はじめに
先日参加した DevelopersSummit2025 のセッションの中で聞いた Agile TPI に関して、私自身初めて聞いたフレームワークであり有用そうだと感じたので本記事では具体的な内容をまとめてみる。
(該当セッション:https://event.shoeisha.jp/devsumi/20250213/session/5527)
Agile TPI ( Agile Test Practice Improvement )とは
テストプロセス改善のフレームワークのことであり、簡単に言うと、プロダクトの品質を向上させるためにテストプロセスの観点から改善していこうというものである。
Agile TPI にはキーエリア、カテゴリ、チェックポイント、クラスタという4つの考えがあり、この考えを合わせてプロセス改善を行っていく。下でそれぞれの考えに関して説明していきたいと思う。
キーエリア
キーエリアとは、テストプロセスの評価軸や分類を指す。以下のように16つの観点に分類されており、この項目に関してそれぞれチェックを行っていき成熟度を計る(どのように成熟度を計るか、に関しては後述するチェックポイントを参照する)。
さらに以下のようにキーエリア毎の優先度も定められているのでこの順に改善を実施していくことが推奨されている(優先度順に、緑>白>橙)。
カテゴリ
カテゴリとは、誰が、を分類したものである。以下のように個人レベル(P)、チームレベル(T)、組織レベル(O)の3つに分類される。上述したキーエリアに対して個人レベルではどうか、チームレベルではどうか、組織レベルではどうか、のように評価していき、Noと回答したセルに対してはYesとなるように施策を検討して改善を計っていく流れになる。
チェックポイント
チェックポイントとは、キーエリア毎にある複数の質問のことである。この質問にYes/No/回答不能と評価していく。以下のように、セル1つずつがそれぞれ質問となっているのでそれぞれに回答していきセルを埋めていく(Yes:緑、No:赤 のようにセルを塗っていくと視覚的に認知不可が下がる)。
クラスタ(優先度)
クラスタとは各チェックポイント毎で優先度をつけたものである。優先度順にAからGまで定められている。
実施フロー
以下で実際の全体的な簡単な流れを図とともに示す。
① チェックポイントの質問に回答する
② 取り組むチェックポイントを決定する
③ ポイントに対する施策を決定し実施する
④ 対象のポイントを振り返り、改善されていれば No → Yes とする
(② ~ ④ を繰り返す、大体1サイクルで1~2ポイントを対象としベイビーステップで改善していく)
改善事例
セッション内で聞いた改善事例を以下に記載する。
改善例①
取り組むチェックポイント
プロダクトリスク分析、計画、準備、テストケース設計のようなテスト活動は、
テスト活動をスプリントのクリティカルパスとならないように、テスト実行よりも前に
行われている。
施策
コーディング前にテスト設計、ケース作成を行うようにプロセスの変更。
改善例②
取り組むチェックポイント
テストの役割を担う開発者が、特にテストエンジニアリングとテストケース設計に関するテストのトレーニングを受けている。
施策
QAセミナーや輪読会の開催によって、テスト活動の知識やテスト技術を習得する。
おわりに
本記事ではデブサミ2025で気になった Agile TPI というフレームワークに関しての概要と、実践事例をまとめてみた。