はじめに
ターミナルで使える AI コーディングツールを探していて、最初に見つけたのが aider でした。実際に試してみて便利だったのですが、調べていくと OpenCode の方が GitHub スター数 17 万超と圧倒的に勢いがあり、コミュニティも活発なことがわかりました。「主流のツールも試しておきたい」ということで、同じく Ollama + ローカル LLM(Qwen 2.5 Coder)の構成で OpenCode を動かしてみた手順を残しておきます。
対象者
- ローカル LLM でコーディング支援を試してみたい人
- WSL Ubuntu 環境で OpenCode + Ollama を動かしたい人
- GPU なし(CPU 推論のみ)の環境で使えるか知りたい人
環境
- WSL2 Ubuntu 24.04.1 LTS
- GPU なし(CPU 推論のみ)
- Ollama インストール済み
- モデル: qwen2.5-coder:7b(4.7GB)
OpenCode とは
OpenCode はターミナルで動く AI コーディングツールです。TUI(ターミナル UI)を備え、2026 年 6 月時点で GitHub スター数 17 万超・コントリビューター 900 人以上と、オープンソース AI コーディングツールの中で最も勢いのあるプロジェクトです。
| できること | 説明 |
|---|---|
| コード編集 | 自然言語で指示するとコードを直接編集してくれる |
| 複数プロバイダー対応 | OpenAI、Anthropic、Ollama など 75 以上のプロバイダーに対応 |
| セッション管理 | 会話履歴を SQLite で保存・管理 |
| TUI | Bubble Tea ベースの対話的ターミナル UI |
| ツール統合 | ファイル検索・コマンド実行・Web 取得などのツールを AI が使える |
| MCP 拡張 | 外部ツールとの接続を MCP(Model Context Protocol)で拡張可能 |
AI コーディング CLI ツールの現在(2026 年)
ターミナルで動く AI コーディングツールは 2026 年に入って急増しており、30 以上のツールが存在します。主要なツールの位置づけを整理します。
GitHub スター数の比較(2026 年 6 月時点)
| ツール | GitHub スター数 | ライセンス | 特徴 |
|---|---|---|---|
| OpenCode | 約 17 万 | MIT | モデル自由選択・プロバイダー非依存 |
| Claude Code | 約 13 万 | 独自 | 推論の深さ・エージェント能力 |
| Gemini CLI → Antigravity CLI | 約 10 万 | Apache 2.0 | Google が 2026 年 5 月にリブランド |
| Codex CLI | 約 9 万 | Apache 2.0 | サンドボックス実行・安全性重視 |
| Aider | 約 4.7 万 | Apache 2.0 | Git ファースト・変更を自動コミット |
OpenCode vs Aider — 詳細比較
この記事で扱う OpenCode と、前回の記事で紹介した aider を詳しく比較します。
| 比較項目 | OpenCode | Aider |
|---|---|---|
| 設計思想 | IDE ライクな TUI 体験 | Git ワークフロー統合 |
| モデル対応 | 75 以上のプロバイダー。Ollama もネイティブ対応 | OpenAI・Anthropic・Ollama 等に対応 |
| Git 連携 | 手動コミット | AI の編集を自動コミット(git revert で即戻せる) |
| コード検証 | ツール統合でコマンド実行可能 | 変更ごとに lint・テストを自動実行 |
| セッション管理 | SQLite で会話履歴を永続化 | 会話履歴はメモリ上(ファイル出力可) |
| 拡張性 | MCP でツール接続を拡張 | プラグイン機構なし |
| コミュニティ規模 | スター 17 万・急成長中 | スター 4.7 万・安定 |
| ローカル LLM |
opencode.json で設定 |
--model ollama/モデル名 で指定 |
使い分けの目安
- OpenCode が向いている場面: 複数のプロバイダーを切り替えたい、TUI で対話的に作業したい、MCP で外部ツールと連携したい
-
Aider が向いている場面: Git 履歴を重視したい(全変更が自動コミットされ
git revertで即戻せる)、変更ごとに lint/テストを自動実行するループが欲しい
全体の流れ
- Step 1: OpenCode のインストール
- Step 2: PATH の設定
- Step 3: opencode.json(設定ファイル)の作成
- Step 4: 動作確認
※ Ollama と qwen2.5-coder:7b は既にインストール済みの前提です。
Ollama のインストールはこちらの記事を参照してください。
Step 1: OpenCode のインストール
curl でインストールスクリプトを実行します。
curl -fsSL https://opencode.ai/install | bash
実行すると、~/.opencode/bin/opencode にバイナリがダウンロードされ、~/.bashrc に PATH が追記されます。
Successfully added opencode to $PATH in ~/.bashrc
Step 2: PATH の反映
⚠️ つまずきポイント 1: インストール直後は PATH が通らない
インストールスクリプトは ~/.bashrc に PATH を追記しますが、現在のシェルセッションには反映されません。
そのまま opencode と打つと「コマンドが見つかりません」になります。
対処法
以下を実行してシェルに反映させます。
source ~/.bashrc
バージョンが表示されれば OK です。
$ opencode --version
1.17.9
Step 3: 設定ファイルの作成
プロジェクトのルートディレクトリに opencode.json を作成します。
⚠️ つまずきポイント 2: Ollama 用の設定を書く必要がある
OpenCode はデフォルトでは Ollama を使いません。設定ファイルで明示的にプロバイダーとモデルを指定する必要があります。
プロジェクトのルートに以下の内容で opencode.json を作成します。
{
"$schema": "https://opencode.ai/config.json",
"provider": {
"ollama": {
"npm": "@ai-sdk/openai-compatible",
"name": "Ollama (local)",
"options": {
"baseURL": "http://localhost:11434/v1"
},
"models": {
"qwen2.5-coder:7b": {
"name": "Qwen 2.5 Coder 7B"
}
}
}
}
}
ポイント
-
baseURLは Ollama の OpenAI 互換エンドポイント(/v1)を指定 -
modelsのキーはollama listで表示されるモデル名と一致させる - API キーは不要(ローカル実行のため)
設定ファイルの配置場所
| 配置場所 | 用途 |
|---|---|
プロジェクトルートの opencode.json
|
そのプロジェクト専用 |
~/.config/opencode/opencode.json |
グローバル設定 |
Step 4: 動作確認
Ollama が起動しているか確認
$ curl -s http://localhost:11434/v1/models
{"object":"list","data":[{"id":"qwen2.5-coder:7b","object":"model",...}]}
OpenCode からモデルが見えるか確認
$ opencode models ollama
ollama/qwen2.5-coder:7b
⚠️ つまずきポイント 3: モデル指定は「プロバイダー/モデル」形式
モデルを指定するときは ollama/qwen2.5-coder:7b のように プロバイダー名/モデル名 の形式で書きます。モデル名だけだと認識されません。
# NG
opencode run -m qwen2.5-coder:7b "hello"
# OK
opencode run -m ollama/qwen2.5-coder:7b "hello"
TUI で起動
プロジェクトディレクトリで以下を実行すると、TUI(対話的 UI)が立ち上がります。
cd <プロジェクトディレクトリ>
opencode
TUI 内で /models コマンドを使ってモデルを選択できます。
非対話モードで Hello World を書かせてみる
まず Ollama サーバーが起動しているか確認します。
$ ollama list
NAME ID SIZE MODIFIED
qwen2.5-coder:7b ... 4.7 GB ...
応答がなければ、別ターミナルで ollama serve を実行してサーバーを起動してください。
ollama serve
サーバーが起動している状態で、コードを生成させてみます。
opencode run -m ollama/qwen2.5-coder:7b "Hello Worldを出力するPythonスクリプトをhello.pyとして作成して"
hello.py が生成されたら、実行して確認します。
$ python3 hello.py
Hello World
ここまで動けば、OpenCode + Ollama の環境構築は完了です。
つまずきポイントまとめ
| # | ポイント | 症状 | 対処法 |
|---|---|---|---|
| 1 | PATH が反映されない | opencode: コマンドが見つかりません |
source ~/.bashrc または新しいターミナルを開く |
| 2 | Ollama 用の設定が必要 | モデルが見つからない |
opencode.json にプロバイダーとモデルを明示的に記述 |
| 3 | モデル指定形式 | モデルが認識されない |
プロバイダー/モデル名 形式で指定(例: ollama/qwen2.5-coder:7b) |
| 4 | CPU 推論は遅い | 応答に時間がかかる | 7B モデルでも応答に約 10 秒。GPU 無し環境では待ち時間を覚悟 |
参考
まとめ
OpenCode + Ollama で、API キー不要・完全ローカルのコーディング支援環境が作れました。インストール自体は curl 一発ですが、PATH の反映と opencode.json の設定が必要な点は注意です。CPU 推論だと速度面は厳しいですが、手軽に試せる組み合わせとしてはアリだと思います。