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高専ロボコン-自作スライドレールの紹介

Last updated at Posted at 2020-01-29

はじめに

高専ロボコンでは,ラック・ピニオン機構ベルトドライブエアシリンダなどを使用することが多く,これらは,直動機構と併用してロボットに実装されます.
そこで今回はオススメの既製品スライドレールと,自作スライドレールを紹介します.

おすすめの既製品

既製品があるなら,それを買うに越したことはないです.
カタログ値(データシート)に沿って使用すれば,信頼性は抜群です.
しかし,カタログ値を超える荷重を加えてしまった場合は,簡単に破損してしまいますし,種類によって,必要な取り付け精度等は様々です.
既製品を購入する際は,
・定格荷重
・スライド部のクリアランス
等を十分に確認することを推奨します.

ローラースライドレール セット品 (RSR25-160-S1)【MISUMI】

・レール幅は2パターンから,ストロークは,160~1200[mm]の範囲から選べる.
・レールがアルミ製のため軽量で追加加工もしやすい.
・スライド部に対して,ねじれるような負荷がかかると,ローラーが外れてしまう.

動的定格荷重の最小値が,スライド幅25[mm]で30[N],40[mm]で75[N].クリアランスが,スライド幅25[mm]で0.15[mm]なので,ガチガチに摺動精度出したいときには不向きかもしれません.
高専ロボコンでは,よく,上下機構や定荷重バネを使用した射出機構等に使用されることが多い印象です.

リニアガイド

リニアガイドは様々な会社が様々な規格で,販売してしています.リニアガイド自体は,主に工作機械のXYテーブル等に使用されることが多く,種類も豊富です.
高専ロボコンや大学ロボコンでは,摺動精度が必要となる部分に使用されることが多いです.
例えば,接地エンコーダのサスペンションなど.

・レールがステンレス鋼[SUS440C相当]製のため重く,追加加工が大変.
・クリアランス等,がかなり高精度のため,取り付け精度も重要となる.
・高価

自作スライドレール

自分が所属していたチームでは,大きめのアルミ角パイプで一回り小さめの角パイプを囲むスタイルをよく使用しています.
こんなかんじ
over_view.PNG
画像中で上のパターンは,角パイプにラックを貼っています.
今回は,この自作スライドレールについて紹介していきます.

ローラ

使用しているローラは金属製のベアリングではなく,こちらdr.PNG
通常のベアリングよりも,軽量で安価,はめあい交差がゆるい.
固定用の丸棒orパイプは,通常のベアリングだと寸法公差がきつくて,微妙に丸棒を削らないと通すことができません.そのため,組み立てが大変になりがちです.加えて,通常のベアリングは鉄系であるため,アルミ角パイプが削れてしまい,ガタが生じます.
このローラは,外形がPOM(樹脂)製のため,アルミ角パイプを削ることがないです.

ローラ固定用のシャフト

この構成では,Φ6の軸にΦ3の穴を開ける必要があります.
強度的にはステンレスやアルミ製が望ましいですが,穴あけした際のバリは非常に強固です(体験談).
製作する量を考えると,真鍮の丸パイプを使うのがいいかもしれません.
pipe.PNG
やすーい!
柔らかい真鍮を使うことで,意図的にパイプを潰し,ローラをより強く角パイプに接触させる事もできます.

部品の規格上,ほしい寸法のベアリングやパイプがないこともあります.
その時は,丸パイプを固定する際,M3のワッシャ等で微妙に調整することも可能です.

角パイプの加工

ポケットは卓上フライスで加工しています.
それほど,ポケット加工の精度は必要ないので,ケガキに合わせて目視で調整しながら加工しています.
こんな感じの図面を作ってケガキ.大変です...
hfghghd.PNG
もし,卓上フライスがない場合は,ボール盤で外形に沿って穴をあけて,地道にヤスリで加工する方法がいいかもしれません.
もしくは,次のパーツのように,極力フライス加工を必要としないような設計にしてみるのもいいかもしれないですね.

fdgrgerge.PNG

その他のポイント

ネジ頭の干渉に注意

自作スライドレールを作成する際は,設計時必ずネジまでアセンブリすることをおすすめします.
各クリアランス同士がかなりタイトなので,予期しないところで干渉してしまうことがります.

ラックとピニオンのこと

ラックは,M1.5のフレキラックを使用しています.各クリアランスがタイトなので,角パイプとは,接着剤で固定したあと端をリベットで固定しています.
フレキラックはかなり接着性が悪いので,接着面を増やすために,接着する面同士をヤスリで傷をつけます.
その後,これを使用して接着していました.
ピニオンについては,卓上NCで作成していました.
ない場合は追加加工が必要ですが,既製品でも大丈夫です.
フランジは自作してました.
最近は,クランプタイプのセットカラーをフランジ代わりに使用するのが個人的なトレンドです.

自作スライドレールまとめ

作り方を紹介したように,設計・製作ともに難易度は高めですし,マンパワーも必要となります.
しかし,自分たちでストロークを自由に決めることが可能な点や,他パーツとの親和性が高い点,全体的に安価,などの利点もあります.
既製品と自作スライドレールを用途に合わせて使い分けするのがベストですね.

終わりに

かなりざっくりと自作スライドレールを紹介しました.
もっと詳しく聞きたいことがあれば,気軽に連絡ください(実際のCADデータも共有できます).
動く部分って設計難しいですねぇ..
配線の取り回しとかも考えないと行けないですし...
ケーブルキャリアとかも奥が深い.
次は,2017年度機体の紹介かな.

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