はじめに
「AWS Summit Japan 2026 ~パナソニック様におけるクラウドプラットフォームでのFinOps推進事例のご紹介~」
上記のセッションに参加しました。
大規模組織であるパナソニックグループが、どのようにクラウドのコスト管理(FinOps)に取り組んでいるのか、非常に実践的な内容でしたので、学んだことをレポートとしてまとめます。
クラウドコストの最適化に悩む方、組織で FinOps を推進したい方の参考になれば幸いです。
1. なぜ FinOps が必要なのか?
セッションの冒頭で、クラウドの特性とコスト管理の課題について整理がありました。これが FinOps の必要性の根幹となります。
| クラウドの特性 | 求められるアクション |
|---|---|
| 分散型(誰でも使える) | クラウド利用によるビジネス価値を明確にする |
| 日々変動するコスト | タイムリーでデータドリブンな意思決定 |
| スケーラブル(柔軟に拡張/縮小) | 利用状況に対する財務上の説明責任 |
これらの特性から、従来型のIT予算管理では対応が難しく、継続的にクラウド利用を最適化していく「FinOps」という文化・仕組みが不可欠になります。
2. FinOps の実践サイクル
FinOps は、以下の3つのフェーズを繰り返し実行するサイクルです。
- Inform(情報可vis化): 誰が・いつ・何に・どれくらいコストを使っているかを正確に把握する。
- Optimize(最適化): 収集したデータを分析し、コスト削減や費用対効果を改善する機会を見つける。
- Operate(運用): 最適化施策を実行し、その効果をモニタリング。継続的な改善プロセスを定着させる。
パナソニックでは、このサイクルを回すための具体的な取り組みを進めていました。
3. パナソニックの FinOps 推進事例
採用ツール:IBM Cloudability
パナソニックグループでは、FinOps を推進するツールとして IBM Cloudability を採用しています。
選定理由として、以下の強みが挙げられていました。
- ニアリアルタイムなデータ提供: 変動するコストを迅速に把握できる。
- 強力な可視化機能: ダッシュボードが見やすく、関係者が直感的に状況を理解できる。
- TrueCost Explorer: 詳細なコスト分析やレポート出力が柔軟に行える。
具体的な取り組み
Inform (情報可視化)
- Cloudability を活用し、グループ全体のクラウドコストを横断的に可視化。
- これにより、各部門やプロジェクトが自身のコストを正確に把握できる基盤を構築。
Optimize (最適化)
- 可視化されたデータをもとに、無駄なリソースや非効率な構成を特定。
- 継続的なコスト削減に向けた具体的なアクションプランを策定。
Operate (運用)
ツールを導入するだけでなく、文化として定着させるための活動に力を入れている点が印象的でした。
- 社内展開: イベントやデモを積極的に開催し、関係者の理解を促進。
- ガイドの整備: Cloudability の使い方やコスト最適化の手法をまとめた「Step-by-Step ガイド」を作成し、利用者が自走できるように支援。
- コミュニケーション: 継続的なコスト削減を行うためのコミュニケーションを活性化。
まとめ:ツール導入の先にある「文化の醸成」
今回のパナソニック様の事例から学んだ最も重要なポイントは、以下の点です。
FinOps の成功は、ツール提供だけで実現するものではない。
経営層や現場の利用者に「判断に使えるコスト情報」を提供し、組織全体で FinOps の重要性を理解し、推進していく「文化の醸成」こそが鍵である。
パナソニックグループでは、Cloudability を活用してコストの可視化を実現しつつ、イベント開催やガイド整備といった地道な活動を通じて、グループ全体の FinOps 文化の醸成に貢献したい、という強い意志を感じました。
自社で FinOps を推進する上で、非常に参考になる素晴らしいセッションでした。
