はじめに
「AIが進化したら、インフラエンジニアっていらなくなるんじゃないですか?」
ハンズオンラボの勉強会で、未経験からインフラエンジニアを目指している参加者さんからこんな質問をもらいました。
正直に言うと、僕も最初は少し不安に思ったことがあります。ChatGPTが出てきた2023年頃、「エンジニア不要論」がSNSで飛び交っていたのを覚えている人も多いのではないでしょうか。
でも、実際に現場で生成AIを使いながら仕事をしてみて、今は逆の結論にたどり着きました。
「基礎力がある人ほど、AIを使いこなせる」
この記事では、インフラエンジニアの現場で生成AIがどう使われ始めているのか、そしてなぜ基礎力が今まで以上に大事になっているのかを、僕自身の実感をベースに書いてみます。
現場で生成AIが使われ始めた場面
まず、実際にインフラ運用の現場でAIがどう使われているかを紹介します。派手な話ではなく、地味だけど確実に助かっている場面です。
1. 障害の一次切り分け
深夜にアラートが飛んできたとき、まずやるのはログの確認です。CloudWatch LogsやsyslogからエラーメッセージをコピペしてAIに投げると、「この症状はメモリ不足の可能性が高い」「このエラーコードはディスクI/Oに関連する」といった切り分けのヒントをすぐに返してくれます。
もちろん、AIの回答をそのまま信じるわけにはいきません。でも、自分一人で調べ始めるより、初動が圧倒的に速くなりました。
2. ログの要約と傾向分析
何千行もあるログファイルを目で追うのは限界があります。AIに「直近1時間のエラーログの傾向をまとめて」と頼むと、頻出エラーやパターンを整理してくれます。
ただし、ここでポイントがあります。ログのどの部分を切り出してAIに渡すか、その判断は人間がやる必要があるということです。「何を聞くか」を知っている人でないと、AIは力を発揮できません。
3. 手順書のドラフト作成
構築手順書やオペレーション手順書を一から書くのは時間がかかります。AIにざっくりした構成を伝えると、たたき台を作ってくれるので、そこからレビュー・修正する流れが効率的です。
ただし、手順書の「なぜこの順番なのか」「このステップを飛ばすとどうなるか」は、インフラの知識がないと判断できません。
「AIがあれば基礎はいらない」が危険な理由
ここまで読んで、「じゃあAIに聞けばいいじゃん」と思った方もいるかもしれません。でも、現場にいると痛感するのは、AIの回答を評価できる力がないと事故につながるということです。
AIは「もっともらしい間違い」を返すことがある
例えば、「このEC2インスタンスのCPU使用率が100%に張り付いている。対処法は?」とAIに聞くと、こんな回答が返ってきたりします。
インスタンスタイプをスケールアップしてください。t2.microからt2.largeに変更すれば解決します。
一見正しそうですが、現場では「そもそもなぜCPU使用率が上がっているのか」を調べるのが先です。アプリの無限ループかもしれないし、不要なプロセスが暴走しているだけかもしれない。原因を調べずにスケールアップしても、お金がかかるだけで根本解決にはなりません。
この判断ができるのは、インフラの基礎を理解している人だけです。
基礎力がある人のAI活用は速い
僕がハンズオンラボで見てきた中で、AIをうまく活用できている人には共通点があります。
- Linuxの基本コマンドを理解しているので、AIに「このコマンドの意味を教えて」と聞く必要がない
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- ネットワークの基礎があるので、AIの回答が的外れかどうかすぐにわかる
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- AWSの主要サービスを触ったことがあるので、AIが提案する構成の妥当性を判断できる
つまり、基礎力はAIの「フィルター」として機能しているのです。
初心者がやるべきことは変わっていない
生成AIが便利になっても、初心者がまず身につけるべきことは実はあまり変わっていません。
① Linuxの基本操作に慣れる
ターミナルに慣れること。ls、cd、grep、tail、psあたりが無意識に使えるようになると、AIに質問するときも具体的に聞けるようになります。「なんかサーバーが重い」ではなく「topで見たらこのプロセスがCPUを食っている」と聞ける人は、AIからも的確な答えが返ってきます。
② AWSの主要サービスを手で触る
EC2を立てて、S3にファイルを上げて、RDSにつないでみる。この「手を動かした経験」は、AIが出す回答の妥当性を判断する土台になります。
③ 「なぜ」を考えるクセをつける
手順書通りに作業するだけでなく、「なぜこのセキュリティグループはこのポートだけ開けているのか」「なぜこのサブネットはプライベートなのか」を考える習慣。これがあると、AIの回答に対しても「本当にそれでいいのか?」と疑問を持てるようになります。
AIとの「共存スタイル」が現場のスタンダードになる
僕の周りでも、AIを完全に拒否している現場はもうほとんどありません。かといって、AIに丸投げしている現場も見たことがありません。
実際に定着しつつあるのは、こういうスタイルです。
- 調査フェーズ: AIに仮説を出してもらう → 自分で裏取りする
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- 構築フェーズ: AIにたたき台を作ってもらう → 自分でレビュー・修正する
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- 運用フェーズ: AIにログ分析を手伝ってもらう → 最終判断は自分でする
共通しているのは、AIは「アシスタント」であって「意思決定者」ではないということ。判断するのは常に人間で、その判断の質を決めるのが基礎力です。
まとめ:基礎力は「AIに奪われるもの」じゃなく「AIを活かすもの」
生成AIの登場で、インフラエンジニアの仕事の進め方は確かに変わりつつあります。でも、必要なスキルの本質は変わっていません。
- Linux、ネットワーク、AWSの基礎は引き続き重要
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- AIは「代替」ではなく「増幅器」として使うのが正解
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- 基礎がある人ほど、AIの恩恵を受けやすい
「AIがあるから勉強しなくていい」ではなく、「AIがあるからこそ、基礎を固めた人が圧倒的に有利になる」。
これが、僕が現場とハンズオンラボの両方を見てきて感じていることです。
これからインフラエンジニアを目指す方は、焦らず基礎から積み上げていきましょう。手を動かした経験は、AIには絶対に真似できないあなただけの武器になります。
ハンズオンラボでは、AWS・Linux・Terraformを手を動かしながら学べるハンズオン勉強会を開催しています。初心者歓迎で、現役エンジニアがその場でサポートします。
「何から始めればいいかわからない」方こそ、ぜひ一度来てみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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