1 NDLデジコレで古地図を探す
NDLデジコレの詳細検索画面で下記のように入力して検索すると、その地域名に関連のある古地図が出てきます。
キーワード:(地域名)
件名:古地図 地図 絵図(「OR」」に設定)
公開範囲欄が「インターネット公開(保護期間満了)」とあるものは少なくとも国内では著作権保護期間が満了していますので自由に使えます。
画像出力ボタンで100%のサイズの画像をダウンロードします。
2 コモンズにアップロード
アップロードウィザードで適当なメタデータを入力してアップロードし、編集モードで開くと下記のような内容で{{information}}テンプレートが書き込まれています。これを{{Map}}テンプレートに書き換えて
|unwarped=yes
というパラメータを追加します。
このパラメータは後述のWikimaps Warperというツールでまだジオリファレンス(Web地図化)が行われていないことを示し、「Georeference the map in Wikimaps Warper」という青いボタンがコモンズの画像ページ上に表示されます。
このボタンを押すとWikimaps Warper遷移します。
3 Wikimaps Warperで座標付与
古地図などに座標を与え(georeference)、WebGISで重ね表示可能にするものです。オリジナルはこちらですが、今回はコモンズと連携したWikimaps Warperを使います。(詳細な操作説明はこちらを参照)
「Rectify」タブで左右のマップを見比べながら、同一の地点にピンを打ち「WARP IMAGE!」ボタンを押して画像を位置合わせします。(ここではサンプル的にピンは4つだけ打ちましたが、精度を上げるには多いほどベターです)
「Preview」タブで下部のスライダーで透過度を変えながら位置を確認します。
「Export」タブでタイル配信URLを取得できます。
4 地図タイル利用例(uMap)
取得したタイル配信URLは背景地図を設定できるツールやアプリで利用できます。ここではuMapというツールでの利用例を示します。
独自背景欄にタイル配信URLをセットします。
保存してタイルを切り替えます。
背景地図として表示されました。
5 利用できる地図タイルをマップ上で探す
「Find Maps by Location」タブの右側のマップで日本を表示すると、日本をカバーしている古地図など全体がマップから検索できます。この機能により自分で使うだけでなく、コモンズにある古地図画像のうちWeb地図として使えるものの一覧として、誰もが探しやすくなります。
6 トレース
「トレース」タブを選ぶとマップ編集画面が現れます。
これはOpenStreetMapのエディタiDと同じソフトウェアですが、登録データの向き先はOpenStreetMapではなく、別プロジェクトのOpenHistoricalMap.orgとなっています。
OpenHistoricalMap.orgは一言でいえばOSMの歴史的地図バージョンです。OpenStreetMapと同じソフトウェアスタックを使って、OSMの過去版を作成するプロジェクトです。
つまり、Wikimaps Warperの古地図を下絵として地理オブジェクトをiDと同じインタフェースでOpenHistoricalMapに書き込むことができます。(OpenHistoricalMapの詳細はこちら)これにより例えば江戸の町並みを画像ではなく地理データとして持つことも可能になります。
7 さいごに
OpenGLAMの動きの中で日本でも公共博物館や図書館からデジタルアーカイブのデータが公開されることが増えてきています。その活用には個々の所蔵館で公開するだけでなく、ジャパンサーチやコモンズのような領域で形式を揃えて横断的に提供することが重要です。そうすることで二次利用が容易になります。ここで紹介したような流れが広がることを期待しています。