はじめに
最近、ターミナルから直接AIを利用する「Gemini CLI」への注目が高まっています。
私自身も、ターミナルとAIを統合し、作業プロセスを一元化する手段として注目していました。
そんな時、Googleのサミットに参加する機会があり、Gemini CLIのセッションを聞くことができました。
セッションでは単なるコード生成ツールだけでなく、ターミナル起点の「汎用エージェント」として機能するデモが紹介されており、その活用幅の広さに感動しました。
本記事では、セッションで学んだYOLOモードやログ分析といった最新機能の話も含め、私なりにさらに深掘りして調べた「Gemini CLIの活用方法」を30個にまとめてご紹介します。
すぐに使える実践的なテクニックもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
開発・実装の補助 8選
まずは基本の開発周りからご紹介します。
1. コミットメッセージの自動生成
git diff の内容をGeminiにパイプで渡して、「Conventional Commitsに従ってコミットメッセージを書いて」とお願いします。
変更内容を的確に要約してくれるので、英語のメッセージ作成がスムーズになります。
2. プルリクエスト(PR)の要約作成
変更差分が多いPRの場合、PRの概要を書くのが大変です。
Gemini CLIで差分を読み込ませ、Markdown形式で「概要・変更点・影響範囲」を出力させれば、PRの説明文や、テンプレート埋め作業を短縮できます。
3. 変数名・関数名の命名案出し
機能の概要を渡して「適切な変数名を5つ挙げて」と聞けば、プロジェクトの規則(キャメル/スネーク等)に合わせた案を出してくれます。
4. 難解な正規表現(Regex)の解説
読み解くのが難しい複雑な正規表現も、意味を日本語でわかりやすく解説してくれます。 また、「郵便番号をチェックしたい」といった指示を出せば、目的に合った正規表現を自動で生成することも可能です。
5. エラーログの解析と原因推定
「Cloud LoggingからGKEのログを取得して原因を調査して」と指示するだけで、Geminiがログを取得・分析し、エラー原因を特定します。
さらに「YOLOモード(承認なし実行)」を活用すれば、解決のための kubectl コマンドの提案までスムーズに行われます。
6. Cron式の生成
「毎月第一月曜日の朝9時に実行」など、頭で考えると複雑なCron設定も、自然言語で依頼すれば正確な記述を提示してくれます。
7. リリースノートのドラフト作成
期間中のコミットログをまとめて渡し、ユーザー向けのリリースノートの下書きを作成させてくれます。
「技術用語を噛み砕いて」と指示すれば、非エンジニア向けのお知らせも分かりやすく作成することができます。
8. CURLコマンドの生成
API仕様書やエンドポイントの情報を渡して、「これを叩くためのcurlコマンドを作って」と頼めば、ヘッダーやボディを含んだコマンドを生成してくれます。
ドキュメント・テキスト処理 8選
画面を行き来せずにターミナル上でテキスト処理が完結するのは、Gemini CLI活用の大きなメリットです。
「マルチモーダル(画像やPDFの認識)」の精度の高さが特徴だと感じました。
9. 日本語ドキュメントの英語翻訳(またはその逆)
README.md などを読み込ませて翻訳させます。
「マークダウンの形式を崩さずに」「技術用語はそのままにして」といった細かい指示が可能です。
10. 議事録の要約
文字起こししたテキストファイルを渡し、「決定事項とネクストアクションだけ箇条書きにして」と頼めば、長時間の会議内容も整理してくれます。
これにより要点整理の時間を大幅に短縮できます。
浮いた時間で技術的な内容の理解に集中できるので、個人的に一番助かっている機能です。
11. 誤字脱字・てにをはチェック
ブログ記事や仕様書のドラフトをGemini CLI経由でチェックすることができます。
「ビジネスライクなトーンに修正して」といった添削依頼も可能です。
12. データのフォーマット変換
「JSONをCSVにして」「YAMLをJSONに変換して」といった作業をGeminiに任せることができます。
これまではWeb上の変換サイトを使うこともありましたが、業務データだとセキュリティ面で躊躇することもありました。
Gemini CLIなら手元で完結するので、作業の効率化に繋がります。
13. 専門用語の「5歳児への説明」
新しい技術概念を理解する際、「Kubernetesを5歳児でもわかるように例えて説明して」と聞くと、お弁当箱やキッチンでの料理などに例えたわかりやすい回答をしてくれます。
公式ドキュメントがいきなり難しくて挫折しそうな時でも、まずはざっくりとしたイメージを掴むことができます。
学習の強い味方です。
14. 感情分析
ユーザーフィードバックやアンケート結果を読み込ませ、「ポジティブ・ネガティブ」判定や、感情の度合いを数値化させることができます。
15. man コマンドの要約
man tar などの長いマニュアルをパイプで渡して、「アーカイブを解凍するコマンド例だけ教えて」と聞けば、ドキュメントを読む時間を短縮できます。
16. 図解コード・スライド生成
「この処理フローをMermaid記法のシーケンス図にして」と頼めば、テキストから図のコードを生成してくれます。
さらにセッションでは、PDFや画像からテキストを抽出してマークダウン化したり、リポジトリの内容からGoogle Slideを自動生成することができます。
インフラ・運用・セキュリティ 7選
インフラ関連の運用負荷を下げるための活用法です。
Gemini CLIツールを作れば、サンドボックス機能などで安全にコード実行させることが可能です。
17. 複雑なシェルコマンドの生成
「画像を一括リサイズして日付順にリネーム」など、調べるのが面倒なコードを作成してもらいます。
「大量のスクリーンショットを YYYYMMDDHHMMSS 形式に変換して」と指示し、Gemini CLIが自動でファイル名を一括置換することができます。
18. SQLクエリの生成
「昨日の売上TOP10の商品と在庫数を出すSQL」など、自然言語からクエリを生成してくれます。
データ分析を効率的に進めることができます。
特に、3つ以上のテーブルを結合(JOIN)するような複雑なクエリは、一から書くと時間がかかりますが、Gemini CLIなら土台を作ってくれます。
細かい条件の修正だけに集中できるので、分析業務のハードルが下がったように感じます。
19. Terraform/IaCの解説
terraform plan の出力結果を読ませて、「具体的にどのリソースが削除されるのか、危険な変更はないか要約して」と聞くと、確認作業の補助として役立ちます。
20. セキュリティリスクの簡易診断
コードの断片を渡して、「ここにSQLインジェクションやXSSの脆弱性はある?」と聞くと、簡易的なセキュリティレビューをしてくれます。
※サンドボックス機能を使えば、ローカル環境への影響を考慮せず安全にコード検証が可能です。
21. 環境変数ファイルのテンプレート作成
ソースコードを読ませて、「このコードに必要な環境変数をリストアップして、.env.example形式で作って」と頼めば、設定漏れを防げます。
開発環境の構築時、「環境変数が足りなくて動かない」というミスを経験したことがあるので、自動化することでこのミスを減らすことができます。
22. tree コマンドからの構成診断
ディレクトリ構造(treeコマンドの結果)を渡して、「このプロジェクト構成は一般的なMVCフレームワークの構成として正しい?」と聞くと、プロの視点で構成レビューをしてくれます。
慣れないフレームワークを使う時はファイルをどこに置けばいいか迷子になることがありますが、Gemini CLIに正解を確認できるので、手戻りなく進めることができます。
23. Dockerfileの最適化提案
Dockerfileを読ませて、「イメージサイズを小さくするための改善案はある?」と聞くと、マルチステージビルドなどの具体的な改善案を提示してくれます。
学習・アイデア・メンタル 7選
最後は、学習効率アップや、日々の業務を円滑にする活用法です。
24. 今日のタスクの優先順位付け
ToDoリストを入力し「緊急度と重要度マトリクスに基づいて、今日やるべき順番を決めて」と頼むと、客観的なアドバイスをもらえます。
タスクが増えてくると「何から手を付けるべきか」と混乱してしまいがちでしたが、Geminiが最適なスケジュールを組んでくれるおかげで、落ち着いて仕事に取り掛かれるようになります。
25. 質問・相談のチャット文面作成
「先輩にエラーの件で質問したいけど、今忙しそうだから失礼のないように聞きたい」と状況を伝えると、相手を気遣いつつ要点をまとめたチャット文面を作ってくれます。
質問文を考えるだけで悩んでしまうことがありましたが、Gemini CLIが「状況・試したこと・聞きたいこと」を整理したテンプレートを作ってくれるので、早めの報告をすることができます。
26. アイデアの壁打ち(ブレインストーミング)
「ブログネタがないから、最近発表された注目のトピックを教えて」といった相談相手にもなります。
27. テストデータの生成
「日本の住所と氏名が入ったJSONを10件作って」と頼めば、開発用のダミーデータを即座に用意することができます。
28. 技術選定の比較表作成
「Next.jsとRemixのメリット・デメリットを表形式で比較して」と頼めば、Markdownのテーブル形式で出力してくれるので、そのまま資料に使うことができます。
29. 模擬面接・クイズの出題
学習中のドキュメントや、過去に間違えた問題を読ませて、「ここから理解度を確認するクイズを出して」「類似問題を作って」と頼めば、即席の学習アシスタントになります。
資格試験の勉強中、間違えた箇所だけをGeminiに投げて「なぜ間違えたのかの解説と、類題を10問出して」と頼む使い方もできます。
苦手分野を徹底的に潰すことができ、自分専用の学習ツールとして使うことができます。
30. 自己肯定感を高める
自分が書いたコードを読ませて、「このコードの良いところを褒めちぎって」と命令します。
Geminiは決して否定せず、ロジックの良い点を解説してくれるので、疲れた時のメンタルケアにおすすめです。![]()
実践:簡単な実装例
これらを実行するための、シンプルなPythonスクリプトの例を紹介します。 このスクリプトは最新の Google Gen AI SDK を使用しています。
まず、ライブラリをインストールし、Google Cloudの認証を通しておきます。
pip install google-genai
gcloud auth application-default login
export GOOGLE_CLOUD_PROJECT="あなたのプロジェクトID"
Pythonスクリプト: simple_gemini.py 適当なディレクトリに以下のファイルを作成します。
import sys
import os
from google import genai
# 環境変数からプロジェクトIDを取得
PROJECT_ID = os.getenv("GOOGLE_CLOUD_PROJECT")
LOCATION = "us-central1"
def ask_gemini(prompt):
# Vertex AI クライアントの初期化
client = genai.Client(
vertexai=True,
project=PROJECT_ID,
location=LOCATION
)
response = client.models.generate_content(
model="gemini-2.0-flash-exp",
contents=[prompt]
)
return response.text
if __name__ == "__main__":
# パイプなどで渡された標準入力を受け取る
input_text = sys.stdin.read()
# 引数で指示(プロンプト)を受け取る
# 引数がない場合はデフォルトで「要約」を行う
instruction = sys.argv[1] if len(sys.argv) > 1 else "要約してください"
full_prompt = f"{instruction}:\n\n{input_text}"
# AIからの応答を表示
print(ask_gemini(full_prompt))
使い方の例:コミットメッセージを作る git diff の結果をパイプ | で渡すだけで、AIが差分を読み取ってくれます。
git diff | python simple_gemini.py "以下の差分からコミットメッセージを生成して"
これだけで、いつもの開発フローの中にAIを組み込むことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
Gemini CLI 環境(Python SDK + Vertex AI)さえ整えておけば、これら30個のタスクすべてを、ブラウザを開くことなくターミナルだけで完結できます。
いつでもターミナルからAIに相談できる環境があることは、業務に慣れていない新卒の私にとって大きな安心感につながります。
特に30番目の「褒めてもらう」は、業務のモチベーションを上げたい時におすすめです
。
ぜひ皆さんも、自分だけの活用法を見つけてみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考リンク
Google Cloud Vertex AI Documentation
Google AI for Developers
https://blog.google/technology/developers/gemini-cli-extensions/
参考セッション
イベント: Google Cloud AI Agent Summit '25 Fall
タイトル: コーディングだけじゃない、Gemini CLI 活用術
登壇者: 関本 信太郎 様(Google Cloud)