今回もXから拾ったネタ。
定期的に流れてくる、スマホ電卓アプリと一般電卓の演算順位の違いである。
乗除優先のスマホ電卓アプリに対し、一般電卓(実務電卓を含む)は優先順位無く先に入れたものから順に演算する。
このツイートに対し、
「関数電卓のように一般事務と家庭用とを分けて欲しい」と書いている人がいた。
ではそんな人が考える乗除優先の電卓とは…
「50 + 50 = x 2」「358 + 680 + 258 = + 10% =」
加減部分を優先したい場合、そのタイミングで[=]を押させるんだと。
この人は算数の式でも途中にイコールを書いていいと思っているのだろうか。
さすがにこれは「おれのかんがえるさいきょうのでんたく」の域を出ず、ダメである。
この人が考えるまでもなく、乗除優先の非関数電卓は存在する。主として算数学習用電卓のような機種に搭載されている。が、その場合必ず括弧キーが存在する。
算数で式を表記するのと同様、加減の優先順位を上げるために括弧を使う。
この記事では乗除優先の非関数電卓をいくつか紹介する。他にも見つけた方はぜひコメント欄に記載していただきたい。
中でも括弧キーの無い乗除優先の非関数電卓が存在したらぜひ教えて下さい。
※この記事では加算器方式やRPN方式のような演算子後置型の電卓は扱いません。
分数表示のできる算数学習用電卓
最初は、これまで何度も記事にしてきた、分数表示のできる算数学習用電卓である。
これらの機種は関数電卓に近いボタン数があるため、非関数電卓と言っても説得力は無いかもしれないが、そうはいっても関数電卓ではないので候補に上がるだろう。特に中国では今でも入手が容易である。
分数計算のできる算数学習用電卓について調べてみたのうち、括弧キーの付いている機種は全て乗除優先である。
裏を返せば、国内モデルは括弧キーの付いているAZ-90Jを除いて乗除優先ではない(NU-60で確認)。
Texas Instruments TI-7 Math Mate Solar Calculator
たまたま数日前にRedditでもこの機種を取り上げる人がいた。
DATAMATH CALCULATOR MUSEUM にも製品画像がある。
四則演算、+/-、メモリ関連と括弧キーしかない。
先述の方が最も好みそうな電卓である。
Asmix C1242/C1258 リーサムルフト 計算式表示電卓
計算式表示機能付き電卓。
C1242が掲載されているカタログもあるが、現行品はC1258。
黒(C1258BK)と白(C1258W)の2色展開。
キーは四則演算、+/-、メモリ関連、%、税計算に加え、括弧キー、矢印キー、INS/DELキーがある。
このタイプの電卓は計算式を1行に収めなければいけないため、1行の許容範囲を超える加減算が苦手である(2行機以上の関数電卓も同じ)。
幸いこの電卓には[M+][M-]のキーが付いているため、大量の加減算はメモリ計算で代用させることもできる。
創&遊 スクール電卓
ピンクとブルーの2色。
四則演算、+/-、ルート、%と、括弧キー、矢印キー、INS/DELキーがある。
計算式表示機能付き電卓であり、基本的にはC1258と同様と考えてよいだろう。
小学生用電卓にも関わらず12桁あるのがすごい(これもC1258と同じであるため、中身も同一の可能性が高い)。
先述の方もこれなら家庭用として文句はないだろう(色が派手とか言い出しそうだけど)。
とはいえ、主要機種となるには至らず
他にも探せば括弧キー付き1行機があると思うが、国内の現行機種の範囲では見当たらない。
スクール電卓は直販価格1280円(送料別)と手頃であるにも関わらず、通販サイトでも扱いは少ない。
乗除優先の一般電卓を出したところで大して売れない。これが答えである。
関数電卓も1・2行機は十分手頃な価格で入手することができ、乗除優先の用途はこれで十分満たせる。
算数における電卓活用が始まったころはカシオも分数機能付きなど様々な機種を出したが、ほとんどが終売となった。算数における電卓活用は大きな数の計算など補助的に使うことが中心で、電卓に演算順序の確認まではさせるつもりがないのだろう。
それでも乗除優先の一般電卓がいいんだというのであれば、そういう人が自ら電卓を販売してみてはいかがだろうか。