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【QGISプラグイン】Japan Forest Tools - 日本の森林オープンデータを簡単に取得・可視化

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はじめまして、Link Field 齊藤(@akitaneko1127)と申します。業務の自動化や空間分析、GIS開発・DXコンサルティングを専門に活動しています。

第60次南極地域観測隊に参加した経験があり、極地での観測を通じて「どんな環境でも使えるデータ基盤」の重要性を実感しました。過去はドローン開発を主にしておりましたが、現在はハードからソフトウェア、PWAなどの開発からQGISプラグインまで、オープンソースを含めたツール作りに力を入れています。
ロボットなどのハードウェアや人が取得するデータを半自動や自動で最後まで一気通貫でシングルインプットマルチアウトプットできる仕組みづくりを心がけています。

林野に関するデータの自動紐づけや立竹木の調査、点群分析によるAI学習を活用した樹木幅の自動計測の検討なども手がけており、森林データの現場活用にも日々向き合っています。


はじめに

日本の森林に関するオープンデータは、林野庁やG空間情報センターを通じて急速に整備が進んでいます。2023年10月の栃木県・兵庫県・高知県を皮切りに、2026年1月時点では12府県にまで対象が拡大し、樹種ポリゴン、数値樹冠高モデル(DCHM)、DEM、CS立体図(微地形図)、傾斜区分図などの高精度データが誰でも無料で利用可能になっています。

しかし、これらのデータを実際にQGISで活用するには、G空間情報センターで目的のデータを探し、ダウンロードし、適切なフォーマットでQGISに読み込むという一連の手順が必要で、特にGIS初心者にとってはハードルが高い作業です。

私自身、業務で森林関連データを扱う中で、データ取得や前処理に多くの時間を費やしてきました。本来やりたいのは空間分析やデータ管理であって、データを探してダウンロードする作業ではありません。このプラグインは「データの準備にかかる手間をゼロに近づけ、分析そのものに集中できる環境を作りたい」という思いから開発しました。

Japan Forest Toolsは、この課題を解決するために開発したQGISプラグインです。GUIから都道府県とデータ種別を選ぶだけで、森林関連オープンデータの取得からQGISへの読み込みまでをワンストップで行えます。

Japan Forest Toolsとは

Japan Forest Toolsは、日本の森林関連オープンデータのダウンロードと可視化を支援するQGISプラグインです。GPL-3.0ライセンスで公開しており、QGIS公式プラグインリポジトリからインストールできます。

主な機能

Japan Forest Toolsには大きく分けて「データ取得」と「ローカル読込」の2種類の機能があります。

データ取得機能

データソース 取得できるデータ
林野庁オープンデータ 樹種ポリゴン、DCHM(数値樹冠高モデル)、DEM(数値標高モデル)、CS立体図(微地形図)、傾斜区分図
国土数値情報 国有林野データ、森林地域データ、道路ネットワーク

ローカル読込機能

対象データ 説明
林道調査アプリ成果 林野庁の林道調査アプリで作成したShapefileを読み込み
森林計画図 都道府県が公開している森林計画図Shapefileを読み込み

対応都道府県(樹種ポリゴン)

2026年1月時点で以下の12府県に対応しています。

栃木県、神奈川県、富山県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、鳥取県、広島県、愛媛県、高知県、長崎県

これらはG空間情報センターで公開されているデータセットに基づいており、今後も対応地域は拡大予定です。

背景:なぜこのプラグインを作ったのか

森林情報のオープンデータ化の動き

林野庁は「スマート林業」の推進やカーボンニュートラルへの対応を背景に、航空レーザ測量で取得した高精度な森林資源情報のオープンデータ化を進めています。2023年10月に栃木県・兵庫県・高知県の3県で公開を開始し、ESG投資やベンチャー企業によるアプリ開発の促進を目的に、民間でのデータ活用を推奨しています。

公開データの形式もGeoPackage、ベクトルタイル、Terrain-RGBなどの次世代フォーマットが採用されており、技術的にも大きな進展が見られます。

現場での課題

一方で、実際にデータを活用しようとすると以下のような課題があります。

  • G空間情報センターでのデータ検索が煩雑(都道府県ごとにページが異なる)
  • データのダウンロードとフォーマット対応が手間(GeoPackage、GeoTIFF、ベクトルタイルなど形式がバラバラ)
  • QGISへの読み込みにGIS操作の知識が必要(座標系の設定、タイル接続の設定など)
  • 林道調査アプリや森林計画図など、ローカルデータとの統合的な利用が困難

Japan Forest Toolsは、これらの課題を解消し、森林関係者が手軽にGISデータを活用できるようにすることを目的としています。

インストール方法

QGISプラグインマネージャーからインストール(推奨)

  1. QGISを起動
  2. メニューバーから「プラグイン」→「プラグインの管理とインストール」を選択
  3. 検索欄に「Japan Forest Tools」と入力
  4. 「インストール」ボタンをクリック

GitHubからインストール

  1. GitHubリポジトリからZIPファイルをダウンロード
  2. QGISのプラグインマネージャーで「ZIPからインストール」を選択
  3. ダウンロードしたZIPファイルを指定してインストール

使い方

基本的な操作手順

  1. QGISのプラグインメニューから「Japan Forest Tools」→「森林データ取得」を選択
  2. ダイアログで都道府県を選択
  3. 取得したいデータ(樹種ポリゴン、DCHM、DEMなど)にチェック
  4. 「選択データを取得」ボタンをクリック

データのダウンロードとQGISへの読み込みが自動的に行われます。

取得できるデータの解説

樹種ポリゴン

スギ林、ヒノキ林、広葉樹林などの分布状況を区分したベクタデータです。森林の樹種構成や多様性を地図上で可視化でき、森林管理計画の策定や木材生産の検討に活用できます。

DCHM(数値樹冠高モデル)

立木の樹冠の高さ(≒樹高)をラスタデータで表現したものです。森林資源量の推定や成長量の把握に利用されます。

DEM(数値標高モデル)

地表面の標高データです。CS立体図の作成や3D地形解析、傾斜分析の基礎データとして使用されます。

CS立体図(微地形図)

土地の起伏と傾斜の特徴を色合いで表現した地形図です。尾根や谷の位置、地すべり地形などが直感的に把握でき、林道の路線計画や災害リスク評価に有効です。長野県林業総合センターが2012年に考案した日本発の地形可視化手法です。

傾斜区分図

土地の傾斜を5度単位で区分した図です。赤色が急斜面、青色が平坦地を示し、林業機械の走行可否判断や作業道の計画に役立ちます。

技術的な構成

プロジェクト構造

japan_forest_tools/
├── __init__.py          # プラグインエントリーポイント
├── plugin.py            # メインプラグインクラス
├── metadata.txt         # プラグインメタデータ
├── icon.png             # プラグインアイコン
├── core/                # データ取得・処理のコアロジック
├── dialogs/             # QGISダイアログUI
└── i18n/                # 国際化(多言語対応)

使用技術

  • 言語: Python 100%
  • GISフレームワーク: QGIS Python API(PyQGIS)
  • ライセンス: GPL-3.0
  • 国際化: i18nディレクトリで多言語対応

公開データの利用条件

林野庁のオープンデータは、公共データ利用規約(PDL1.0)に基づいて公開されています。商用利用を含め、どなたでも自由に利用可能です。ただし、利用の際は各データの掲載ページに記載された利用規約を確認してください。

今後の展望

  • 対応都道府県の拡充(林野庁のオープンデータ公開に合わせて順次対応)
  • 森林資源量集計メッシュ、レーザ林相図への対応
  • ベクトルタイルの直接表示機能の強化
  • QFieldとの連携による現場での活用支援

関連リンク

コントリビューション

バグ報告や機能要望はGitHubのIssuesからお気軽にどうぞ。プルリクエストも歓迎です。

もし「使ってみたい」「面白そう」と感じていただけたら、GitHubリポジトリにStarをいただけると開発の大きな励みになります。また、森林・林業・GIS関連で活用できそうな方がいらっしゃれば、この記事のシェアもぜひお願いします。

森林オープンデータの活用ツールを一緒に育てていけたら嬉しいです。
また、G空間情報センターにはまだ公開されていないが手元にデータをお持ちの方は、データの組み合わせ次第で活用できる場合もありますので、お気軽にご相談ください

作者

Link Field(saito@link-field.jp

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