私は「仕事ができないひと」である。そのせいで、「仕事ができるひと」を見つけてまかせることが、私にとっては死活問題になっている。
自分でできないのだからやってもらうしかない。そんなスタンスで、ここ7年間をのらりくらりと過ごしてきた。
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本題。
そんな私だが、いくらかの新入社員・協力会社をみてきて、「仕事ができるひと」を見極める方法がわかってきた。
結論はシンプルだ。
"未知" を与えてみて、
「試行錯誤をして、どうにか手を進められる」か、
「どうしたらいいか分からず、手が止まってしまう」か、
どちらなのかをみればいい。
"未知" を与えると、差は一瞬で出る
あたらしい試みは、考えなければならないことが一気に増える。
やらない言い訳として、「失敗が怖い」「やり方が分からない」あたりがあるが、じっさいはそうではない。怖いわけでもないし、やり方も調べたら大抵分かる。
やらないのは、たんに考えるのが面倒くさいからだ。
だからこそ、未知を与えると本質が出る。
例えば、こんなタスクを与えてみる。
「社内向けにタスク管理アプリを作りたい。どんな機能が必要か整理してください。」
以下のような能力が備わっているか、一発で分かる:
- 試行錯誤できるか
- 仮説を立てられるか
- 自分で前提を置けるか
- 「正解」を聞く前に思考できるか
(まとめると「考えるクセがついているか?」ということでもある。)
その人にとって「未知のタスク」を目の前にしたとき、反応は二分化する。
「仕事ができるひと」は、試行錯誤をして、どうにか手を進める。
「仕事ができないひと」は、どうしたらいいか分からず、手が止まってしまう。
それ以外の判断方法ってある?
ひとつ、愚痴を聞いてもらいたい。
先日、ひとつのプロジェクトを終えた。
プロダクトの経験者が私だけであり、不安のあるプロジェクトだった。メンバーがアサインされたと同時に、誰が一番「仕事ができるひと」なのかを見極めた。
幸いなことに、メンバーにとびきり「仕事ができるひと」がいた。
私はすぐにそのひとに管理権限を委任し、自分は経験者としてワーカーの作業に回った。むしろ、私のタスクも管理してもらっていた。
その結果、大きな問題も発生することもなく、メンバー全員の総力を使いきってやりきることができた。「仕事ができるひと」の管理は完璧で、プロジェクトをうまく回してくれた。
「やっぱ優秀だよなぁ」とニヤッと笑った。
─── ところが、プロジェクトが終わったあとに驚く話を聞く。
私がクッソ優秀だと思っていたメンバーは、前のプロジェクトでは低い評価をうけていたというのだ。そのため、周囲から心配されていたらしい。
正直、「またか」とうんざりした。
上司によって評価が変わるのは仕方ない。しかし、うちの評価制度はどうも個人の感想や感覚に大きく依存しているように思える。
さらに悪いことに、自分でメンバーの仕事ぶりを評価せず、既存の評価をそのまま踏襲して仕事を割り当てるひともある。そりゃ、優秀なひとから辞めていく。
私の判断基準は違う。
もっと確実で、もっと簡単だ。(と思っている。)
私がやっている「"未知" を与えて自走できるかみる」という方法は乱暴にみえるだろう。私も、絶対にこの方法が正解だとは思わないし、ほかにも方法はあるだろうなと思う。
けれど、いまのところ、この判断基準でハズしたことはない。
思考錯誤したり、分からないままで仮置きしたり、自分でいったん納得して先に進められるひと(以下:未知への耐性があるひと)は、例外なく優秀だった。
求められる人材
「未知への耐性があるひと」は優秀。これはよく考えたらそうだろう。
そもそも、会社が求める人材とはなんだ。
会社の可能性をひろげられる人材だろう。これは、未知に対してアレルギー反応をおこさず、新しい技術・領域にチャレンジできるひとにほかならない。
逆に、「未知への耐性がないひと」は新しいことが苦手だ。すぐに手が止まって、だれかに助けをもとめる。これでは、経験のないプロダクトのプロジェクトに参加させることはできない。
結果、会社では「未知への耐性があるひと」が新規開拓・ノウハウ化したものを、「未知への耐性がないひと」がスケールして対応することになる。
そして、社内ノウハウのある大規模案件より、ノウハウのない小規模案件のほうが会社にとっても価値がある場面が多い。どちらを昇給させるか、いうまでもない。
すこし話がそれるが、「未知への耐性」を「変化への強さ」といいかえれば、転職のさいにも重要視されるポイントであることがわかる。
転職をせず、「ずっと同じ会社にいたひと」はリスクとみなされるからだ。
ひとつの会社でながく働いた経験は貴重なはずなのに、それが「あたらしい環境での適応力が未知数」という不安材料になる。皮肉だが、現実だ。
個人レベルでも同じ
いつの間にか会社規模の話になってしまっていたが、主張は変わらない。個人が与えられるタスクにも同じことがいえる。
そもそも、自走できないひとは正直困るのだ。
プロジェクトリーダーの経験者ならわかると思うが、タスクを与えたときに(私のように)「えーっと、どうすればいいっすか?」とノータイムで聞いてくるひとに割く時間は大きい。
だから、メンバーのタイプを見極めて、「考えるクセがついていないとできない難しいタスク」と「単純だけど物量のあるタスク」をうまく割り当てなければならない。
うまく割り当てると、コミュニケーション コストはグッと減る。
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以上が、『「未知」を与えてみて、思考を放棄して立ち止まってしまうか、試行錯誤してなんとか自走できるかをみるのがオススメ』という話だ。
ちなみに、この方法はほかの能力を判断するためにもつかえる。
それらを軽く紹介して記事を締める。
例えば以下:
- 分からないことがあったときに、すぐに質問ができる
- 「自分が分からないこと」をきちんと言語化できる
- 腰がおもたい作業でも、すぐに着手できる
これを見極めるのが腕の見せ所だ。
「試行錯誤したけど分かりませんでした。質問させてください。」はもちろん大歓迎だ。ただ、「分からないところが分かりません。」では困るのである。
生成 AI を使いこなすのがうまいだけで、自分で深く思考したわけではないかもしれない。思考の仮定をきくとボロがでやすい。安易に結論を出すべきではない。
自走していたとしても、あさっての方向に走ってしまっては意味はない。思考はできるが、思い込みが激しく、相談をしてこないタイプもいる。
シンプルに人間性も分かる:
- 期限を守る
- 返信がはやい
- 結論から話せる
- 機嫌で仕事をしない
- 分かったフリをしない
- 任された仕事をやりきる
- 指摘を「攻撃」と受け取らない
- 知らないことを学ぶ姿勢がある
- 自分のやりかたに固執しすぎない
- プレッシャー下でも態度が荒れない
この方法で発掘した「仕事ができるひと」はひときわ光を放つ。
もしかしたら、そのひとの価値に気がついているのは、あなただけかもしれない。そうであればしめたものだ。存分に活躍させ、チームの評価を高めるチャンスだ。
以上。
【ちょい追記】
うすうすお察しかとは存じますが、この記事でいう「仕事ができるひと」とは、「自走できるひと」という意味合いがかなり強めです。
もちろん、「指示がないと動けないひと」や「自分で考えるのが苦手なひと」であっても、技術力が抜けて高かったり、優れた発表能力を備えていれば、「仕事ができるひと」と評価されることもあるでしょう。私自身も、その考えに異論はありません。