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「Code for 選挙」あれこれ-その3(Wiki*)

Last updated at Posted at 2018-12-02

1.選挙でWiki*ってどゆこと?

選挙や議会の記録は重要なものであるだけに公式文書として残されることも多い。しかしながら20代から50代のいわゆる現役世代は電子的な手段で情報を閲覧することが多く、全般的に紙媒体にアクセスする機会が減っており、まさに選挙に行かない(投票率が低い)世代と符合する。選挙公報、議会だより、選挙結果調といった紙資料は読まれない。IT化の話をするとすぐさま情報端末を使えない人々のデジタルデバイド問題を持ち出す人がいるが、地方の選挙や議会においては現役世代が紙媒体の情報にアクセスできないという逆のデバイド、いわばペーパーデバイドが起きている。

これは本来的には行政側の情報公開の仕組みやオープンデータ化で解決されるべきものであるが、文句を言っているだけでは何も変わらないので、まずは紙媒体中心の情報を電子化・データ化したらどんなことになるかということを示そうとしているのが「Code for 選挙」プロジェクトであり、今回2018松戸市議選での試みでもあった。そのデータの集約先としては参加型で誰もが自由に使え、中立的なポリシーが多いWikimediaプロジェクトのデータベースはとてもよくマッチする。

とはいえ全ての場合に使える訳ではない。例えば立候補者の記事をWikipediaに作成すれば選挙の際の投票先を選ぶのに役立つと思われるのだが、実際にはWikipediaの独立記事作成基準に対して市町村議会の議員は多くの場合特筆性の点で基準を満たさない。そのため、Wikimediaのプロジェクトだけでなく適材適所で様々なデータベースやツールを利用する必要がある。

2.松戸市議選でやったこと

2.1 Wikimedia Commons

2.1.1 写真

 投票所(当日97箇所、期日前13箇所)を自転車で巡りながら写真を撮ってアップロードした。撮影はDIO選挙プロジェクトまつどのメンバーにも協力してもらった。ライセンス(許可する権利)については自分で撮った写真であって特に拘りがなければ、デフォルトではなく極力制約が少なく利用者フレンドリーなCC0に変えて付与することを個人的にはおすすめする。写真撮影時には人の顔や車両のナンバープレートが写り込まないようにご注意を。
投票所の写真一覧
写真の利用例:町名別投票所ビューアー

2.1.2 地理(ポリゴン)データ

 今回の松戸市議選では残念ながらデータを入手できなかったが、投票所に対応する投票区のポリゴンデータは投票率によってそのエリアの色を塗り分けるといった分析や可視化のために非常に重要なデータである。こうしたポリゴンデータもWikimedia Commonsに登録できる。

2.1.2.1 記述方法

下記のようにライセンスや地図初期表示時の位置、ズームレベル等を記述したヘッダを付加しgeojsonスクリプトをラップする形だ。
{
"license": "CC0-1.0",
"description": {
"ja": "2017年改訂衆議院小選挙区千葉1区"
},
"sources": "This data was converted from shape format released by the author Mr. Akira Nishizawa under CC0 at [http://www.csis.u-tokyo.ac.jp/~nishizawa/senkyoku/ CSIS]",
"zoom": 12,
"latitude": 35.616,
"longitude": 140.1093,
"data":
(geojsonの内容をここに貼り付ける)
}

2.1.2.2 Wikimedia commonsへの保存と閲覧

これを.mapという拡張子を付けてWikimedia Commonsに保存すると下記のように閲覧モードで地図上にポリゴンが描画された状態で表示される。
Data Japan election 2017 shuin1201.map   Wikimedia Commons.png
Wikimediaへの登録方法詳細はこちらを参照

2.1.2.3 Wikidataへの登録

Wikidataには「コモンズの地理データ」というプロパティがあり、上記地理データを登録できる。
千葉県第1区   Wikidata.png

2.1.2.4 利用例

こうしたデータが整備されるとWikidataデフォルトのクエリーサービスWDQSを使って下記のような視覚化ができる。

2017年ドイツ連邦議会の選挙区別当選者と政党(Constituencies for the election to the German Bundestag 2017, with winning candidate and party)
Wikidata Query Service.png

2.1.3 表形式データ

地理データと同様の方法で表形式のデータもWikimedia Commonsに保存し、閲覧することができる。(詳細はこちら
例:台北市の人口
今回は使う機会が無かったが、ウェブサイトに表形式のデータを載せる必要がある場合に使うと良いかもしれない。

2.2 Wikidata

各項目についてのスキーマの目安として、それぞれ見出し部分の上位クラス項目に「適用プロパティ候補」を登録してある。各項目の中身については選挙前のデータはほぼ入れたが、選挙結果の反映はこれから。

2.2.1 日本の地方議会議員

議員の例
生年月日などの情報は公人であればあまり問題はないが、立候補者については落選したらただの人なので、当選した議員のみを登録する方針とした。

2.2.2 投票所

投票所の例
全ての投票所を登録した。

2.2.3 地方選挙

選挙結果の例:2014年松戸市議会議員選挙
衆院選の時と同じように議会開催期を表す概念や通番が無いため、その表現方法が課題。

2.2.4 松戸市の投票区

投票区の例:松戸01区
こちらは1件、試験的に作っただけ。ポリゴンデータが入手できたら充実させて行く予定。

3.ふりかえりとこれから

  • Wikimedia Commons: 今回は写真メインで利用したが非常に使いやすかった。今後は地理データや表形式データについても活用して行く予定。
  • Wikidata: 作業開始時の基礎データ収集や最終データの集約用に適している。刻々と変化する情報はspread sheetでやったほうが便利。マスターデータ的な使い方に向いている。今回は地方選では初めての試みであったため十分使いこなすところまでは行っていないが、今後同じようなデータが他自治体でも蓄積されることにより自治体広域での合算や横比較に適していると考えられる。(全国の自治体の投票率をランキングするとか、議員数を比較するとか)とりあえず必要な各項目のプロパティを決めたが、この分野のスキーマについては議論する場を持ちたいところ。
  • Wikipedia: 議員や投票所の記事を掲載したいところだが、上述の通りおそらく独立記事作成基準を満たさないので、代わりにLocalWikiの利用を検討している。

<「Code for 選挙」あれこれ-その2(松戸支部)>「Code for 選挙」あれこれ-その4(OSM編)

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