この記事は Engineering Manager Advent Calendar 2019 の16日目のエントリです。
年末で忙しくされているマネージャーの方も多いと思いますが、リラックスして読んでもらえたら幸い。
自己紹介
はじめまして、あるいはこんにちは。オプト執行役員CTOの @hiraiva です。インターネット広告代理店であるオプトにて Opt Technologies というエンジニア組織を4年ほど前に立ち上げ、簡単に言うと色々やってます。
マネージャーとしてのここまでのあらすじ
- 4年前、営業の強い広告代理店が自社ツールの内製化を目指した
- 子会社の開発会社で代表をしていた私が呼ばれて、みんなでエンジニア組織を作ろう、となった
- 色んな人に助けてもらいながら頑張った
- 開発系部署5部署、エンジニア数十名、マネージャー10名の組織になった
その過程でやったこと・起こったこと
- エンジニア向けに 評価制度 を整えた
- 開発状況に応じてハンズオンした
- マネージャーできそうな人にお願いした
- マネージャー同士で連携しあったり助け合うようにした
- 新卒エンジニア研修カリキュラム をみんなで作って実施した
- 人は多少入れ替わった
- それなりにみんな自律的に動いてくれるようになった、と思う
まだできてないこと・もっとやりたいこと
- ストレッチ目標を達成しやすい組織になる
- 結果、みんな成長して市場価値が上がって評価されて給料も上がってヒャッホイ!
で、ヒューマンスキル分類ってなに?
4年間の中で、私がエンジニアの自律性に悩んでいた頃に、エンジニアに対していわゆるヒューマンスキル的なものを網羅的に説明したくて作ったものです。なので、最近作ったわけではない。
「受け止め力」とか「傾聴力」とかって簡単にふんわり言うけれど、実際何なの?とか、その辺のスキルにイメージないからチームワークにつながらないんじゃないの? みたいな気持ちで作った、はず。
準拠している学説も根拠もありませんし、分類自体もMECEでもありません。私自身の経験やマネジメント勘所からふんわり作ってみました。
作ってどうだったの?
一部では1on1の場などで活用してもらって効果があった、かもしれない。組織全体として浸透している実感値はないです。要するに悪影響は無さそうだけどよくわからんと。
ただ、久しぶりに見てみたりすると、それなりにまとまってる感じある。(個人の感想です)
なので、ここで晒すことで、ご意見などいただいて更なる活用イメージなど湧いたら良いなと思って晒します。
ヒューマンスキル分類
分類 | 受動・能動 | 概要 | 具体的な行動 | 得られる効果 | やりすぎた場合・間違えた場合のデメリット | 仕事上で得られうるメリット |
---|---|---|---|---|---|---|
受け止め力 | 受動 | 自分の意見と異なる他者の意見を積極的に理解しようとしたり、自身の意見や感情を傍らに置いて相手の感情に共感を示す力 | ・意見や指摘を言う前に共感を一旦示す ・指摘や批判を真摯に受け止める ・過剰な線引きをせず、色んなことを自分ごととして捉える |
・他者に感情的に受け入れられやすくなる ・他者から頼られやすくなる ・対立を避けられやすくなる |
・自分の意見がない人だと思われる ・面倒事を抱えやすくなる |
・みんなに頼られるチームのキーマンになることにより評価されやすくなる ・他メンバーからの信頼により、自身の発言力が高まる |
傾聴力 | 受動・能動 | 相手の言うことをよく聞き、相手の考えていること感じていることを理解し引き出す力 | ・相槌などの共感的行動を挟みながら相手の話を良く聞く ・オープンクエスチョンを適度に挟むことで、相手が考えをまとめる助けをしたり、相手の思考や感情をトレースする |
・他者に感情的に受け入れられやすくなる ・他者理解が進む ・他者の思考の整理を手伝える |
・他人の心に土足で踏むこむ人だと思われる ・過剰に好意を持たれる |
・他者の理解が進むことで、自身の行動を最適化しやすくなる ・他者の能力開発に貢献し、チームの成果が上がることで自身の評価につながる |
思いやり | 受動・能動 | 相手の気持ちや感情を想像し、それに寄り添った行動をする | ・困っている人に声をかける、または助ける ・他者が困りそうなことを先読みしておいて、準備しておく ・そっとしておいて欲しい人をそっとしておく |
・対立を避けられやすくなる ・協調的な雰囲気や助け合う雰囲気が高まる |
・過度に馴れ合う雰囲気が高まる ・本音を言い合えない雰囲気が高まる |
・チームの雰囲気が和やかになり働きやすくなる ・自分が困っているときに助けてもらいやすくなる |
想像力 | 受動・能動 | 相手の気持ちや感情だけでなく、思考の流れや、行動や発言の理由を想像し、それを基準に行動する力 | ・具体的な行動や発言から、なぜそうしたのかを想像する ・過去の経験や観察から、他者の行動や発言を予測する |
・自身の行動が状況最適化できる ・他者に自身の思惑通りに動いてもらいやすくなる ・想像と検証のサイクルから他者理解が進む |
・人の顔色を伺いすぎたり、見透かすような人だと思われる ・後出しが多い人だと思われる |
・連携力やチームワークが効率化されて評価されやすくなる ・自分の望む状況に持っていきやすくなり働きやすくなる |
説明力 | 能動 | 自分の思考や気持ちを筋道立てて説明し、受け手の理解や共感を想像しながら適切にフォローすることで、他者の理解や共感を高める力 | ・口頭や文章で冗長でなく理路整然とした説明をする ・理解や共感のために図示や補足資料を用いて説明する |
・自分の思考を正しく他者に伝えられる ・曖昧だったり複雑だったりする思考や気持ちを他者に伝えられる |
・饒舌な人だと思われる ・自分の主張はするが、相手の意見を聞かない人だと思われる |
・チーム内でコンセンサスを得やすくなり働きやすくなる ・自身の意図を正しく伝えることで影響力が上がり、評価されやすくなる |
調整力 | 能動 | 対立または相違しうる関係者間の利害を調整しプロジェクトを前に進める力、または自身が面した状況における葛藤を整理や選択肢の追加で乗り越える力 | ・関係者全員の意見をよく聞き、全員が納得できそうなプランを提案する ・矛盾しうる条件を整理、または視点を変えることで、進むべき方向性を見出す |
・対立を避けられやすくなる ・チームや自身の成果を最大化しやすくなる ・チームが不本意な方向性に進むのを避けられる |
・社内政治が好きな人だと思われる ・自己中心的に誘導しているのではないかと勘ぐられる |
・効率的に協働しチームの成果を最大化することで高く評価される ・自身の仕事の費用対効果を最大化しやすくなる |
牽引力 | 能動 | 進むべき方向性を示したり、チームの課題を整理することで、プロジェクトの推進力を高める力 | ・チームの状況を整理し、チームがどう進むべきか他者に理解してもらう ・中長期または長期的な予想や予測を論理的に説明し、他者の行動に影響を与える |
・チームや自身の成果を最大化しやすくなる ・チームが不本意な方向性に進むのを避けられる ・自身の意図をチームに反映できる |
・目立ちたがり屋の煙たい人と思われる ・自分本位に物事を進める人だと思われる |
・効率的に協働しチームの成果を最大化することで高く評価される ・自身の意図をチームに反映させやすく働きやすくなる |
作った時に考えた使い方の例
- 自己分析に活用し、自分の強みと弱みを考えた上で、何を伸ばすか検討する
- 目標を立てる際に、目標達成のために必要な能力を考える
- 個人面談などで、書いてあることについて議論する
- 個人面談で、今足りないところや今後伸ばしたいところを検討する
最後に
誰かの参考になったら嬉しいな。EMを志す人が増えるといいですね。
ただ、マネジメントの話をすると、EMに限らずマネージャー全般の話になる気がしていて、一方でEMにとってもEMに限らないマネジメント力が基礎力としてあるかどうかがポテンシャルにつながる気もしている。要するに、EM系のコミュニティでマネジメント全般の話をしてもいいのか、でもした方がいいんじゃないか、みたいな葛藤です。
葛藤の話は、酒の肴にはぴったりですよね。
ということで、飲み友募集中!
EMの飲み友募集中なので、飲みたい人いたらぜひー
あと、 エンジニアやマネージャーも募集中!
蛇足
某所で紹介されていた システム思考の本 を読んでいて、めっちゃいいと思ってマネジメントや育成と言ったものをシステム思考で整理して、整理されたフィードバックループからマネージャーとしてのアクションリストへと転換する、みたいなことを本当はやってみたかったんですが、間に合いませんでした。