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Link Branding - 確実にメールを届けるための対策

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はじめに

メールマーケティングやトランザクションメールの配信において、「本当にユーザーの受信トレイに届くか?」 は最大のテーマです。メールを確実に届けるために、SendGridでは3つの設定があります。

  • ドメイン認証(必須)こちらの手順は前回のブログを確認してください
  • Link Branding ←今日の主題はここ
  • リバースDNS

Twilio SendGrid などのメール配信プラットフォームを使うと、リンクのクリック率や開封率を計測するためにURLが自動的に計測用ドメイン(例: ct.sendgrid.net)へ書き換えられます。しかし、この 計測用ドメインが自社ドメインと一致していないことでスパムフィルタが厳格に働き、配信率が低下するケースがあります。

そこで登場するのが Link Branding(リンクブランディング) です。本記事では Link Branding の概要、導入メリット、具体的な設定手順、そして確実にメールを届けるためのベストプラクティスを解説します。

Link Branding とは?

Link Branding とは、メール本文内の クリック計測用リンク と 開封計測用ビーコン が、自社が保有するサブドメイン経由で配信されるようにする機能です。たとえば、デフォルトでは

https://u123456.ct.sendgrid.net/ls/click?...

という URL が、Link Branding を行うことで次のように書き換えられます。

https://l.email.example.com/ls/click?...

これにより ドメイン整合性 が向上し、受信サーバーやユーザーにとって信頼度が高まります。

なぜ Link Branding が重要なのか

  • 受信サーバーの評価向上: 送信ドメインと計測ドメインが一致すると、スパム判定アルゴリズムのドメイン整合性チェックをパスしやすくなります。

  • ブランド信頼性の向上: ユーザーがメール内リンクをホバーした際、自社ドメインが表示されるためフィッシング疑惑を回避できます。

  • HTTPS を用いた安全な計測: SSL/TLS を有効化することで、リンクの安全性が高まり警告表示を防げます。

ポイント: Link Branding は 必須 ではありませんが、到達率を少しでも高めたい場合は効果的でかつ “低コスト改善” 手段です。

仕組み

  1. CNAME レコード を使い、l.email.example.com などのサブドメインを SendGrid の計測サーバー (例: sendgrid.net) に向けます。

  2. メール送信時、SendGrid は本文内 URL をこのサブドメインに書き換えて埋め込みます。

  3. 受信者がクリックすると、まずサブドメイン (CNAME) へアクセス → SendGrid がクリックを計測 → 元の URL にリダイレクトされる、というフローで計測とブランド整合性を両立します。

事前準備チェックリスト

項目 内容
カスタムドメイン example.com の DNS 管理権限
DNS レコード追加 CNAME を 3 件程度追加可能か
SendGrid アカウント 管理者権限 (Pro 以上推奨)

SendGrid での Link Branding 設定手順

  1. Settings › Sender Authentication を開き、「Link Branding」で Get Started をクリックします。

  2. DNS プロバイダーを選択し、From Domain に自社ドメインを入力

  3. Advanced Settings は任意
    Pasted image 20250617214154.png

Advanced Settings のオプション解説

チェックボックス 概要 代表的なユースケース
Use a custom link subdomain Link Branding に使用するサブドメインを手動で指定できます (例: click.example.com)。デフォルトでは SendGrid が推奨値 (例: l.email) を自動入力しますが、既存の DNS/ブランドポリシーと揃えたい場合に有効です。 すでに email.example.com ドメイン構造がある企業で、命名規則を合わせたいとき。
Assign to a subuser 作成した Link Branding を特定の サブユーザー (subuser) に割り当てます。マルチテナント構成でエンドユーザーごとに異なるブランドを運用している場合に便利です。 B2B SaaS で顧客ごとにサブユーザーを分けており、それぞれ独自のリンクドメインを使わせたいとき。
Make link EU‑pinned クリック計測リダイレクトを EU データセンター内で完結させ、データを EU 外に転送しません (GDPR 準拠)。チェックボックスを有効にすると、CNAME 値が sendgrid.eu ドメインを指すように変わります。 EU 在住ユーザーにメールを送信しており、データ主権ポリシーで EU 外転送を禁止している場合。
  1. 表示される CNAME レコード を DNS に登録 (最低 2 件)。

  2. DNS 伝播後、SendGrid 画面で Verify を実行し、緑色のチェックが出れば完了。

Pasted image 20250617215020.png

Tip: ドメイン認証 (Domain Authentication) をまだ設定していない場合は、同じ画面で「Domain Authentication + Link Branding」をまとめて設定すると楽です。ただし Link Branding 部分の CNAME は 手動 追加が必要な点に注意してください。

DNS レコード設定例

Name (HOST) Type Value
url9xxx.example.com CNAME sendgrid.net
13xxxxxx.example.com CNAME sendgrid.net

ドメイン認証 (SPF/DKIM) との関係

  • SPF: SendGrid の送信 IP が include:sendgrid.net を含むレコードで許可されていることを必ず確認。

  • DKIM: Link Branding と同時に DKIM の CNAME (s1/s2) を設定するのが一般的です。

  • Alignment: From ドメインと DKIM/Link ドメインが同一ルートドメインになることで、ARC/DMARC パス率が向上します。

ベストプラクティス

サブドメイン分離: 例 l.email.example.com をクリック計測専用にすることで、メインサイトの SSL/TLS 影響を受けにくくする。

まとめ

Link Branding を実装すると 到達率・ブランド信頼性・セキュリティ の 3 点を同時に強化できます。DNS 変更と管理画面操作だけで始められるため、まだ導入していない場合はぜひこの機会に設定を進めましょう。

参考

SendGridのアップグレードについて

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