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『情報伝達』と聞いて、正しい情報を伝えるにはどうすればいいか?ということをまっさきに考えてしまった人は大変そうだなぁ、と思いました。

正しい情報を伝えることが一番大切だということは言うまでもありませんが、そこにはルールがいっぱいあるはずで、「よく考えた人ほど、自らの枷に苦しみそうだなぁ」と思ってしまったのです。なので、私はひらき直ってそういうことは考えないことにしました。

───とはいえ、別に「情報の正しさ」をすてたワケではありません。圧倒的なリアルタイム性に特化し、その後のユーザー間のコミュニケーションによって正しい情報にブラッシュアップされるようなアイディアを考えたのです。


私が考えた次世代の情報伝達手段、それは非常に狭い範囲の匿名型SNSです。


■この記事の内容

  • 情報のリアルタイム性を重視した、(会社あるいは学校単位の)匿名型SNSはどうだろうか?
  • 匿名型SNSでは、本音ベースの会話ができるため、情報+「みんなはどう思ってる?」が分かります。
  • 技術的には可能だと思いますが、仕組みやルール作りで詰みそうです。あまり現実味はありません。

匿名型SNSの可能性

非常に狭い範囲の匿名型SNS───具体的には社内SNSや学校内SNSであり、重要なので繰り返しますが、「完全匿名」であることがポイントです。


『学校内SNS』。それは、かつて高校生だった私が、ギャルゲーをやっていて死ぬほど憧れたシステムです。

ゲーム内のお話になりますが、生徒ひとりひとりに端末が配られる学園で、その端末から学校内SNSに書き込むことができます。物語が進むと同時に、SNSにほかの生徒からの投稿が増えていき、例えばこんな書き込みがされます。

1.| 雨降ってきた最悪。

2.| 相合傘イベントきたー!!!

3.| >2 でもお前相手いねーじゃんw


ゲームなので、その後、主人公に相合傘イベントが発生したりします。それを見ていたほかの生徒が…

11.| く…くぅ、俺なんて30分も待っているのに…」

と書き込むと…


12.| >11 俺が助けにいこう

13.| うほ

14.| うほ

15.| おまいらwww

16.| もうすぐやむみたいだから耐え…アーーー!!!

みたいな書き込みが追加されます。


日常的なできごとを盛り上げてネタとして楽しむ、いわゆる「学生ノリ」とでもいうのでしょうか。たまに真面目な議論が起こるときもありますが、基本設計は「みんなが楽しく情報交換をすること」が前提とされています。

我々ゲームプレイヤーは、(ギャルゲーとして)主人公とヒロインのイチャイチャを楽しむこと、そしてほかの生徒の反応を「学校内SNS」という形で見ることができ、多方面で楽しむことができます。


で、思ったんですよ。このシステムのリアルタイム性はヤバいな、と。



かつて、インターネットには「2ちゃ〇ねる」というものがありました。あえて「かつて、あった」という表現をしたのは、その文化がすでに廃れてしまっているからです。

私は今でも「一番あたらしくて面白い情報があったのは当時の2ちゃんねるだった。」と信じています。それが本当のことなのか、違うのか…その議論をしようとは思いませんが、そこに『みんなで特定の話題を盛り上げようとする文化』があったことはたしかです。

「これ面白いけど知ってた?」と、情報提供をするやつ。

「情報ソースどこなのよ?」と、情報の真偽を確認しようとするやつ。

「もう少し詳しくいうと」と、勝手に解説をはじめるやつ。

それらのやりとりを見て楽しむオーディエンス…


簡単にいえば、「情報提供をする者」「情報を修正する者」「話題を盛り上げる者」が、おのおの得意な立ち振るまいで情報伝達を助力する仕組みがそこにあったんじゃないか?と思っているのです。


情報に人の感情を乗せる

常にあたらしい情報は無尽蔵に出てきます。ただ、今はスマートフォンひとつあればどんな情報にもアクセスでき、知りたいことがすぐに分かります。なので、自分の興味のあることであれば、各々が勝手に調べることでしょう。

問題は、リアルタイムで起こっている時事です。これらの情報は、何かキャッチする仕組みを作らなければ知ることはできず、また興味に関わらず知っておくべき大事な情報が多々含まれます。


さて、このような情報はどのように伝えたものでしょうか。

例えば、情報伝達を管理するマスターと呼ばれる人が情報を取りまとめ、正しい情報のみをみんなに共有するとしたらどうでしょう。

直感的には「無理があるんじゃないか…」と思ってしまいます。情報の取り逃し;情報の提供遅れ;誤情報の修正;などの課題は上げはじめたらキリがありません。人数を増やしたところで根本の課題は変わらず、なんとなく人間には無理な話にみえます。

じゃあ、AI ではどうでしょうか?AI ならそれが可能かもしれません。ただし、それはあくまで「情報を提供すること」ができるだけです。それなら既存のニュースサイトや既存のSNSで十分なんじゃない?とも思います。


私が言いたいことは、「それじゃあ、つまらないよね。」ということです。


───じゃあ、匿名型SNSだったら面白いのか?

私は面白くなるのではないかと思っています。


「2ちゃ〇ねる」を例にあげると、匿名だからこそ自分の得意な立ち位置、自分のスタンスで会話に参加し、盛り上げることができていました。端的に言えば『祭り』のようなもので、盛り上げるために自ら冷笑的な言動をしたり、"マジレス"をします。匿名だからこそ、『本音を言っているように感じられる表現』が出てきます。

重要なのは、この「本音を言っているように感じられる」ことで、これが匿名型SNSの一番面白いところであり、利用する最大のメリットです。つまり、情報+「みんなはどう思ってんの?」が分かります。


あえて過激な表現をするならば、クッソつまらん表現(炎上をさけることを意識された万人受けの表現)で提供された情報を事務的に摂取しては翌日に忘れるより、その時、その場でしか作れない祭りで、人々の本音を聞ける方がいいんじゃない?ということです。


こういうと「今の若者はアカウントとか、フォロワーとか、いいね数とか、そういうのがないと情報出す人も盛り上げようとする人も出ないだろ。」という人が必ず出てきます。

そうかもしれません。

でも、そうじゃないかもしれません。


なぜ「そうじゃないかもしれない」と思えるのか。それは、人には承認欲求というものがあるからです。この承認欲求というものは厄介で、誰かに認めてもらいたいという思いを抑えることは非常に難しいです。ひとがひとである以上、このしがらみからは逃れることができません。

時代は変わろうと、人間はそう簡単に変わることはできないのです。


なので、匿名でも「情報提供をするやつ」は必ず出てきますし、それを否定してやろうと思うやつも出てきます。それは匿名でなければ実現できず、逆に匿名だからこそ実現できる、ある種、かなり特殊な状況です。


また、既存のSNSと何が違うのかを気にする人もいるでしょう。

違いは大きく2つです。まずは圧倒的な範囲の狭さ、そして完全匿名ということです。

既存のSNSでは、教員の働き方問題や会社での残業は悪か?みたいな大きいテーマで語られることが多いですが。社内SNSや学校内SNSは違います。

・部長がゴルフにハマっているらしく、昼休みに動画で勉強してたわ(笑)
・1組だけど午前に数学の抜き打ちテスト。午後の人たち気を付けて!
・3階の男子トイレにスマホの忘れ物あり、困ってる人周りにいる?

こんな範囲の狭い、賞味期限の短い話題を扱います。


その会社のみが使うローカルな固有名詞、その学校に通う生徒のみが分かる造語や隠語も使われるでしょう。通常のSNSとは違った、まるで仲間と会話をするようなスムーズなコミュニケーションがとれるのではないかと思います。


そして、匿名性にすることで、その範囲の狭さによって情報の提供が少なくなったり、コミュニケーションの敷居が上がることを防ぎます。

「不確定な情報だから今は出せないな…」と投稿を渋ったり、トイレの忘れ物に「別に私が言わなくても」と迷う必要もありません。「玄関口に知らない人が立ってるんだけど」といった素朴な疑問や、「あの〇〇鬼部長に褒められた。頑張ってきてよかった。」みたいなちょっとした自慢話も遠慮なくできます。


ただし課題は深刻

この案は実現しません。少なくとも、心理学者でもなく、匿名型SNSに詳しいわけでもない私が少し考えただけでも「これは無理があるな」ということにすぐ気が付きます。なぜなら、少なくとも次のことが必要だと考えたからです。

  1. 利用者が心から「これは完全匿名の投稿」だと思っている。
  2. 誹謗中傷を即感知し、徹底的に排除する仕組みが必要。
  3. センシティブ、暴力的、犯罪を助長する表現の規制。
  4. SNSの参加を強制レベルにする。(見る、見ないは自由)

これらは、かなり大きい課題です。すべてを無理に満たそうとすると本来の目的である「リアルタイム性」が損なわれますし、それこそ情報を安易に引き出すことも、ユーザー間のコミュニケーションも行われなくなるでしょう。

「どうせ会社は(学校は)誰が投稿したか分かるんでしょ?」という疑念が少しでもあれば、とたんに投稿は止まってしまいます。

誹謗中傷や犯罪を助長する投稿を許すべきではありません。では、どう監視するのか?投稿制限は行うのか?投稿制限を実現しようとすると、誰が投稿したのか分かる仕組みが必要です。そうなると完全匿名性とは矛盾が発生します。

小規模なSNSというと、某SNSに似たような機能があり、「コミュニティ」といいます。特定のユーザーだけが集まったグループのようなものですが、全体の1%も活用している人はいないと思います。そういう小規模なSNSは「参加してもいいし、参加しなくてもいい」となると、ほとんどの人は参加しないものです。

なので、会社に所属している社員、学校に通っている生徒には端末を支給し、それを社員証または生徒手帳のように扱い、掲示板の機能をデフォルトで搭載しなければなりません。そのレベルのものでなければ誰も利用しようとは思いません。


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ここまで理想論を語ってきたものの、ちょこっとそういうことも考えてしまったので、自信がなくなってきました。いろいろ書いてますが、全部が全部そんなにうまくいくとも思っていないのが正直な気持ちです。


でも、そんな世界を見てみたい

このアイディアはある種逆張りの内容であり、内容を詰めればつめるほどメチャクチャなことを言っていることが分かります。アニメやゲームはただの空想であり、現実の世界はそんなに「きれい」でもありません。

でも、それをやったことある人も、それを本気で設計しようと思った人もいないと思うんですよ。


近年、多くの学校では各生徒が端末を持ち、授業で活用されていたりします。彼らがそれをどう使っているのか、学校側がどう制御しているのかは知りませんが、前提である「全員が同じ端末を持っていること」はすでに実現していると認識しています。

そして、技術的にも可能なはずです。


私が10年前に死ぬほど憧れた学校内SNSは、今、どこかで実現しているのでしょうか。10年で人間の技術は飛躍的に上がりました。では、それを使うためのルール作りは?


以上です。

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