AWS Managed Microsoft AD とは
AWSが提供するマネージドサービス Directory Service の1つで、Microsoft社のActive Directory(AD)をマネージドサービスとして実行するものです。
AWS Managed Microsoft ADの詳細は以下を参照ください。
AWSガイド - AWS Managed Microsoft AD
AWS Managed Microsoft ADのバージョン更新って?
2022年10月までに構築されたAWS Managed Microsoft AD(以下、MSAD)は、内部のWindows OSのバージョンが Windows Server 2012 R2 となっています。
AWSからのアナウンスで、2023年3月からは自動アップグレードが開始されることが発表されています。
更新時の挙動
ほぼ未設定の状態の AWS Managed Microsoft AD (Windows 2012版) が手元にあったので、アップグレードしてみて、その挙動を整理してみます。
- Standardエディション
- シングルリージョン
- ドメインコントローラが2つ
のMSADです。
更新作業時に、ping を実行し続けて挙動を確認しました。(ドメイン管理の挙動は確認していません)
時刻 | 経過時間 | ドメインコントローラ1 | ドメインコントローラ2 | 動作の説明 |
---|---|---|---|---|
17:05 | 0分後 | OS稼働 (ping OK✅) | OS稼働 (ping OK✅) | 【更新】ボタン → 事前SnapShot無し で開始 |
17:09 | 4分後 | OS停止 (ping ❌) | OS稼働 (ping OK✅) | 1つ目のドメコンが停止 (1回目) |
17:13 | 8分後 | OS稼働 (ping OK✅) | OS稼働 (ping OK✅) | 1つ目のドメコンが起動 |
17:24 | 19分後 | OS停止 (ping ❌) | OS稼働 (ping OK✅) | 1つ目のドメコンが停止 (2回目) |
17:38 | 33分後 | OS稼働 (ping OK✅) | OS稼働 (ping OK✅) | 1つ目のドメコンが起動 |
18:07 | 62分後 | OS稼働 (ping OK✅) | OS稼働 (ping OK✅) | 1つ目のドメコンが更新完了! |
18:08 | 63分後 | OS稼働 (ping OK✅) | OS停止 (ping ❌) | 2つ目のドメコンが停止 (1回目) |
18:14 | 69分後 | OS稼働 (ping OK✅) | OS稼働 (ping OK✅) | 2つ目のドメコンが起動 |
18:25 | 80分後 | OS稼働 (ping OK✅) | OS停止 (ping ❌) | 2つ目のドメコンが停止 (2回目) |
18:38 | 93分後 | OS稼働 (ping OK✅) | OS稼働 (ping OK✅) | 2つ目のドメコンが起動 |
19:10 | 125分後 | OS稼働 (ping OK✅) | OS稼働 (ping OK✅) | 2つ目のドメコンも更新完了! |
更新の進捗はマネージメントコンソールに表示されますが、0% → 50% → 100% という変化でしたので、細かなパーセンテージは分かりません。(以下の図は50%のもの)
AWS CLIの場合、以下のコマンドで確認できます。
ds describe-update-directory --directory-id d-xxxxxxxxxx --update-type OS
挙動からわかること
各ドメコンで、OS停止が2回ずつ発生しました。
あくまでも今回の例ですが、実績として2つのドメコンの合計時間は、約2時間でした。
結果を受けて最初は結構時間がかかるな、と思ったのですが、2つのドメコンのシーケンシャル処理なので、1つ1時間です。PCでの作業で考えてみると、Windows Server 2012 R2 → Windows Server 2019 のOSアップグレードが1時間というのは、まあ早いんじゃないかと思い直しました。
(可用性という意味で当然なのでしょうが)同時に2つのOSが停止しないようにアップグレードが動作しました。
注意点
更新中、OSが起動していた時間のすべてでADのサービスが提供できていたかは不明です。
MSADがほぼ素の設定で、事前のSnapshot無し、という前提で実行しました。
どんな環境でも2時間程度になるかは分かりません。参考程度にしてください。
OSバージョンの確認方法
2022年10月以降で、マネージメントコンソール上でWindowsバージョンが確認できるようになっていました。
ちなみに更新後に表示されている【変更】ボタンで、ダウングレードできるようでした。(2023年3月までと推測されます)
合わせて、2022/10/16 以降のAWS CLIでも、OsVersion として情報が取得できるように変わっていました。
AWS CLI
ds describe-domain-controllers --directory-id d-xxxxxxxxxx
MSAD更新前
{
"DirectoryDescriptions": [
{
"DirectoryId": "d-xxxxxxxxxx",
"xxxxxx": "xxxxxxx",
・・(中略)・・
"OsVersion": "SERVER_2012"
}
]
}
MSAD更新後
{
"DirectoryDescriptions": [
{
"DirectoryId": "d-xxxxxxxxxx",
"xxxxxx": "xxxxxxx",
・・(中略)・・
"OsVersion": "SERVER_2019"
}
]
}
OsVersion が SERVER_2012 → SERVER_2019 に変わっています。
「"OsVersion”なんて項目出てこないよ」という方は AWS CLIを最新にアップグレードしてみてください。
参考
AWS コマンドリファレンス