ほうれんそう(報告・連絡・相談)の続きに、よく知られたものがある。
「おひたし」だ。
「おひたし」は上司側の心構えであり、部下からの報連相にたいして、上司がとるべき4つの対応のことをいう。
【お】怒らない :部下を萎縮させない。
【ひ】否定しない:意見や報告を受け止める。
【た】助ける :困りごとに気づいて支える。
【し】指示する :方向性やアクションを提示する。
つまり、部下からもらった「ほうれんそう」は、「おひたし」にして、食べられる状態にしろ ─── ということだ。上司の関わり方が、安心して働ける職場をつくる。
報連相は大事だけど
報連相の大事さは、いまさら言うまでもない。
けれど、あえてダメなところをあげると、やみくもに「ほうれんそう」をしても、上司の負担になってしまうことがある。例えば、「だから、どうした」が抜けている場合。
部下から報告を受けたとき、「だから、どうした」と言いたくなることが少なくない。
例えば、「プリンターの調子がおかしくて」とだけいわれる。「プリンターの調子が悪いから、どうなのか」と聞かないと、「報告書を仕上げるのがちょっと遅れそうです」ということがわからない。
コミュニケーション コストが高い分だけ負担もあがる。
「報連相」は、早ければ早いほどよい、というのが一般だ。鮮度が重要であり、準備に手間取っていたら賞味期限を逃してしまう。
けれど。それが分かっていても。「いま、上司が忙しそうだから」と報告を躊躇してしまった経験のあるひとは多いだろう。
そういう躊躇は、本来的には必要ない。
だが、気にするなといわれて、気にならなくなることはない。
─── どうしても気になることもある。だったら、せめて「ほうれん草」の下処理をしようじゃないか。イメージの話、彼らが「おひたし」にしやすいように準備する。
この下処理の有無が、「あいつは報連相がうまい」と思われるコツでもある。
(と、私は思っている。)
ほうれん草のおひたしは面倒くさい
じっさいに「ほうれん草のおひたし」を作ったことのあるひとなら、その手間が分かるだろう。(シンプルな料理だが、実は「下処理」が味を大きく左右する。)
ほうれん草には泥がたくさんついている。高級スーパーか、デパートで買ったものでなければ例外はない。まず、水で爆洗いしなければならない。
ほうれん草には強いアクがある。事前にたくさんの熱湯で下茹でしなければならない。お湯を沸かしておくとよい。お鍋に水をはっておくだけでも助かる。
塩が小さじ1 程度あれば、色味がはっきりする。なくてもいいが。
お湯を切らないといけないので、ザルは必須だ。大きめのザルだ。「鍋つかみ」も忘れない。菜箸なんかもあったほうがいい。割り箸だと、上司がやけどをしてしまうかもしれない。
湯で上がったほうれん草は、氷水(冷水)に入れる。冷凍庫をあけて、氷がきれていたときの絶望たるや。特に夏は氷がなければ話にならない。
けっこう手間がかかるし、準備がいるのだ。
どうだろう。ほうれん草を用意しただけで「じゃあ、あとはよろしく」というのは、無責任に思えてきたのではないだろうか。
これは報連相にも同じことがいえる。
余計な情報がくっついていると、相手を混乱させてしまうかもしれない。
事実と意見が混在しているかもしれない。あなたの感想が判断を鈍らせる。
情報が足りないかもしれない。添付ファイルや参照情報をつけることを検討する。
どんな報告・連絡・相談をしたら、上司が助かるだろうか。
そういうことを考えて報連相をすると「使いやすい部下」になることができる。コミュニケーション コストが安いと上司からの返事も早くなる。
「あいつの質問は答えやすいから、すぐに見てしまおう」と思われる。
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新入社員のあなたが、「私は新鮮なほうれん草を用意することができている」と感じているなら、次のステップとして、おひたしの下処理をしておくのがよいだろう。
3分で回答が欲しければ、3分クッキングにならおうじゃないか。
「準備されたものがこちらです」だ。
そういう下積みがあれば、そのうち自分でもサッとおひたしが作れるようになる。
そうなると、次の上司はキミになる。
以上。
Appendix
ちなみに「こまつな(小松菜)」もある。
【こま】困ったら
【つ】使えるひと(できるひと)に
【な】投げる(協力してもらう)
─── が本来であるが、
私はもっぱら、
【こ】困ったら
【まつな】待つな
─── の意味で使う。
小松菜はサラダでもおいしい。下処理なしで渡しても、そんなにイヤな顔はされない。