Azureは2014年に日本リージョンが開設され、本格的に国内利用が始まりました。
それから約10年。気づけばAzureのコストも大きく変わっています。
「Azureって年々高くなっているな」と感じていませんか?
本記事では、2015年〜2025年の価格を整理し、
その変化をVM・SQL・Storageの観点で見ていきます。
■ サマリ
2015年を基準とした2025年現在の価格動向(ドルベース vs 円ベース)を整理すると、以下の傾向が見えます
| サービス | ドルベース単価 | 円ベース価格(為替影響込) |
|---|---|---|
| 💻 VM | +20% 〜 +30% | +80% 〜 +100%(約1.8〜2倍) |
| 🗄️ SQL | +40% 〜 +60% | +100% 以上(約2倍以上) |
| 📦 Storage | +5% 〜 +10% | +30% 〜 +50%(約1.3〜1.5倍) |
👉 コスト増の大きな要因は「値上げ」ではなく「為替(円安)」です。
■ Azure価格推移(2015〜2025)
※代表的な構成(東日本リージョン)をもとに算出
- VM:2vCPU / 8GB クラス(Dシリーズ相当)
- SQL:1vCore / Standard Gen5相当
- Storage:Blob Hot 1TB
※VM,AQLの価格は時間単位(秒課金)ですが、本記事では比較のため月額(730時間換算)で記載しています。
👉 2022年を境に、円ベースのコストが大きく上昇していることが分かります。
| 年 | 価格動向 | 為替 | VM$ | VM¥ | SQL$ | SQL¥ | STR$ | STR¥ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2015 | 初期拡大期 | ¥121 | $12 | ¥1,450 | $25 | ¥3,000 | $20 | ¥2,400 |
| 2016 | 価格競争期 | ¥108 | $12 | ¥1,300 | $26 | ¥2,800 | $19 | ¥2,100 |
| 2017 | 成長期 | ¥112 | $13 | ¥1,500 | $29 | ¥3,200 | $18 | ¥2,000 |
| 2018 | 安定期 | ¥110 | $14 | ¥1,500 | $30 | ¥3,300 | $18 | ¥2,000 |
| 2019 | 基準 | ¥109 | $15 | ¥1,600 | $32 | ¥3,500 | $18 | ¥2,000 |
| 2020 | 横ばい | ¥106 | $15 | ¥1,600 | $32 | ¥3,500 | $18 | ¥1,900 |
| 2021 | 横ばい | ¥110 | $16 | ¥1,700 | $35 | ¥3,800 | $18 | ¥2,000 |
| 2022 | 転換点 | ¥131 | $16 | ¥2,000 | $34 | ¥4,500 | $18 | ¥2,400 |
| 2023 | 実質上昇 | ¥140 | $16 | ¥2,200 | $36 | ¥5,000 | $20 | ¥2,800 |
| 2024 | 値上げ | ¥150 | $17 | ¥2,500 | $37 | ¥5,500 | $20 | ¥3,000 |
| 2025 | 値上げ | ¥150 | $18〜20 | ¥2,800 | $40 | ¥6,000 | $21 | ¥3,200 |
■ サービス別の価格動向
💻 VM(仮想マシン)
- ドルベース: \$12 → \$18(約1.5倍)
- 円ベース: 約1,450円 → 約2,800円(約1.9倍)
スペック向上に伴う単価のスライド
単純な「値上げ」というよりも、ハードウェアの世代交代(v2 → v5/v6)に伴う単価設定の変更が主な要因です。
同じ2vCPUでも、最新世代はCPU性能やディスクI/Oが劇的に向上しており、「1ユニットあたりの処理能力」に対するコストは維持、あるいは改善されています。しかし、最小構成のスペック自体が底上げされたことで、最安値のラインが上昇しています。
🗄️ SQL(データベース)
- ドルベース: \$25 → \$40(約1.6倍)
- 円ベース: 約3,000円 → 約6,000円(約2.0倍)
「マネージド範囲」の拡大とモデル移行
初期のDTUモデルからvCoreモデルへの移行により、リソースの割り当てが明確化されました。
これに伴い、高可用性(HA)構成の標準化、自動バックアップ、高度なガバナンス機能といった
「データベース本体以外の運用機能」がサービスに内包されるようになったことが、ドルベースでの価格上昇に繋がっています。
📦 Storage
- ドルベース: \$20 → \$21(ほぼ横ばい)
- 円ベース: 約2,400円 → 約3,200円(為替分のみ上昇)
単価は安定、しかし「総量」がコストを支配
ストレージのドル単価は、ベンダー間の激しい競争により10年間ほぼ横ばいです。
円ベースの価格上昇は純粋に為替影響によるものですが、多くの現場でコスト増を感じる原因は単価ではなく、ログ、バックアップ、分析データなどの「累積量」が10年へて増大している点にあります。
■ まとめ
単純なサービスの値上げ以上に、以下の要素が複合的に影響しています。
💱 ① 為替(円安)と価格調整の影響
Azureのコスト増を語る上で避けて通れないのが、為替相場の変動です。2015年当時は 1ドル=約120円 でしたが、2025年現在は 約150円 前後で推移しており、この10年で 約25%の円安 が進行しました。
Microsoftは数年おきに「日本円価格の調整(為替補正)」を定期的に実施しています。たとえリソース構成を10年前から一切変えていなかったとしても、この為替影響だけで請求額が自動的に25%以上も膨れ上がっているのが現在の実態です。
🛡️ ② 構成の高度化と「標準装備」の変遷
10年前は「シングル構成・パブリック接続」といった最小限の構成からクラウドをはじめてみるがスタートでした。しかし現在では、クラウド利用の成熟に伴い、「安全・止まらないための設計」が標準へと変化しています。
-
PaaSの進化: SQLデータベース等において、高可用性(HA)や自動バックアップがサービスに最初から内包されるモデルへと移行し、マネージドの範囲が大きく拡大しました。
-
防御の多層化: ゼロトラスト環境の構築が必須となり、WAF / Azure Firewall / Defender for Cloud / Private Endpoint といったセキュリティパーツを組み合わせた多層防御が「標準構成」に組み込まれるようになりました。
サービス単体の価格以上に、信頼性とセキュリティを担保するための「構成パーツ数」そのものが増えたことが、総額を押し上げる大きな要因となっています。
📈 ③ 利用量およびデータの「蓄積」
ストレージのドル単価そのものは10年間ほぼ横ばいですが、運用コストが増大している背景には「扱うデータ総量」の増加があります。
-
対象の拡大: システムログや監査ログの長期保存、自動バックアップ、さらにはデータ分析基盤(Data Lake)への蓄積など、保護・活用すべき対象が多角化しました。
-
特性: データの蓄積は稼働時間に比例して積み上がり、明示的な削除やアーカイブ処理を行わない限り増え続ける性質を持っています。
-
相関: ビジネスの成長やDX推進に比例して、システムが扱うデータ量(スループット)も増大しました。
「単価」に大きな変化がなくても、扱う「量」の増大が10年前から進んだことが、総額を押し上げる大きな要因となっています。
■ 参考
※ Azureの価格は公式に年次推移として公開されているものはなく 、
Pricing Calculator や Price Sheet 等をもとに時点ごとの価格を確認する形となります。
・Azure Pricing Calculator
https://learn.microsoft.com/azure/cost-management-billing/costs/pricing-calculator
・Azure Price Sheet(価格データ)
https://learn.microsoft.com/azure/cost-management-billing/manage/ea-pricing
・Azure Retail Prices API
https://learn.microsoft.com/rest/api/cost-management/retail-prices/azure-retail-prices
■ 価格は変動する仕組み(公式)
・Azure EA価格の考え方
https://learn.microsoft.com/azure/cost-management-billing/manage/ea-pricing-overview
- 価格は変更される可能性がある
- 割引・価格改定・新サービスにより変動
■ 為替の影響(公式)
・Azure価格と通貨の関係
https://learn.microsoft.com/azure/cost-management-billing/manage/ea-pricing-overview
- 為替変動による価格影響あり
- 価格変更は事前通知される
■ 参考(非公式)
・クラウド価格変更ログ(Flexera)
https://docs.flexera.com/cloudmigration/ug/Content/helplibrary/FCReports_CloudPricing.htm
- クラウド価格の変更履歴を整理
- Azure含め横断的に確認可能
