はじめに
四柱推命を「スピリチュアルな占い」と考えている人は、その認識を改めてほしい。四柱推命は、人間が生まれた年・月・日・時間に基づいて、その先天運命と後天運勢を**統計的に推測する「学問」**だからです。
そのため、霊感などのスピリチュアルな素養を必要としません。理屈を覚えて所定の手順に習熟すれば、誰でも先天運命と後天運勢を推測できます。つまり、推測の方法論がすべて言語化されているのです。
特に、推測するためにまず必要となる「命式」と「大運立成」を出す手順は、完全に客観的なプロトコルなので、コンピュータで計算できます。
そこで、推測の前提となる「命式」と「大運立成」を出すプログラムを Python で作ったので、みんなに見てほしい!🎉
レポジトリ: https://github.com/hajime-f/destiny
プログラムについて
四柱推命では、下記の3ステップで鑑定対象の先天運命と後天運勢を推測します。
- 命式を出す
- 大運立成を計算する
- 命式・大運立成を解釈する
このうち、手順3については、言語化されてはいるものの、私自身がまだ四柱推命に習熟していないことや(残念)、人によって解釈の幅が広いことなどもあってプログラム化しづらいので、手順1および2を対象とします。
(本当は3まで機械化してこそなんですけどねぇ。。)
プログラムの動かし方
poetry が必要です。
$ poetry --version
Poetry version 1.1.8
インストールしていない人は、次のコマンドでインストールできます。
curl -sSL https://raw.githubusercontent.com/python-poetry/poetry/master/get-poetry.py | python
あとは、make install
して、make
するだけです。make
には生誕の日時と性別を引数で渡します。
$ make install
$ make BIRTH='1955-07-01 18:00' SEX=0 <- 明石家さんまの場合
$ make BIRTH='1979-10-30 21:00' SEX=1 <- 仲間由紀恵の場合
いろいろズラズラと出力されるので、興味のある方はそれらの意味を専門書で調べてみてください。
実行結果
例えば、明石家さんま(1955/07/01 18:00生まれ)の生誕日時を入力してプログラムを実行すると、まず下記の「命式(めいしき)」が出力されます。
|生時|生日|生月|生年|
|---+---+---+---|
|辛(偏印)|癸|壬(劫財)|乙(食神)|
|酉(ビ)|亥(帝)|午(ゼ)|未(ボ)|
|辛(偏印)|壬(劫財)|丁(偏財)|己(偏官)|
命式に含まれる要素が何を表すかについては、専門書をあたってもらいたいのですが、とにかくこれを解釈することで、その人の「先天運命」が分かります。
さんまさんは、とても我の強い人(身旺の運命)なんですねとか、収入があればあるほど使ってしまうタイプですねとか、異性関係に注意が必要で、悪くすると周囲に迷惑をかける暗示がありますね、とか。
また、下記のような「大運立成(だいうんりっせい)」も出力されます。
年 | 年齢 | 大運 | 年運 |
------------------+-------+-------------+-------------
1963年(昭和38年)| 8歳 | 辛巳 (偏印) | 癸卯 (比肩) |
1964年(昭和39年)| 9歳 | | 甲辰 (傷官) |
1965年(昭和40年)| 10歳 | | 乙巳 (食神) |
1966年(昭和41年)| 11歳 | | 丙午 (正財) |
1967年(昭和42年)| 12歳 | | 丁未 (偏財) |
1968年(昭和43年)| 13歳 | | 戊申 (正官) |
1969年(昭和44年)| 14歳 | | 己酉 (偏官) |
1970年(昭和45年)| 15歳 | | 庚戌 (印綬) |
1971年(昭和46年)| 16歳 | | 辛亥 (偏印) |
1972年(昭和47年)| 17歳 | | 壬子 (劫財) |
1973年(昭和48年)| 18歳 | 庚辰 (印綬) | 癸丑 (比肩) |
1974年(昭和49年)| 19歳 | | 甲寅 (傷官) |
1975年(昭和50年)| 20歳 | | 乙卯 (食神) |
1976年(昭和51年)| 21歳 | | 丙辰 (正財) |
1977年(昭和52年)| 22歳 | | 丁巳 (偏財) |
1978年(昭和53年)| 23歳 | | 戊午 (正官) |
1979年(昭和54年)| 24歳 | | 己未 (偏官) |
1980年(昭和55年)| 25歳 | | 庚申 (印綬) |
1981年(昭和56年)| 26歳 | | 辛酉 (偏印) |
1982年(昭和57年)| 27歳 | | 壬戌 (劫財) |
1983年(昭和58年)| 28歳 | 己卯 (偏官) | 癸亥 (比肩) |
1984年(昭和59年)| 29歳 | | 甲子 (傷官) |
1985年(昭和60年)| 30歳 | | 乙丑 (食神) |
1986年(昭和61年)| 31歳 | | 丙寅 (正財) |
1987年(昭和62年)| 32歳 | | 丁卯 (偏財) |
1988年(昭和63年)| 33歳 | | 戊辰 (正官) |
1989年(平成元年)| 34歳 | | 己巳 (偏官) |
1990年(平成 2年)| 35歳 | | 庚午 (印綬) |
1991年(平成 3年)| 36歳 | | 辛未 (偏印) |
1992年(平成 4年)| 37歳 | | 壬申 (劫財) |
1993年(平成 5年)| 38歳 | 戊寅 (正官) | 癸酉 (比肩) |
1994年(平成 6年)| 39歳 | | 甲戌 (傷官) |
1995年(平成 7年)| 40歳 | | 乙亥 (食神) |
1996年(平成 8年)| 41歳 | | 丙子 (正財) |
1997年(平成 9年)| 42歳 | | 丁丑 (偏財) |
1998年(平成10年)| 43歳 | | 戊寅 (正官) |
1999年(平成11年)| 44歳 | | 己卯 (偏官) |
2000年(平成12年)| 45歳 | | 庚辰 (印綬) |
2001年(平成13年)| 46歳 | | 辛巳 (偏印) |
2002年(平成14年)| 47歳 | | 壬午 (劫財) |
2003年(平成15年)| 48歳 | 丁丑 (偏財) | 癸未 (比肩) |
2004年(平成16年)| 49歳 | | 甲申 (傷官) |
2005年(平成17年)| 50歳 | | 乙酉 (食神) |
2006年(平成18年)| 51歳 | | 丙戌 (正財) |
2007年(平成19年)| 52歳 | | 丁亥 (偏財) |
2008年(平成20年)| 53歳 | | 戊子 (正官) |
2009年(平成21年)| 54歳 | | 己丑 (偏官) |
2010年(平成22年)| 55歳 | | 庚寅 (印綬) |
2011年(平成23年)| 56歳 | | 辛卯 (偏印) |
2012年(平成24年)| 57歳 | | 壬辰 (劫財) |
2013年(平成25年)| 58歳 | 丙子 (正財) | 癸巳 (比肩) |
2014年(平成26年)| 59歳 | | 甲午 (傷官) |
2015年(平成27年)| 60歳 | | 乙未 (食神) |
2016年(平成28年)| 61歳 | | 丙申 (正財) |
2017年(平成29年)| 62歳 | | 丁酉 (偏財) |
2018年(平成30年)| 63歳 | | 戊戌 (正官) |
2019年(令和元年)| 64歳 | | 己亥 (偏官) |
2020年(令和 2年)| 65歳 | | 庚子 (印綬) |
2021年(令和 3年)| 66歳 | | 辛丑 (偏印) |
2022年(令和 4年)| 67歳 | | 壬寅 (劫財) |
2023年(令和 5年)| 68歳 | 乙亥 (食神) | 癸卯 (比肩) |
2024年(令和 6年)| 69歳 | | 甲辰 (傷官) |
2025年(令和 7年)| 70歳 | | 乙巳 (食神) |
2026年(令和 8年)| 71歳 | | 丙午 (正財) |
2027年(令和 9年)| 72歳 | | 丁未 (偏財) |
2028年(令和10年)| 73歳 | | 戊申 (正官) |
2029年(令和11年)| 74歳 | | 己酉 (偏官) |
2030年(令和12年)| 75歳 | | 庚戌 (印綬) |
2031年(令和13年)| 76歳 | | 辛亥 (偏印) |
2032年(令和14年)| 77歳 | | 壬子 (劫財) |
これを解釈すれば、その人の「後天運勢」が分かります。
さんまさんは、来年(2022年)は運勢が悪いまま転機を迎えて、その後は少しずつ運勢が上向きそうですねとか(この運勢だと、80 歳近くまで、いまのテンションでテレビに出続けるかもしれない)
おわりに
中国では、古来から数々の思想家たちが、天体の運行、暦の記録、方角の指示、時間の測定などの複雑な事象を陰陽五行に則って体系化してきました。そして、四柱推命学は、その膨大な成果の積み上げに基づく「学問」として、長い歴史に耐えて現代まで発展を遂げてきました。
成果と歴史の裏付けがあるからこそ、近代的な西洋の学問と同じように奥深く、東洋の学問の1つとして尊重されるべきものと言えます。
四柱推命は理詰めなので、エンジニアに向いていると思います。興味のある方は、ぜひ一度触れてみてください。奥が深いですよ。
ちなみに、私の師匠は川口泰明先生です。神戸が近い人はぜひどうぞ。