論文執筆の作業(探す・読む・書く・確かめる)を、AIエージェント向けスキルとして整理し、公開しました。この記事では、設計の対応関係と導入手順を書きます。
- リポジトリ: https://github.com/hideshi/scholarly-agent-skills
- ライセンス: MIT
- 対応言語: 日本語 / 英語
- 想定環境: Cursor、Claude Code、Antigravity など、エージェントスキルを読める環境。導入スクリプトは Python 3 の標準ライブラリで動きます
スキルは執筆の支援までです。生成文・出典・投稿の正確性は保証しません。内容の責任は、書くご本人にあります。
作った理由
海外の大学院で修士論文を書いていたとき、文献は増えるのに引用の可否で止まり、数値の出典を見失い、用語の定義が章ごとにずれていました。
ソフトウェア開発では、同じ種類の失敗を減らす型があります。テストを先に書く。ユビキタス言語で語を揃える。主張と根拠を突き合わせる。その型を、論文の作業順に並べたのがこのスキル集です。
日々の生活が科学技術と人文科学に支えられているので、ITエンジニアなりの恩返しとして公開しています。
設計
特定のエディタ用フォルダだけを正本にはしていません。skills/ と rules/ を共通形式で置き、各ツールへ展開します。論文リポジトリ側は Git サブモジュール、またはシンボリックリンクで参照します。
ソフトウェア側の型と、スキルの対応は次です。
| 開発側の型 | 論文側でやること | スキル |
|---|---|---|
| キックオフ / 完成の定義 | 問い・読者・提出先を1ページに落とす | research-plan-workshop |
| ユビキタス言語 | 用語の定義揺れを先に止める | scholarly-concept-modeling |
| 仕様ギャップ分析 | 先行研究の到達点と自説の差を書く | literature-gap-analysis |
| TDD | 想定反論を先に置き、それを越える本文を書く | counter-argument-tdd |
| 不変条件監査 | 主張と一次情報・引用が対応しているか見る | claim-evidence-gate |
| トレーサビリティ | 本文の引用と参考文献を1対1で見る | citation-traceability-audit |
| ハンドオーバー | セッションをまたいで「今どこまでか」を残す | session-research-handoff |
文献検索は OpenAlex、arXiv、Crossref、Semantic Scholar を使います。PDFは Markdown と図版に分けて残し、あとから検索・引用できるようにします。外国語論文は対訳と用語表を残して読みます。
全部を一度に回す必要はありません。今つまずいているところだけでも使えます。カタログの全文はリポジトリの skills/ja/README.md にあります。
導入
論文用の Git リポジトリを用意したうえで、サブモジュールで入れる例です。
git submodule add https://github.com/hideshi/scholarly-agent-skills.git .scholarly-agent-skills
python3 .scholarly-agent-skills/scripts/setup_submodule.py --lang ja
同じマシンで複数の論文リポジトリから参照する場合は、シンボリックリンク用のスクリプトもあります。詳細は README を見てください。
文献検索など、外部 API へアクセスする処理では、実行者本人の連絡先メールが必要です。OpenAlex / Crossref の polite pool 向けに User-Agent へ載せます。ドキュメント用の example.com や空欄では、HTTP を送らず終了します。リポジトリに個人メールをコミットしないでください。
export SCHOLARLY_CONTACT_EMAIL="ご自身のメールアドレス"
Semantic Scholar を頻繁に使う場合は、任意で SEMANTIC_SCHOLAR_API_KEY も渡せます。
自分で使った例
私はこのスキル集を使い、次の論文を公開しました。個人の公開例です。スキルを使えば同じように論文を公開できる、という意味ではありません。
数値や引用は、一次情報を取りにいき、リポジトリ内に残してから本文へ書いています。AIに任せて終わり、にはしていません。
おわりに
完成を保証する道具ではありません。手元の研究に合わせて、直したり足したりして使ってください。
- スキル集: https://github.com/hideshi/scholarly-agent-skills
- 免責の全文: https://github.com/hideshi/scholarly-agent-skills/blob/main/DISCLAIMER.md
※MITライセンスには、著作権表示の維持など所定の条件があります。
