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準正方形を六角格子に拡張したいって話

Last updated at Posted at 2024-08-01

 ペットボトルを整理していて思ったんです。image.png
 正方形だといい感じに敷き詰められる。image.png
 六角形でもいい感じに敷き詰められる。むしろ最密充填構造。

 つまり、ペットボトルには、「いい感じに敷き詰められる数」と「そうでない数」が存在する……!

正方形になりえる個数

image.png

 これは単純で、$\lbrace1,4,9, \cdots , n^2\rbrace$。いわゆる平方数。

正六角形になりえる個数

image.png

 中心からの長さ $n$ を持つ六角形の外周を考える。このような敷き詰め方ができる数を 六角平方数 と定義する。

  • 中心のマスは $1$
  • そのひとつ外側は $6$
  • そのひとつ外側は $2 \times 6 = 12$
  • そのひとつ外側は $3 \times 6 = 18$
  • (以下略)

 まとめると、

  • $1$ (初項)
  • $6(n-1)$ (初項以外)

 え、なにこの場合分け……合ってるんだけど、なんか気持ち悪い。

 これらの累積和は $1 + \Sigma_{k=1}^{n}{6(k-1)} = 3n^2-3n+1$ です。

 よって、六角平方数は、$\lbrace 1,7,19, \cdots , 3n^2-3n+1 \rbrace$。

準正方形になりえる数

image.png

 これだけだと候補が少なくて寂しいので、短辺と長辺の差が $1$ 以内であるような長方形を作れるような数「いい感じに敷き詰められる」に含めるものとする。これを 準平方数 と定義する。

 準平方数は $\lbrace2,6,12,\cdots,n(n+1)\rbrace$ となる。

準正六角形になりえる数

image.png

 この「準」概念を六角形にも適用します。

  • 最小辺と最大辺の差がちょうど $1$ であるような六角形を、準正六角形 と定義する
  • そのような敷き詰め方ができる数を、準六角平方数 と定義する

 果たしてこれは求められるのか?

場合分け

 とりあえず場合分けで考えます。求めたい面積を $A$ とします。準六角形は、正六角形の辺のうちのいくつかが $1$ 膨らむことが必要条件となるので、それらを全部求めます。

  • 正六角形のうち $1$ 辺が膨らむ場合
     不可能。なぜなら、膨らんだ先の辺の長さは $n-2$ になるため、準正六角形の条件を満たさない。

 また、この考察により、膨らむ辺は連続した辺である必要がわかります。

  • 正六角形のうち(連続した)$2$ 辺が膨らむ場合

 $ A = (3n^2-3n+1) + (2n-1) = 3n^2-n$

  • 正六角形のうち(連続した)$3$ 辺が膨らむ場合

 $ A = (3n^2-3n+1) + (3n-1) = 3n^2$

  • 正六角形のうち(連続した)$4$ 辺が膨らむ場合

 $ A = (3n^2-3n+1) + (4n-1) = 3n^2+n$

  • 正六角形のうち(連続した)$5$ 辺が膨らむ場合

 不可能。なぜなら、膨らんでいない辺の長さが $n+2$ になるため、準正六角形の条件を満たさない。

 という訳で、準六角平方数は、ある整数 $n$ を用いて、以下のいずれかで表せる数であることがわかりました。

  • $3n^2-n$
  • $3n^2$
  • $3n^2+n$

 これと、六角平方数である $3n^2-3n+1$ も、「いい感じに敷き詰められる」に含まれることがわかります。

一般六角数

 なんか、これまでの議論。場合分けを多用したりで、あまりスマートでない……。

 何か、†本質† を見落としている気がする。

 そもそも、一般六角形に対して敷き詰め数を定義できないか?

 言い換えると、

  • $6$ 方向それぞれに対して、順番に $a,b,c,d,e,f$ の長さ持つような六角形を実現する敷き詰め数は?

 待て、こういう時は直交座標系に直すと見通しがよくなる。私は詳しいんだ。

image.png

 こう考えると、求める個数は、正方形から左上の直角三角形と右下の直角三角形を引いたもの!

 よって、求める個数 $A$ は、

A = (a+b-1)(c+d-1)-\frac{1}{2}a(a-1) - \frac{1}{2}d(d-1)

 具体例を確認します。

 上の図の例だと、$(a,b,c,d,e,f)=(3,2,3,2,3,2)$ となり、

\displaylines{
A= (3+2-1)(3+2-1)-\frac{1}{2} \cdot 3(3-1)-\frac{1}{2} \cdot 2(2-1)\\
= 4 \cdot 4 - 3 - 1 = 12
}

 で一致しています。

 他にも、$a=b=c=d=n$ を代入すると、

\displaylines{
A = (n+n-1)(n+n-1) - \frac{1}{2}n(n-1) - \frac{1}{2}n(n-1) \\
= (2n-1)^2 - n(n-1) \\
= 4n^2-4n+1 - n^2+n\\
= 3n^2-3n+1
}

 六角平方数だ!

 準六角平方数についてはどうでしょう。

 このとき、準正六角形の大元となる四角形の個数 $S$ は

S = 2n \cdot 2n = 4n^2

 に限られることがわかります。

証明 四角形を構成する辺としてありえるのは $2n-1,2n,2n+1$ の $3$ 通り。

このとき、辺の長さは同じである必要がある。
なぜなら、四角形の辺の長さが異なる場合、六角形上には $n+1$ の辺と長さ $n-1$ の辺が存在することになり、その差は $2$ となる。
よって、このような六角形は準正六角形として不適である。
よって、大元の四角形の辺の長さは同じであることが証明された。

このとき、辺の長さが $2n-1,2n-1$ であれば、求める六角形は正六角形。
また、辺の長さが $2n+1,2n+1$ であれば、求める六角形はひと回り上の正六角形。
よって、準正六角形の大きな四角形の辺は $2n,2n$ の場合に限られる。

 差し引く三角形の個数 $T$ は、

  • $T_1 = \frac{1}{2}n(n-1) + \frac{1}{2}n(n-1) = n^2-n$
  • $T_2 = \frac{1}{2}n(n-1) + \frac{1}{2}n(n+1) = n^2$
  • $T_3 = \frac{1}{2}n(n+1) + \frac{1}{2}n(n+1) = n^2+n$

 に限られるため、

  • $S-T_1 = 3n^2+n$
  • $S-T_2 = 3n^2$
  • $S-T_3 = 3n^2-n$

 準正六角形の場合もいい感じに整理できました。

結論

 ペットボトルを「いい感じに敷き詰められる数」は、ある整数 $n$ を用いて以下のいずれかで表現できる数である。

  • $n^2$
  • $n(n+1)$
  • $3n^2-3n+1$
  • $3n^2-n$
  • $3n^2$
  • $3n^2+n$

 $100$ 以下のいい感じ数を列挙します。

1 2 3 4 5 6 9 10 12 14 16 17 20 24 25 27 30 35 36 42 44 48 49 52 56 59 64 70 72 75 80 81 89 90
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