はじめに
株式会社ゆめみでは、生成AIに力を入れていくということで取り組みを開始しています。
その中で、ゆめみオープンハンドブック(社内ルール)を学習させたボットの運用が開始されているのですが、(ニュースリリースも出ました! )それ以前にChatGPTを使えるようにしていたボットを1年半くらい運用しているので、そちらの情報をまとめてみようと思います。
こちらの記事のその後です。
開発の背景と目的
ChatGPTが2022年11月30日に世界中に公開され、即座に話題となりました。
2017年のAIブーム時に社内エアコンをSlackから操作できるようにした経験から、ChatGPTも簡単に実装できるのではないかと考えていたのですが、調べたところAPIが利用可能だったため、業務後のゲームする時間を削り開発を始め、2022年12月9日に社内でこっそりリリースしました。
技術スタック
- 構成: Slack -> AWS Lambda -> OpenAI API -> AWS Lambda -> Slack
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ポイント: SlackとLambdaのみでシンプルに実装。(Lambdaはコストが非常に安いため、実質OpenAI APIだけの料金!)
主な機能
基本的にはChatGPTと同様の反応をするのですが、有料版と同じGPT4系のモデルを利用しているため社内メンバー全員が使えるところがポイントです。
モデルも更新された場合はすぐ最新版を反映できるのも強み。
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質問応答: ボットにメンションすると質問すると回答してくれる。
- スレッド対応: スレッド内での質問を理解し、要約や回答を提供。
- DMでの利用: クローズドな質問にも対応。
- 外部URLの読み込み: URLを読み込むことできるので外部サイトの要約やその記事への質問が可能です。
- トランスクリプトの読み込み: slackでは動画を添付するとトランスクリプトが生成されるため、動画についての質問が可能です。「議事録を作成して」などが非常に便利です。また出てきた議事録にたいしてさらに「◯◯の詳細を教えて」など質問ができるため非常に効率がよいです。特に重要な会議動画を全部みるのが大変なため動画を見る時間の節約になりました。
その他、便利機能
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メンション不要の質問:
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を文末につけるとメンション不要で質問が可能です。手軽に利用できるようにしています。 - スタンプ機能: 特定のスタンプに反応するようにしており、そのスタンプを押されるとトリガーとなるプロンプトが発動されます。要約、翻訳、質問など。川柳を詠んでくれるスタンプもあったり、ボケてくれたり分析してくれたりといろいろパターンがあります。さらに動画に議事録作成用のスタンプを押すと議事録が作成されたりします。
簡易GPTs機能
チャンネル毎にシステムプロンプトを設定できるため簡易GPTsとして利用が可能です。
例えば特定のチャンネルにボットに対してキャラクター設定を行うことが可能です。
こちらの記事参照
その他にも例えば英語の先生もいたりします。
メンバーの反応
最初はAIに興味あるメンバーが使い始めてくれて、現在では350以上のチャンネルでボットが招待されています。
現在はChatGPT TeamやGithub Copilotも導入されているためメイン利用者は有料契約するほどでもないけれどGPT4使いたい人や気軽に使ってみたいメンバーが多いです。
改善要望とバージョンアップ
自分で開発しているためOpenAIでモデルが上がればすぐにバージョンアップに対応しています。
数えてるだけでも17回はバージョンアップをしており徐々に機能を増やしていってテキスト処理だけであれば通常のChatGPTと同様の処理ができると思います。
また「質問をもっと簡単にできるようにしてほしい」という声を受けて、メンション不要で質問できる機能や、チャンネルではなくDMで使いたい、特定のスタンプに反応する機能を追加などいろいろ実験する場としても活用しています。
個人的には動画を要約してくれるのが本当に動画を見なくて済むので楽ちんです。
コスト
ちょっと使いたい人が個別にChatGPTを契約すると一人当たり3000円ほどかかりますがその必要がなくなり、コスト削減としては効果があると思います。
特に月額の費用としてはOpenAI APIの利用料が月額1万円未満で済んでいるため、400人ほどの社員が使える現状やSlack AIも同様の機能のためそちらの導入コストを考えるとコストパフォーマンスは高いと言えます。
今後の展望
今後は、画像処理などしてみたいと考えていますが会社としてAI開発チームに力を入れていくことになっているのでこのボット以外に色々でてきそうで楽しみです。
個人的にはボットも楽しいですが社内ツールや会社用のGPTs作成も広げていきたいです。
まとめ
この1年半の取り組みを通じて、ChatGPTボットが色々な使い方をされ、他メンバーがどのように使っているのかが可視化され、それを真似して使うことでさらに便利だと気づけるなど生成AIの使い方を啓蒙するのに役立ったと思っています。
印象的なのはキャラクター設定やユーモアのある回答など、遊び心を取り入れた工夫が、生成AIに興味なかったメンバーでも話題になったりしたり、そこから普段関わりのないメンバー同士でつながりができたりとメンバー間のコミュニケーションを促進する要因となりました。
これからも、技術の進化に合わせて色々なものを作り、社員一人ひとりがより快適に働ける環境を用意していきたいです。