1. はじめに
背景
皆さんこんにちは、エンジニアの弘輝です。
現在、AWSソリューションアーキテクト プロフェッショナル(SAP)を取得するために勉強しているんですが、学習を進める中でアソシエイト(SAA)試験ではつまずかなかった「Amazon Route 53」関連の問題につまずくことが多くなりました。
「ホストゾーン」「リゾルバー」といった単語が飛び交うようになり、これは単なるDNSではないなと思うようになりました。
そこで今回は、Route53の基本から、試験によく出る「ルーティング」や「オンプレミス連携」までを、整理してみたいと思います。
この記事の目的
- Route53関連の概要、アーキテクチャを理解し問題を難なく解けるようにする。
2. Route 53の概要
まずは、Route 53がどんなサービスなのか、従来のDNSと比較しながら見ていきます。
そもそもDNSとは?
DNS(Domain Name System)は、人間が覚えやすいドメイン名(例: www.example.com など)を、コンピュータが理解できるIPアドレス(例: 142.250.xxx.xxx)に変換する技術のことです。
Route 53は、この基本的なDNS機能に加えて、AWSならではのたくさんの機能を備えています。これらは後ほど詳しく見ていきます!
雑学:名前の由来とアイコンの秘密
少し雑学ですが、なぜ「Route 53」という名前か調べてみました!
- 「53」: DNS(ドメインネームシステム)が通信で利用する標準ポート番号が「53番」であることにちなんでいるそうです。
完全に余談ですが、アメリカのシカゴとサンタモニカを結ぶ有名な国道 「ルート66(Route 66)」 の看板とそっくりだなと思ったので調べてみたところ、その看板をオマージュしているという説もあるそうです。
個人的にこういう情報と紐づけると覚えやすいので一応記載してみました。
普通のDNSと何が違うのか?
一般的なDNSサーバーと比べて、Route 53ならではの機能がたくさんあります。ここからはそれらを詳しく見ていきます!
紹介する機能
- SLA(稼働率保証)が100%
- 世界規模のエッジロケーション
- 高度なルーティングポリシーとヘルスチェック
- 「ホストゾーン」の2つの顔
- オンプレミスと繋ぐ「Route 53 Resolver」
SLA(稼働率保証)が100%
SLAとはAWSが提供する各サービスの品質(稼働率など)を保証する契約のことです。
Route 53は「100%の稼働率」をSLA の目標値として定義しており、AWSサービスの中でも特に高い可用性を誇ります。万が一この稼働率を下回った場合は、サービスクレジットが提供される契約となっています。
100%という数字はAWSの自信の表れですね。
世界規模のエッジロケーション

※AWS 公式サイトより引用(https://aws.amazon.com/jp/builders-flash/202311/learn-cloudfront-with-trainer/)
世界中に分散配置されたエッジロケーション内のRoute53が、ユーザーの問いかけに応答します。これにより、どこで障害が起きても別の場所がカバーするため、非常に高い可用性を実現しています。
以下の記事にもこのように記載されています。
■AWS ホワイトペーパー「付録B - エッジネットワークグローバルサービスガイダンス」
データプレーンは権威 DNS サービスであり、200 を超える PoP ロケーションと各 AWS リージョンで実行され、ホストゾーンとヘルスチェックデータに基づいて DNS クエリに応答します
ヘルスチェック
Route 53には「ヘルスチェック」という機能があります。
これは、Webサーバーなどが「ちゃんと生きているか?」を定期的に監視する機能です。
このあと紹介するルーティングと組み合わせることで、フェイルオーバールーティングなどを実現することができます。特にフェイルオーバールーティングでは、ヘルスチェックが必須となります。
ルーティング
① フェイルオーバールーティング
- 仕組み: メインのサーバー(プライマリ)と、予備のサーバー(セカンダリ)を用意します。
- 動き: 通常はメインに案内しますが、ヘルスチェックで「メインが故障した」と判断すると、自動的に予備へ切り替えます。
- 用途: 本番環境がダウンした時に、別のリージョンの待機系システムや、S3の「メンテナンス中」画面(Sorryページ)に飛ばすのによく使われます。
② レイテンシールーティング
-
仕組み: アクセスしてきたユーザーから見て、「通信の遅延(レイテンシー)が一番少ないリージョン」をAWSが自動で判断して案内します。
-
用途: グローバル展開しているアプリで、「日本のお客さんは東京リージョンへ、アメリカのお客さんはバージニア北部リージョンへ」といった案内を、速度優先で行いたい場合に使います。
補足:厳密にはユーザーの位置とAWSリージョン間のネットワークレイテンシーに関する、AWSが収集した過去(直近)のデータに基づいて、最も低遅延が期待できるリージョンに自動的にルーティングします。
③ 位置情報ルーティング
- 仕組み: ユーザーのIPアドレスから「どの国・地域にいるか」を特定し、それに基づいて案内先を決めます。
-
用途
- 日本からのアクセスには日本語サイトを、それ以外には英語サイトを表示したい場合。
- 「EUのユーザーのデータは、法律の関係でEUの外に出せない」といった場合。
※レイテンシルーティングが「一番速いリージョン」を優先するのに対して、位置情報ルーティングは「ユーザーの国・地域ごとのルール」を優先して振り分ける点が大きな違いです。
④ 加重ルーティング
- 仕組み: 複数のリソースに対して「重み(数値)」を設定し、その比率に応じてトラフィック(アクセス)を振り分けます。
-
用途
- 新機能のテスト(A/Bテスト)で、「全体の10%だけ新しいサーバーに案内し、残り90%はいつものサーバーへ」といった検証をしたい場合など
ホストゾーン
Route 53でドメインを管理する場所を「ホストゾーン」と呼びますが、これには用途に応じて2種類あります。
① パブリックホストゾーン
- 概要: インターネット上に公開するためのゾーンです。
- 用途: ブログやWebサービスなど、世界中の誰からでもアクセスさせたいドメインを管理します。
② プライベートホストゾーン
-
概要: 特定のVPCに関連付けて使用するゾーンで、そのVPC内からのみ名前解決が可能です。
-
用途: 社内システムやデータベースなど、「インターネットには公開したくないけれど、わかりやすい名前で管理したい」場合に使います。
- 例:
db.internalという名前で、社内のDBサーバーにアクセスできるようにする。
- 例:
オンプレミスと繋ぐ「Route 53 Resolver」
会社の中にサーバルーム(オンプレミス)があり、専用線でAWSと繋いだとします。
ここで困るのが「名前解決」です。
- AWS上のサーバーは、会社のオンプレミスのサーバー名を知りません。
- 会社のPCは、AWS上のプライベートなサーバー名を知りません。
お互いのDNSサーバーが独立しているため、会話ができないのです。
この「仲介役」をしてくれるのが Route 53 Resolver です。
Inbound Endpoint(インバウンドエンドポイント)
- 方向: オンプレミス → AWS
- 役割: 会社のPCから、AWSの中にあるサーバー名を解決したい時に使います。
Outbound Endpoint(アウトバウンドエンドポイント)
- 方向: AWS → オンプレミス
- 役割: AWSのサーバーから、会社の中にあるサーバー名を解決したい時に使います。
エンドポイントを作成した後、「どのドメインへの通信を転送するか」を定義する「リゾルバールール(Resolver Rule)」を作成し、VPCに関連付けることで通信が可能になります。
3. まとめ
今回はRoute 53について整理しました。
ホストゾーンやRoute 53 Resolverに関しては概要すら知らなかったので、今回アウトプットすることで理解できてよかったです。
Route 53はまだまだ奥が深く、今回は基礎的な部分だけでしたが、今後新しい発見があれば「#2」として続編を書きたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。





