この記事は『 X のアルゴリズム・ルール・専門用語について Advent Calendar 2024 』(https://qiita.com/advent-calendar/2024/x-tips )の 5 日目の記事です。
「X のポストは、画像や動画をつけた方が伸びやすい」
こんな噂を聞いたことはないでしょうか。これは、Xアルゴリズムが公開された去年 2023年4月 頃に言われだしたことです。Xのアルゴリズムでは、画像や動画を含んだポストはブーストされ、ほかのユーザーのタイムラインに表示させる可能性が上がるらしい、と。
しかし、現在、この仕様は存在しないことが公式から回答されています。
本記事では、画像や動画を含んだポストを優遇するパラメータの出所や、ほかにも利用されていないかった「ポストを表示させやすくする条件」について紹介します。
本記事の内容
・エンゲージメント(いいね、リプライ、リポストなどの反応)の多いポストは、タイムラインに優先的に表示されます。
・各エンゲージメントによって、ポストを表示する確率が違います。例えば、いいねの「表示されやすさ(ブースト力)」を 1 としたとき、リプライされることはそれの 25 倍の効果があります。
・「表示されやすさ(ブースト力)」を上げるエンゲージメントを狙ったポストをすることで、バズりやすいポストを生み出すことができます。
・エンゲージメントによるポストの「表示されやすさ(ブースト力)」は 30 分ごとに反映されます。
削除されたパラメータ一覧
アルゴリズムが公開されてすぐ、有志たちはソースコードの解析をはじめました。
彼らは、ポストを他の人のタイムラインに表示させる可能性を上げるパラメータ───具体的には「いいね、リツイート、その他のツイート属性(画像 URL、ハッシュタグ、トレンドトピックなど)をブーストするコード」が古くて使われていないことに気が付きました。
X もこの報告受け、これが現在は使われていないパラメータであることと、それらを削除したことを回答しました。その回答となったポストは以下です。
多くの方から、いいね、リツイート、その他のツイート属性(画像 URL、ハッシュタグ、トレンドトピックなど)をブーストするコードについてご指摘をいただきました。このコードは古くて使われていないことが判明したため、削除しました。
ポストはこちら
https://x.com/XEng/status/1644580570628857856
--
以下に、削除されたソースコード(パラメータ)を示します
retweetCountParams = Some(scr.ThriftLinearFeatureRankingParams(weight = 20.0)),
replyCountParams = Some(scr.ThriftLinearFeatureRankingParams(weight = 1.0)),
reputationParams = Some(scr.ThriftLinearFeatureRankingParams(weight = 0.2)),
luceneScoreParams = Some(scr.ThriftLinearFeatureRankingParams(weight = 2.0)),
textScoreParams = Some(scr.ThriftLinearFeatureRankingParams(weight = 0.18)),
urlParams = Some(scr.ThriftLinearFeatureRankingParams(weight = 2.0)),
isReplyParams = Some(scr.ThriftLinearFeatureRankingParams(weight = 1.0)),
favCountParams = Some(scr.ThriftLinearFeatureRankingParams(weight = 30.0)),
langEnglishUIBoost = 0.5,
langEnglishTweetBoost = 0.2,
langDefaultBoost = 0.02,
unknownLanguageBoost = 0.05,
offensiveBoost = 0.1,
inTrustedCircleBoost = 3.0,
multipleHashtagsOrTrendsBoost = 0.6,
inDirectFollowBoost = 4.0,
tweetHasTrendBoost = 1.1,
selfTweetBoost = 2.0,
tweetHasImageUrlBoost = 2.0,
tweetHasVideoUrlBoost = 2.0,
useUserLanguageInfo = true,
ageDecayParams = Some(scr.ThriftAgeDecayRankingParams(slope = 0.005, base = 1.0)),
出典:GitHub - X (fka Twitter).(2023/4/5)"EarlybirdTensorflowBasedSimilarityEngine.scala_コミットメッセージ
https://github.com/twitter/the-algorithm/commit/138bb519975407d4ea0dc1478d897d451ef05dab
各パラメータについて、日本語化したものを一覧化してみました。
(説明文については、私の主観が入っていますのでご注意ください。)
パラメータ | ブースト値 | 説明 |
---|---|---|
retweetCountParams | 20.0 | リツイートの多いポストは高評価。 |
replyCountParams | 1.0 | 返信が多いポストも高評価されるが、影響は小さい。 |
reputationParams | 0.2 | 投稿者の評判(フォロワー数や過去の活動)によって低評価。 |
luceneScoreParams | 2.0 | 検索エンジンとの関連性が評価に加算。 |
textScoreParams | 0.18 | ポストそのものの評価。評価基準に沿っていない場合は低評価。 |
urlParams | 2.0 | URLが含まれる場合、一定の評価が加算。 |
isReplyParams | 1.0 | 返信にも若干の評価。 |
favCountParams | 30.0 | いいねは最も高評価となり、影響力が高い。 |
langEnglishUIBoost | 0.5 | インターフェイスが英語のポストに補正値。 |
langEnglishTweetBoost | 0.2 | 言語が英語のポストに補正値。 |
langDefaultBoost | 0.02 | 言語設定がデフォルト設定の場合にごく小さい補正値。 |
unknownLanguageBoost | 0.05 | 言語が特定できないポストは致命的に低評価。 |
offensiveBoost | 0.1 | ユーザーの信頼性が評価に影響。 |
inTrustedCircleBoost | 3.0 | フォロー関係や自信のカテゴリ内の投稿が優遇。 |
multipleHashtagsOrTrendsBoost | 0.6 | ハッシュタグやトレンドの乱用で低評価。 |
inDirectFollowBoost | 4.0 | 間接的にフォロー関係がある場合の補正。 |
tweetHasTrendBoost | 1.1 | トレンドに関連するポストが優先される。 |
selfTweetBoost | 2.0 | フォロワーのタイムラインに表示されやすくする補正。 |
tweetHasImageUrlBoost | 2.0 | 画像URLが含まれる場合、一定の補正が加算。 |
tweetHasVideoUrlBoost | 2.0 | 動画URLが含まれる場合、一定の補正が加算。 |
ただ、画像や動画が含まれているポストの方が伸びやすいのも事実です。しかし、これはパラメータによってポストがブーストされているわけではありません。上述のとおり、ブーストパラメータは現在削除されています。
伸びる理由は簡単で、ポストのタップ、画像のタップ、動画の視聴がエンゲージメントとしてカウントされるためです。ポジティブなエンゲージメントが多いポストは、他のアカウントにポストを表示させる確率があがるため、エンゲージメントを獲得しやすい画像や動画を含むポストが有利なのです。
過去使われていなかったとしても
また、これらのパラメータ 2023年4月 時点で使われていなかったものの、Twitter がこれらのポスト評価基準を作っていたことは確かであり、これは X 運用に活用できるデータです。「どんなポストを優遇する───あるいは冷遇する傾向にあるのか?」推測するには十分な材料がそろっているからです。
もしかしたら今は使われているかもしれませんし、使われていないかもしれません。
何となくトレンドワードを含んだポストをしてみるとか、ハッシュタグを1つだけ使ってみるとか、少なくともデブーストされるポストにしないとか、これらを意識するだけでも、Xにとって「良いポスト」を作ることができるはずです。
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◆Tips
しかし、画像や動画が含まれているポストの方が伸びやすいのも事実です。しかし、これはパラメータによってポストがブーストされているわけではありません。上述のとおり、ブーストパラメータは現在削除されています。
伸びる理由は簡単で、ポストのタップ、画像のタップ、動画の視聴がエンゲージメントとしてカウントされるためです。ポジティブなエンゲージメントが多いポストは、他のアカウントにポストを表示させる確率があがるため、エンゲージメントを獲得しやすい画像や動画を含むポストが有利なのです。
以上が、「画像や動画を含むポストは2倍伸びやすい!」は嘘であるという話と、ポストをブーストおよびデブーストさせる要素についてでした。