背景:ストリーミングサービスの「推薦」って満足です?
Apple MusicやSpotifyのレコメンド機能は非常に便利です。しかし物足りなさを感じることも事実です。
過去の再生履歴に基づいた推薦は、どうしても「似たような曲」のループに陥りがちで、真に新しい音楽体験を掘り起こす「探索」としては不十分な気がしています。
例えば「ベースラインがカッコいいインディーズ」や「特定の小説の世界観に合う曲」など、言語化できるが複雑なニュアンスを汲み取った選曲は、現在のストリーミングサービスのアルゴリズムよりも、LLM(ChatGPTやGemini等)の方が得意としています。
しかし、LLMが出力したリストを1曲ずつ手動で検索し、追加して、また検索する……という作業を繰り返すのは、まさに「地獄」の苦行です。 今回は、この断絶を解消する自動化ハックを共有したいと思います。
「まだ聴いたことがない」けど「好きな曲」にぼくは出逢いたいんだ
アプローチ:思考はLLM、実行はショートカット
戦略はシンプルです。 「いい感じの曲を探す」という高度な推論が必要な部分はLLMに任せ、見つかった曲をライブラリに反映させる作業を「ショートカット.app」で自動化します。
- 思考(選曲): LLMに特定フォーマットでリストを出力させる。
- 実行(登録): クリップボード経由でリストを受け取り、ショートカットで高速実行する。
実装:うまくいった方法
大まかな流れ
- LLMでリスト作成: 指定のフォーマットで出力させ、クリップボードにコピーします。
- ショートカット起動: クリップボード内のテキストを1行ずつ解析します。
- 自動検索と追加: Apple Musicのカタログから曲を特定し、ライブラリとプレイリストに反映します。
ショートカットのアクション詳細
スクショ(260125_LLMプレイリスト_rev02)に基づきます。
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クリップボードを取得
- LLMが生成したリストを受け取ります。
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テキストを要求
- 入力内容を編集できるバッファを挟み、コピペミスを修正可能にします。
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「改行」で分割
- 1行につき1曲として処理するため、データをリスト化します。
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各項目を繰り返す
- 分割した各項目(曲名)に対して、以下の処理をループさせます。
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iTunes Storeで検索
- 重要: Apple Musicアプリ内検索ではなく「iTunes Store」アクションを使用します。
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マイミュージックライブラリに追加
- 最重要ポイント: 検索結果を直接プレイリストに入れようとするとエラーで弾かれるため、一度ライブラリを経由させて「型変換」を行います。
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プレイリストに追加
- 指定したプレイリストへ登録します。
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通知を表示 / ミュージックを開く
- 完了を知らせ、即座に試聴を開始できるようにします。
【失敗の記録】うまく行かなかったこと
一見簡単そうですが、実は「純正アクションの仕様」による高い壁がありました。
- 「型の壁」による拒絶
- iTunes Storeの検索結果は「Store Product」(購入用データ)であり、そのままではプレイリスト用の「Media Item」として扱えません。 これを無理やり追加しようとすると
MPErrorDomain 5というエラーで拒絶されます。
- iTunes Storeの検索結果は「Store Product」(購入用データ)であり、そのままではプレイリスト用の「Media Item」として扱えません。 これを無理やり追加しようとすると
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AppleScriptの限界
- Macの最終兵器であるAppleScriptも、クラウド上のカタログ(未所持の曲)を検索する機能は持っていません。
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LLMのウソ
- 困ったらLLM(ChatGPTとGemini)に聞くんですが、ショートカット.appの学習量が少ないからか、ウソが多いんですよね。便利なんですけれど、肝心のところでだいぶ遠回りさせられました。
iOS/macOS、機能追加がどんどんあるのはいいんですけど、ぜんぜん整合性が取れてなくて(取れていないように見えることが多くて)、イラッとすること多いですよね…😢
あ、いちばん悩まされたのはGeminiさんのウソ(ハルシネーション)かも
付録:LLM側へ渡すプロンプト例
LLMにはこんなプロンプトで出力させるとよいでしょう。
「アーティスト名 曲名」の形式で、1行に1曲ずつリストアップして。余計な挨拶や番号は一切不要。コピペで使えるようにコードブロックで出力して。
条件:
- 10曲
- 歌詞が日本語じゃないもの
- ベースラインがかっこいいもの
- ジャンルはオルタナ、インディーズ、EDM、R&Bなど幅広めでOK
おわりに
AppleさんやSpotifyさんのアルゴリズムも、だいたい良いものですが、自らの意思で『まだ耳にしていない名曲』を探索する体験は、かなり楽しいです。
LLMというフィルタと、ショートカットという泥臭い自動化を組み合わせ、ようやく「検索地獄」から解放されました。純正のショートカット.appは、一度ライブラリにある曲を操作する段階になれば、非常に優秀で柔軟なツールですね!
今回の『型変換ハック』を入り口にして、ぜひあなただけの最強の音楽環境を構築してみてください。
ほんとは、AppleMusicやSpotifyにこの機能を提供してほしいんですけれども
それでは、ハッピー・リスニング!
環境と参考リンク
環境
- ショートカット バージョン7.0(4046.0.2.2)
- iOS 26.2
- iPhone 15 Pro
- macOS Tahoe 26.2
- MacBook Pro (14-inch, 2024)
リンク
この記事は、LISTENでしゃべった内容をネタに記事化するテストでもあります


