本エントリは Engineering Manager Advent Calendar 2023 のシリーズ2の22日目の記事です。
一昨日くらいまで紅葉の季節だと思っていましたが、明後日クリスマスってマ?
あらすじ
- 今年2023年の8月に Sotas株式会社 に VPoE として入社しました。
- 入社インタビュー してもらいました(宣伝)
- エンジニアリング系社員としてはなんと3人目!(全社員も10人以下)
- めっちゃ開発した
クリスマスなので?とりあえず「3. めっちゃ開発した」の話します。
めっちゃ開発した
日経新聞にもとりあげていただいた「Sotas化学調査」というプロダクトにおいて、端的に言うとめっちゃ開発しました。11月末にリリースしたばかりでまだ公式サイトもないです(汗
どんなプロダクトなの?
Sotas は化学業界向けにいわゆる Vertical SaaS を提供している2022年創業のスタートアップです。
化学業界は、プラスチック製品や部品、塗料、溶剤、フィルムなどなどを扱う割りと大きな業界ですが(製造業中 市場規模 第2位)、こうした化学製品には様々な法規制が関連します。
環境保全、労働者の安全などの観点から、使っちゃいけない化学物質とか、輸入しちゃいけない化学物質とかが法律で決まっているんですね。
んで、そういった法律をちゃんと知らないと、化学製品を売ったり作ったりするのがうっかり法令違反になっちゃうかもしれないわけです。むずかしい!
そこで、Sotas化学調査を使うと、そういった知識がないとできない面倒くさい調査をシステムが代わりにやってくれるわけですね。すごい!(自画自賛)
どうやって開発したの?
化学製品に関する法規制に詳しい方にディレクションしていただく機会に恵まれたので、ドメイン設計についてはそちらの方に相談して大枠を決めることができました。私自身も化学業界は未経験で入社していますので、相談させていただきつつ、適宜わからないところはもちろん自身でも調べています。インターネット便利!
そして、設計があらかた決まった中で、私自身を中心として若干名でゴリゴリ開発しました。やりたかったことはドメイン設計をした人と開発する人が同一になることで、オーバーヘッドを極小化しつつ高速プロトタイピングをする、ってことなので私がその役になってコードを書きまくりました。この歳になってコードを書いてて夜が明けることを経験するとは思わなかった(満足そうな顔)。
ということで、2ヶ月とちょっとで初期バージョンが完成しました。やったね!
技術スタック的な
Sotas工程管理 という TypeScript(Next.js) + GraphQL + Kotlin(Ktor) なプロダクトが、私が入社した時点であったので、それらを踏襲しました。これは結果として正解だったと思います。既存資産流用できたのもありますが、個人的には開発しやすいスタックだったと思います。
ただ、 Next.js は以前にも少し触ったことがありましたが、こんなにがっつり触るのははじめて。ようやく少しだけ React の気持ちになることができた気がします。
Serverside Kotlin は、なかなか良いですね。私自身は Scala の経験がそこそこあったので、慣れるのは割とすぐだったんですが、 Scala が悪いわけではないけれど、 Kotlin の方が素直に書けるなと思うことが多く、意地でも NullPointerException を出さないぞ!という言語仕様なので非常に心地よくコードが書けました。心地よく書けたのは半分くらいは IntelliJ IDEA のおかげだけど、まあ彼らって、そういう…関係だし
高速プロトタイピングならサーバサイドも TypeScript という選択肢が他には有力だと思っていましたが、Kotlin もそこそこ開発速度出る気がしていて、しかも型の力は TS より強いので、テストを書かなくて済む!(違う)
この経験を振り返ってのマネジメント的な意味
入社すぐにがっつり深掘りに入ったことで軸ができた
Sotas に入社することで、化学業界や Serverside Kotlin という未経験の領域に踏みこむことになったわけですが、最初にがっつり深掘りさせてもらったことで、事業的にも技術的にも軸というか、その後につながる橋頭堡ができたなあという感覚です。
とあるプログラミング言語に精通している人は、他のプログラミング言語を習熟するのが早いみたいなことってあるじゃないですか?(あなたならわかってくれると信じています)
ある体系の知識が、アナロジーや差異によって、他の体系の知識を獲得する際にプラスになるといった。その意味で、化学法規というドメインや、自社の技術スタックにどっぷり使ったことで、色々な見通しがつきやすくなった感覚があります。
なので(唐突)、このパターンってマネジメントにも応用が効くんじゃないかなと思いました。
自身のマネジメント力を上げるという観点
特定領域をがっつり深掘りすることで、自身の当該領域や隣接領域に対するマネジメント力を上げるという効果は明確にあるのではないかと感じています。
今回の例で言えば、顧客ともbizともエンジニアとも具体的な言葉で話せるようになったと思っていて、プロダクトマネジメント的にも、テクノロジーマネジメント的にも、ピープルマネジメント的にも、手札がかなり増えた手応えがあります。これはマネジメントタスクに終始しているだけでは、なかなか身につかないポイントだと思います。
他者の育成支援という観点
自身のマネジメント力でもあるかもですが、自分自身が経験したこのパターンを他者に経験してもらうことで、急速なキャッチアップや成長を実現する、という方法がありえるのでは、と改めて思いました。
単にでかい仕事に放り込むだけでは、無茶振りマネジメントに過ぎないと思いますが、自身が経験した立場からそれをお願いすることで、サポートすべき状況やポイントが見極めやすくなりそうかなと。
ただ、そういった機会というのは限られていることが多いと思いますし、本人の負荷も高い施策になると思うので、どの人にやってもらうかも含めて見極めが必要かもれません。
余談ですが、CyberAgentさんとかは、こういったマネジメントをフル活用しているなと改めて思った。(小並感の上にある蜜柑)
とはいえ兼務は悪
西暦2023年の世界では一般に兼務は悪とされていると思いますが(ごめんなさい、あなたが兼務していたとしても、一旦そう思ってください)。今回のようなケースでも、深掘り部分以外の仕事を如何に減らして集中してもらうか、というのは非常に重要だと思います。
なぜなら、深掘り系の業務はコンテキストスイッチによる効率ダウンが著しいと思うからです。ゾーンに入って集中することも必要ですし、気持ち的にも四六時中夢中になって(お風呂の中でも)一つのことを考えている状態が必要で、それを阻害されるとモチベーションにも大きな影響が出ると思います。
私のケースでは、10人以下のアーリーフェーズで組織に対するマネジメントコスト自体は小さかったこと、エンジニア採用のプレッシャーが当時はそこまで高くなかったこと(ここ伏線)、社長の理解があったというか社長に頼まれたこと、などがあって、幸運にもかなり集中する時間が取れました。
すでに成熟している組織などでこれを実践する場合、「お題」の選定も重要ですが、それに集中できる環境を作ってあげることもマネジメントとしては必要になると思います。
これは巧妙に偽装された自社の採用アピールエントリです
気をつけてください。
転職して、私としてはやりたかったことがやれている感は結構あるので、今後も頑張っていく所存。
今回の経験を通しても、結局は私は事業を作って伸ばすということがやりたかったんだということが再確認できました。それによって社会に影響を与えられた感があれば最高。
ただ、それはこれから次第ですね。
逆に言うと、これまで私はしばらくエンジニアリングマネジメント畑のようなところで農作業に勤しんでいたわけですが、採用とかピープルマネジメントとか、それ自体がすごくやりたい訳ではなかったんだなーと思ってしまった。もちろん、手段として必要だと思えば躊躇するつもりはありませんが。
今後の展望
弊社 Sotas は Vertical SaaS スタートアップとして、これからいわゆる T2D3 の成長モデルに挑んでいく段階にあります。
私自身、一応、起業も大企業もスタートアップも経験している身ではあるので、事業や組織の成長を予測しながら、先手先手でやっていきたいと思っております。
スタートアップでしばしば起こりうる、事業の成長に組織の成長が追いつかないという、経営者にとってはある意味嬉しい悲鳴ですが、犠牲になる人が出る可能性がある悲鳴に、誰かの耳が劈かれる(つんざかれる、と読みます。私もはじめて知りました)ことのないように、VPoE としても先を先を見据えて動いていきたいなと思うのでした。
世の中的にも、EM界隈のコミュニティをはじめとして、ありがたいことにスタートアップの各フェーズでの事例がありますし、私自身がこれまで経験したことからも、今どういうフェーズで、次にどういうフェーズになるのか常に予想し続けることが重要かなと。
というわけで?
アーリーフェーズの Sotas では
EMやエンジニアやプロダクトマネージャーやデザイナーを
積極募集中です!!!!!!!1234
化学業界というとイメージ湧かない人も多いと思いますが、結構大きい業界(製造業中 市場規模 第2位)でチャンスがたくさん眠っているなーと日々感じますし、トラディショナルな業界でもあるので、まだ解かれていない課題がたくさんあります。
プロダクト開発的にも、Next.js + Kotlin というスタックに興味があるなら是非ですし、なにせ良くも悪くも何も決まっていないことが多い!「◯◯は俺が育てた」と後の世でドヤれるチャンスに溢れています!
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