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「インフラエンジニア不要論」に反論する——クラウド時代に求められるスキルの話

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はじめに

「クラウドが進めばインフラエンジニアはいらなくなる」

SNSやネット記事でこんな意見を見かけることがあります。サーバーレスやマネージドサービスが充実してきた今、この主張にも一理あるように感じるかもしれません。

実際、私がSESでインフラエンジニアとして働き始めた頃、こういった記事を読んで「自分が選んだキャリア、大丈夫か?」と不安になったことがあります。

しかし現場の実態を3年以上見てきた結論を言うと、インフラエンジニアの需要はむしろ増えています。ただし、求められるスキルセットは確実に変わりつつある。その変化を理解していないと、市場から置いていかれるリスクはあります。

この記事では「不要論」の背景を整理しながら、これからのインフラエンジニアに何が求められているかを具体的に話します。

この記事を読むと、以下のことができるようになります。

  • 「インフラエンジニア不要論」がなぜ出てくるのか、その背景が分かる
  • クラウド時代に求められるスキルセットの変化が具体的に分かる
  • SESエンジニアとしてキャリアをどう組み立てるかの方向性が見える

「不要論」が出てくる3つの背景

不要論が語られる理由は、主に3つあります。どれも「嘘ではない」のが厄介なところです。

1. マネージドサービスの充実

かつてはMySQLのインストール、チューニング、バックアップ設計をすべて手作業でやっていました。今はRDSを使えば数クリックでデータベースが立ち上がります。

「構築作業」が減ったのは事実です。初期セットアップにかかる時間は、10年前と比べれば大幅に短縮されています。

2. サーバーレスの台頭

AWS LambdaやFargateのようなサービスにより、サーバーそのものを意識しない開発が可能になりました。「サーバーを管理する人が不要になる」という論理は、一見筋が通って見えます。

3. IaCツールの普及

TerraformやCloudFormationによって、インフラ構築がコード化されました。「誰でもコードを書けばインフラが作れる」という見方が広がっています。

これらは確かに「手作業でサーバーを構築するだけの仕事」は減っています。ただそれは、「インフラエンジニアが不要になった」ではなく、「インフラエンジニアの仕事の中身が変わった」という話です。


現場の実態:人手不足が深刻

では現場はどうか。私が見てきた実態とは真逆で、インフラエンジニアは足りていません。

クラウド移行プロジェクトが増え続けているのが最大の理由です。オンプレミスからAWSやAzureへの移行は、2026年現在もまだまだ進行中です。移行設計には、ネットワーク、セキュリティ、パフォーマンスの知識が必須で、アプリ開発者だけでは対応できません。

「RDSを使えば誰でもDB構築できる」は本当ですが、本番環境でのパラメータグループの調整、リードレプリカの設計、フェイルオーバーの検証は人間がやります。ボタンを押すだけでは終わりません。

また、セキュリティ要件は年々厳しくなっています。ゼロトラスト、コンプライアンス対応、監査ログの整備など、インフラ層のセキュリティ設計ができる人材の需要は高まる一方です。

不要になるのはインフラエンジニアではなく、「手作業だけのインフラエンジニア」 です。


変わるスキルセット:構築から「コード化・自動化」へ

では、これからのインフラエンジニアに何が求められるのか。4つの柱を整理します。

1. IaC(Infrastructure as Code)

Terraform、CloudFormation、Pulumiなど、インフラをコードで管理するスキルは必須になりつつあります。

# Terraformの例:EC2インスタンスの定義
resource "aws_instance" "web" {
  ami           = "ami-0abcdef1234567890"
  instance_type = "t3.micro"

  tags = {
    Name        = "web-server"
    Environment = "production"
  }
}

手順書ベースの構築から、コードレビュー可能なインフラ管理への転換です。

「Terraformを書いたことがある」と「Terraformで本番環境を管理できる」は別の話ですが、「書いたことがある」状態まで持っていくだけでも現場での価値は大きく変わります。

2. CI/CD パイプラインの理解

GitHub ActionsやAWS CodePipelineを使って、インフラの変更もテスト→レビュー→デプロイの流れに乗せる。アプリ開発者と同じワークフローで動けることが求められます。

# GitHub Actionsの例:Terraform plan/apply を自動化
name: Infrastructure Deploy
on:
  push:
    branches: [main]
    paths: ['infra/**']

jobs:
  deploy:
    runs-on: ubuntu-latest
    steps:
      - uses: actions/checkout@v4
      - uses: hashicorp/setup-terraform@v3
      - run: terraform init
      - run: terraform plan
      - run: terraform apply -auto-approve

インフラエンジニアがCI/CDを理解していると、開発チームとの連携がスムーズになり、現場での存在感が変わります。

3. コンテナ技術

DockerとKubernetes(またはECS/Fargate)の理解は、もはやインフラエンジニアの基本装備です。

コンテナ化されたアプリケーションの運用基盤を設計・管理できるスキルは、SESの現場でも徐々に求められるようになっています。「Dockerは分かりますか?」が面接の定番質問になってきている肌感覚があります。

4. 監視・オブザーバビリティ

CloudWatch、Datadog、Grafanaなどを使った監視設計。単にアラートを設定するだけでなく、ログ・メトリクス・トレースを統合的に活用できる力が重要です。

「監視設計ができる人」は現場で重宝されます。アラートが飛んだあとに「何が起きているか」を読み解ける人は、チームの中でポジションが安定します。


SESエンジニアこそ、このスキルシフトはチャンス

SESで働くインフラエンジニアにとって、このスキルシフトは単価を上げるチャンスでもあります。

従来の「サーバー構築・運用保守」の現場から、IaCやCI/CDを扱える現場にステップアップすれば、市場価値は大きく変わります。

実際にフリーランスや高単価SES案件を調べてみると、以下のような傾向があります。

スキルセット 月額単価の目安(目安)
運用保守・監視対応のみ 40〜50万円台
AWS構築経験あり(IaC未経験) 50〜65万円台
Terraform + AWS構築経験あり 65〜80万円台
Terraform + CI/CD + コンテナ経験あり 80〜100万円台

※案件や経験年数によって大きく異なりますが、スキルセットの違いが単価に反映されやすいのは事実です。

今日から始められる3つのこと

スキルシフトを進めるうえで、今すぐ始められることがあります。

① 市場相場を定期的に調べる:レバテックフリーランスやMidworksで「Terraform」「AWS 設計」などのキーワードで案件を検索し、相場感を把握する。

② 自分の「できること」を棚卸しする:「AWSを使っています」ではなく「EC2・VPC・RDS・IAMを使った3層構成の設計・構築経験が2年あります」のように言語化する。

③ 個人環境で一つ触ってみる:AWSの個人アカウントでTerraformを使ってVPCを作るだけでも、「書いたことがある」という実績になります。t3.microを数日動かしてもコストは数百円程度です。


まとめ

この記事では以下のことを解説しました。

  • 「インフラエンジニア不要論」の背景には、マネージドサービス・サーバーレス・IaCの普及があり、「手作業の構築仕事が減った」のは事実
  • しかし現場では、クラウド移行・セキュリティ強化・設計力を持つインフラエンジニアの需要は高まり続けている
  • 求められるスキルはIaC・CI/CD・コンテナ・オブザーバビリティの方向にシフトしており、これはSESエンジニアにとって単価アップのチャンスでもある

変化を恐れず手を動かし続ける人が生き残る時代です。まずは一つ、Terraformで何か作ってみるところから始めてみてください。「書いたことがある」は、思っているより大きな武器になります。

「この記事を読んで自分の現場を振り返った」という方は、ぜひコメントで教えてください!


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