はじめに
2022年にリリースされた3DモデリングツールのWompについてコーヒーカップを作成し、Blenderで作成したコーヒーカップと比較し、その使い勝手や機能のレビューを行います。
Wompとは?
Wompは、直感的で使いやすい3Dモデリングツールです。クラウドベースで動作し、ブラウザから直接アクセスできるため、インストール不要で手軽に始められます。特に初心者に優しい設計が特徴です。
Wompの特徴
シンプルなUI:初心者でも迷わず操作できる直感的なインターフェース
クラウドベース:どこからでもアクセス可能
無料プラン:基本機能は無料で利用可能
機能:オブジェクト同士を溶かしてくっつけるような直感的なモデリングが可能
Blenderとは?
Blenderは、オープンソースの3Dモデリングツールで、プロフェッショナルな機能を無料で提供しています。多機能でカスタマイズ性が高く、アニメーションやレンダリングも可能です。
Blenderの特徴
多機能:モデリング、アニメーション、レンダリング、シミュレーションなど幅広い機能を搭載
オープンソース:無料で利用可能、コミュニティによるサポートも充実
カスタマイズ性:アドオンやスクリプトで機能を拡張可能
コーヒーカップの作成プロセス
シンプルなコーヒーカップの制作を通してBlenderと比較します。
Wompでの作成
1)基本形状の作成
シーンにシリンダー(円柱)のオブジェクトを追加し、任意の大きさに調整します。調整にはギズモを使用することもできますし、右カラムの「物体」タブの中にある数値で調整することもできます。
カップなのでシリンダーの中身をくりぬく必要がありますが、Wompではくり抜き用のシリンダーを用意してネガティブ操作で中身をくりぬきます。
2)ディテールの追加
カップの縁が鋭角なので丸みを持たせます。Blenderの場合、ベベルを使用しますが、Wompでは「丸み」という機能を使用します。
3)テクスチャの適用
モデリングが完成したらテクスチャを適用します。
左上のタブメニューからマテリアルを選択すると、適用できる素材一覧が表示されるので任意のマテリアルを選択します。
Blenderでの作成(比較のための説明なので詳細は割愛します)
1)基本形状の作成
メッシュから円柱を選択してシーンに追加します。
上部に面を追加してその面を押し下げることで空洞を作ります。
2)ディテールの追加
Wompと同様に縁に丸みをつけますが、Blenderの場合は「ベベル」という機能を使います。Blenderのベベル機能は、非常に細かく設定できる点が特徴です。
3)テクスチャの追加
テクスチャの適用については、説明が長くなるため省略します。
詳細な比較
項目 | Blende | Womp |
---|---|---|
価格 | 無料 | 無料(Pro版は月額$9.99) |
操作性 | 多機能だが、習得には時間がかかる。ポリゴンベースのモデリングが基本 | 直感的で初心者に優しい。ポリゴンの概念がなく、粘土をこねるような感覚でモデリングが可能。直感的で初心者向け |
機能性 | プロフェッショナルな機能が豊富。アニメーションやシミュレーションも可能 | 基本的なモデリングには十分。クラウドベースでどこからでもアクセス可能 |
UI | 複雑でカスタマイズ可能 | シンプルで使いやすい |
サポート | 大規模なコミュニティと豊富なチュートリアル | チュートリアルとコミュニティサポートあり |
プラットフォーム | Windows、macOS、Linux | Webブラウザ(クロスプラットフォーム) |
適用範囲 | プロフェッショナル向けの多機能ツール | 3D初心者やデザイナー向け |
カスタマイズ性 | 高い(アドオンやスクリプトが豊富) | 限定的 |
学習リソース | 豊富なオンラインリソース | チュートリアルが充実 |
レンダリング | 高品質なレンダリングが可能 | 基本的なレンダリング機能 |
ポリゴンの比較
Wompで書き出したobjデータをBlender上で配置して、ワイヤーフレーム表示で比較してみました。
Wompの方が明かにポリゴンの数が多いです。
Wompの方が明らかにポリゴンの数が多いです。Wompの場合、手軽にモデリングができますが、粘土をこねくり回すようなイメージなので、どうしてもポリゴンが増えてしまいます。ここまで多いとWomp作成したものをBlenderに持ってきて手を加えるのは厄介です。Wompで作ったものはWomp内で完成させたほうがいいかもしれません。
感想
WompはBlenderに比べると遥かに敷居が低く、使いやすいと感じました。ただし、ある一定レベル以上のことをしようとするとできないこともあり、もどかしく感じることがあります。
また、Blenderと比較してUIの数自体が少ないため覚えやすい部分はありますが、その分できることに制限があります。
それでも、サクッと簡単な3Dモデリングやアニメーションを作るには適していると感じます。
Blenderに比べるととっつきやすいため、モックアップなどを手軽に作るのには適していると思います。また3Dデザインを始めるハードルが低いため手軽に始めてみて、さらに極めたいのであればBldendeやUnityなどを学習するというのはアリだと思います。