この記事ではIBM Cloud Pak for AIOps(CP4AIOps)の概要に加え、既にNetcool/OMNIbusが導入されているユーザーに向けたハイブリッド構成について紹介しています。
CP4AIOpsとは
CP4AIOpsは、AIを活用してIT運用の自動化と高度化が可能です。
Red Hat OpenShiftベースのコンテナ化プラットフォームで、ハイブリッドクラウドやマルチクラウド環境における複雑なITインフラの監視・分析を統合的に支援します。
主なユースケース
- 障害の予兆検知と早期警告
- ログやメトリクスの異常パターンをAIが学習し、ネットワーク機器の故障やパフォーマンス劣化の兆候を事前に検出します。
- イベントの相関分析とノイズ削減
- 大量に発生するイベントをAIがグルーピングし、根本原因に関連するイベントのみを抽出します。
- トポロジー連携による影響範囲の可視化
- IBM Tivoli Network Manager(ITNM)と連携し、障害が発生した機器に依存するサービスや他機器への影響を即座に可視化します。
- Runbookによる自動復旧対応
- 頻発している同様なパターンのネットワーク障害に対して、事前に定義されたRunbookを実行し、復旧を自動化します。
- 類似インシデントの提示と対応支援
- 過去の障害履歴をAIが分析し、現在の障害と類似するケースを提示します。
コンポーネント
CP4AIOpsには以下のようなコンポーネントの他にも状況に応じて導入されるコンポーネントが存在しており、これら全てのコンポーネントがRed Hat OpenShift Container Platform(OCP)上で導入できるように設計されています。
コンポーネント | 役割 |
---|---|
AI Manager | CP4AIOpsの中核。イベントの相関分析、異常検知、予兆検知などのAI機能を提供します。 |
Event Manager | イベントの収集・正規化・フィルタリングを行い、AI Managerにデータを提供します。Netcool/OMNIbusがベースとなっています。 |
Topology | システム構成情報(CI)をAI Managerに提供し、相関分析や影響範囲の特定に必要します。 |
ハイブリッド構成
CP4AIOpsのコンポーネントは全てOCP上に導入可能となっていますが、もともとNetcool/OMNIbusをオンプレで導入しているユーザーの中には、既存の資産を活かしたい方もいるかと思われます。
そういったユーザー向けの構成として、オンプレのNetcool/OMNIbusと、OCP上で動作するその他のコンポーネントによるハイブリッド構成が考えられます。
構成イメージ
イメージとしては、OCP上からEvent Manager(Netcool/OMNIbus)だけをオンプレに移動させる構成となります。
注意事項
ハイブリッド構成に関する主な注意点は製品ページで紹介されていますので、構成前に参照することをお勧めします。
証明書
上記のページでは触れられていませんが、証明書の取り扱いについても注意が必要となります。
Netcool Operations Insight on OpenShift Container Platform(NOI on OCP)とEvent Managerのコンポーネント(WebGUI, Impact)は複雑なインターフェースを持っています。
これらのコンポーネントは同一OCP内の内部通信のみであれば証明書の準備は不要でしたが、Event Managerをオンプレ上に配置する場合、相互に信頼して通信するためには適切に証明書を作成して置き換える必要があります。
例としてNOI on OCPからEvent Managerへのアクセスの場合、Event Managerの各コンポーネント側の証明書を取得し、ConfigMapに保存します。
oc create configmap impact-cert --from-file=<Impactのサーバ証明書> -n <noi-namespace>
引用
- IBM Cloud Pak for AIOps architecture - 公式ドキュメント。CP4AIOpsのアーキテクチャを紹介。