はじめに
前回の記事(#1)では、AIRA-α の概要と Docker での起動方法を紹介しました。
今回は 実際に手を動かして、SPReAD-1000 の申請書作成を AIRA-α でどう進めるかをステップごとにお見せします。
この記事で紹介する操作はすべて ローカル PC(Docker)上 で実行しています。研究テーマや仮説は外部サーバーに送信されません。
前提:今回使う設定
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| AIRA-α バージョン | v1.0.0 |
| Docker イメージ | ghcr.io/nahisaho/aira:v1.0.0 |
| Agent Skill |
spread1000-assistant(SPReAD 公募支援) |
| 有効にする MCP | azure-mcp・microsoft-learn・ToolUniverse(全て) |
| モデル | Auto(Copilot default) |
| Copilot CLI | v1.0.42-0 |
起動がまだの方は以下で準備してください。
docker pull ghcr.io/nahisaho/aira:v1.0.0
docker run -d --name aira-app -p 3002:3000 \
-e AIRA_PORT=3000 \
-e AIRA_SERVE_FRONTEND=true \
-v aira-data:/app/backend/data \
-v aira-projects:/app/backend/projects \
-v copilot-sessions:/app/backend/copilot-sessions \
ghcr.io/nahisaho/aira:v1.0.0
GitHubトークンは環境変数で渡さない
-e GITHUB_TOKEN を Docker 起動コマンドに含めると、コマンド履歴にトークンが残ってしまいます。代わりに UI の設定画面からトークンを設定 します(後述)。
ブラウザで http://localhost:3002 にアクセスすれば準備完了です。
Step 1 の前に:設定(言語・表示モード・GitHubトークン)
プロジェクトを作成する前に、画面左下の 「⚙ 設定」 から初期設定を行います。
設定パネルでは以下の 3 点を確認・設定します。
| 設定項目 | 推奨値 | 説明 |
|---|---|---|
| 言語 | 日本語 | UI とプロンプトの言語 |
| 表示モード | ☀ ライト | お好みで(ダークモードも可) |
| GitHub トークン | ghp_xxx... |
Copilot CLI 認証に必要 |
GitHub トークンは入力フィールドに貼り付けて 「保存」 をクリックします。「✓ トークン設定済み」と表示されたら「検証」ボタンで動作確認もできます。
設定が完了したら「✕」で設定パネルを閉じます。
GitHubトークンの取得方法
GitHub.com → Settings → Developer settings → Personal access tokens → Tokens (classic) から生成してください。GitHub Copilot のサブスクリプションが有効なアカウントのトークンが必要です。スコープは read:user と copilot を含めてください。
Step 1: 新規プロジェクトを作成する
設定が完了したら、左上の 「+ 新規」 ボタンをクリックします。プロジェクト名の入力ダイアログが表示されます。
今回は 「SPReAD-1000申請書作成v2」 と入力して Enter を押します。
プロジェクトが作成されると、左サイドバーにプロジェクト名が表示され、中央にチャット画面が開きます。
Step 2: Agent Skills を設定する
プロジェクト名の右にある 「⚙」 ボタンをホバー表示させてクリックし、設定パネルを開きます。
「Agent Skills」タブを選択すると、利用可能なスキルが表示されます。SPReAD 申請書作成には spread1000-assistant を追加します。
spread1000-assistant の「追加」をクリックすると「割り当て済み (1)」に移動します。
spread1000-assistant の 12 のサブスキル
| サブスキル | 役割 |
|---|---|
context-collector |
研究テーマのコンテキスト収集(3層メタプロンプト生成) |
research-planner |
文献調査に基づく 180 日間研究計画の策定 |
proposal-writer |
審査 6 観点に最適化された申請書草稿の作成 |
azure-architect |
研究計画に基づく Azure クラウド構成設計 |
cost-estimator |
Azure リソースの月額/年間コスト見積もり |
azure-deployer |
Bicep/Terraform による Azure 環境のデプロイ |
iac-deployer |
IaC テンプレートの生成・検証・デプロイ |
diagram-generator |
アーキテクチャ図・研究フロー図の自動生成 |
experiment-guide |
実験プロトコル設計・データ管理ガイダンス |
final-reviewer |
申請書の最終品質レビュー・改善提案 |
submission-guide |
e-Rad 提出手続きのガイダンス |
post-award |
採択後の報告書作成・進捗管理支援 |
Step 3: MCP サーバーを全て有効化する
設定パネルで「MCP サーバー」タブを選択します。3 つのビルトイン MCP サーバーが表示されます。申請書作成では全て有効化することをお勧めします。
各 MCP の「無効」ボタンをクリックして「有効」に切り替えます。
3つ全てを「有効」に設定した状態です。
| MCP サーバー | 申請書作成での用途 |
|---|---|
| azure-mcp | Azure 環境設計・コスト見積もり・IaC 生成 |
| microsoft-learn | Azure サービス仕様・ベストプラクティスの即時参照 |
| ToolUniverse | PubMed などで先行研究を探索、独創性の裏付けに |
「✕」ボタンで設定パネルを閉じると、プロジェクト名の下に spread1000-assistant バッジが表示され、設定完了を確認できます。
Step 4: 最初のメッセージを送る
準備ができたら、チャットにメッセージを入力します。
ポイント:最初から完璧な文章を作ろうとしなくて大丈夫です。 AIRA-α が必要な情報を 1問1答 で引き出してくれます。
今回は以下のメッセージを送ってみました。
SPReAD-1000への申請を検討しています。私は神経科学を専門とする研究者で、単一細胞RNA-seq(scRNA-seq)データを使ってアルツハイマー病の早期バイオマーカーを探索したいと考えています。AIを活用した研究計画を立てたいのですが、どこから始めればよいでしょうか?
送信すると、AIRA-α はコンテキスト充足度判定表を表示します。
AIRA-α が判定した「情報の不足」
AIRA-α は最初のメッセージから必要な要素を自動的に評価します。
| 要素 | 判定 | 根拠 |
|---|---|---|
| PURPOSE | ✅ | アルツハイマー病の早期バイオマーカー探索(明示的) |
| TARGET | ✅ | 神経科学・scRNA-seqデータと明示 |
| SCOPE | ❌ | データ規模(サンプル数・細胞数)が未記述 |
| TIMELINE | ❌ | 180日間内のマイルストーンが未記述 |
| CONSTRAINTS | ❌ | 予算・人員・設備制約が未記述 |
| DELIVERABLES | ❌ | 成果物形態(論文・モデル等)が未記述 |
PURPOSE と TARGET は最初のメッセージから読み取れましたが、SCOPE・TIMELINE・CONSTRAINTS・DELIVERABLES の 4 要素が不足と判定。そこで「質問 1/5」として最初の質問が始まります。
❓ 質問 1/5
カテゴリ: DATA
扱う予定の scRNA-seq データについて教えてください。
- データの入手状況: 既に手元にある / 公開データセット(GEO等)を使用予定 / これから取得予定
- 規模感: 患者サンプル数や細胞数はどのくらいを想定していますか?
- ラベルの有無: 病期(MCI・軽度・中等度等)や臨床情報のアノテーションはありますか?
ChatGPT に同じ質問をすると、汎用的なアドバイスが返ってきます。AIRA-α は SPReAD の審査要件に必要な情報に絞って質問してくれます。
Step 5: 1問1答で研究テーマを深掘りする
AIRA-α の質問に答えていくと、次々と具体的な情報が蓄積されていきます。
5 問の質問カテゴリ
context-collector サブスキルは以下の 5 カテゴリを順に確認します。
| # | カテゴリ | 収集する情報の例 |
|---|---|---|
| 1 | DATA(スコープ・規模) | データソース・サンプル数・ラベル情報 |
| 2 | TIMELINE(研究期間) | 6ヶ月間のマイルストーン配分 |
| 3 | CONSTRAINTS(制約) | 予算額・チーム人数・使用可能な GPU |
| 4 | DELIVERABLES(成果物) | 論文・モデル・データベース公開など |
| 5 | BASELINE(現行手法とギャップ) | 従来手法の限界・AI でなければ解決できない理由 |
実際の 5 問への回答フロー
今回のセッションを例に、各質問への回答例を示します。
質問 1/5 — DATA
主にGEOの公開データセットを活用する予定です。具体的にはROSMAPコホートとAllen Brain Cell Atlasを組み合わせる予定で、合計約100症例(AD患者50名・健常者50名)、推定200万細胞規模を想定しています。ラベルは患者の認知機能スコア(CDR)と組織学的なADの病理確認情報があります。
AIRA-α はこの回答を受けて「データ準備度が明確になりました」と応答し、即座に次の質問へ進みます。
質問 2/5 — TIMELINE
Day 1–45: データ取得・前処理(Seurat/Scanpy、バッチ補正・QC・正規化)→ Day 46–90: 細胞クラスタリング・アノテーション(UMAP可視化)→ Day 91–135: MLモデル構築(Random Forest・Gradient Boosting等)→ Day 136–180: 独立コホート検証・パスウェイ解析・論文執筆
なぜ 1 問ずつなのか
AIRA-α は複数の質問を一度に投げかけることはありません。1問1答形式は「次の質問を前の回答に基づいて調整する」ためです。データ規模が大きければ解析フェーズへの時間配分も変わります。回答を積み上げながら文脈を深めていくのが AIRA-α の設計思想です。
質問 3/5 — CONSTRAINTS
予算はSPReADの直接経費500万円をフル活用する予定です。内訳はクラウド計算費(Azure GPU VM)に約300万円、データストレージ・ネットワーク費に約50万円、論文掲載料(オープンアクセス)に約50万円、国際学会発表・旅費に約100万円を想定しています。人員は研究代表者(私)1名と、大学院生RA 1名(週20時間程度)の体制です。計算環境は手元にGPUサーバーはなく、全てAzure上で計算する予定です。200万細胞のscRNA-seqデータを処理するには高メモリGPUインスタンス(Standard_NC24ads_A100_v4相当)が必要と想定しています。
質問 4/5 — DELIVERABLES
成果物は以下を想定しています。論文: 査読付き国際誌への投稿を1本目標にします。投稿先はAlzheimer's & Dementia(IF約14)またはActa Neuropathologica(IF約13)を第一候補とし、Genome Biology(scRNA-seq解析手法の観点)も候補に入れています。モデル・コード: scRNA-seqからAD早期バイオマーカーを特定するPythonパイプラインをGitHubで公開します(MITライセンス)。Zenodoに登録してDOIも取得する予定です。その他: 発見したバイオマーカー候補遺伝子についてはプレプリント(bioRxiv)での先行公開も検討しています。
質問 5/5 — BASELINE
従来のバルクRNA-seqでは細胞型サブクラスタ特異的な発現変動がノイズに埋没してしまいます。200万細胞×数万遺伝子の高次元データは手動解析・従来統計手法では多重比較問題が深刻です。CDRスコアはAD発症10-15年前の分子レベル変化を捉えられません。scRNA-seqとAIを組み合わせることで、臨床症状が現れる前の「前症候期」のバイオマーカーを発見できると考えています。
Layer 1: 構造化メタプロンプトの確認
5問への回答が完了すると、AIRA-α は収集した情報を構造化した Layer 1 メタプロンプト を表示して確認を求めます。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| PURPOSE | scRNA-seqデータとAIを活用し、アルツハイマー病の**臨床症状出現前(前症候期)**の細胞タイプ特異的早期バイオマーカーを探索・同定する |
| TARGET | 神経科学・アルツハイマー病研究領域、単一細胞トランスクリプトミクス(ROSMAP コホート + Allen Brain Cell Atlas) |
| SCOPE | 約100症例(AD患者50名・健常者50名)、推定200万細胞規模、ラベル: CDRスコア+組織学的AD病理確認情報 |
| TIMELINE | Day 1–45: データ取得・前処理(Seurat/Scanpy・バッチ補正・QC)→ Day 46–90: 細胞クラスタリング・アノテーション(UMAP)→ Day 91–135: MLモデル構築(RF・GBM等)→ Day 136–180: 独立コホート検証・パスウェイ解析・論文執筆 |
| CONSTRAINTS | 直接経費500万円(Azure GPU VM: 300万、ストレージ: 50万、論文掲載料: 50万、旅費: 100万)、PI 1名+大学院生RA 1名(週20時間)、全Azure環境(Standard_NC24ads_A100_v4相当)、公開データのため倫理審査不要 |
| DELIVERABLES | ①査読論文1本(Alzheimer's & Dementia / Acta Neuropathologica / Genome Biology)、②Pythonパイプライン(GitHub公開・MITライセンス・Zenodo DOI取得)、③bioRxivプレプリント |
「承認」と返信すると、Layer 2(推定コンテキスト)の生成に進みます。
Layer 2: 推定コンテキスト(研究仮説・手法候補)
Layer 2 では AIRA-α が文献情報を元に研究仮説・AI 手法候補・評価指標を推定して提示します。
⚠️ Layer 2 の内容は LLM が推定した仮説です。事実ではなく出発点として扱ってください。
今回の Layer 2 で提示された AI/ML 手法候補は以下の通りです。
| # | AI/ML 手法候補 | 推定根拠 | 検証ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | scBERT / Geneformer(トランスクリプトーム Foundation Model) | 数万遺伝子の高次元表現学習に適しており、少サンプルでも転移学習可能 | 200万細胞規模でのファインチューニングコスト・A100 VRAM要件 |
| 2 | Graph Attention Network(GAT)+ 細胞間コミュニケーション解析 | 細胞タイプ間の相互作用(CellChat/NicheNet)がAD病態に重要との先行研究あり | グラフ構築の計算コスト・バッチ効果の影響 |
| 3 | Variational Autoencoder(scVI)+ Random Forest | scVIはバッチ補正と次元削減を同時達成、RF は解釈性が高くバイオマーカー特定に向く | scVI潜在空間の生物学的解釈・多重比較補正法の選定 |
Layer 2 の内容は LLM の確率的サンプリングにより毎回変わる可能性があります。最終的な手法選択は Phase 0 の文献調査で確定されます。
「確認」と返信すると、Phase 0(研究プラン策定)に進みます。
Step 6: 先行研究の自動探索(Phase 0 × ToolUniverse MCP)
Layer 2 を「確認」して承認すると、AIRA-α は Phase 0(研究プラン策定) を自動開始します。このフェーズで ToolUniverse MCP が自動的に呼び出され、PubMed などを横断した先行研究調査が実施されます。
ユーザーが追加操作をしなくても、以下が自動で生成されます。
-
phase0-research-plan.md: 文献調査に基づく180日間研究プラン(完全版) -
phase0-research-survey.md: 先行研究サマリ
ToolUniverse は Harvard Medical School の Zitnik Lab が提供する AI 科学ツール統合 MCP です。PubMed・ChEMBL・GWAS Catalog・Ensembl など 2,800 以上の科学データベースを統一 API で横断検索できます。scRNA-seq 研究の独創性を裏付けるための先行研究調査に特に有効です。
Phase 0 で確定した採用 AI/ML 手法
Layer 2 で提案された 3 候補を文献調査で精査した結果、以下の手法が採用されました。
| フェーズ | 手法 | 根拠論文 |
|---|---|---|
| バッチ補正・統合 | scVI | Green et al., Nature 2024(ROSMAPへの適用実績) |
| 細胞型アノテーション | scGPT + Geneformer | Cui et al., Nat Methods 2024; Theodoris et al., Nature 2023 |
| バイオマーカー同定 | RF + SHAP | scVI潜在空間との組み合わせで高解釈性 |
| 細胞間コミュニケーション | CellChat / NicheNet | Gabitto et al., Nat Neurosci 2024 |
Layer 2 仮説検証結果: 3つの候補アプローチすべてが文献で支持され ✅ 採用確定。
計算リソース見積もり: 約100–200 A100 GPU時間(推定値)。300万円予算内に収まる見込み。
Phase 0 完了後も随時、先行研究の追加調査を依頼できます。
Step 7: Azure 環境設計とコスト見積もり(Phase 1 / Phase 2)
Layer 2 確認後、AIRA-α は azure-architect(Phase 1)と cost-estimator(Phase 2)を自動で実行します。
Phase 1: Azure 構成設計
今回のセッションで生成された Azure 構成のポイントは以下の通りです。
AI Foundry First Rule 適用結果:
- scGPT / Geneformer / scVI → AI Foundryカタログ未収録のため AML Compute Cluster(A100)を使用
- GPT-4o(パスウェイ解釈支援のみ)→ Serverless API ✅
| リソース | SKU | 用途 |
|---|---|---|
| AML Compute Cluster | Standard_NC24ads_A100_v4(0–2ノード・Spot) | scGPT/Geneformer ファインチューニング |
| AML Compute Cluster | Standard_D32s_v5(0–4ノード・CPU) | RF+SHAP・CellChat・前処理 |
| Azure Blob Storage | ZRS・Hot/Cool/Archive 階層 | 10TB(生データ・処理済みデータ・モデル) |
WAF 5柱: 信頼性 ✅ セキュリティ ✅ コスト最適化 ✅ 運用優秀性 ✅ パフォーマンス ✅
Azure MCP は az login 済みの環境が必要です。
認証が必要な操作(実際のリソースデプロイ等)は Azure CLI でのログイン後に実行してください。コスト見積もりや構成設計だけであれば未認証でも動作します。
Phase 2: コスト見積もり
Phase 2 のコスト見積もりでは、Azure Retail Prices API(実測値)から計算したコストが算出されました。
推奨シナリオ B(GPU Spot + CPU Pay-as-you-go):
| 期間 | USD | JPY(148円/USD) |
|---|---|---|
| 通常月 | $380 | 約¥56,240 |
| ピーク月(Phase2 GPU集中) | $620 | 約¥91,760 |
| 研究期間合計(6ヶ月) | $2,889 | 約¥427,604 |
🔑 コスト最適化のポイント
AML Spot インスタンスを採用したことで、申請予定の Azure 予算(¥350万)に対して実際の推定コストは ¥427,604(予算の約12%)です。余剰 ¥3,072,396 を活用して実験規模を最大8倍に拡張、またはRA人件費へ流用申請が可能です。
生成された申請書では直接経費を SPReAD 上限の ¥5,000,000 で申請しています。
| 費目 | 申請額 |
|---|---|
| クラウド利用費(計算) | ¥3,000,000 |
| データストレージ費 | ¥500,000 |
| 旅費 | ¥1,500,000 |
| 論文掲載料 | ¥600,000 |
| 直接経費合計 | ¥3,000,000 ✅ |
Step 8: 申請書草稿の生成(Phase 3)
Phase 2 完了後、proposal-writer(Phase 3)が文部科学省の審査 6 観点に最適化された申請書草稿を自動生成します。
今回生成された申請書の研究課題名(AIRA-α 生成):
単一細胞RNA-seqとAIによるアルツハイマー病前症候期バイオマーカーの細胞型特異的同定
英語: Cell-type-specific identification of presymptomatic Alzheimer's disease biomarkers via single-cell RNA-seq and AI
SPReAD 審査 6 観点と自己評価
| 観点 | AIRA-α が対応する内容 |
|---|---|
| 独創性 | 先行研究との差分・新規仮説の根拠(ToolUniverse MCP で裏付け) |
| 実現可能性 | 180 日間マイルストーン・Azure 構成・チーム体制 |
| AI 活用の妥当性 | 具体的なモデル・手法の選定根拠と技術的裏付け |
| 波及効果 | 研究成果の社会実装・他分野への応用可能性 |
| 実施体制 | 研究者のスキルセット・役割分担 |
| 倫理配慮 | 公開データ利用のコンプライアンス・プライバシー保護 |
申請前に必ず実施すること
AIRA-α が自動で警告してくれます:
- VI. 研究業績等: プレースホルダーを実際の業績に置き換える
- AIインタビュー: 2026年5月18日正午までに完了・スクリーンショット取得
- Excel 様式1への転記: 本文書を公式 Excel テンプレートに転記(文字数再確認)
- 為替レート確認: みずほ銀行等のTTM仲値で最終確認
研究パイプライン概念図
AIRA-α はMermaidフォーマットで研究パイプラインの概念図も自動生成します。
生成されるファイル一覧
Phase 3 完了後に右パネルの「出力ファイル」から以下をダウンロードできます。
| ファイル名 | 内容 |
|---|---|
meta-prompt.md |
3層構造メタプロンプト(全セッションの要約) |
phase0-research-plan.md |
AI活用研究プラン(完全版 180日) |
phase0-research-survey.md |
文献調査サマリ(先行研究と差別化ポイント) |
phase1-azure-architecture.md |
Azure 構成設計書 |
phase2-cost-estimate.md |
予算見積もり(項目別内訳) |
phase3-proposal.md |
SPReAD 申請書草稿(様式1準拠 セクション I〜IX) |
final-review-report.md |
最終レビューレポート(6観点スコア・改善提案) |
Step 9: 最終レビュー(Phase 3c)— 模擬ピアレビュー
Phase 3 で申請書草稿が生成されると、「次のステップは 最終レビュー(Phase 3c) です」と促されます。「はい」と返信するだけで、全フェーズの整合性検証・模擬ピアレビューが自動で走ります。
AIRA-α が 6 審査観点 で申請書を自動採点します。今回のセッションの結果は以下の通りです。
総合判定: 🟡 改善推奨(12/18点)
| # | 審査観点 | スコア | 点数 |
|---|---|---|---|
| 1 | AI利活用の妥当性・実現可能性 | ○ 良好 | 2/3 |
| 2 | 研究実績 | × 不十分 | 0/3 |
| 3 | 実施計画・資金活用の妥当性 | ◎ 優秀 | 3/3 |
| 4 | 研究課題の優位性・新規性 | ○ 良好 | 2/3 |
| 5 | ノウハウ抽出・共有の実現性 | ◎ 優秀 | 3/3 |
| 6 | 成果の波及可能性 | △ 要改善 | 1/3 |
Phase 3c は申請書のどこが弱点かを即座に可視化してくれます。今回も 「研究実績(観点 2)」が 0 点 — Phase 3 のプレースホルダーが残っていたためです。これは申請者が実際の業績に差し替えるだけで解決します。
即時対応が必要なこと(締切: 2026年5月18日正午)
AIRA-α は修正すべき項目を優先度順に提示します。
- AIインタビューの実施 — 未実施は応募不受理(応募不受理リスク)
- 研究業績等の記入 — プレースホルダーを実際の業績に置き換える(現在0点→最大3点)
修正後の予測スコア: 16〜17点 🟢(採択圏内)
High/Medium 優先度の修正完了後: 16〜17点(採択圏内)
研究実績を差し替えてAIインタビューを完了するだけで、提出可能なラインまで到達できます。
e-Rad 提出ガイドも内蔵
申請書が完成したら、submission-guide サブスキルが e-Rad(府省共通研究開発管理システム)への提出手順を step-by-step でガイドします。
e-Radへの提出手順を教えて
と入力するだけで、以下の手順を丁寧に案内します。
- e-Rad アカウントの確認・所属機関の登録
- 研究課題の新規登録
- 必要書類のアップロード(研究計画書・経費内訳等)
- 機関担当者への承認依頼
- 提出期限の確認
まとめ:AIRA-α での申請書作成フロー
今回体験したフローをまとめます。
【事前準備】
0. 設定(言語・表示モード・GitHubトークン)
← 画面左下「⚙ 設定」から実施(Step 1 の前に必須)
↓
1. 新規プロジェクト作成
↓
2. spread1000-assistant スキル追加
↓
3. 全 MCP 有効化(azure-mcp / microsoft-learn / ToolUniverse)
↓
4. 最初のメッセージ送信(研究テーマを一言で)
↓
5. 1問1答 × 5回(コンテキスト収集)
Q1: DATA — データソース・規模
Q2: TIMELINE — 180日間マイルストーン
Q3: CONSTRAINTS — 予算・人員・計算環境
Q4: DELIVERABLES — 論文・コード公開計画
Q5: BASELINE — 従来手法の限界・AIの必要性
↓
6. Layer 1 承認(構造化メタプロンプト確認)
↓
7. Layer 2 確認(研究仮説・AI手法候補)
↓
8. Phase 0: 研究プラン策定(文献調査サマリ付き)
↓
9. Phase 1: Azure 環境設計
↓
10. Phase 2: コスト見積もり(500万円枠内)
↓
11. Phase 3: 申請書草稿の自動生成(審査 6 観点対応)
↓
12. Phase 3c: 最終レビュー(模擬ピアレビュー・6観点採点・改善提案)
↓
13. e-Rad 提出ガイドに従って提出
全工程を 1 つのチャット画面から 完結できます。生成されたファイルはプロジェクト単位で管理され、ZIP でまとめてダウンロードも可能です。
AIRA-α はあくまで「下書き支援ツール」です。
生成された申請書草稿は必ず研究者自身がレビューし、事実確認・加筆修正を行ってから提出してください。AI が生成した内容に含まれる誤りや不正確な情報に対する責任は申請者にあります。
次回予告
次回(#3)では 採択後の研究実践フェーズを取り上げます。co-scientist スキルを使って、scRNA-seq データの解析パイプラインを AIRA-α で実行する方法を紹介する予定です。
まず動かしてみる。それが AI for Science の最初の一歩。
docker pull ghcr.io/nahisaho/aira:v1.0.0
フィードバック・ご質問は GitHub Issues でお待ちしています。
参考リンク
- GitHub リポジトリ: https://github.com/nahisaho/AIRA
-
Docker イメージ:
ghcr.io/nahisaho/aira:v1.0.0 - ToolUniverse: Zitnik Lab(Harvard Medical School)が提供する科学データベース統合 MCP サーバー
- 文部科学省 SPReAD 事業: https://www.mext.go.jp/
- e-Rad(府省共通研究開発管理システム): https://www.e-rad.go.jp/
- 前回記事 (#1): SPReAD-1000 申請中の研究者へ — AI for Science、どこから手を付ける?





















