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iOS の UI テストに Maestro を試してみる

Last updated at Posted at 2023-12-23

はじめに

UI 向けのテストツールはいくつかありますが、Maestro は後発?のツールです。
DroidKaigi の勉強会を発端?に SNS でも少し話題になっていたので、チームで試して見ました。

こちらは試してみた系の記事も出回っているので、重複した内容もあると思いますがお付き合いくださいmm
(半分は自分のメモようみたいな感じです、あしからず)

Maestro とは?

UI テストを従来のもの(XCUITest)より簡単に書けるツールです。
具体的には指定された yml 形式で書くだけです。

タイトルは iOS ですが、Android もテスト可能です。
(フレームワークとしては Flutter, React Native も対応している)

さらにオープンソースになっており、無償で使うことができるのも面白い点です。

何か使い勝手で気になることがあれば、自分で PR を出しましょうw

試してみる

- 導入

1. Maestro のインストール

以下のコマンドで実行してダウンロードします。

$ curl -Ls "https://get.maestro.mobile.dev" | bash

or

$ curl -Ls "https://get.maestro.mobile.dev" | zsh

2. パスのセット

maestro コマンドが使えるようにパスを通します。

$ export PATH="$PATH":"$HOME/.maestro/bin"

その後ターミナルを再起動しましょう。

$ maestro

と入力して、こんな感じの画面が出れば OK です。

maestro コマンド

3. Facebook IDB のインストール

Facebook IDB は iOS の自動化を助けるためのツールです。
(なので Android で maestro を使う場合は不要)

こちらを内部的に使用しているようなのでインストールします。
公式に沿って Homebrew で入れていますが、なんでも良いかと思います。

$ brew tap facebook/fb
$ brew install facebook/fb/idb-companion

4. Java のインストール

以下のサイトからダウンロードして、インストールしましょう。
(既にある場合は不要)

Screenshot 2023-12-22 at 20.45.06.png

準備はここまで完了です。

- サンプルの実行

自身のアプリに試しても良いですが、サンプルアプリとその設定をまずは動かす方が手軽です。
今回はそれを前提に行います。

1. シミュレータの起動

シミュレータがいないと失敗するので、なんでも良いの立ち上げておきましょう。
(立ち上がっている端末でテストが実行される)

コマンドからは以下

$ open -a Simulator

2. サンプルのダウンロード

以下のコマンドから落としてきます。

$ maestro download-samples

失敗する場合は、直に URL からダウンロードしましょう。→ Download Link

落としてきたら解凍しましょう。

$ cd ./samples
$ unzip sample.zip

3. サンプルのインストール

Wikipedia.app というのが用意されているので、シミュレータにインストールします。

$ xcrun simctl install Booted Wikipedia.app

このようにアプリがインストールされていれば OK です。

4. テストの実行

あらかじめ用意された ios-flow.yaml があるので、それを実行するだけです。

$ maestro test ios-flow.yaml

こんな感じで実行されます。
(以下はサンプルから yaml を少し書き換えています)

このようにターミナル上で、成功・失敗がアイコンで表示されます。

- 自身のアプリで実行

1. 設定ファイルの作成

サンプルアプリからコピーしてくるのが早いです。
Maestro を使いたいアプリの ID を、yaml に設定してください。

【example】

test.yaml
appId: bundle.id.xxx.yyy.zzz <- ここ
---
- launchApp
.
.

yaml 名はなんでも良いですが、管理しやすいような名前にしておくと良いです。

サンプルの yaml は、シンプルなものしかありません。より複雑な処理がみたい場合は、サンプルアプリ内にあるディレクトリに、別の yaml があるので探してみてください。

2. アプリのインストールと実行

ここからはサンプルと同じ流れです。

シミュレータにアプリがないと実行できないので、ビルドしてインストールしておきましょう。
先ほどと同じように、作成したyaml を実行するだけです。

$ maestro test test.yaml

コマンドに関して

全てのコマンドを掲載しておきます。(2023.12)
必要に応じて公式リファレンスをみてください。

以下、ざっくり勝手に分類しました。

【システム系】
launchApp:アプリの起動
stopApp:アプリの終了
clearState:アプリのデータをリセット
addMedia:デバイスに画像を追加
setLocation:ロケーションを設置(緯度・経度)
travel:ユーザーの動きをセット(緯度・経度とその移動)
startRecording:画面収録の開始
stopRecording:画面収録の終了
takeScreenshot:スクリーンショットをとる
evalScript:JSの実行(yaml 内に直接記述する)
runScript:JSの実行(ファイルの参照)
runFlow: 別 yaml を実行する

【動作系】
tapOn:ボタンタップ
doubleTapOn:ダブルタップ
inputText:値の入力
eraseText:入力の削除(フォーカスが当たっている前提)
copyTextFrom:テキストをコピー
pasteText:テキストを貼り付け
hideKeyboard:キーボードを隠す
pressKey:アプリ外の物理的な操作を行う(ホーム、ロック、ボリュームなど)
openLink:URLを開く(Androidはオプションあり)
repeat:操作を繰り返す
scroll:スクロールする
scrollUntilVisible:表示されるまでスクロールする
swipe:スワイプする

【テスト系】
assertVisible:表示の確認
assertNotVisible:非表示の確認
assertTrue:値が True or 空 の確認
extendedWaitUntil:表示されるまで待つ
waitForAnimationToEnd:アニメーションが終わるまで待つ

【iOSのみ】
clearKeychain:キーチェーンのクリア

【Androidのみ】
back:前の画面に戻る(Android のみ)

今回はコマンドのみですが、他にも多くのオプションなどがあるので、それを駆使してフローを組みましょう。

- 開発のTips

Maestro Studio を使う

アプリ起動中に Maestro Studio を使えば、yaml を書く手助けをしてくれます。
以下を実行すると、WEB が立ち上がり操作できます。

$ maestro studio

立ち上がった WEB には今開いているアプリの画面が出てきます。

Screenshot 2023-11-13 at 13.34.07.png

例えば、テストで
「この場所をタップしたいな〜」
みたいなことを考えたときに、WEB 上でそのID座標などを取得できます。

また、そのまま yaml として設定して、順序をつけたりして書き出すこともできる!便利!

テストの複数実行

方法①

基本的には、同時にいくつかの UI テストを行いたいはずです。

Screenshot 2023-11-13 at 14.00.29.png

その場合は、実行時に yaml が複数入っているディレクトリを指定することで全てのテストを実行します。

$ maestro test maestro_yaml

このように、yaml ファイルごとにテスト結果を得ることができます。

Screenshot 2023-11-13 at 14.07.49.png

ただし、ディレクトリの A~Z 順に実行されてしまうため、命名規則を気をつける必要が出てきます。

そこで、親 yaml を作って、こちらで順番を指定する方法もあります。

方法②

yaml を分割して、runFlow で指定する方法です。

.yaml
- runFlow: another_flow.yaml

テストケースを増やすと、同じようなストーリーが出てくると思います
-> ex 起動してからチュートリアルを突破する

これを別 yaml として書き出して呼び出すことができます。

.yaml
appId: xxx.yyy.zzz
---
- launchApp:
    clearState: true
- runFlow: "flow_tutorial.yaml"
- runFlow: "flow_xxx.yaml"
- runFlow: "flow_yyy.yaml"

また、方法①と違い、自分で順番を指定できるのも良い点!

失敗時のデバッグ

失敗時にはスクリーンショットが記録されます。
-> ディレクトリ:~/.maestro/tests/<datetime>/(Macの場合)

また、出力先は自分で変更できます。

$ maestro test --debug-output /path/to/debug/logs

- 課題

構造が深い画面でのエラー

必ずではないですが

  • SwiftUI で View のネストが深い画面
  • ViewController を複数重ねるような画面

など Maestro 側でヒエラルキーを判断できないことがあります。

【example】

maestro studio

Retrieving the hierarchy is taking longer than usual. This might be due to a deep hierarchy in the current view. Please wait a bit

終わりに

半分は自分へのメモも兼ねているので、これから記事をもう少しだけアップデートしていくつもりです...🙏

いくつか UI テストのツールや、XCUITest を書いたことはありますが、比較的扱いやすいと感じました。個人アプリなどでさくっと導入するにはかなりおすすめです。企業が使う大きいアプリでは、多くの修正が入るため、メンテコストもかかると思います。

画面表示系の動作テストを書くというよりは、

  • URL Scheme での遷移
  • 状態によって変わる画面遷移

etc.

など、あまり UI の変更には左右されないが、大事な機能をテストとして書くと、有用性が高いかなと感じています。

引用

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