Amazon Connectって何?
Amazon ConnectはAWSのサービスの1つで、クラウド上でコールセンターシステムを提供するものです。
そもそもコールセンターに必要なものって?
仕事柄、コールセンターの構築案件とかを結構やってきたのですが必要なシステム(コンポーネント)は一般的に以下のようなものがあります。
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PBX
- いわゆる電話の根幹の機能。SIPサーバと呼んだりもする。
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CTI
- オペレータのスキルに応じた呼の振り分けとか。CRMの顧客情報と連携させたりとか。
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IVR
- 「○○の方は1を押してください」とか自動アナウンスするやつ。人をイライラさせる。
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リアルタイムレポート
- 入電状況とかオペレータの空き状況を把握する
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ヒストリカルレポート
- 過去の入電状況を把握する。KPIとかに使われるので非常に重要
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通話録音
- クレームのときの証拠になったり、オペレータの評価に使ったり
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音声認識
- 最近はビッグデータとなって分析とかに使われがち
ざっと挙げてこれくらい。最近だと問い合わせ手段は電話だけじゃなく、チャットなんかも登場してますね。
電話だと1対1ですが、チャットだとオペレータは同時に3人くらい相手にできるので効率がよいそうです。
Amazon Connectは何がすごいの?
話がそれました。
いままでこれだけのシステムを作ろうと思ったら半年とか長ければ1年とかかかりますし、お金も何千万・何億とかかってたわけです。
このビジネスモデルをAmazonはブッ壊そうとしてます。
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コールセンターに必要な大半のシステムを、画面ポチポチで簡単に作れる
- 特にIVRなどのコールフローはGUI上のフロチャートで直感的に操作が可能
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初期費用なし。通話時間に応じた課金体系
- 日本だとフリーダイヤルは$0.2114/分(約23.7円/分、通話料含む)、通常ダイヤルインは$0.0056/分(約0.63円/分、通話料は電話かけてきた人が別途負担) ※$1=112円計算
- 従来は1席いくらのライセンス体系で、使ってなくてもお金を払うのが一般的だった
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ピークに合わせたシステム拡張の考慮不要
- クラウドなので必要なときに必要なぶんだけリソースを使う思想
- Amazonプライムデーの問い合わせ対応で培った技術が活かされているらしい
日本におけるAmazon Connectの課題
じゃあAmazon Connectは爆発的に普及するのかというとそうではありません。
というのも、日本で利用するにはまだまだ課題も多いです。
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既存の電話番号の移行ができない
- 新規にコールセンターをつくるならまだしも、既存コールセンターの電話番号を変えるのは結構な障壁
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電話番号はAmazonが用意した050番号(ダイヤルイン)、0800番号(フリーダイヤル)のみ- 0120は知ってても、0800がフリーダイヤルとはほとんどの人が知らない
- 電話番号を変えないためボイスワープするという案はありかも
→ (2018/12/11追記):フリーダイヤル0120が2018年11月に使えるようになりました。
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音声品質がよくない
現状は東京リージョンがなく、シドニーリージョンを使うことになる- 実際に通話してみたところ、音声の遅延(1秒程度)やプチプチ途切れたりということが結構ある
→ (2018/12/11追記):東京リージョンが2018年11月に開設されました。
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音声認識が日本語対応していない- Amazon LexやAmazon Transcribeの日本語対応に期待
→ (2020/9/4追記):Amazon Transcribeは2019年11月に日本語対応しました。
→ (2021/4/2追記):Amazon Lexは2021年4月に日本語対応しました。 -
(2021/12/22追記):日本の電話番号を取得するのにサポートケースの起票および書類提出が必要。また個人利用は不可
- 以前はAmazon Connectの画面から簡単に電話番号の取得ができたのですが、2020年に規制がかかって変更になったようです
おわりに
ハンズオンの前置きを書くつもりがだいぶ長くなってしまい、結局コラムみたいになってしまいました。
別途ハンズオンを書こうとおもいます。