SES(システム・エンジニアリング・サービス)とは?
SES(システム・エンジニアリング・サービス)は、エンジニアの技術力を貸し出すビジネスモデルの一つで、委託契約の一種です。SES企業に所属するエンジニアは、自社とは正社員として雇用され、SES契約に基づいて顧客のプロジェクトに参画します。一方、顧客と結ぶ契約は準委任契約と呼ばれます。
SES企業は、エンジニアの月の単価(レンタル料金)を顧客と先に決め、その単価内でエンジニアの給料が支払われます。このビジネスモデルにより、エンジニアの案件が継続している限り、会社は赤字になることがありません。
ただし、エンジニアの現場が決まらない場合は、会社が自己資金から給料を支払わなければなりません。SESでは、エンジニアへの還元率が高いことが重視されますが、これは単価に対するエンジニアへの支払いの割合を指します。
SESのメリットとデメリット
メリット
-
未経験からでも転職しやすい:
SES企業は未経験者を積極的に採用する傾向があります。これは、案件ごとに求められるスキルスタックがことなるため、必ずしも即戦力である必要がないことが理由です。そのため、未経験からのエントリーも歓迎されることがあります。
-
様々な業界経験を積める:
SES企業は様々な業界やプロジェクトに参画する機会があります。これにより、エンジニアは幅広い経験を積むことができます。例えば、製造業や金融業界など、異なる業種のプロジェクトに参画することで、業界特有の知識や技術を習得することができます。
-
スキルアップの機会が多い:
SES企業では、教育制度やスキルアップ体制、研修カリキュラムを整備し、未経験からの早期スキルアップを支援している企業があります。具体的には専属講師によるIT基礎研修や社内ポータルサイトによる研修動画の公開、eラーニング研修などが主流となっています。
-
対人スキルの向上が見込める:
SES企業では、クライアントとのコミュニケーションが頻繁に行われます。そのため、エンジニアはコミュニケーション能力を高める機会が多くあります。また、プロジェクトメンバーやクライアントとの協力関係を築くことで、チームワークやリーダーシップスキルも向上させることができます。
デメリット
-
働き方に矛盾が生じやすい:
SES契約と雇用契約の間には矛盾が生じることがあります。例えば、有給休暇の消化や退職のタイミングが契約と合わない場合、調整が必要となります。また、SES契約では月間稼働時間が定められているため、有給休暇を取得しても稼働時間を確保する必要があります。(GWやお盆時期に発生しやすい)
-
待機期間は給料減少のリスクあり:
SES企業では、参画案件が決まらない待機期間中は休業扱いとし、給料が減少する場合があります。これは、SES契約がプロジェクトごとに成立するため、案件が決まらないと収入が得られないからです。しかし、待機期間中でも給与を100%支給するSES企業も存在します。例えば、待機しているエンジニアの割合が低いSES企業では、
他のエンジニアの売上で待機期間中の給与を賄うことができるため、給与の減額が行われない傾向があります。給与の減額は合法的な手段であるもの、待機期間中の経済的な負担を考えると、給与が100%保証された企業を選ぶのが賢明です。
-
上流工程経験を積みづらい:
SES企業では、自社開発やSIerに比べて上流工程の案件が少ない傾向があります。すでに固まった要件に沿っての構築やテスト、運用フェーズからの参画が一般的です。ただし、常駐期間が長い、または経験豊富なエンジニアである場合は、クライアントから要件定義からの案件参画を求められるケースがあり、SESだからと言って必ずしも上流工程を経験できないということはないです。
-
人間関係の希薄さ:
SES企業では、本社との人間関係が希薄な場合があります。プロジェクトごとに異なる現場で作業するため、本社とのコミュニケーション機会が限られることがあります。そのため、会社への帰属意識を持ちにくい傾向があります。
まとめ
SESは、エンジニアが自身の技術力を活かして様々なプロジェクトに参加し、スキルアップを図ることができるビジネスモデルです。メリットとデメリットを理解し、自身のキャリアプランや目標に合わせて適切な選択をすることが重要です。
この記事ではSESの基本的な概念、メリット、デメリットについて解説しました。SESでのキャリアを考える際の参考にしていただければ幸いです。