はじめに
gear_analyzer.py v3.0の開発を通じて、Claudeの限界がはっきり見えた。
学歴はある。Pythonも書ける。OpenCVも知っている。しかし3Dプリンターが実際にどう動くかを知らないまま最後まできた。4月に入ったばかりの新入社員が、教科書の知識だけで現場に立っているような状態だ。
Claudeが持っていないもの
歯型測定ソフトの開発中に何度も感じたことがある。
「普通だったらこうするだろ」が通用しない。ツーと言えばカーではない。コンセプトを明確に指示しないと見当違いの方向に動く。
具体的には:
- 3Dプリンターのノズルが反時計回りに輪郭をトレースするという動作を知らなかった
- そのためA・Bフランクの非対称性の原因を自分から指摘できなかった
- v1で面積重心を基準にしたのは、軸穴中心で回らないとギヤの当たる位置がちがってくることをわからなかったから。
これらは経験から来る暗黙知だ。文章化されていない知識はClaudeに渡せない。
これらを教えない限り、頓珍漢な答えが返ってくる。
暗黙知を持たせる方法
現状で最も現実的な方法はProjectsのシステムプロンプトに暗黙知を文章化して書いておくことだ。
例えば:
【3Dプリンターの動作】
- ノズルは反時計回りに外壁をトレースする
- コーナー進入側(A側)は慣性で膨らみやすい
- コーナー脱出側(B側)は安定している
- 外壁速度2mm/sが現状の最適値
【ミニッツの制約】
- 8Tピニオンと41Tスパーの中心距離は固定
- モジュール0.5で設計
- 軸穴のガタがRPMに影響する
これをProjectsに入れておけば、毎回説明しなくて済む。
限界
ただしこの方法には限界がある。
暗黙知を文章化する作業はユーザー側の負担だ。そして文章化した時点でそれはもう暗黙知ではなく明示知になる。本当の意味でClaudeに暗黙知を持たせることはできない。
もう一つの限界はセッションをまたいで学習しないことだ。Projectsに書いておけば引き継げるが、会話の中で指摘して修正しても次のセッションではリセットされる。
それでも便利に使えた
限界を認めた上で言うと、6日間でそれなりの完成度の歯型測定ソフトができた。
Claudeの頭の悪さはソフトの完成にそれほど影響しなかった。コンセプトを明確に与えれば動く。間違えたら指摘すれば修正する。その繰り返しで前に進める。
新入社員と同じで、使い方次第だ。
まとめ
- Claudeは学歴はあるが現場経験がない新入社員
- 暗黙知はProjectsに文章化して渡すのが現状の最善策
- 本当の意味での暗黙知は持てないが、明示化することで補える
- コンセプトを明確に与えれば十分使える道具になる
タグ:Python Claude AI プロンプトエンジニアリング 3Dプリンター