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SwiftAdvent Calendar 2020

Day 14

[Swift] Swiftでポインタを使って処理を高速化してみる

Last updated at Posted at 2020-12-13

前書き

Swiftのような高級言語(高水準言語)を書いている人にとって、普段はポインタを意識することはないでしょう。

今回はそんな世界へと一歩踏み入れてみましょう!

ポインタを使った高速化

簡単な例を使って見ていきましょう。

Example1

1. コード例

0~1000の数字を合計するだけの処理を考えた時、以下のようになります。

.swift
func runLoopNumbers() {    
    var sum = 0

    for i in (0...1000) {
        sum += i
    }
}

これをポインタを用いた場合は、以下のように書けます。

.swift
func runLoopPointerNumbers() {            
    var sum = 0
    let sumPointer = UnsafeMutablePointer<Int>(&sum)
    
    for i in (0...1000) {
        sumPointer.pointee += i
    }
}

このUnsafeMutablePointerというのを用いることでポインタを表しています。
(表すための方法がいくつかあり、参考文献の方に詳しく載せているのでそちらをご覧ください)

2. 比較結果

それぞれ10回ずつ実行した結果とその平均時間を取ると

回数 ポインタなし ポインタあり
1回目 2.10E-02 7.37E-04
2回目 9.09E-03 7.12E-04
3回目 9.41E-03 7.10E-04
4回目 9.87E-03 7.16E-04
5回目 9.72E-03 7.19E-04
6回目 9.12E-03 7.25E-04
7回目 1.01E-02 7.26E-04
8回目 9.05E-03 7.28E-04
9回目 9.14E-03 7.30E-04
10回目 8.93E-03 7.15E-04
Average 1.05E-02 7.22E-04
= 0.010539 = 0.000722

実行時間が1秒にも満たないので、一見たいしたことはないかもしれませんが...
実行速度に15倍程の差がついていることがわかります。

※ DateのtimeIntervalSinceで計測
※ E-01 = 10^-1 = 1/10

Example2

海外の競技プログラミングでお馴染みLeetCodeの「1. Two Sum」という問題を例にとってみましょう。

0. 前提

問題は以下のようになっています。

Given an array of integers, return indices of the two numbers such that they add up to a specific target.
You may assume that each input would have exactly one solution, and you may not use the same element twice.

つまり
与えられた配列(nums)から2つを選択し、指定した値(target)を作れるかどうか
ということになります。

その最初の例として、以下が与えられます。

Given nums = [2, 7, 1, 15], target = 9,

Because nums[0] + nums[1] = 2 + 7 = 9,
return [0, 1].

1. コード例

愚直にforwhileを使って解けば、このようになるでしょう。(あくまで一例として)

.swift
func twoSum(_ nums: [Int], _ target: Int) -> [Int] {
    for i in 0 ..< nums.count {
        var j = i+1
        
        while j < nums.count {
            if nums[i] + nums[j] == target {
                return [i, j]
            }
            j += 1
        }
    }
    return []
}

シンプルに配列を2回調査する線形探索をしています。

これをポインタを用いた場合は、以下のように書けます。

.swift
func twoSum(_ nums: [Int], _ target: Int) -> [Int] {
    var newNums = nums
    let pointer = UnsafeMutablePointer<Int>(&newNums)
    
    for i in 0 ..< nums.count {
        var j = i+1
        
        while j < nums.count {
            if pointer[i] + pointer[j] == target {
                return [i, j]
            }
            j += 1
        }
    }
    return []
}

var newNums = numsとしているのが冗長ですが、ポインタを使うために仕方なく置く必要があります。

2. 比較結果

ポインタなし ポインタあり
24ms 8ms

実行速度が3倍早くなっていることがわかります。
処理が重たいものであればもっと顕著な差が出せるでしょう。

3. 余談

ちなみにポインタを使わなくても、この問題は高速にできるので載せておきます。(あくまで一例として)

.swift
func twoSum(_ nums: [Int], _ target: Int) -> [Int] {
    var keyValue = [Int: Int]()
    
    for (i, num) in nums.enumerated() {
        if let index = keyValue[target-num] {
            return [i, index]
        }
        keyValue[num] = i
    }
    return []
}

数字をkeyとして値をキャッシュしておき検索する(ハッシュテーブルを使う)方法です。
これであれば、**O(n)**で済むのでかなり高速です。

実行時間は8msポインタを使った時と同じ速度を出すことができました。

終わりに

実務で使うというのはなかなか難しいかもしれません。
競技プログラミングのようなロジックだけを考える、といった部分的な使い方であればとても入りやすいでしょう。

ただ、余談でも紹介しましたが...
ポインタを使う前にアルゴリズムをちゃんと用いることで高速化できることが多いです。

とはいえ、触ってみてるのは楽しいので、是非みなさんも使ってみてください!

参考文献

Swiftのポインタ関連

ポインタ関連

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