めることが重要です。
Q4: 複数のスキルが同時に発動することはある?
A: あります。エージェントは複数のスキルを同時にロードして、必要に応じて使い分けます。ただし、似た description のスキルが多いと、どのスキルを使うべきかエージェントが混乱する可能性があります。各スキルの description を明確に差別化することが重要です。
Q5: 今日作ったスキルは他の人と共有できる?
A: はい!GitHub リポジトリに置けば誰でも使えます。gh skill install ユーザー名/リポジトリ名 でインストールすることもできます。また、awesome-copilot にプルリクエストを送って、コミュニティと共有することもできます。
付録C: 参考リンク集
公式ドキュメント
| リソース | URL |
|---|---|
| Agent Skills 仕様 | https://github.com/agentskills/agentskills |
| GitHub Copilot Agent Skills ドキュメント | https://docs.github.com/ja/copilot/concepts/agents/about-agent-skills |
| GitHub Education | https://github.com/education/students |
| Student Developer Pack | https://education.github.com/pack |
| awesome-copilot | https://github.com/github/awesome-copilot |
| anthropics/skills | https://github.com/anthropics/skills |
参考記事
| 記事 | URL |
|---|---|
| プログラミング初心者の研究者のためのAgent Skills開発 | https://qiita.com/hisaho/items/3efbb07ba9f05b9dcdd4 |
| copilot-agent-builderではじめるAgent Skills開発 | https://qiita.com/hisaho/items/0cd107d24d19daa5585b |
| Agent Skills の書き方 ― Harness最適化 | https://qiita.com/hisaho/items/b3abdbf1df498c4244db |
| Agent Skills 入門(Zenn / Microsoft) | https://zenn.dev/microsoft/articles/a9d4f6ec2a05c2 |
実装例
| リポジトリ | 内容 |
|---|---|
| coreclaw-marketplace | コンサルティング・教育・セキュリティ等のAgent Skills集 |
| ↳ consultant | 汎用コンサルティングスキル |
| ↳ consultant-bcg | BCGスタイルコンサルティング |
| ↳ consultant-mck | McKinseyスタイルコンサルティング |
| ↳ consultant-pwc | PwCスタイルコンサルティング |
| ↳ consultant-acn | Accentureスタイルコンサルティング |
📚 推薦図書 ― コンサルティングの思考法をもっと深く学ぶ
本ワークショップでは Agent Skills の設計を通じてコンサルティングの思考法に触れましたが、各ファームの手法をより深く理解するには以下の書籍が役立ちます。
コンサルティング入門(全ファーム共通)
| 書籍 | 著者 | 出版社 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 『コンサル一年目が学ぶこと』 | 大石哲之 | 日本実業出版社 | コンサルの基礎力。ロジカルシンキング・仮説思考・資料作成の型を学べる入門書 |
| 『ロジカル・シンキング』 | 照屋華子・岡田恵子 | 東洋経済新報社 | MECE・So What?/Why So? の原典。全フレームワークの土台となる論理思考 |
BCG(ボストン コンサルティング グループ)
| 書籍 | 著者 | 出版社 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 『BCG 経営コンセプト』市場創造編・競争優位編 | BCG | 東洋経済新報社 | Growth-Share Matrix, Experience Curve 等の原典 |
| The BCG on Strategy | Carl W. Stern 他 | Wiley | 英語。BCG歴代リーダーの戦略論集 |
McKinsey(マッキンゼー)
| 書籍 | 著者 | 出版社 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 『考える技術・書く技術』 | バーバラ・ミント | ダイヤモンド社 | 最優先で読むべき1冊。Pyramid Principle の原典 |
| 『イシューからはじめよ』 | 安宅和人 | 英治出版 | 元マッキンゼーの著者。Issue Tree・仮説思考の名著 |
| 『マッキンゼー流 入社1年目 問題解決の教科書』 | 大嶋祥誉 | SBクリエイティブ | 入門向け。実例ベースで読みやすい |
PwC(Strategy&)
| 書籍 | 著者 | 出版社 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 『BXT ― パーパスからはじめるイノベーションの教科書』 | PwCコンサルティング | 日経BP | BXTフレームワークの実践ガイド |
| 『戦略にこそ「戦略」が必要だ』 | マルティン・リーブス他 | 日本経済新聞出版 | Strategy& のケイパビリティ主導型戦略 |
Accenture(アクセンチュア)
| 書籍 | 著者 | 出版社 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 『DX実行戦略 ― デジタルで稼ぐ組織をつくる』 | アクセンチュア | 日本経済新聞出版 | 日本企業向けDX実践書。Digital Maturity の考え方 |
💡 読む順番のおすすめ: まずは『コンサル一年目が学ぶこと』で全体像をつかみ、次に『考える技術・書く技術』で論理構造を学び、その後に興味のあるファームの専門書に進むのが効率的です。大学の図書館にある可能性が高いので、まず図書館で探してみてください。
参考文献
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エージェントのスキルについて - GitHub Docs, 取得日: 2026-05-09 ↩
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Agent Skills 仕様 - Anthropic, オープンスタンダード ↩
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GitHub Copilot Agent Skills の書き方 ― Harness最適化でAIエージェントの性能を引き上げる - Qiita @hisaho ↩
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『BCG 経営コンセプト ― 市場創造編・競争優位編』ボストン コンサルティング グループ著、東洋経済新報社 ↩
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The Boston Consulting Group on Strategy: Classic Concepts and New Perspectives, Carl W. Stern, Michael S. Deimler, Wiley ↩
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『考える技術・書く技術 ― 問題解決力を伸ばすピラミッド原則』バーバラ・ミント著、ダイヤモンド社(原題: The Pyramid Principle) ↩
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『イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人著、英治出版、ISBN: 978-4862760852 ↩
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『マッキンゼー流 入社1年目 問題解決の教科書』大嶋祥誉著、SBクリエイティブ ↩
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『BXT ― パーパスからはじめるイノベーションの教科書』PwCコンサルティング合同会社著、日経BP ↩
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Strategy That Works: How Winning Companies Close the Strategy-to-Execution Gap, Paul Leinwand, Cesare Mainardi, Harvard Business Review Press(邦題:『戦略にこそ「戦略」が必要だ』日本経済新聞出版) ↩
-
『DX実行戦略 ― デジタルで稼ぐ組織をつくる』アクセンチュア著、日本経済新聞出版 ↩
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『コンサル一年目が学ぶこと』大石哲之著、日本実業出版社 ↩
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copilot-agent-builder ではじめる Agent Skills 開発 - Qiita @hisaho ↩