この記事は『 X のアルゴリズム・ルール・専門用語について Advent Calendar 2024 』(https://qiita.com/advent-calendar/2024/x-tips )の 9 日目の記事です。
現在のXでは、ポストにニュースサイトやメディア以外の外部URLを含めると、スパムと見なされ「ポストの表示回数が減るペナルティ」が適用されます。
この仕様は公式ドキュメントや禁止事項には明記されていません。しかし、X運用者の間では広く知られた事実で、特に個人ブログや別のSNSのURLを含むポストは表示回数が極端に減ることが確認されています。
この暗黙の仕様について、つい先日(2024年11月25日)、イーロン・マスク氏が言及し、対策案についてもコメントを残しました。この発言により、この仕様が実際に存在することが明らかになりました。
この記事では、準公式となった「ポストにURLを含めると表示回数が減る仕様」についてと、マスク氏が示した対策案について詳しく解説します。
本記事の内容
・ポストにURLを含めると表示回数が減ります。この仕様は公式ドキュメントにはありませんが、X 運用者の間では有名な仕様です。
・先日、イーロンマスクからこの仕様に対する対策案が出され、否定されなかったことからこの仕様が確定的なものになりました。
・イーロンマスクのいう対策は「リンクはメインのポストではなく、リプライに入れろ。」です。
ポストに URL を含めると表示回数が減る
まず、ポストに URL を含めると表示回数が減るのは本当のことです。ただし、その URL はニュースサイトや、公式メディアを除く、外部 URL に限られます。
つまり、個人ブログや、ほかの SNS (Facebook や Instagram など)です。
2024年11月に変更されたポリシーでは、具体的に以下のメディアの共有が「禁止行為」として追加されていました。
コンポジション、シーケンス、タイミング、またはフレーミングが根本的に変更され、意味が歪められるような方法で、大幅な編集またはポストプロセスが施されたメディア。
視覚または聴覚情報の追加、編集、または削除(新しいビデオフレームの追加、音声の重ね録り、字幕の改ざんなど)により、その意見、意味、文脈が根本的に変化しているメディア。
作成、編集、またはポストプロセスが、特定要素の強調や、フィルタの使用により行われ、コンテンツの意見、意味、文脈が根本的に変化しているメディア。
実在の人物を描写していて、特にアルゴリズムや広範なAIの使用により、ねつ造または偽装されているメディア。
(…)
その情報源、場所、時間、信ぴょう性について、虚偽または誤解を招く文脈を伴って提示されているメディア。
視覚的に描写されている個人または法人の身元情報について、虚偽または誤解を招く文脈を伴って提示されているメディア。
発言に関する間違いや誤った引用、または描写されている事実を捏造する主張を伴って提示されているメディア。
出典:X ヘルプセンター.(2024/11)- "信頼性"
https://help.x.com/ja/rules-and-policies/authenticity
また、記載はされていませんでしたが、メディア以外のリンクについては、スパムポリシーによって次のリンクが禁止されているようです。
- マルウェアを含むリンク、またはマルウェアに誘導するリンク
- フィッシングサイトに誘導するリンク
- 誤解を招くリンク
- 虚偽的なリンク(アフィリエイトリンクなど)
- 予期せぬ転送先へと誘導するリダイレクトリンク
--
◆Tips
実は、X では過去、特定SNSのURLを含むポストを禁止にしたことがあります。2022年12月19日、Twitterが特定SNSの無料プロモーションを禁止とするポリシー「Promotion of alternative social platforms policy」を発表しました。
このポリシーはすぐにユーザーからの批判が殺到したため、Twitterは新たなポリシーを説明したページや公式アカウントが発信した関連ツイートを全て削除し、撤回しました。
出典:X ヘルプセンター. “Promotion of alternative social platforms policy”
https://help.x.com/en/rules-and-policies/social-platforms-policy
ただ、当時のイーロンマスクのポストは残っています。今のXも基本的にこの考え方がされていると思います。
なぜ URL を含むポストはペナルティなのか?
理由は 2 つあります。ひとつは「①スパム行為の抑制」で、もうひとつは「②サービス滞在時間の最大化」です。
①スパム行為の抑制
Xでは、スパムポストを防ぐことが重要視されています。複数のリンクを含むポストや、特定のスパムURLが大量に投稿されると、ユーザー体験が損なわれるだけでなく、プラットフォーム全体の信頼性が低下する可能性があります。
そのため、アルゴリズムがスパムと疑われるポストを自動的に検出し、リンクを含む投稿を制限する仕様が採用されています。
②サービス滞在時間の最大化
X独自のエコシステムを維持するためです。リンク付きポストは、ユーザーがXを離れて外部サイトに移動するトリガーとなります。これを防ぐことで、ユーザーがX内でより多くの時間を過ごし、広告収入や他のビジネスモデルに寄与する形を目指しています。
たとえば、個人ブログや他のSNS(InstagramやFacebookなど)へのリンクは、ユーザーを他サービスに流出させる可能性があるため、特に表示回数を制限されやすいとされています。
Xもサービスですので、ユーザーの滞在時間を最大化して、コンテンツのコミュニケーションを活性化したり、広告収入を増やすことを目的としています。
ポストに URL を張る場合の対策
次の方法は、公式よりも公式であるイーロンマスクCTOから出されたものです。ベストプラクティスではないかもしれませんが、その答えは…
「リンクはメインのポストではなく、リプライに入れろ。」です。
ポスト(2024/11/25)
https://x.com/paulg/status/1860810383021277424?s=46&t=5-NNBFPndYSqBw6eAs4xLw
つまり、ひとつメインのポストをした後に、そのポストにリプライ(返信)をする形で URL を載せろということです。そうすると、メインのポストはペナルティなく表示され、メインのポストから興味をもった人だけがリプライからリンクを踏めるということです。
--
◆Tips
ポストにリンクを張らない戦略は、実はかなり前から考えられています。
Twitterの初期の頃は、人々はいつもリンクや見出しを共有するだけでした。今では基本的にそんなことは起こりません。今では何かを共有するときは自分の声で何かを言わなければなりません。
出典:Buffer.(2018/10/4)- "Do Twitter Ads Really Work? A Surprising Experiment: 17.2 Million Views From a Single Twitter Thread"
https://buffer.com/resources/do-twitter-ads-really-jotform-case-study/
また、最近ではゼロクリック コンテンツという考え方も出てきました。
しかし、リンクで共有されているため、アルゴリズムによって優先順位が下がっています。どうすればよいでしょうか。
(…)
ゼロクリック コンテンツとは、 SparkToro のマーケティング担当副社長Amanda Natividad氏が考案した造語で、ユーザーが現在利用しているプラットフォームを離れることなく、価値ある情報を提供するコンテンツを指します。これは、すでに作成したコンテンツを別のチャネルに再利用することを意味します。
(…)
成功するゼロクリック コンテンツは、瞬時に魅了し、伝える能力にかかっています。コンテンツがそれを実現できなければ、どれほど価値があっても成功しません。
出典:Buffer.(2024/1/4)Zero-Click Content: What It Is and Why You Should Create It
https://buffer.com/resources/zero-click-content/
以上が、「ポストにURLを含めると表示回数が減る仕様」の背景と、その対策案についてでした。リンクの扱い方を工夫することで、より効果的に情報を発信できるでしょう。