こんにちは!ハンズオンラボ運営のわたるです。
EC2インスタンスを作成する画面には、「EBS」というストレージの設定項目が出てきます。一方で、一部のインスタンスタイプには「インスタンスストア」という別のストレージも存在することをご存知でしょうか。「どちらも同じHDD・SSDなのだから、大きな違いはないだろう」と考えていると、思わぬデータ消失に直面することがあります。私も最初にこの違いを知らずにインスタンスストアだけを使っていて、インスタンスを再起動した際に肝を冷やした経験があります。
この記事では、**「持ち運べる外付けHDD」と「内蔵HDD」**という比喩を使いながら、EBSとインスタンスストアがそれぞれどんな性質を持ち、どう使い分けるべきなのかを整理していきます。
この記事を読むと、以下のことができるようになります
- EBSとインスタンスストアが、それぞれどんな仕組みのストレージなのか説明できるようになる
- なぜインスタンスストアのデータが消えてしまうことがあるのか理解できる
- 用途に応じて、どちらのストレージを選ぶべきか判断できるようになる
EBS:パソコンとは別に存在する「外付けHDD」
EBS(Elastic Block Store)は、**「パソコン本体とは切り離された、持ち運び可能な外付けHDD」**に例えられます。
以前の記事で紹介した「コンテナレジストリ」のように、AWSの多くのサービスは**「本体」と「データを保管する場所」を分離して設計**しています。EBSも同様に、EC2インスタンス本体とは物理的に独立した場所にデータを保管し、ネットワーク経由で接続するという仕組みを取っています。
# EBSボリュームの一覧を確認するイメージ(AWS CLI)
$ aws ec2 describe-volumes --filters "Name=attachment.instance-id,Values=i-0123456789abcdef0"
「外付けHDDだから、パソコン本体を買い替えても、HDDだけは引き継いで使い続けられる」——EBSも同様に、EC2インスタンスを削除しても、EBSボリューム自体は残しておくことができ、別の新しいインスタンスに付け替えて使うことも可能です。
インスタンスストア:パソコンに直接内蔵された「内蔵HDD」
一方インスタンスストアは、**「EC2インスタンスが動いている物理サーバーに、直接内蔵されているHDD・SSD」**に例えられます。
内蔵HDDがパソコン本体と物理的に一体化しているのと同じように、インスタンスストアも**「特定の物理サーバーと一体化した」**ストレージです。ネットワーク越しに接続するEBSとは異なり、物理的に直結しているため、読み書きの速度が非常に高速であるという特長があります。
なぜインスタンスストアのデータは消えてしまうのか
インスタンスストアを使っていて多くの人が驚くのが、**「インスタンスを停止・終了すると、中のデータが消えてしまう」**という点です。
これは、**「レンタルオフィスの内蔵の作業机に荷物を置きっぱなしにしていたら、契約終了と同時にオフィスが別の会社に引き渡されてしまい、荷物ごと処分されてしまった」ような状態に例えられます。「その物理サーバーを間借りしている間だけ使える一時的な作業スペース」**が、インスタンスストアの正体です。EBSのように、独立した保管場所として引き継ぎ続けられるわけではありません。
それでもインスタンスストアが使われる理由:速さという強み
「データが消えるなら使う意味がないのでは」と思うかもしれませんが、インスタンスストアには**「圧倒的な読み書き速度」**という明確な強みがあります。
**「一時的にしか使わないデータを、とにかく速く読み書きしたい」というニーズには、インスタンスストアが適しています。具体的には、「一時的な計算結果のキャッシュ」「データベースの一時的な作業領域」「消えても再生成できるデータ」といった用途で活用されます。「消えても困らないデータを、速く扱いたいときだけ使う」**という割り切りが、インスタンスストアを活かすコツです。
用途別の使い分け早見表
それぞれの特性を踏まえて、用途別に整理すると次のようになります。
| 用途 | 適したストレージ | 理由 |
|---|---|---|
| OS・アプリケーションのデータ | EBS | インスタンスを削除・置き換えても、データを保持したい |
| データベースの永続データ | EBS | 障害・再起動があっても、失ってはいけないデータ |
| 一時的なキャッシュ・作業領域 | インスタンスストア | 消えても再生成でき、速さが最優先 |
| バッチ処理の中間データ | インスタンスストア | 処理が終われば不要になる、一時的なデータ |
**「そのデータが消えたときに、業務にどれだけ影響が出るか」**を基準に考えると、どちらを選ぶべきかの判断がしやすくなります。
EBSにも「速度の種類」がある
なお、EBS自体にも複数の種類(ボリュームタイプ)があり、用途によって選ぶべきものが異なります。
「外付けHDDにも、安価で容量重視のものから、高速で高価なものまで種類がある」のと同じように、EBSにも用途に応じたボリュームタイプが複数用意されています。「とりあえずEBSを使えば安心」で終わらせず、その中でも自分の用途に合ったタイプを選ぶことが、コストとパフォーマンスの両立につながります。
スナップショットという「外付けHDDのバックアップ」
EBSには、**「スナップショット」**という、その時点でのデータ状態を丸ごとコピーして保管しておく機能があります。
これは、**「外付けHDDの中身を、定期的に別の安全な場所へ丸ごと複製しておく」**ような仕組みです。日々の運用の中でこのスナップショットを定期的に取得しておくことで、万が一の誤操作や障害の際にも、被害を最小限に抑えて元の状態に近い形で復元できます。
よくある勘違い:「EBSなら絶対にデータが消えない」ではない
EBSはインスタンスストアと比べて永続性が高いストレージですが、「絶対にデータが消えない」という意味ではありません。 誤ってボリュームを削除してしまったり、リージョン全体の大規模障害に巻き込まれたりするリスクはゼロではありません。以前の記事で紹介した「バックアップ」の考え方と同様に、「EBSだから安心」で終わらせず、重要なデータはスナップショットなどで別途バックアップを取っておくことが、堅実な運用につながります。
ビフォーアフター
【ビフォー】
- ストレージの理解 → EBSとインスタンスストアの違いを意識せず、なんとなく使っていた
- データ消失のリスク → インスタンスを停止しただけでデータが消えることを知らなかった
- 選び方の基準 → どちらのストレージを選べばいいのか、判断基準がなかった
【アフター】
- ストレージの理解 → 「外付けHDD(EBS)」と「内蔵HDD(インスタンスストア)」という違いで整理できるようになった
- データ消失のリスク → インスタンスストアが物理サーバーと一体化した一時的な領域だと理解した
- 選び方の基準 → 「データが消えて困るか」を基準に、用途に応じて使い分けられるようになった
まとめ
この記事では、EBSとインスタンスストアの違いを、「外付けHDD」と「内蔵HDD」という比喩で整理しました。
- EBSは、EC2インスタンス本体とは独立した、ネットワーク経由で接続するストレージ
- インスタンスストアは、物理サーバーに直接内蔵された、高速だが一時的なストレージ
- インスタンスを停止・終了すると、インスタンスストアのデータは失われる
- 永続的に保持したいデータはEBS、消えても構わない一時データはインスタンスストアが適する
- EBSにも複数のボリュームタイプがあり、用途に応じた選択が求められる
自分が使っているEC2インスタンスのストレージが、どちらのタイプなのか、一度確認してみてください。この確認だけで、思わぬデータ消失を未然に防げるかもしれません。
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