はじめに
2026年4月14-16日にポートメッセなごや第2展示館で開催されていた、下記の展示会に参加してきました。この記事では展示会で講演されていたセミナーの要点まとめや感じたことを書いていきたいと思います。
名古屋の展示会といえばのポートメッセ
参加した展示会
「DX 総合EXPO 2026 春 名古屋」
他同一会場併催
「AI World 2026 春 名古屋」
「ビジネスイノベーション Japan 2026 春 名古屋」
参加した意図
最初の理由はタイトルにある通り、ひろゆき氏のセミナーを聞きたかったからでした。せっかく行くのであれば他のセミナーも参加してみるかと予定を立てました。探すとDX化やAIに関してのものが多く占めていました。
私が携わる業務ではDX化(デジタルトランスフォーメーション)の一つ手前のデジタライゼーション、アナログをデジタル化しプロセスを効率化するものが多くを占めています。なのでDX化についての事例などを学ぶことも一つの参加目的としました。
あわせて、業務でも利用する機会が増えたAIについての視野がさらに広がる機会になればよいと思いました。
後は展示会のようなイベントがそれなりに好きで、この展示会はBtoBが主ではあるものの面白そうだなーと感じたのも参加した意図の一つです。
参加した各セミナーについて
各セミナー、話されていた内容のまとめです。
(企業名、登壇者については敬称略)
1.生成AIで進めるDX戦略~富士通コンサルティングファームが描く展望~
Ridgelinez(株)水谷 広巳 / 西山 直希
2.AIエージェントは経営をどう変えるのかー実態と幻想ー
実業家/コメンテーター ひろゆき
3.「自動運転」するバックオフィス。AIエージェントと次世代の自動化
(株)LayerX 前田 祥司
4.AIとeラーニングで実現する次世代社員研修
learningBOX(株) 大谷 智朗
5.業務に活かす、PoCで終わらない AIシステム導入のススメ
アジアクエスト(株) 重川 将
1.生成AIで進めるDX戦略~富士通コンサルティングファームが描く展望~
概要(サイトより抜粋)
Ridgelinez(株)水谷 広巳 / 西山 直希
生成AIの進化は留まることを知らず、LLMの能力は日々向上し続けています。そして今、自律的にタスクを遂行するAIエージェントが実用化の段階を迎え、ビジネスは新たな変革期を迎えようとしています。多くの企業が、この革新的な技術をいかにして自社の成長に繋げるか、具体的な方法を模索しています。 本講演では、AIエージェントをはじめとする生成AIの最新動向と、その核心を分かりやすく解説します。さらに、各社の状況に合わせた導入戦略から、DXを加速させる実践的な活用法まで、具体的な手法を交えてご紹介します。当社の活用事例はもちろん、クライアント企業と共に推進するプロジェクトの最前線から、生成AIが拓くビジネスの未来像をお見せします。
内容
トレンド、活用例、使い方の動向を交えたセミナーでした。
これからは対話型のAI、ChatGPTなどからAIエージェントの時代になるとのこと。
次世代のAIエージェントシステムや自律型ワークフローを設計する際の中核的な概念について説明を受けました。
AIエージェントを実現するときの概念
Ambient Agent
ユーザーが意識して呼び出さなくても、背景で常に動作し、状況に応じて先回りしてサポートするAI
Agent Skills
AIエージェントが特定のタスクを実行するために装備している「道具(ツール)」や「能力」のパッケージ
Human-in-the-Loop
AIの自律的なプロセスの中に、「人間の介入」を組み込む設計思想のこと
これらが合わさりAIエージェントとなるとのこと。つまり、人間の介入が考えられているということですね。完全な自動化はまだ先のようです。
AIのロードマップにはAGI (Artificial General Intelligence / 汎用人工知能)、ASI (Artificial Super Intelligence / 人工超知能)とAI(人工知能)が進化していく過程を、その能力の「広さ」と「深さ」で段階分けした概念が存在するとのこと。
ASIまでいくといわゆるSFのような超未来の世界です。
AIエージェントへの難しさ
AIについての世界規制についても解説されていました。日本はその中でもとても緩いとのこと。
AIはPoCから先にいけないことが多いとのことです。確かにAIの技術ひとつひとつは素晴らしいものが多いですが、それを利用し期待効果を得られるのかはとても難しいです。
全体的にAIのことをじっくりと教えてもらえた気がしました。私は知らない単語も多く、概念を知っておくことも必要だと実感しました。
参考
PoC(Proof of Concept:概念実証)は、新しいアイデアや理論、技術、あるいは特定のシステム構築が「本当に実現可能か」「期待した効果が得られるか」を、本格的な開発に入る前に最小限の規模で検証するプロセス
2.AIエージェントは経営をどう変えるのかー実態と幻想ー
概要(サイトより抜粋)
実業家/コメンテーター ひろゆき
AI活用が加速する中、「AIエージェントは本当に経営を変えるのか」をテーマに、実態と幻想の両面から議論します。組織構造や意思決定、利益モデルへの影響、過剰期待やバブルの可能性まで多角的に検証。経営者が今取るべきスタンスとは何か。ひろゆき氏に、PIVOT野嶋アナウンサーが鋭く切り込みます。
内容
最初の目的であったひろゆき氏のセミナーです。司会の人曰く、千人ほど聴いてたようでぶっちぎりの人気セミナーでした。
経営コースの副題と概要の通り、AIについて大きな視点から見たセミナーと思いきや脱線内容も多かったです。流石ひろゆき氏。
Mythosについて
まず冒頭にアンソロピック社のMythosについて触れました。ここ数日で予想よりもAIが進歩している、将来的にも起きると思っていたが予想よりも早かったとのこと。
Mythosが見つけたバグは構造自体のものと話していました。家の防犯に例えて玄関に2重ロックをつけたとしても裏口の窓ガラス割られて侵入されるよねとのこと。
参考
このMythosからAIによって関連するセキュリティについての話がありました。銀行などのセキュリティがこれから不安になるのでは?の問いにはシステム設計自体も考えるべきとのこと。
ソフトウェアだけでなく、AIの時代ではハードウェアのバグなどを付かれてしまうのでその考えも必要とのことです。
オンプレやインフラについて
また、オンプレ回帰についての話題にはオンプレにできるのは20年くらいと展開していました。インフラのノウハウが少なく古いものはセキュリティホールもありAIもそれらを参考とするのでできる人がいないとのこと。私はインフラエンジニアではなくインフラには疎いのですが、確かにオンプレの最新ドキュメントはあまり見かけない印象です。
AIが発展することによってセキュリティの比重を強くしなければならないのでコストとして嵩む未来が少し怖いなと感じました。
DX化について
DX化とかデジタル化については市場規模が大きければ導入すべき、とのこと。AIを使ったほうがコストは安いことが明白なので。ニッチな市場は利益幅が決まっているのでうまみが少なく、あまり得にならないとのことでした。
AIによって若手はどうすればよいのか
AIが発展することによって想定される人材の管理については流石ひろゆき氏と納得の回答でした。
若手を取るのはリスクだとバッサリ切り捨てていました。その理由はAIが発展しどれほど業務が取られるか分からない、不安定なコストを作れない、育てることに対するコストが勿体無い、優秀であれば転職、劣っていれば利益は出せなくても退職させることはできないとの話でした。利益のみを考えるならば合理的な考えだと思います。会社として何を重視しているかによると思うのでこれはケースバイケースかなと感じます。
AIに勝つという、思想は持たないべき
若手はAIに対してどう向き合うかとの質問には勉強しやすくなったからその分野で使うのがよいのでは?と話していました。英語の発音や数学の問題などは特に良いとのこと
AIの普及によってどのような人材となるべきか
AIがあることで仕事を部下やAIに振るだけの業務形態にいずれはなるのか、その業務形態には自信がないです。という質問にはそのスキルの想定自体不要との話を展開していました。AIが普及することによって求められるのはAIが正しいか正しくないかを判別、承認、責任を取ってくれる人材であるとのこと。なので人として素直で好かれる存在となるべきだとの持論を展開していました。結局最後は人、ということですね。
そのほか
後は経済的に困る人は必要ないものにお金を使うと何だか今回のセミナーに関係なさそうなことも話してました。エンタメのジャンルがそれに当たると、ひろゆき氏を見るために来た人、時間の無駄ですよと笑っていました。
3.「自動運転」するバックオフィス。AIエージェントと次世代の自動化
概要(サイトより抜粋)
(株)LayerX 前田 祥司
生成AIの業務活用が当たり前となった今、バックオフィスの効率化は全く新しいフェーズへ突入しました。これまでのAIが人間の作業を助ける「カーナビ(運転支援)」だとすれば、現在台頭している自律型AIエージェントは、自ら考え業務を完遂する「自動運転」そのものです。
本講演では、AIエージェントによってバックオフィス業務がどのように「自動運転化」されていくのか、その最新トレンドと実装へのステップを解説します。「作業」をAIに委ねた先にある、人間が本来担うべき「価値創造」にフォーカスした次世代の組織のあり方を、マーケティングの最前線からの視点でお伝えします。
内容
活用事例をもとにAIエージェントとは、についてまとめたセミナーでした。まずAIエージェントとは自律的にタスクを遂行して目的を達成するシステムと位置づけていました。
自律性、複数のツール連携、学習ループが根幹にあるとのこと。
現在AIエージェントが求められている理由の根本は将来的な労働力不足が見えるためとのことです。
AIエージェントは発展を続けていますが今はハイプ・サイクルでは恐らく過度期とのこと。何でも自動化できるのではないかという過度な期待が回っている時期です。
ネットを通じて買い物を行うEコマースや今や当たり前のクラウド技術などもハイプ・サイクルの図を辿ってきたとのことです。
AIエージェントを実装するうえで気を付けること
AIエージェントはどれほどよくなっても精度が100%になることは原理上ない、正しくインプットをさせる必要があるとも話していました。
経理業務の例を出してAIエージェントは分けて実装していくべきと話していました。回収、入力、確認差し戻しな分野ごとに分けるべきとのこと。プロンプトの最適化や処理が複雑化するのを防ぐとのことです。
4.AIとeラーニングで実現する次世代社員研修
概要(サイトより抜粋)
learningBOX(株) 大谷 智朗
「教材作成が追いつかない」「運用が特定担当者に依存している」…そんな現場の悩みをAIが解決します。レポート採点を支援する機能や、カッツモデルに基づく階層別研修の設計術を公開。運用の属人化を防ぎ、教育の質を標準化する「内製化」の極意とは。明日から実践できる、新たな研修の形を提案します。
内容
研修とAIを交えた事例の内容でした。
研修にはまず忘却曲線やサンクコストの概念を説明されていました。
忘却曲線は勉強をする上でとても大事な概念なので頭に入れておくことをお勧めします。また、サンクコスト(すでに支払ってしまい取り戻せない時間、金銭、労力のこと(=埋没費用)。も問題とのことです。(見えないコストという表現をしていました。)研修をしたとしても忘れてしまえばそれは埋没してしまうコストとなります。とてももったいないです。
サンクコスト 参考
忘却曲線 参考
AIが得意なこと
AIには準備、運用、成果の壁がそれぞれ存在するとのこと。
SECI(セキ)モデルというナレッジマネジメントの理論の暗黙知、形式知、実践知の三種を紹介していました。
暗黙知は言葉にならないノウハウ、形式知はテンプレートや資料集、実践知は特定の状況化からの動きです。
AIが強いのは圧倒的に形式知とのことです。つまり形式知が問題となるものにはAIの介在する余地があるということですね。
研修、教材へと落とし込む
研修の重要な部分は標準化をして同じクオリティで知識を植え付け、知識の格差をゼロにすることだと話していました。標準化=同じ良い研修ということではなくて人によってそれぞれ適した形の研修をすべきというお話です。
なるほどなと思うと同時に人それぞれはコストがかかるのではと私は思いました。ですがそれらをAIで補えばそこまでコストにならないのではと気づきました。なるほどなるほど
また人材育成のモデルに合わせて、効果的、効率的、魅力的なものを実現することが必要とのお話です。ADDIEモデル、カッツモデル、カークパトリックモデルを例に事例を出していました。
参考
人が人を育てる情熱+戦略的な設計
これらがAIと教育を強くする要素だと言われていました。またAIは小さく始める、指標を明確に決めることも重要とのことでした。
5.業務に活かす、PoCで終わらない AIシステム導入のススメ
概要(サイトより抜粋)
アジアクエスト(株) 重川 将
本セミナーでは、AIシステム導入におけるPoC止まりを脱却し、業務に定着させる為の実践アプローチを、設備保全・図面検索などのキーワードを交えて解説します。ナレッジ蓄積の仕組みから運用・精度改善まで、現場で使われ続けるAI活用のポイントを事例と当社のケイパビリティの面からご紹介します。
内容
実際の導入事例、開発事例を踏まえたAIシステム導入についてのセミナーでした。
強く言っていたのは「AIで何をするかではなく、何を改善するか」というところです。
システム開発の中でも企画、要件定義のフェーズが存在しますがその時点で定めておくことが重要とのこと。
AIを使用したシステムを作るうえで気を付けたいこと
また、AIに使用するデータを整えること、品質を上げることの重要性と運用でのフィードバックや改善サイクルが本番であり特に重要とのことです。
その失敗事例として工事見積もりAIについてに話されていました。精度が悪くなっているとユーザーから報告を受けた際に原因を調べると新人の見積もりが反映されていたとのことです。AIは使用する際に日々学習を行うことから悪いデータも参考にしてしまう点は注意すべきだと学びました。
細分化やAIに対しての役割を絞ることも重要とのこと。検索と計算はLLMにやらせない、大事な視点だと思います。
まとめ
沢山貰った企業のパンフたち。
とりあえず展示会楽しかったです、楽しみながら知見を得られたので良しです。当初の目的よりもAIについてのセミナー比重が結果的に多くなりました。様々なセミナーを聞きましたがどこをAIに任せるのか、適材適所を定めることが重要になると感じました。
そして概念やモデルの知識が最低限は必要と感じました。AIを動かす大前提の方針などを知っておかなければ実現したいものも実現できないと思います。それもAIに聞けばよいという考えもありますが、提示されたものが必ずしもハマるものでもないと思います。
優秀なAIが将来生まれると仕事が奪われると考えがちですが、人間が介在をする余地はまだまだありそうだと感じました。企画や要件定義に対しては正解が無く、顧客とのすり合わせは必要不可欠です。自発的なコミュニケーションも苦手です。まだまだ人間は戦えそうですね。
パレットリンクでは、日々のつながりや学びを大切にしながら、さまざまなお役立ち記事をお届けしています。よろしければ、ぜひ「Organization」のページもご覧ください。
また、私たちと一緒に未来をつくっていく仲間も募集中です。ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。一緒に新しいご縁が生まれることを楽しみにしています。