休日に隠れて仕事をするひとが大嫌いだ。
やつらは「実力」にウソをついている。
それを評価する上司もクソだ。
「休日に隠れて仕事」───もっと咎めるべきじゃないのか?
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私はめったに自分の会社をネタにしないのですが、そろそろ表題の件でうんざりしております。今日は「自分も気を付けたいこと」を言語化することを目的に、ざっくばらんに吐き出してみることにしました。
記事の内容は以下です。
- プロジェクトリーダーを任されたひとが軒並み辞めていきます。精神的にキツくなって、疲弊して辞めていくケースが多いようです。
- どうやら休日に隠れて仕事をしていたようです。しかも、「リーダーになる前」から休日にも仕事をしており、それが常習化していたひともいました。
- プライベートをつぶして、「実力」以上の成果を出していたのでしょう。それがアサインのミスに繋がり、プロジェクトが炎上したと考えています。
- 上司の許可なく勝手に仕事するのはよくないことだと思います。そういうタスクの振りかたをする上司もまたよくないんですけどね。
※本記事の内容を一般化する意図はありません。
休まないとひとは壊れる(あたりまえ)
私のまわり、プロジェクトリーダーを経験した中間管理職の退職が多いです。組織から中堅メンバー(まだギリギリ若手といえるくらいの年齢)も少なくなってきました。
プロジェクトの途中で離脱することもあれば、プロジェクトが終わったあとに休職して、そのままフェードアウトすることもあります。退職理由は、私の知るかぎりではあまりポジティブなものではありませんね。同じプロジェクト内のメンバーに話を聞いても「実は、けっこう精神的にしんどかったみたいで」みたいな話ばかりが出てきます。
そしてこれです。「どうやら休みの日も仕事をしてたみたい」とのことです。
まぁ、そりゃメンタルやられるよな。
休日も仕事をするのはキツイよな。
「休日に隠れて仕事」─── 最初はあまりしんどさを感じないし、気にならないでしょう。がんばって、評価されて、うれしい。大変結構だと思います。
けれど、それがずっと続いたら?
それが当たり前になってしまったら?
そうしないと、成果が出せなくなったら?
それで不安になって、何をしていても仕事がチラつくようになったら?
ひとは簡単に壊れてしまうでしょうね。
これは一般化してもよいと思うのですが、「休む」さいには「思考しない」ことが大切です。身体を休めることも大切ですが、頭であれもこれもと思考しているようでは気が休まりません。交感神経が高ぶってしまい、身体もあまり休まりません。
大量の仕事を抱えたひとが、休日に(職場をはなれても、お風呂に入っていても、ベッドで横になっていても)仕事のことが頭から離れなくて休めない、ということはよくあります。
そうした状態がつづけば睡眠不足になります。そのまま不眠症に陥るかもしれません。
また、リフレッシュしようとしてもうまくいきません。楽しい時間を過ごしていても「ふっ」と仕事のことを思い出し、不安になり、気分が落ち込むからです。こうなると、本格的な精神疾患まであと一歩です。
『休養学』にも、現代の疲れについてこう書いてあります。
しかし今はどちらかというと頭を使う作業が中心です。そうすると、仕事が終わってからも興奮・緊張状態が長く続いて、日常生活のリズムが狂ってしまいがちです。このリズムの乱れが現代人の疲労の大きな原因になっています。(…)
座ったままでできる仕事が増えて体は楽になった一方で、体は疲れていないのに頭だけが疲れることで、結果的に肉体にも疲れが残るようになっているのです。
出典:片野 秀樹『休養学』P35
───まぁ、「それで疲れが取れないとか、眠れないとか、不安な気持ちになってるって、すでに精神疾患じゃね?」と思ってしまいますね。
IT 業界は、ほかの業種に比べて休日に隠れて仕事をしやすいです。目の前の PC は 10 秒で起動しますし、会社のファイルには数分でアクセスできます。その気になれば、すぐに仕事にかかることができるでしょう。
この手軽さは恐ろしいものです。不安になったら仕事して、それで休めなくて、また不安になったら仕事して、疲れを溜めていくことになります。(抜け出せない)
批判しにくい「休日に隠れて仕事」
休日に隠れて仕事をすること。じつはかなり危険で、組織に損害をあたえる愚行だと思っているのですがどうでしょう。ゆっくりゆっくりと破滅に向かい、気が付いたときにはすでに手遅れという性質をもっていると思います。
しかし、これはなんとも批判しにくい話題です。なぜなら、インターネッツというゲームは「弱みを見せた方が負け」だからです。「休日に隠れて仕事をするのはやめようぜ」みたいなことをいうと、すぐに
「頑張っているひとに水を差すな!」とか
「若いうちに苦労しておくのは大事だよ(笑)」とか、
そういう反論をされます。大衆は馬尻に乗ったかのように「そうだそうだ!」と勢いづき、通りすがりのひとからも石を投げられます。
しかし、これは批判すべきことだと、私は考えています。
そもそも仕事ってやつは上司の許可なしにしてはいけません。
いろいろ理由はありますが、仕事には人員・予算・時間といった限られた資源があるからです。上司は全体を見渡して、どの仕事をどのメンバーにふり、なにを優先すべきかを決めています。
勝手に仕事を進められると、シンプルにスケジュールが狂います。また、ズルで実力があるように振る舞うと、上司がメンバーの能力を正しく評価できなくなります。その結果、仕事を任せても想定した時間で終わらないなど、のちのち大きな問題なったりします。
いちワーカーとして働いているあいだは影響が軽微かもしれませんが、リーダーに抜擢されるほどの立場になると、もはや無視できない問題となります。
すでに述べたとおり、アサインのミスにもつながります。
あと、社会人には、体調管理も含めて責任ある行動が求められます。無理をして作業を進め、かわりに体調を犠牲にするのはプロの姿勢とは言えないでしょう。
『なぜこんな人が上司なのか』の著者、桃野泰徳さんが、「戦力回復」という考え方について記事で紹介してくれています。休むことの大切さを改めて考えさせられますね。
自衛隊には「戦力回復」という考え方がある。
先進国の軍隊であれば必ず持ち合わせている概念で、文字通り一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮できるよう、心身の休息や娯楽を仕組みとして組織に組み込む考え方だ。
そのため自衛隊の場合、起床時間である6時よりも早く起き、例えば5時30分から歯磨きをしたり洗顔をしようものならめっちゃめちゃ怒られる。
正規の隊員はもちろん、体験入隊の一般人でさえめちゃめちゃ怒られる。
寝るのも休むのも、適切な「戦力回復」のための大事な仕事だからだ。
始業の1時間前に出社するような社員を「頑張っててエライ」などと褒める勘違いアホリーダーなど、そこには絶対にいない。
出典:Books&Apps.「娯楽も遊びも休息も、仕事の一部」(2025/9/1)- https://blog.tinect.jp/?p=90097
人は仕事だけしか無い環境に晒されると、容易に心身を壊し、パフォーマンスを落とす。───とのことです。
誰も悪くない、のか?
で、そんな不幸なリーダーが生まれる理由が、以下のふたつだと思っていて、組織として是正しない限り、破滅しかないんだろうなと思うわけです。
①:「部下側の問題」で、やる気やモチベーションがあふれ、休日にも仕事、あるいは残業をしてでもガンバりたいと思うひとがいる。
②:「上司側の問題」で、部下の実力を見抜けず、休日に仕事・残業をしないと間に合わないほどのタスクをあたえてしまうことがある。
ただこれ、だれが一番悪いとかはないと思っています。だって:
- モチベーションの高い部下が、休日にも仕事をしていた。
- 上司はそれを知らず、成果だけをみて、実力だと評価した。
- それでプロジェクトリーダーに抜擢された。
- けれど、「休日に仕事をする」ことが長く続くはずがない。
- 成果が出なくなり、プロジェクトの炎上をひきおこした。
- 結果、(采配ミスにより)全員が不幸になった。
こんな悲しいすれ違いだと思うんですよね。
だからうんざりもするんですけどね。
「いつまでバカな評価制度でやっとんだ」ってね。
「8時間を超えて、プライベートを削って成果を出したひと」と、「業務内の8時間で成果を出したひと」のどちらが優秀か。そんなのは議論するまでもないでしょう。
けれど、前者が、残業をしてでも成果を残そうとする姿勢を示していたら?休日にもプロジェクトの資料を読み込むだけのやる気をもっていたら?─── チャンスをあたえたいと思ってしまうのが人情というものです。
ただ、その勢いでプロジェクトを任せたとしても、失敗する。
ふつうに采配ミス。
個人は病み、組織も不幸になる。
うーん、先ほど「だれが一番悪いとかはなくて」と言ったばかりなんですが、だんだんムカついてきました。せっかく悪者をみつけてみますか。次のセクションで「部下」と「上司」をそれぞれ叩いてみようと思います。
部下:休日に隠れて仕事は「悪」
休日に仕事をする「部下」について考えます。
「そもそも勝手に仕事をするな!」問題もありますが、まずひとこと言いたいことがあります。休日に仕事をするのは、努力ではありません。
あえて全否定するなら、「8時間のなかでどれくらいの成果を出せるか?」というゲームで、ズルをしているだけです。真にやるべきことは、ズルではなく、実力不足を認め、スキルを磨くことです。
中身がないままに外装をかため、それで「優秀」のステッカーを貼ってもらったとしても、すぐにメッキごと剥がれるわけです。文字通り、見かけ倒しです。
───とはいえ、罪人とまでは言えません。頑張っている本人に悪気なんてないでしょうから。(これが難しい問題な気もします。)それに、「ほかの人に認められたい!」と思うことは、ひとのもっとも重要視される欲求だとカーネギーさんも述べています。むろん、私にもそういう想いはありますし、その感情は大切なものなので、それを否定してはいけないでしょう。
けれど、「パフォーマンスを見せれば評価される」などのカン違いをしている場合は、混乱をといてあげないといけません。新入社員の中にはときおりそういうカン違いをして、残業をしたがるひとがいます。
上司:部下の人生に責任をもて
部下の工数管理が正しくできない「上司」はどうか。
諸悪の根源です。
けれど、「極悪人」かと言われたら微妙です。悪意をもって部下を壊そうと思っているひとなんて稀でしょう。単純に管理するたけのスキルがなかったり、上司自身が「休日に隠れて仕事」や残業で成果をあげてきたひとの場合があります。
それで、部下が残業をすることに本当になんとも思わないのです。
彼らには「部下の人生に関わっている」という自覚がないように思います。そうでないと、「夜中でいいので回答ください」なんてふざけたこと言えないでしょう?
バカか!夜は家族時間だっつーの!
ふつうの上司になりたい
これは私のような無能の考えなのですが、仕事ばかりだと人生の進捗が悪くなると思います。ありていに言えば、若いうちにしかできないことは確かにあるのです。(急に曖昧なことを言ってすみません。けれど大事なことです。)
私より年下の、結婚もしていない20前半の若手が残業をしたり、休日も仕事をしていると聞くと、非常に心配が勝ちます。「まだまだプライベートに時間を使いたいんじゃないか?」と邪推し、余計な口出しをしたくなります。
「それで、人生の進捗は大丈夫そ?」と思ってしまうのです。
───で、そういうことを考えていたときに、ちょうどいいポストが回ってきましたよ。これが回ってきたから、モチベーションがあがって記事を書きましたよ。
私も、めっっっっちゃそう思うよ。激しく同意だよ。
ふつうにさ、定時になったら部下は帰そうよ。
そして、上司も帰ろうよ。
「実力」にウソをつくなっての。
それができないなら、上司なんてやめちまえよ。
───なんて、たまに感情的になったりするのです。
以上です。