この記事は、自分のブログ「BI探検ノート」の記事を、Qiita 向けに転載したものです。元記事: https://bi.nagashigoto.com/blog/powerbi-desktop-vs-report-builder/
「Power BI を触り始めたら、Report Builder というツールも出てきた。何が違うの?」
結論から言うと、作るものが違います。この記事の「Report Builder」は Power BI Report Builder のことで、SSRS 用の Report Builder とは別のツールです。
結論(30秒版)
- 画面で触って分析するなら Power BI Desktop、印刷・PDF の帳票なら Report Builder です。迷ったら、まず Desktop から。帳票が必要になったら Report Builder を足します。
- Report Builder は無料でダウンロードできます。他のワークスペースへ発行するには、Pro か PPU のライセンスが必要です(共同作成者以上のロールなどの権限も必要です)。
- 閲覧する側にも、ワークスペースの容量の条件に応じて、Pro か PPU が必要です。
確認日: 2026年10月18日(一部は10月19日)。Microsoft Learn の記載にもとづきます。出典は末尾にまとめました。
選び方のフロー
次の3つのどれかです。
- 紙や PDF にして、全行を複数ページで配る必要がない → Power BI Desktop
- 配る必要があり、画面でも絞り込んだりドリルしたりして見たい → 併用(分析は Desktop、帳票は Report Builder)
- 配る必要があり、画面での分析は要らない → Report Builder
違いをひとことで
- 作るもの: Desktop は対話的なレポート(.pbix)、Report Builder はページ分割レポート(.rdl)です。
- 得意なこと: Desktop は探索・分析、絞り込み、ドリルダウン。Report Builder は印刷・PDF、全行を複数ページで出力することです。
- 出力のイメージ: Desktop は画面上で操作するレポート(複数ページも可)。Report Builder は A4 などページ単位の帳票です。
- 例: Desktop は売上分析、観光客数の推移。Report Builder は請求書、明細書、在庫一覧、財務諸表です。
Microsoft の公式 FAQ では、Power BI レポートは「探索と対話に最適化」、ページ分割レポートは「印刷に最適化した業務レポート」と説明されています。
実際の画面を見てみる
Power BI Desktop
中央のキャンバスにグラフを置きます。右上の「年」のスライサーを切り替えると、グラフが画面上で変わります。触って確かめながら作る道具だと分かります。
右側の「視覚化」「データ」ペインで、グラフの種類や使う項目を選びます。
Power BI Report Builder
こちらは、紙のページを設計する画面です。ページ上部の見出し、表の列、ページ下部のフッターをレイアウトします(フッターには、ページ番号などを式で入れられます)。
表の行には、実際のデータが入る位置を示す項目([City] や [Year])が置かれています。左上には「実行」ボタンがあり、データを流し込んだページごとの完成イメージを見るための機能と考えられます。私の環境では、ウィザードで作ったデータ付きの表は、「実行」でプレビューが開き、PDF に書き出せました(末尾の「確認したこと」を参照)。
上の画面は、説明用に作ったサンプルの帳票です(データベースには接続していません)。
ページ分割レポートとは
Report Builder で作るレポートは、ページ分割レポート(paginated report)と呼ばれます。表の全行を、複数のページにわたってそのまま出せるのが特徴です。ページのサイズ、ヘッダー・フッターなどをきっちり指定でき、PDF、Excel、Word、CSV などに書き出せます。
Desktop のレポートは、画面に収まる形でグラフや表を並べます。表が長くなると、スクロールして見る前提です。一方、請求書のように「1枚ずつ印刷して配る」用途には向きません。ここが使い分けの分かれ目です。
Desktop の PDF 書き出しではだめな場面
Desktop にも、[ファイル] > [エクスポート] > [PDF にエクスポート] があります。「PDF が欲しいだけなら、Desktop で足りるのでは?」と思うのは自然です。
この節は公式の記載です。私の環境で試して確かめたものではなく、「Report Builder なら必ずきれいに出る」という意味でもありません。
公式の記載を見ると、次のような場面では、Desktop(Power BI レポート)の PDF 書き出しの制限に当たりそうです。
- ページ数が多い
- Desktop の PDF 書き出し: 50ページを超えるレポートは書き出せない(250 MB 超も不可)。
- ページ分割レポート: 50ページの制限はない。
- 表が長い(スクロールが出る)
- Desktop の PDF 書き出し: スクロールバーのあるビジュアルは、最初の行から始まる既定の状態で出る。
- ページ分割レポート: 今回確認した範囲では、同じ記載はなし。
- 見た目をそろえたい
- Desktop の PDF 書き出し: 解像度は 1,280 × 720 ピクセルで、忠実度は保証されない。上下に白い余白の帯が入る。Service と Desktop の結果が一致する保証もない。
- ページ分割レポート: 今回確認した範囲では、同じ記載はなし。
- 使えない部品がある
- Desktop の PDF 書き出し: 認定されていないカスタムビジュアル、ESRI ArcGIS などは非対応。
- ページ分割レポート: カスタムフォント、カスタム アセンブリ、リンクレポートなどは非対応。
ページ分割レポートの側にも、できないことがあります。たとえば、日時(DateTime)のパラメーターは、Report Builder でどう設計しても、Power BI サービスでは米国形式(MM/DD/YYYY)で取得される、と公式に書かれています。
使い分けの目安は、次のとおりです。
- ページ数が多い、または全行を複数ページで出す帳票は、ページ分割レポート。
- 数ページの画面の見た目をそのまま PDF にするなら、Desktop の書き出し。例は、グラフを画像で保存する記事にあります。
ライセンスは必要?
この節は公式ドキュメントの記載です(出典は末尾)。
- ダウンロードは無料: Report Builder 自体は、ライセンスなしで無料でダウンロードできます。
- 自分用に試すだけなら無料ライセンスで OK: 無料ライセンスでも、Power BI サービスの「マイ ワークスペース」には発行できます。
- 他のワークスペースに発行する: Power BI Pro または Premium Per User(PPU)ライセンスが必要です。加えて、そのワークスペースで共同作成者以上のロールと、データセットへの Build 権限が必要です。
- Premium は必須ではない: ページ分割レポートは、Pro ライセンスの範囲で使えます。Premium 容量の購入は不要です。
見る側については、F64 以上の Fabric 容量か、P1 以上の Premium 容量のワークスペースなら、無料ライセンスのユーザーでも閲覧できます(閲覧できる権限が共有・付与されていることが前提です)。それ以外のワークスペースでは、閲覧にも Pro か PPU が必要です。
早見表
| やること | 必要なライセンス |
|---|---|
| Report Builder でレポートを作る | Pro も PPU も不要 |
| 「マイ ワークスペース」に発行する | Pro も PPU も不要 |
| 他のワークスペースに発行する | Pro か PPU が必要 |
| 閲覧する(上の容量の条件を満たす場合) | 無料ライセンスで可 |
| 閲覧する(それ以外) | Pro か PPU が必要 |
共同作成者以上のロールと Build 権限は、この表には含めていません。出典は、Paginated reports in Power BI: FAQ(確認日: 2026年10月19日)です。
人・置き場・容量の関係
ライセンスは「人」に付き、容量は「置き場」に付きます。関係を図にすると、次のとおりです。
用語のかんたん解説
ほかの用語も含めた一覧は、用語集にまとめています。
早見表に出てくる用語の説明(10語)
公式の記載をやさしい言い方に直しているので、正確な定義は末尾の出典を見てください。
まず、人に付くものです。
- 無料ライセンス: 自分用のレポートやダッシュボードを作れます。他の人の置き場への発行や、他の人との共有・共同作業はできません(Premium 容量などで共有された内容を見る場合を除く)。
- Pro(プロ): 1人ごとに付くライセンスです。レポートを発行したり、共有したり、Pro の人と共同作業したりできます。
- Premium Per User(PPU): 1人ごとに付くライセンスで、Pro の機能に加えて、Premium の機能の多くが使えます。PPU のワークスペースは、PPU の人どうしで共有します。
次に、置き場に付くものです。
- ワークスペース: レポートなどを置いて、みんなで使う場所です。
- マイ ワークスペース: 使う人全員に1つずつある、自分専用の置き場です。
- 容量(キャパシティ): ワークスペースの土台になる、計算資源のまとまりです。大きさによって種類(SKU)が分かれます。ワークスペースは、容量の中にあります。
- Fabric 容量(F SKU、F64 など): 容量の種類の1つで、名前が F で始まります。F の後ろの数字が大きいほど大きな容量で、F64 は公式の表で Premium の P1 と同じ行に並んでいます。
- Premium 容量(P SKU、P1 など): 容量の種類の1つで、名前が P で始まります。P1 から P5 まであります。
最後に、作業の言葉です。
- 発行(publish): 作ったレポートを、Power BI サービス(app.powerbi.com)へアップロードすることです。
- ページ分割レポート: 印刷や共有向けのレポートです。表の全行を、複数ページにわたって出せます。Report Builder で作ります。
併用するケース
実務では、片方だけで済まないことも多いです。
- Desktop で分析し、月次の報告用に Report Builder で帳票を作る
- Report Builder のデータ元として、Power BI のセマンティックモデル(Desktop で作って、Power BI サービスに発行したデータの集まり)を使える
同じモデルを元にすれば、分析用のレポートと帳票で、数字の元データや定義を揃えやすくなります。ただし、帳票側でもデータセット(クエリ)の作成は必要です。
Desktop で作ったグラフを、SNS 用の画像にする手順は、Power BI のグラフを画像で保存する方法(PDF から切り出して SNS 用に)に書きました。
入手先
- Power BI Desktop: Download Power BI Desktop(Microsoft Learn)に、Microsoft Store 版と実行ファイル版の入手方法が載っています。
- Power BI Report Builder: Microsoft ダウンロード センターから、無料でダウンロードできます(Microsoft Learn の案内に従ったリンクです)。
出典と確認したこと
確認日は、本文の大部分が2026年10月18日、下の出典に基づく節(PDF 書き出し、ライセンス、早見表、用語)が10月19日です。ライセンスの名称や条件、画面は変更されることがあります。
- 確認したこと: 公式ドキュメントの記載と、Desktop・Report Builder の実際の画面(Report Builder はサンプルの帳票)です。
- 確認していないこと: 公式の記載を、私の環境で試して確かめてはいません。Report Builder は、10月19日に、15.7.1821.21 で確かめました。ウィザード(「テーブルまたはマトリックス ウィザード」)で作った、データ付きの表は、「実行」でプレビューが開き、PDF に書き出せました。一方、手で書いた RDL の、XML のファイルパスをデータソースにしたものは、「レポートをプレビューできませんでした(オブジェクト参照がオブジェクト インスタンスに設定されていません)」となり、開けませんでした。この失敗の理由は、特定していません。SQL Server など、ほかのデータソースでの動きは、確認していません。
出典(すべて Microsoft Learn)


![Power BI Report Builder の設計画面。表のヘッダーと、データが入る項目 [City] [Year] が並んでいる](https://qiita-user-contents.imgix.net/https%3A%2F%2Fbi.nagashigoto.com%2F_astro%2Freport-builder-page.C_maH48e_mi12B.webp?ixlib=rb-4.1.1&auto=format&gif-q=60&q=75&s=09545fa15e5bab7bd6532e939563b467)