この記事はプラグインや派手な機能の話ではない。ノートの整理方法について述べる——ほとんどのObsidianガイドが見落としているテーマだ。
筆者はObsidianを、仕事のメモ管理(複数プロジェクト同時進行・日本語クライアント対応)、学習、パーソナルナレッジベース、日記と幅広く活用している。試行錯誤を繰り返した末に辿り着いた、最も安定した構成を紹介する。
なぜ構成が必要か
Obsidianには決まった構成がない——ファイルを散らかしたまま使うこともできるし、細かく整理することもできる。どちらも同じ問題に行き着く:3ヶ月後に何も見つからなくなる。
良い構成とは、一つの問いに答えられるものだ:「このノートはどこに置くべきか」——そして答えは、考えなくてもわかるくらい明確である必要がある。
フォルダ構成:PARA + Journal
My Vault/
├── 00 Inbox/
├── 01 Projects/
├── 02 Areas/
├── 03 Resources/
├── 04 Journal/
├── 99 Archives/
└── _Templates/
番号を付けることで、Obsidianがアルファベット順に並び替えてもフォルダの順序が固定される。
00 Inbox — まず記録、後で整理
新しいアイデアや情報はすべてここに入れる。フォーマット不要、タグも不要。目標は30秒以内に書き留めることだ。
InboxはストレージではなくバッファだIndex——ノートを7日以上ここに置くべきではない。
01 Projects — 締め切りが明確なもの
プロジェクトごとにサブフォルダを作る。プロジェクトとは、具体的な目標と終わりがあるものだ——「スケジュール予約機能の開発」「Q2クライアント向けピッチデッキ作成」など。
01 Projects/
└── Golf Storage/
├── _INDEX.md
├── Meetings/
└── Docs/
各プロジェクトには必ず_INDEX.mdを作成する——関連するすべてのファイルにリンクする中心ファイルだ。
02 Areas — 継続的な責任、終わりのないもの
ここが最も混同されやすいポイントだ。Areasに締め切りはない——キャリア管理や個人の財務管理が「完了」することはないのと同じである。
例:Career/、Finance/、Health/、Writing/。
03 Resources — 参照用ナレッジ
特定のプロジェクトや時間軸に紐づかない、テーマ別の知識を置く場所だ。Evergreenノート——自分の言葉で書き直した、いつでも参照できるメモ——はここに保存する。
03 Resources/
├── Tech/
├── Business/
└── Personal Dev/
04 Journal — Daily・Weekly・Retro
3つの時間軸、3つの目的がある:
- Daily — 今日のTop 3タスク、ブロッカーの簡易ログ
- Weekly — Inboxの整理、プロジェクト進捗確認、来週のフォーカス設定
- Monthly/Quarterly — 深い振り返り、方向性の調整
99 Archives — 保存するが削除しない
プロジェクトが完了したり、ノートがアクティブでなくなった場合はここに移動する。削除は行わない——後で参照が必要になる場面が必ず来る。
併用するタグシステム
フォルダは保存場所の問題を解決する。タグはクロスリファレンスの問題を解決する——フォルダの境界を越えた横断検索のためのものだ。
#project/active #project/pending
#area/career #area/finance
#type/evergreen #type/fleeting
#status/draft #status/published
#client/jp #tech/aws
#lang/ja #lang/vi
タグの命名原則として、必ずnamespace(#type/、#status/など)を使う。タグの重複や後々の管理コストを防ぐためだ。
Indexファイル — 地図であって、領土ではない
_INDEX.mdは各フォルダで最も重要なファイルだ。核心原則はリンクするだけ、内容はコピーしないこと。
Indexに長い内容を書き始めた場合、それは別ファイルに切り出してリンクすべきサインである。
Project Indexの例:
---
tags: [project/active, client/jp]
deadline: 2026-05-15
status: in-progress
---
# Golf Storage — Index
## Status: 🟡 In Progress (60%)
## Active tasks
- [ ] スケジュール予約機能 → [[Feature Booking]]
- [ ] Confluenceのspec更新
- [x] キックオフMTG ✅
## Meetings
- [[2026-04-30 渡辺さんMTG]]
## Docs
- [[Spec v2]] · [[DB Schema]] · [[API Design]]
## Key decisions
- 2026-04-28: WebSocketではなくFCMを採用
Area Indexはよりシンプルでよい——方向性とリンク一覧だけで十分だ:
# Career — Index
## 方向性
BrSE → 2年以内にTech Lead
## Notes
- [[スキルマップ 2026]]
- [[資格ロードマップ]]
- [[読むべき本リスト]]
Indexを常に最新の状態に保つためのルールは一つだ:新しいファイルを作成したら、即座にIndexを更新する。10秒の作業だが、Indexの正確さを長期的に維持できる。
ファイル命名規則
「正しい」よりも**「一貫している」**ことの方が重要だ。一つの規則を決め、それを守り続ける:
| 種類 | フォーマット | 例 |
|---|---|---|
| プロジェクトノート | YYYY-MM-DD Topic.md |
2026-04-30 Feature Booking.md |
| 日次ジャーナル | YYYY-MM-DD.md |
2026-04-30.md |
| 週次ジャーナル | YYYY-WW.md |
2026-W18.md |
| Resources | Topic — Subtopic.md |
Kotlin — Push Notification Pattern.md |
Resourcesには日付を付けない。Evergreenの知識は特定の時間に紐づかないためだ。
記事・ドキュメントの配置先
問うべきは*「何について書いたか」ではなく、「誰のためのもので、どんなライフサイクルを持つか」*だ。
| 種類 | 配置先 |
|---|---|
| ブログ / 公開記事 | 02 Areas / Writing / |
| 社内ドキュメント / wikiページ | 01 Projects / [Project] / Docs / |
| 個人的な下書き、方向性未定 |
00 Inbox → 週次triage |
| 繰り返し使うテンプレート | _Templates/ |
ブログはAreasに分類する。「書くこと」は長期的に継続する活動であり、「完了」が存在しないからだ。推奨構成は以下の通り:
02 Areas / Writing /
├── _INDEX.md
├── published/
├── drafts/
└── ideas/
└── ideas-backlog.md
典型的なワークフロー
以下は理論ではなく、実際の作業サイクルだ。
毎日:Capture → Work
朝: Daily noteを開き(Cmd+Shift+D)、今日のTop 3タスクを記入する。日中に新しい情報が入った場合——メール、Slack、MTGいずれも——00 Inboxにノートを即座に作成する。
作業中: すべての情報はプロジェクトの_INDEX.mdからリンクする。ノートをあちこちに作らない——プロジェクトフォルダ内に作成し、即座にIndexにリンクする。
毎週:Review — 金曜日の15分
Weekly noteを開き、以下のチェックリストを実行する:
- Inboxのtriage — 各ノートの判断:Projects/Areas/Resourcesへの移動、または削除
- プロジェクト確認 — statusの更新、ブロッカーの早期検出
- 今週の3つのハイライトを記録 — 報告のためではなく、振り返りのために
- 来週のTop 3フォーカスを設定
Weekly Reviewは「外部記憶装置」として機能する。1ヶ月継続すると、時間が実際にどこに使われているかのパターンが明確になる。
プロジェクト完了時:蒸留 → Archive
見落とされがちなステップだが、長期的な価値が最も高い作業だ。
Archiveする前に、プロジェクトから得た技術的知識を03 ResourcesのEvergreenノートとして「蒸留」する。push notification機能の実装後の例:
# Pattern: FCM + Lambda によるPush通知
Golf Storageプロジェクトから抽出。
## 課題
スタッフが予約時にリアルタイム通知を受け取る必要がある。
## 解決策
API Gateway → Lambda → SNS → FCM
## 注意点
- アプリを開かないと1ヶ月でFCMトークンが期限切れになる
- SNS publishにはLambdaタイムアウトを最低10sに設定する必要がある
このノートはプロジェクトから独立しており、以後のプロジェクトでも再利用できる。
完了後の手順:_INDEXのstatusを「Completed」に更新 → Weekly noteに簡易retroを記入 → フォルダを99 Archives / Projects / 2026 /へ移動。
Templaterテンプレート
Community PluginsからTemplaterをインストールし、Template folder locationを_Templatesに設定する。
Daily Note(_Templates/Daily Note.md):
---
tags: [journal/daily]
date: <% tp.date.now("YYYY-MM-DD") %>
week: <% tp.date.now("[W]WW") %>
---
# <% tp.date.now("YYYY-MM-DD · ddd") %>
## 今日のTop 3
- [ ]
- [ ]
- [ ]
## ログ
-
## ブロッカー / 確認事項
-
## 明日やること
-
---
← [[<% tp.date.now("YYYY-MM-DD", -1) %>]] · [[<% tp.date.now("[W]WW") %>]] · [[<% tp.date.now("YYYY-MM-DD", 1) %>]] →
Weekly Review(_Templates/Weekly Review.md):
---
tags: [journal/weekly]
week: <% tp.date.now("[W]WW") %>
---
# Weekly Review — <% tp.date.now("[W]WW") %>
## Inboxのtriage
- [ ] Inboxを空にした
## プロジェクト確認
| プロジェクト | Status | メモ |
|------------|--------|------|
| | 🟢 On track | |
| | 🟡 At risk | |
## 今週の3つのハイライト
1.
2.
3.
## 来週のTop 3フォーカス
- [ ]
- [ ]
- [ ]
---
← [[<% tp.date.now("[W]WW", -7, "YYYY-MM-DD", 1) %>]]
Settings → Daily NotesでTemplate fileを_Templates/Daily Note.mdに、New file locationを04 Journal/Daily/に設定する。リボンのカレンダーアイコンをクリックすれば、今日の日付のファイルがテンプレート付きで自動生成される。
まとめ
3つの基本サイクルに集約される:
- 毎日 — 情報が来たら即座にInboxへCapture、プロジェクトフォルダ内で作業
- 毎週 — Inboxのtriage、プロジェクト確認、フォーカス設定(15分)
- プロジェクト完了時 — 知識をResourcesへ蒸留してからArchive
構成に価値があるのは、実際に使われる場合に限られる。まずシンプルに始めることを推奨する——InboxとProjectsとJournalだけで十分だ。必要性を感じた段階でAreasとResourcesを追加すればよい。
本記事が参考になった場合、次回はDataviewプラグインを用いたタグ別クエリとObsidian内の自動ダッシュボード構築について解説する予定だ。